NIPT(新型出生前診断)のデメリットとは?

更新日02/03/2020

文責 仲田洋美(総合内科専門医、がん薬物療法専門医臨床遺伝専門医

NIPT(新型出生前診断)の問題点とは?

 

採血だけなので簡便

これは、メリットでもありますが、ピンチがチャンスであるように
メリットはデメリットでもあります。
なぜこれがデメリットなのかは、順にお読みいただければわかると思います。
 

圧倒的に高い陰性的中率

妊婦さんたちは 『安心したくて』 NIPTを受けようかな、って思いますよね?
でも。そうでなくても、第三者に受けるように促されて受ける場合もあります。
親御さんからすると、障害のあるお子さんをもって苦労する娘(息子)をみたくない、という思いもわかります。
しかし。
お子さんのことはやっぱり、ご夫婦の問題なんですよね。
ご夫婦でしっかり向き合って検査を受けようと決めたわけではない場合、陰性ならよいのですが、陽性の場合は非常に悩ましい場面となります。

たとえば旦那様は産んでほしくなくて、奥様は産みたい場合、どうでしょうか?
結構もんもんとするやるせない場面が待ち構えています。

ですので
この検査は「生命の選択」につながってしまいかねない検査だ、ということを最低限ちゃんと理解して、『そのときどうするか?』ということを少しでも想像して受けていただきたいと思います。
 

不安が全部払拭されるわけではない

赤ちゃんが先天的に障害を抱える原因の約半数は出生時の事故です。
いわゆる脳性麻痺とかですよね。
染色体の異常は赤ちゃんの先天疾患の1/3程度です。
その1/3のやく7割が13/18/21トリソミーです。
そうすると、NIPT基本検査陰性により取れる不安は約2割となりますよね。
知ることのできる最も大きなものではありますが、すべてが払しょくされるわけではありません。
 

50人に一人くらいが陽性になる

陽性になることを想定してドキドキしながら検査を受けても
想像と現実はなんでも開きが大きいですね?
どんなに覚悟して受けても、やっぱり『疑い』でしかないと説明を受けてわかっていたとしても、やはりショックは大きいです。
これってなんでもそうですよね?
たとえばがん健診。
がんかもしれない、と言われただけで取り乱すでしょう。
NIPTの場合は、ご自身のからだではなくても、やはり赤ちゃんの障害はその後の人生を左右するような出来事ですので、ご自身ががんの疑いをかけられるのとショックの大きさは大差ないかもしれません。

あなたがNIPTを受ける医療機関は、そうしたショックを受ける時期をちゃんと支えてくれるところなのでしょうか?

 

NIPTは非確定検査です

NIPTで陽性になっても、確定できません。
どれほど精度が高くても。

理由については こちら をご覧ください。

陽性になったら、羊水検査を受けないと、実際にあかちゃんが疾患を持っているかどうかがわからないのです。

陽性確定、その先に。。。。

羊水検査は15週以降

結果が出るのに、NIPTをしてターゲットが決まってからFISH法で確定することができるため、基本検査(13/18/21トリソミー)で陽性になった場合は、羊水検査で確定できるのも1週間くらいあれば可能です。
しかし。13/18/21以外のトリソミーの場合は、昔ながらの染色体検査をやらないとわからないので培養含め、3週間くらいかかります。

妊娠中絶を決定するまでの期間が十分とれるのか?

これは、いきなり羊水検査で決めないといけない場合に比べ、NIPTで陽性が出ている場合には羊水検査を受けるまでの間に時間が取れるので、向き合う時間は確保できる、というメリットがあります。
しかし。
やはり、ここでたとえば夫は産んでほしくない、妻は産みたい、となったとき、本当に筆舌に尽くせない苦悩を抱えることとなります。
また、これくらいの週数での中絶になると、お産と変わりません。
だからこそ、夫婦でしっかりと話し合って受ける必要があるんです。
決して、『簡単だから』 『便利だから』 『安心だから』 と安易に受けるべきではないのです。

どういう赤ちゃんだったら産まないという線引きはどこで?

産む、産まないの判断を どこまでの異常なら産みます どれくらいの異常なら産みません と明瞭に区別できるものでしょうか?
たとえば、ダウン症候群。非常に重症度に幅があります。
たとえば微細欠失。DiGeorge症候群。双子でも症状に全く差があります。
こういう染色体異常があれば、こういう症候群になる、と一対一対応していても、重症度は予測できません。

そのとき、あなたは何を根拠に決断するのでしょうか?
こうした問題を
しっかり話し合える専門家が周囲にいることも重要ではないでしょうか?

 

 

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