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着床出血で発生する出血量はどれくらい?生理と異なる点や不正出血についても解説

受精卵が子宮内膜に潜り込むことを着床といいますが、この着床時の一部で出血が発生することはご存じですか?「生理予定日を過ぎて生理は来ていないのに出血がみられた」そんな場合はもしかしたら着床時に発生する「着床出血」かもしれません。

妊娠の有無を明確にするためにも本記事では、着床出血の量や特徴、妊娠の有無を見分ける方法を解説します。現在、妊娠の可能性がある方はぜひ最後までご覧ください。

着床出血とは

ベッドで横になって体温を測っている女性

着床出血とは、精子と卵子が融合した受精卵が着床した際に発生する出血のことを指します。受精卵は子宮内膜に根を張って沈み込むように着床するため、子宮内膜が傷ついて出血してしまうことがあるのです。

とはいえ、この着床出血は妊娠した人全員に起こるわけではなく、4人に1人程度の割合で発生するといわれています。つまり、着床出血が発生していない場合でも妊娠している可能性は十分あるのです。

また、着床出血が起こったことにより流産の心配をされる方もいますが、着床出血は生理的に起こる出血であるため流産への影響はありません。しかし、着床出血だと思っていた出血が実は別の病気による出血の可能性もあるため、出血がひどい場合はすぐに病院やクリニックを受診しましょう。

着床出血の量はどれくらい出るのか?

性器出血のイメージ画像

ここまで着床出血について解説しましたが、どれくらいの出血量なのか気になる方もいるはずです。

着床出血の量には個人差があり、人によって異なります。まったく出血しない方もいれば、生理と同じくらい出血する方もいます。とはいえ、着床出血は生理よりも少量であることが多い傾向にあります。

また、生理のように塊で出血することが少ないため、薄いナプキンやシートで間に合うケースがほとんどです。なかには「ティッシュに血がついた」というほど少量の場合もあります。なお、着床出血の特徴としては生理よりもサラサラとしていることがあげられます。

着床出血の「色」「痛み」「期間」

腹痛がある女性

着床出血の量については理解できたでしょうか?続いて、着床出血の色や痛み、期間などの特徴を解説します。着床出血の理解が以前よりも深まることで、自身の状況と照らし合わせることができるでしょう。

着床出血の色

着床出血の色は人それぞれです。おりものに血が混ざってピンク色にみえる方もいれば、生理と同じように真っ赤な鮮血である方もいます。なかには出血から時間が経過し、着床出血が茶色のケースもあるでしょう。

一方で生理は赤から暗赤色であることが多く、血液が塊として出血する場合があります。そのことから、人によっては出血の色や状態から着床出血だと区別することが可能です。

着床出血の痛み

着床出血で発生する痛みは、下腹部に感じるチクチクとしたものやツーンとした痛みがあげられます。この痛みについても個人差があり、生理同様に強い痛みが伴うケースもあります。また着床出血はおなかの痛み以外にも、腰辺りの痛みや違和感が発生することも考えられます。

しかし、着床時に感じる痛みは医学的に証明されておらず、痛みのほとんどが勘違いや別の症状によるものだとされています。

着床出血の時期や期間

着床出血が起こるタイミングは妊娠4週目です。この時期は生理予定日と一緒であるため、生理との区別がつきにくいという特徴があります。

ただ、生理と違って着床時の出血はそこまで長続きしません。個人差はあるものの、着床時の出血は1〜2日程度で終わります。出血の期間が長い方でも3〜4日ほどで収まります。このことから、着床出血が長引くのであれば別の症状も考えられるため、病院やクリニックへ早めに相談しましょう。

着床出血ではない不正出血

体調がすぐれなくて横になっている女性

前項では着床出血の特徴について解説しましたが、着床時や生理以外で出血するケースも存在します。

着床時や生理以外で発生する不正出血では、月経異常や子宮内膜症、感染症、卵巣疾患、子宮がんといった、さまざまな病気の疑いがあります。また、流産や切迫流産などでも不正出血は起こります。

しかし、流産や切迫流産による出血と着床出血が起こる時期は異なるため、まったくの別物であると考えられます。流産や切迫流産による出血は妊娠5週以降に起こりますが、着床出血は妊娠検査薬で調べられない妊娠4週未満で発生します。このことから、両者はまったくの別物であり、異なる時期に発生する症状だといえます。

なお、着床の段階でトラブルが起こり妊娠に至らないケースでは、化学流産と呼ばれますが、妊娠が成立したとは考えられていないため、流産という診断名はつきません。母体の免疫拒絶反応が強く働いたことで受精卵を異物と捉えてしまい、妊娠4週未満でも化学流産が起こります。受精卵が子宮内膜に適応しきれず着床が未完に終わるという状況ですが、妊娠の初期段階で起こるためママ本人は通常の生理と区別ができないことがほとんどです。

いずれにしても、着床時や生理以外で出血が考えられる場合は、できるだけ早く病院やクリニックを受診しましょう。

着床出血がみられたあとの妊娠検査

女性医師

不正出血と着床出血の違いについては理解できたかと思います。次に、着床出血がみられたあとの妊娠検査をみていきましょう。妊娠の有無を明確にする方法は大きく分けて下記の2つです。着床出血がみられた方はぜひご参照ください。

妊娠検査薬を用いる

着床出血がみられて妊娠疑いがある場合、まずは妊娠検査薬を用いましょう。妊娠検査薬とは、排出される尿に含まれる「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」を検出して着床を確認する検査のことです。妊娠していなければ「hCG」は身体から排出されることがないため、高い精度で妊娠の有無を確認できます。

なお、この妊娠検査薬は生理予定日から1週間後を目安に使用してください。妊娠の可能性があるからといって、生理予定日から1週間前に使用してしまうと、誤って陰性反応が出てしまう可能性もあります。

産婦人科で調べる

産婦人科も妊娠検査薬と同じく早すぎる検査は正確ではないうえに、赤ちゃんの心音が確認できないため、妊娠検査薬で陽性反応が出たあとに妊娠5~6週を目安として産婦人科で調べましょう。

産婦人科で行う検査は、尿検査、触診と内診、超音波検査などがあげられ、妊娠検査薬に比べてより正確な検査が行えます。また、妊娠についての相談や赤ちゃんにおける異常性の検査も可能です。初診の流れは以下をご参照ください。

  1. 受付
  2. 尿検査
  3. 問診
  4. 経膣超音波検査
  5. お会計

なお、初診の流れは産婦人科によって異なる場合があるため注意しましょう。

着床前にやっておくべき3つのこと

お腹を撫でている幸せそうな妊婦さん

妊娠の検査方法については理解できたでしょうか?最後に、着床前にやっておくべきことを3つ解説します。妊活を始める前にぜひ知っておきましょう。

葉酸を摂取する

着床前には葉酸を摂取しましょう。葉酸は妊娠中に必要な栄養素を補ってくれます。例えば、新しい赤血球を作る、胎児の発育を促進するなどがあげられます。また、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」という病気の予防にもつながります。葉酸を摂取できる食材は下記のとおりです。

  • 枝豆
  • 納豆
  • ほうれん草
  • 鶏レバー
  • ライチ

なお、食事で補給するのが難しいという方は、サプリメントや栄養補助食品などから摂取することをおすすめします。

予防接種を済ませる

妊娠してからでは接種できないワクチンがあるため、着床前に予防接種を済ませておきましょう。感染症のなかには、妊娠中に感染すると母体やおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼすものもあります。例えば妊娠初期で「風疹」になると、先天性心疾患をもった赤ちゃんが生まれやすくなります。

母体や赤ちゃんの安全性を確保するためにも、着床前には予防接種を済ませておきましょう。母親だけが予防接種を行うのではなく、夫婦揃ってワクチンを接種することが大切です。

禁煙をする

おなかの赤ちゃんに悪影響を与えるため、妊娠前に禁煙することをおすすめします。煙草は赤ちゃんに栄養を届けづらくなるだけでなく、さまざまな病気の原因となります。例えば、早期破水や前置胎盤、胎盤異常、早産や妊娠期間の短縮、胎児の成長の制限などがあげられます。また、乳児期の肺機能が低下する原因となるため注意が必要です。

なお、妊娠する女性本人が煙草を吸っていない場合でも、ほかの人が吸う煙草の副流煙でも影響を及ぼすとされています。妊活を始めるにあたって、夫婦ともに禁煙を進めましょう。

まとめ

本記事では、着床出血の量や不正出血、着床前にやるべきことについて解説しました。

着床出血は受精卵が子宮内膜に着床するときに発生する出血であり、生理と比べて出血量はあまり多くありません。また、着床出血の色は人それぞれであり、出血は1〜4日程度で収まります。この着床出血は不正出血とよく間違われますが、流産や切迫流産とは発生する時期が少し異なります。

この着床出血が発生して妊娠の可能性がある方は、妊娠4週以降に妊娠検査薬を用いて妊娠の有無を確認し、産婦人科で受診することをおすすめします。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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