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胎児ドックを受けるべきか悩んでいる方へ|胎児ドックの詳細を紹介

赤ちゃんを出産する前の非確定的検査である出生前診断の一つとして、胎児ドックという検査があります。

施設によって「胎児超音波検査」「胎児初期精密検査」「ベビードック」など呼び方はさまざまで、比較的受けやすい費用設定であることから、胎児ドックを受ける方が増えています。

しかし、胎児ドックを受けることで赤ちゃんの異常の可能性を知ることとなり、非確定的検査であるにもかかわらず絶望してしまう方も少なからずいらっしゃいます。

その原因は胎児ドックについての知識が不足していることや、医師からの説明が不足していることにあり、胎児ドックを受けるのであれば検査について十分理解する必要があります。

この記事では、胎児ドックについて詳しくご説明したあとに、胎児ドックはどのような方が受けるのかをご紹介します。

胎児ドックを受けるべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

胎児ドックとは

女性のお腹と超音波写真
胎児ドックは妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期に行う胎児超音波検査で、妊娠検診時の超音波検査よりもより細かく赤ちゃんの様子を観察するという内容です。

まずは、胎児ドックについて詳しくご紹介します。

妊娠初期に行う胎児ドック

妊娠10週~妊娠13週に行われる検査は、以下の大まかな形態の状態を確認できます。
● 全身の形態
● 脳の構造
● 顔の構造
● 心臓の構造
● 腹部、膀胱、靱帯、四肢などの確認
さらに、全身の形態などの視覚的な異常に加えて、以下の項目をチェックします。
NT(3.5mm以上だと染色体異常の可能性が上がる)
● 鼻骨(ダウン症児60~70%、18トリソミー児50%、13トリソミー児40%にみられる)
● 静脈管血流(ダウン症児65%、18トリソミー児55%、13トリソミー児55%にみられる)
● 三突弁血流(ダウン症児55%、18トリソミー児30%、13トリソミー児30%にみられる)
NTという赤ちゃんの首のうしろのむくみ、鼻骨、静脈管波形、三突弁、を測定することで、ダウン症候群や18トリソミー、13トリソミーの確率を計算できる施設もあります。
以下はNTの厚みと染色体異常の可能性を表したものです。
● 3.5mm~4.4mm:20%
● 4.5mm~5.4mm:33%
● 5.5mm~6.4mm:50%
● 6.5mm以上:65%
NTはどの正常な胎児にもみられますが、通常より厚い場合は染色体異常やそのほかの疾患、心疾患などのリスクがあるとされています。
これらの診断方法は、NTが厚いからといって異常の可能性があると判断するのではなく、そのほかの数値をもとに特別なプログラムを使用してリスクが計算されます。
この数値は、FMFフェローシップ修了者しか計測することができません。
FMFとは、英国発祥のチャリティー組織で、妊娠女性とその赤ちゃんの健康を向上させることを目的としています。
FMFフェローシップ修了者は日本に6名しかおらず、胎児ドックを行っている施設でもこのFMF認定の資格を所持している医師が在籍していない場合は、NTなどの数値を計測できません。
また、施設によっては、胎児ドック、NTなどの測定とともにコンバインド検査を一緒に実施している場合もあります。
このようなさまざまな数値の結果を見て、赤ちゃんに起こっている異常の可能性を総合的に判断して結果が伝えられます。

妊娠中期に行う胎児ドック

妊娠18週~妊娠20週の妊娠中期に行われる胎児ドックは、以下の項目のチェックをします。

  • 頭部
  • 顔面
  • 心臓
  • 胸部
  • 腹部
  • 背骨
  • 四肢
  • へその緒
  • 性別

初期の胎児ドックでハイリスクと診断された方に関しては、その後確定的検査へと移行するため、初期の検査でローリスクと判断された方が、妊娠中期胎児ドックを受けることとなります。

妊娠中期になると、赤ちゃんの各臓器を観察しやすくなるため、推定体重や羊水量とともに上記の項目の確認が行われます。

この検査によって、心臓や脳、骨などの異常の可能性が発見でき、なんらかの異常が疑われるケースではさらに細かく精密検査を行うことになります。

妊娠後期に行う胎児ドック

妊娠28週~妊娠31週の妊娠後期には、妊娠中期に行う胎児ドックとほぼ同じ検査内容で、さらに詳細を確認します。

赤ちゃんがある程度大きくなっているため、中期胎児ドックで確認できなかったことがないかをチェックします。

さらに、妊娠後期になると脳のしわが形成されるため、脳がしっかり発達しているかを確認することもできます。

胎児ドックはどんな方が受けるか

超音波検査を受ける女性
胎児ドックを受けるべきか悩んでいる方は、実際にどのような方が胎児ドックを受けているのかを知り、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。

ここからは、胎児ドックはどんな方が受けているかをご紹介します。

高齢出産の方

初産婦で35歳以上、経産婦で40歳以上の方は高齢出産となり、以下のようなリスクがあります。

  • 流産のリスク
  • 難産のリスク
  • 母体が病気になるリスク(妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病、前置胎盤、胎盤早期剥離など)
  • ダウン症候群などの染色体異常のリスク

高齢出産は、流産や難産のリスクが高いうえに、母体が妊娠中に病気にかかるリスクも高いといわれています。

さらに、ダウン症候群などの染色体異常が見つかる可能性が高いとされています。

ダウン症候群の子が生まれる頻度は、母体年齢が28歳の場合は1053人に1人のところ、母体年齢が40歳になると106人に1人と大きく数値が変わることがわかります。

そのため、染色体異常を妊娠前に把握しておきたいという想いから、高齢出産の方は胎児ドックを受ける方が多いのです。

前回の妊娠で赤ちゃんに疾患が見つかった方

過去の妊娠で何らかの異常が発生したことがある方は、それ以降も同じ問題が起こる可能性が高いとされています。

そのため、過去に先天性異常のある赤ちゃんを出産したことのある方や、発達障害の子どもを出産したことのある方は、次の妊娠でも同じような問題が起こっているのではないかという不安から、胎児ドックを受ける判断をする方が多いです。

NIPTを受けるか悩んでいる方

NIPTとは、妊娠中の母親の血液のなかにある赤ちゃんのDNAのかけらから、赤ちゃんの先天性異常の可能性を判断する検査で、胎児ドックと同じ非確定的検査となります。

NIPTは他の出生前の非確定的検査に比べて、感度が99%と非常に精度の高い検査ですが、検査費用は15~21万円と高額になります。

胎児ドックは2~5万円で受けられる検査なので、NIPTと受けたいと考えている方が、まずは胎児ドックから受けて結果次第でNIPTを受けるというように、スクリーニング検査として利用する方もいます。

反対に、胎児ドックを受けて胎児の異常の可能性を指摘された方が、NIPTを受けるということもあります。

非確定的検査は診断を確定するものではない

血液検査を受ける妊婦
今回ご紹介した胎児ドックやコンバインド検査、NIPTは全て非確定的検査となります。

非確定的検査はその名の通り、陽性や異常の可能性が高いと診断されても、その結果は確実な結果ではありません。

そのため、非確定的検査で異常の可能性があるとわかったら、必ず確定的検査である羊水検査絨毛検査を受ける必要があります。

羊水検査や絨毛検査は流産や死産のリスクがあるとされていますが、それらの検査を受けるか受けないかは、必ず遺伝カウンセリングを受けてから判断する必要があります。

遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが行う、診断の種類や検査の方法を把握するためのカウンセリングです。

冒頭で医師の説明不足が問題だとお伝えしましたが、そのようなことが起こらないように、各検査前に遺伝カウンセリングが受けられる施設を探すようにしましょう。

遺伝カウンセリングによって、しっかりと検査の意図や異常の可能性を伝えられた際の対応を、事前に把握しておくべきなのです。

まとめ

胎児ドックについて詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?

胎児ドックは受けることで胎児の異常の可能性を知れる、出産前の非確定的検査です。

早い段階で赤ちゃんの異常の可能性を知り、出産時や出産後に適切なサポートを行うために行われる検査で、NIPTの前後に受けるという方もいらっしゃいます。

NIPTと比べると、比較的受けやすい価格設定をしている施設が多いので、NIPTを受ける前に胎児ドックを受けるという選択肢もあります。

しかし、胎児ドックやNIPTを受ける前には、必ず遺伝カウンセリングを受け、検査の内容について把握するようにしましょう。

遺伝カウンセリングは検査後にも受けることができ、感情的になることなくさまざまな判断をする手助けをしてくれます。

胎児ドックを受けようと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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