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トリソミーとは?NIPTでわかる21・18・13の違い・生存率・検査の限界を専門医が解説|東京・ミネルバクリニック

トリソミーとは?13・18・21以外の染色体や寿命・生存率を専門医が解説|東京・ミネルバクリニック

トリソミーとは?13・18・21番以外の染色体や
寿命・生存率の疑問を専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

検索すればするほど、断片的な数字や情報に不安を感じてしまうかもしれません。まずは正しい知識を整理し、「数字の向こう側にある現実」を臨床遺伝専門医と一緒に確認していきましょう。

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
🧬 染色体・NIPT・予後
臨床遺伝専門医監修

Q. NIPTでわかる13・18・21番以外のトリソミーはどうなるのですか?寿命の目安は?

A. 13・18・21番以外の常染色体トリソミーは、多くの場合、妊娠初期に自然流産となります。
出生に至る可能性が比較的高いため、NIPTではこの3つが主に検査されます。18や13トリソミーの寿命については、一般的な1年生存率は10%前後とされますが、医療的ケアの進歩により10代・20代まで成長されるケース(最高齢の報告)も存在します。

  • 基本 → トリソミーとは何かをわかりやすく定義
  • 他の染色体 → 16番や22番などのトリソミーがどうなるかの解説
  • 寿命と最高齢 → 13トリソミー・18トリソミーの現実的なデータ
  • NIPTと確定診断 → リスクが分かった後に何をすべきか
  • 不安の整理 → 数字だけで絶望しないための専門医からのアドバイス

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1. 【基本】トリソミーとは何か?

トリソミーとは、通常2本で1セットの染色体が、細胞分裂のエラーにより3本になってしまった状態のことです。

人間の細胞には通常、46本の染色体(22対の常染色体と、1対の性染色体)が存在します。精子と卵子が作られる過程(減数分裂)で、染色体がうまく分かれないまま受精すると、特定の染色体が1本多く「3本」になることがあります。これを「トリソミー(Trisomy)」と呼びます。

誰のせいでもなく、誰の妊娠プロセスにおいても偶然に起こり得る現象です。

2. 13・18・21番「以外」のトリソミーはどうなるのか?

NIPT(新型出生前診断)などの検査では、主に「21番(ダウン症候群)」「18番(エドワーズ症候群)」「13番(パトウ症候群)」の3つが対象となります。これに対し「他の染色体が3本になったらどうなるの?」と疑問を持たれる方も多いでしょう。

【結論】16番や22番など、13・18・21番以外の常染色体のトリソミーは、多くの場合、生命を維持することが難しく、妊娠初期に自然流産となります。

流産の原因を調べると、もっとも多い染色体異常は「16トリソミー」です。しかし、16トリソミーの赤ちゃんが出生に至ることは、モザイク型(正常細胞が混ざっている状態)などの極めて稀な例外を除き、基本的にはありません。

つまり、「お腹の中で成長を続け、出生に至る可能性が比較的高い」のが、21番、18番、13番の染色体なのです。だからこそ、出生前診断においてはこの3つをあらかじめ確認し、産後の医療体制を整えるための重要な対象となっています。

3. 18トリソミー・13トリソミーの寿命・最高齢について

21トリソミー(ダウン症候群)の方の平均寿命は近年60歳前後まで延びていますが、18トリソミーや13トリソミーについては、症状が重篤なケースが多く、ネットで検索すると厳しい数字が並んでいます。

【一般的なデータ】18トリソミーおよび13トリソミーの赤ちゃんが1歳を迎える割合(1年生存率)は、おおむね10%前後と報告されています。

しかし、これはあくまで「全体をならした平均や割合」にすぎません。ここで重要なのは、医療介入(心臓の手術や呼吸サポートなど)をどこまで積極的におこなうかによって、生存率は全く変わってくるということです。

最高齢の目安は?10代、20代という事実

「1年生きられない」という言葉だけが独り歩きしがちですが、現実には、ご家族の愛情と積極的な医療的ケアのもとで成長され、10代、20代、あるいはそれ以上(30代以上の報告例も存在)と年齢を重ねている方もいらっしゃいます。

もちろん、重い心疾患や呼吸障害、発達の遅れを伴うため、生活には手厚いサポートが不可欠です。しかし、「診断名=寿命が数ヶ月」と最初から決めつけることは、個々の生命の可能性を狭めてしまうことになります。

4. 生存率(予後)の「数字」とどう向き合うか

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【数字だけで結論を急がないでください】

生存率や寿命の数字を見て、絶望感に襲われるご家族はたくさんいらっしゃいます。でも、トリソミーと診断されたからといって、すべての赤ちゃんが同じ経過をたどるわけではありません。

症状の出方には幅があり、モザイク型などの存在によって個人差も大きいです。出生前の段階では、完全に予後を確定することはできません。不確実性を正直に受け止め、生まれてくる命に対して「今何ができるか」を一緒に探していくのが、私たちの役割です。

インターネット上の断片的な情報だけで「諦める」「希望を持つ」を両極端に判断せず、超音波検査による合併症の状況などを主治医と確認しながら、一つひとつ方針を決めていくことが大切です。

5. NIPTの精度と「限界」を知る

NIPTは母体血中のDNA断片を解析し、赤ちゃんのトリソミーリスクを評価する優れた検査です。感度・特異度ともに非常に高く、特に21トリソミーに対する精度は優れています。

しかし、NIPTはあくまで「非確定検査(スクリーニング)」です。

注意:「陽性=100%確定」ではありません。年齢や検査環境によって「偽陽性(本当は正常なのに陽性と出てしまう)」が生じる可能性があります。また、まれに「偽陰性(見逃し)」が起こることもゼロではありません。

6. 確定診断(羊水検査・絨毛検査)の必要性

NIPTで陽性判定が出た場合、本当に染色体異常があるのかを確認するためには、出生前であれば羊水検査または絨毛検査といった「確定診断」を必ず受ける必要があります。

「もう結果が出たから」と早急に決断するのではなく、確定検査を経てから事実と向き合うことが、医療としての正しいステップです。

7. よくある誤解:不安を解きほぐすために

誤解①:私の生活習慣のせい?

染色体の数の変化は、細胞分裂の際の偶然のエラーです。お母さんの食事、仕事、ストレスなどのせいではありません。自分を責めないでください。

誤解②:13・18トリソミーはすぐ亡くなる

重篤な合併症を伴うことは事実ですが、医療介入やご家族のケアにより、10代以上まで生存されるケースもあります。一律に寿命が決まっているわけではありません。

誤解③:NIPTは絶対である

非確定検査です。陽性の場合は必ず羊水検査などの確定診断が必要です。「陽性=確定」と思い込んで結論を急いではいけません。

8. 専門医メッセージ:正しい情報を、心のお守りに

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【“知ってから決める”ために】

検査を受ける前に、インターネットの言葉に傷つき、不安で押しつぶされそうになるお母さんたちを数多く見てきました。

大切なのは、一人で断片的な情報と向き合わないことです。検査の意味、結果が出たときの選択肢、そして医療として支えられる事実をしっかり理解すること。それが、あなたとご家族の「心のお守り」になります。迷ったら、いつでも遺伝カウンセリングにいらしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 13, 18, 21番以外のトリソミーはどうなりますか?

16番や22番など、それ以外の常染色体トリソミーは、多くの場合、生命を維持することが難しく、妊娠初期に自然流産となります。そのため、出生まで成長する可能性が高い13・18・21番がNIPTの主な対象となります。

Q2. 18トリソミーや13トリソミーの寿命・生存率はどれくらいですか?

一般的な1年生存率の目安は10%前後と報告されています。しかし、医療介入(心臓手術や呼吸管理など)の程度によって予後は大きく異なります。ご家族のケアと医療の進歩により、10代や20代まで成長されている方も実際にいらっしゃいます。

Q3. NIPTで陽性と出たら、必ず障害があるということですか?

いいえ、NIPTは非確定検査(スクリーニング)です。検査の性質上「偽陽性(異常がないのに陽性と判定される)」が存在するため、診断を確定するには羊水検査などの確定検査が必要です。

Q4. トミソリー(トリソミー)とはどういう意味ですか?

トリソミー(Trisomy)とは、通常2本で1セットの染色体が、細胞分裂のエラーによって1本多く「3本」になってしまった状態のことです。誰のせいでもなく、偶然起こり得る現象です。

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参考文献

  • [1] ACOG Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. [ACOG]
  • [2] Cereda A, Carey JC. The trisomy 18 syndrome. Orphanet J Rare Dis. 2012;7:81. [PubMed]
  • [3] Springett A, et al. Survival, morbidity, and mortality for trisomy 13 and trisomy 18. Am J Med Genet A. 2015;167A(12):2960-2965. [PubMed]
  • [4] 日本産科婦人科学会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」 [PDF]


プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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