InstagramInstagram

出生診断でわかることとは?

出生前診断にはさまざまな種類があるため、どんな検査があるのか、自分は検査を受ければいいのか迷われる方もいらっしゃることでしょう。
そこで本記事では、出生前診断の種類や内容、どういった疾患について調べられるのかについて解説しています。

出生前診断とは

出生前診断とは、お腹の中の赤ちゃんに発育や先天性疾患がないかどうかを調べる検査全般を指します。検査によって精度や調べられる内容は少しずつ異なるものの、「胎児の染色体異常を調べる」点については、どの検査も共通です。
胎児の染色体異常の原因ははっきりとは分かっていないものの、出産時の母体年齢が35歳以上になるとリスクが高くなると言われています。

2019年の日本では、出産女性のうち35歳以上の方が3人に1人と出産の高齢化が進んでいることもあり、ここ10年で、出生前診断の実施件数が2.4倍も増加しました。

出生前診断の種類

出生前診断にはいくつかの種類がありますが、本記事では胎児の染色体異常を調べる検査に限定し、代表的な検査と特徴を紹介します。
今回紹介する全ての出生前診断は、染色体異常の可能性があるかどうかを調べる「非確定的検査」と、染色体異常であるかを診断できる「確定的検査」の2つに分けられます。

非確定的検査 確定的検査
・コンバインド検査
・母体血清マーカー検査
・NIPT
・絨毛検査
・羊水検査

非確定的検査と確定的検査の違いを押さえつつ、それぞれの検査を見ていきましょう。

非確定的検査

非確定的検査とは、胎児の染色体異常の可能性があるかどうかを調べる検査です。母体の血液や超音波機器などを使い、間接的に胎児の情報を読み取ります。
スクリーニング検査なので偽陰性や偽陽性が起こることもありますが、精度はある程度確保されています。何より、母子を傷つける検査ではないため、安全性が高い点が大きなメリットです。もし、非確定的検査で陽性判定が出た場合、診断を確定させるためには、確定的検査を受けなければいけません。

非確定的検査には、コンバインド検査、母体血清マーカー検査、NIPTなどがあります。

コンバインド検査

コンバインド検査は、超音波検査と血液検査を組み合わせて胎児の状態を調べる検査です。染色体異常を持つ胎児には共通した形態異常が見られる場合があるため、超音波検査では胎児の姿を直接見ながら、形態的に異常がないかどうかを調べます。血液検査では母体から血液を採取し、染色体異常の可能性を調べます。

検査時期 11~13週
わかること 21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー
検査方法 超音波検査、採血

母体血清マーカー検査

母体から血液を採取し、血液中に含まれる成分のバランスから胎児の先天性疾患の可能性を調べる検査です。クアトロ検査と呼ばれることもあります。容易かつ安価な検査であるものの、母体の年齢や体重、妊娠週数、家族歴が結果に影響する検査であるため、他の検査に比べると精度が劣ってしまう難点があります。

検査時期 15~20週
わかること 21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管奇形
検査方法 採血

NIPT

母体から血液を採取し、血液中に含まれる胎児のDNAの断片から染色体異常を調べる検査です。妊娠初期から検査できる上に精度が高く、クリニックによっては21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー以外の染色体異常も調べられます。安全性と正確性が高く、調べられる項目が多いですが、他の検査に比べると検査費用は割高です。

検査時期 9~10週以降
わかること 21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー
※クリニックによっては全染色体、性染色体、その他遺伝子疾患も調べられる
検査方法 採血

確定的検査

確定的検査とは、胎児に先天性疾患があるのかどうかを確実に調べるための検査です。胎児の細胞を直接摂取する検査方法であるため、確実に診断できる半面、流産のリスクがあります。そのため、まずは母子にリスクがない非確定的検査を行い、もし陽性判定が出た場合に確定的検査をし、本当に疾患があるかどうかを調べる流れをたどります。

確定的検査には、絨毛検査や羊水検査があります。

絨毛検査

母体のお腹に針を刺して胎児由来の細胞で作られている絨毛を採取し、遺伝子疾患や染色体異常がないかを調べる検査です。胎児の細胞を直接分析できるため、結果は確実なものですが、1%の確率で流産のリスクがあります。絨毛検査を実施している病院は少なく、確定的検査を行う場合は羊水検査が選択されます。

検査時期 11~14週
わかること 染色体の病気全般
検査方法 絨毛を採取
流産のリスク 約 1/100

羊水検査

母体のお腹に針を刺して羊水を採取する検査です。羊水中に含まれる胎児の細胞を分析し、遺伝子疾患や染色体異常がないかを調べます。胎児の細胞を直接分析できるため、結果は確実なものですが、0.3%の確率で流産のリスクがあります。非確定的検査で陽性判定が出た場合には、羊水検査が案内されます。

検査時期 15~16週
わかること 染色体の病気全般
検査方法 羊水を採取
流産のリスク 約 1/300

出生前診断でわかる疾患

出生前診断では、主に胎児の染色体の疾患を調べることができますが、ヒトが持つ23対46本ある染色体の“どの部分”に“どのような異常を持つか”によって、引き起こされる疾患の種類や重さは全く違ってきます。
※23対46本の染色体について
ヒトは1~22番の名前がついた22対の常染色体と、性別を決める1対の性染色体の計23対46本を持っています。

染色体疾患は「数の異常」「形の異常」「性染色体の異常」の3つに大きくわけることができます。それぞれの染色体異常の特徴や具体的な疾患を解説していきます。

染色体の数的異常(トリソミー、モノソミー)

通常であれば23対46本であるはずの染色体の本数が多かったり少なかったりする異常です。どの番号の染色体の本数がどれくらい多いか少ないかで、疾患の種類や重さが異なります。染色体の本数が1本多い場合はトリソミー、1本足りない場合はモノソミーと呼ばれます。

【疾患例】
・21トリソミー(ダウン症候群)
・18トリソミー
・13トリソミー
※常染色体のモノソミーは非常に稀で多くは流産してしまいます

染色体の構造異常

染色体の一部が欠失していたり重複していたりと、染色体があるべき形とは異なる状態になる異常を指します。構造異常を持つ部位や範囲によって、疾患の種類や重さが異なります。染色体の構造異常は種類が多いため、以下の表にそれぞれの特徴や疾患例をまとめています。

種類 特徴 疾患例
欠失 染色体の一部が無くなっているもの ウィリアムズ症候群
プラダ―・ウィリー症候群
アンジェルマン症候群
環状染色体 染色体の両端が切断され、切断部分がくっついてリング状になったもの 環状20 番染色体症候群
重複 染色体の一部が重複しているもの 遺伝子に不足がないため症状が見受けられるのは稀だが、子孫が染色体異常をおこす可能性がある
挿入 1本の染色体の二か所が切断され、切断された中間部分が他の染色体にくっついたもの
逆位 1本の染色体の二か所が切断され、切断された中間部分が逆転して再度くっついたもの
同腕染色体 染色体の一方の腕が消失した代わりに、もう一方の腕が複製されくっついたもの ターナー症候群
相互転座 異なる2本の染色体が切断され、断片同士が交換されたもの エマヌエル症候群
二動原体染色体 セントロメアを持った異なる2本の染色体が結合したもの 遺伝物質の一部が欠損してしまう疾患の可能性大

性染色体異常

ヒトは通常であれば、1~22番の常染色体と性染色体(計23対46本)が存在しますが、性染色体にも数や構造の異常が起こる可能性があります。性染色体はX染色体とY染色体の組み合わせからなり、通常であれば、XXの組み合わせで女性、XYであれば男性が生まれます。

XとYの染色体数の増減や、それぞれの染色体構造異常によりおこりうる疾患には次のようなものがあります。

数の異常

・通常XX、XYのところXXY、X、XYYなどの組み合わせがおこる
・1本多い:トリソミー、1本少ない:モノソミー
・比較的頻度が高く症状が軽度

クラインフェルター症候群
トリプルX症候群
XYY症候群

構造異常

・X染色体やY染色体に欠失や環状異常が起こる
・構造異常を持つ部位や範囲によって症状はさまざま

ターナー症候群

いずれの疾患も、身体面・知能面・行動面に特徴的な傾向がみられます。

出生前診断におけるカウンセリングの重要性

出生前診断を受けるのであれば、専門家による遺伝子カウンセリングが受けられる病院を選ぶようにしましょう。
遺伝子カウンセリングとは、専門家から出生前診断についての説明を受けられ、遺伝子疾患に関する悩みや疑問を相談できる機会です。

もし陽性と判断された場合には、今後どのような可能性や選択肢があるのか相談ができます。また、遺伝子疾患を持つお子さんを迎え入れるための準備、社会的・心理的サポートも遺伝子カウンセリングの目的のひとつです。
出生前診断には多くの種類があり、それぞれの検査によって、検査方法や精度、調べられる内容や費用が異なります。

染色体異常についても非常に多くの種類があり、中にはまだ解明されていない疾患が数々あります。同じ疾患でも症状の出方に個人差があり、一辺倒な対応ができない面があるのも事実です。
出生前診断を受けること自体は難しいものではありませんが、検査内容や染色体異常について最低限の理解や知識を持っておかなければ、万が一「陽性」結果を受けた時に、適切な判断が出来なくなってしまいます。
中でも、非確認的検査であるNIPTは簡易的に検査できるため、遺伝カウンセリングを行う専門家不在で検査を実施している病院も多々あります。もし、そんな病院で陽性判定が出たとしても、遺伝子カウンセリングがないため十分な説明はしてもらえません。

また、非確定的検査は偽陽性(本当は陰性なのに陽性と出てしまうこと)の可能性もある検査です。十分な説明を受けられず戸惑いのまま中絶を選択してしまい、本当は健康だった赤ちゃんの命が失われる…決してあってはならないことですが、こういったことも考えられます。

遺伝子カウンセリングを受けることができれば、陽性判定が出たとしても冷静な判断と選択ができるようサポートしてもらえますし、選択に必要な知識や情報をきちんと提供してもらえます。

出生前診断を受けるのであれば、遺伝子カウンセリングを行っている病院を選ばれることをおすすめします。

出生前診断を受けるなら、妊娠初期のNIPTがおすすめ

出生前診断の中でも、近年特に注目を浴びているのがNIPTです。NIPTは安全性・正確性が高く、数々のメリットを持つため、出生前診断の第一選択としておすすめです。

妊娠初期の早い段階で受けられる

NIPTは妊娠9~10週以降と非常に早い妊娠初期からの検査が可能です。非確定的検査の陰性的中率(21・18・13トリソミー)はどの検査も99%以上であるため、早い時期に検査を受けられれば、それだけ安心できる時間を長く過ごせるようになります。陽性判定が出た場合には、家族と相談できる時間が十分に持てると考えることもできます。

NIPT検査 コンバインド検査 母体血清マーカー 絨毛検査 羊水検査
検査時期 9~10週以降 11~13週 15~18週 11~14週 15~16週

母子ともにリスクがない

NIPTは母体からの採血のみで検査でき、流産リスクがほとんどありません。検査自体も短時間ですむものであるため、待ち時間や移動でのストレスも感じにくいでしょう。心身共にストレス無く受けられるのもNIPTならではのメリットです。

検査の精度が非常に高い

非確定的検査のなかでもNIPTの検査精度は非常に高いことで知られています。実際に発表されている検査結果を比べてみると、その違いは明らかなものです。

▼各非確定検査の精度 ※35歳の妊婦

陽性的中率 陰性的中率
NIPT 93.58%(21トリソミー)
77.92%(18トリソミー)
43.23%(13トリソミー)
99.9%
コンバインド検査 4.9%(21トリソミー・18トリソミー・開放性神経管奇形) 99.9%
母体血清マーカー検査 3.20%(21トリソミー・18トリソミー・開放性神経管奇形) 99.9%

※陽性的中率…陽性と判定されて本当に陽性である確率のこと

また、NIPTを行っている一部の病院では、21・18・13トリソミー以外の染色異常や他の遺伝疾患を調べられるところもあります。精度の高さと対応疾患の広さもNIPTが持つ強みと言えるでしょう。

ミネルバクリニックで安心・安全なNIPTを

当院ミネルバクリニックでは、NIPTの中でも最新のスーパーNIPTを提供しています。スーパーNIPTでは、21・18トリソミーの陽性的中率は100%、検査項目は全染色体に対応しており、さまざまな遺伝疾患を調べることができます。

また、その他にもミネルバクリニックでは、妊婦さんが安心してNIPTを受けていただけるよう、さまざまな取り組みを行っております。

臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングが受けられる

臨床専門遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受けることができます。遺伝カウンセラーは医師でなくても資格を有することができますが、臨床専門遺伝医とは、医師であることが前提とした資格です。

医学的根拠を用いてより専門的かつ高度な情報提供や心理的サポートができ、あらゆる診療科に精通した幅広い知見で患者さんに責任を持って説明できる技術を持つ点が、遺伝カウンセラーと臨床専門遺伝医との違いです。

羊水検査費用を全額負担

もし陽性判定がでた場合には、ミネルバクリニックが信頼できる病院を紹介し、羊水検査費用を全額負担する制度をご用意しています。(入会金8,000円のカトレア会への入会が必要です)

NIPT実施病院の中には、陽性の場合は自分で病院の予約をとって検査も実費で、といったところも少なくありません。ミネルバクリニックでは、羊水検査までのサポートをさせていただくことはもちろん、確定的検査前後の遺伝カウンセリングも行っております。

24時間相談窓口をご用意

陽性判定を受けてしまうと、羊水検査を受ける前から結果が出るまで、ずっと不安とともに過ごさなければいけません。そんな方へ向け、ミネルバクリニックでは、24時間つながる電話窓口を解説しています。ご相談は臨床専門医である院長が伺います。不安な時はいつでもご相談ください。

まとめ

出生前診断とは、胎児の発育や染色体異常の有無を調べるための検査です。非確定的検査と確定的検査の2つに分けられます。
非確定的検査は染色体異常の可能性を調べるための検査であるため、もし異常の可能性が指摘された際には、確定的検査を受けて診断を確定させる必要があります。

確定的検査には流産のリスクがともなうため、まずは流産リスクのない非確定的検査を受け、陽性判定が出れば、確定的検査を受けるかどうかを選択するのが一般的です。

非確定的検査の中でも特におすすめなのが、妊娠初期から受験可能で精度が高いNIPTです。採血のみで検査が行え、圧倒的な精度の高さと対応疾患の広さを持つことから、出生前診断の第一選択として選ばれる方も増えています。

ミネルバクリニックでは、業界随一の対象疾患の広さと精度の高さを持つスーパーNIPTを導入しています。現段階での陰性的中率は100%、陽性的中率も21トリソミー・18トリソミーともに100%です。
臨床専門遺伝による遺伝カウンセリングも行っており、医学的根拠に基づいた専門的な遺伝知識を分かりやすく患者さんにご説明させていただきます。また、24時間つながる電話相談窓口の開設や陽性時の対応等、心身サポートにも注力しております。

今まで数々のご家族のご出産をサポートして参りました。出産は不安なことが本当にたくさんあります。ミネルバクリニックでは、検査をして終わりではなく、最初から最後まで患者さんと一緒に、という思いで運営しております。
1人1人の最善を一緒に探しましょう。出生前診断についてのご興味がありましたら、まずは当院へご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事