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2人目もダウン症になる確率は?再発リスクと遺伝の関係【臨床遺伝専門医監修】

2人目もダウン症になる確率は?再発リスクと遺伝の関係【臨床遺伝専門医監修】

この記事でわかること
📖 読了:約12分
臨床遺伝専門医監修


  • 「標準型」と「転座型」の違い
    95%は偶発的な標準型ですが、遺伝の可能性がある「転座型」について専門的に解説します。

  • 2人目の再発確率(医学的根拠)
    「再発率は約1%」という通説の真実と、年齢・核型による正確なリスク評価。

  • 父親由来の「症候性自閉症」リスク
    父の年齢と共にリスクが上がる遺伝子変異と、それを検知する最新検査について。

  • 次世代NIPT(COATE法)とリスクヘッジ
    微細欠失の的中率が99.9%超に進化した最新技術と、ミネルバ独自の保証制度。

1. ダウン症(21トリソミー)の再発リスクとは?

上のお子さんがダウン症候群(21トリソミー)である場合、「2人目も同じようにダウン症になる確率は高いのか?(再発するのか?)」という不安を抱かれるのは、親として当然のことです。

結論から申し上げますと、ほとんどのダウン症(標準型)は「偶発的(たまたま)」に起こるため、遺伝性はなく、再発率は高くありません。

しかし、医学統計上は「一般の確率よりもわずかに高くなる(約1%)」とされています。また、ごく一部のタイプ(転座型)では遺伝が関与するケースがあります。

① 標準型(90〜95%)

ダウン症の大部分を占めます。精子や卵子ができる過程での「染色体不分離(コピーミス)」が原因で、両親の染色体は正常です。基本的には「たまたま」起こる現象であり、遺伝することはありません。

② 転座型(約3〜4%)

染色体の一部が別の染色体にくっついているタイプです。このうち約半数は親からの遺伝が関与しており(親が保因者)、その場合は再発リスクが明確に高くなります。

③ モザイク型(約1〜2%)

正常な細胞とトリソミーの細胞が混在しているタイプです。受精後の細胞分裂の過程で起こるため、遺伝性はなく、再発リスクは標準型と同様に低いと考えられます。

💡 用語解説:トリソミー
通常は2本ペアである染色体が、1本多くなり「3本」になる状態のこと。21番染色体が3本ある状態を「21トリソミー(ダウン症候群)」と呼びます。

2. データで見る再発率(標準型と年齢の関係)

「標準型」の場合、再発率は一般的に約1%(または母親の年齢固有のリスク+0.7%程度)と言われています。これは、染色体不分離を起こしやすい体質的な要因(遺伝子レベルでの素因)がわずかに関与している可能性が示唆されていますが、基本的には「母親の年齢によるリスク」がベースになります。

📊 臨床遺伝専門医の視点:再発率の読み解き方
  • 30歳未満で出産した場合:
    本来の年齢リスク(1/1000以下)よりも、再発リスク(約1%)の方が高くなります。つまり、若くしてダウン症のお子さんを産んだ方は、統計的には「体質的な要因(不分離を起こしやすい傾向)」を持っている可能性が少しあると考えられます。
  • 35歳以上(高齢出産)の場合:
    年齢そのものによる卵子の老化リスク(35歳で約1/350、40歳で約1/100)が上昇してくるため、「再発リスク(1%)」と「年齢リスク」の差が縮まり、40代では年齢リスクの方が支配的になります。
  • 結論:
    どちらにせよ、一度ダウン症のお子さんを妊娠・出産された方は、次のお子さんでもNIPT(新型出生前診断)などを検討されるケースが非常に多いのが実情です。

3. 注意が必要な「転座型」と親の検査

再発リスクを考える上で最も重要なのが、上のお子さんが「転座型(Translocation)」だった場合です。転座型ダウン症児の約半数は、両親のどちらかが「均衡型転座保因者(きんこうがたてんざほいんしゃ)」である可能性があります。

親が保因者である場合、親自身は健康ですが、卵子や精子が作られる際に染色体のバランスが崩れやすく、お子さんにダウン症(不均衡型転座)として現れる確率が高くなります。これを医学的には「ロバートソン転座」と呼びます。

💡 わかりやすく解説:ロバートソン転座とは?

本来は別々にあるはずの2本の染色体(例:14番と21番)が、根元でくっついて「大きな1本」になってしまった状態です。
ご本人は遺伝子の量に過不足がないため健康ですが、お子さんへ染色体を半分受け渡す際に「くっついたセット」で渡してしまったり、逆に「渡しそびれたり」するエラーが起きやすくなります。

ロバートソン転座

🚨 ロバートソン転座の再発リスク(目安)

親が保因者の場合、ダウン症(21トリソミー)のお子さんが生まれる理論上の確率は33%(1/3)ですが、実際の出生率は以下のように低くなり、性別で大きな差があります。

  • 母親が保因者の場合: 約10〜15%

    卵子は毎月1個しか排卵されません。染色体バランスが悪い卵子であっても、そのまま排卵・受精して育つ(妊娠が成立する)確率が、精子に比べて相対的に高いためです。

  • 父親が保因者の場合: 数%(1〜3%程度)

    精子は数億匹の中から「泳ぎが速く正常なもの」が競争を勝ち抜いて受精します。染色体異常を持つ精子は機能が劣ることが多く、受精競争に負けて淘汰されやすいため、結果として出生率は低くなると考えられています。

  • 21q21q転座の場合: 両親どちらかがこのタイプの保因者であれば、100%ダウン症となります(非常に稀です)。
❓ なぜ100%なのか?(21q21q転座)

21q21q転座の保因者は、2本の21番染色体が結合して「離れられない状態」になっています。そのため、作られる卵子(または精子)は以下の2パターンしか生成されません。

① 21番が「2本分」入る
➡ パートナーからの1本と合わせて計3本になり、ダウン症として生まれます。

② 21番が「全く入らない」
➡ 染色体不足(モノソミー)となり、受精しても育たず必ず流産します。

結果として、流産せずに無事に生まれてくることができる赤ちゃんは、100%ダウン症のお子さんとなります。

※上のお子さんが転座型であった場合、次の妊娠を考える前に、ご両親の染色体検査(血液検査)を行うことが推奨されます。

4. パパ由来のリスク?「症候性自閉症」と遺伝子変異

「2人目の心配」として、ダウン症と並んで多くの方が気にされるのが「自閉症」です。
ダウン症などの染色体異常は主に「卵子の老化(母体の年齢)」に依存しますが、実は自閉症の一部は「精子の老化(父親の年齢)」に関連していることが近年の研究で明らかになっています。

👨 精子の老化と新生突然変異

男性の精子は生涯作られ続けますが、細胞分裂を繰り返すたびにコピーミス(点突然変異)のリスクが蓄積します。これを「新生突然変異(De Novo Mutation)」と呼びます。

  • リスク上昇: 父親が40歳以上になると、20代と比較して自閉症スペクトラムのリスクが約1.4〜1.6倍になると報告されています。

⚠️ 症候性自閉症(重い自閉症)

自閉症には、身体的特徴を伴わないタイプと、重度の知的障害や身体的特徴を伴う「症候性」のタイプがあります。後者は特定の遺伝子変異や微細欠失が原因であることが多く、これらはNIPTで検査可能です。

  • ミネルバの強み: 当院の「ダイヤモンドプラン」は、この父方由来のリスク(56遺伝子)もカバーしています。
💡 用語解説:新生突然変異(De Novo Mutation)
親は持っていない遺伝子の変化が、精子や卵子ができる時に新しく発生すること。これが原因で、親に障害がなくても子供に遺伝子疾患が現れることがあります。
父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ

(図:父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)

5. 再発を防ぐための最善策:ミネルバクリニックの次世代NIPT

「次の子は大丈夫だろうか」という不安を抱えたまま妊娠期間を過ごすことは、お母様にとっても赤ちゃんにとっても良いことではありません。ミネルバクリニックでは、最新技術を用いた高精度なNIPT(新型出生前診断)を提供し、確かな安心をお届けしています。

💎 ダイヤモンドプラン(COATE法)の特徴とメリット

ミネルバクリニックが採用している「ダイヤモンドプラン」は、米国の4大遺伝子検査会社の一角が提供する「COATE法」という次世代技術を用いています。これにより、従来のNIPTでは到達できなかった精度と網羅性を実現しました。

  • 微細欠失の的中率が>99.9%へ向上
    従来の検査法では、染色体の微細な欠け(微細欠失症候群)の陽性的中率は70%台程度でした。しかし、COATE法により的中率は99.9%以上へと飛躍的に向上。偽陽性の不安を大幅に低減しました。12か所13疾患の微細欠失をスクリーニング可能です。
  • 父親由来のリスク(56遺伝子)もカバー:
    前述の「父親の加齢」に伴ってリスクが増加するFGFR3遺伝子など、56の遺伝子変異を測定。これには、重い障害を伴う「症候性自閉症」の原因遺伝子も多数含まれています。
  • 広範囲なトリソミー検査:
    基本の13,18,21トリソミーに加え、流産リスクに関連する15, 16, 22番染色体のトリソミーも測定可能です。

ミネルバクリニック独自の「トリプルリスクヘッジ」

一度ダウン症のお子さんを授かったご経験がある方にとって、検査結果を待つ時間は計り知れない不安があると思います。もし陽性だったら?確定検査はどうする?
ミネルバクリニックでは、そんな不安に寄り添うため、充実したバックアップ体制「トリプルリスクヘッジ」を構築しています。

1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)

検査時に「互助会」へご入会(会費8,000円・非課税)いただくことで、万が一陽性判定が出た場合の確定検査(羊水検査)費用を、上限15万円(税込16万5千円)まで当院が全額負担します。経済的な心配をせずに、必要な次のステップへ進める仕組みです。

2. 時間的リスクヘッジ(院内完結)

2025年6月より産婦人科を併設予定です。これにより、非認証施設でありながら陽性時の確定検査(羊水検査・絨毛検査)を自院で実施可能になります。たらい回しを防ぎ、いつものクリニックで完結できる安心感を提供します。

3. 心理的リスクヘッジ(専門医サポート)

臨床遺伝専門医である院長自らが遺伝カウンセリングを行います。単なる検査屋ではなく、あなたの家族の遺伝的背景を理解した上で、医学的かつ心理的なサポートを継続します。

💡 さらに安心!流産時の返金保証システム

NIPTは採血検査ですが、稀に胎児由来のDNA量(胎児分画)が足りず、判定が出ないことがあります。その場合は再検査となりますが、もし再検査の前に流産してしまった場合、通常は検査費用は戻ってきません。
ミネルバクリニックでは、2025年1月より「安心結果保証制度(6,000円)」を導入。万が一、判定不能で再検査ができずに流産となってしまった場合、診断書をご提出いただければ検査代金を全額返金いたします。流産リスクの高い時期だからこそ、患者様に損をさせないための独自の配慮です。

6. まとめ:2人目の不安を解消するために

上のお子さんがダウン症である場合、次のお子さんへの不安を持つことはごく自然な感情であり、決して悪いことではありません。再発率は基本的には高くありませんが、ゼロではないのも事実です。

「また同じことが起きたらどうしよう」と悩み続けるよりも、臨床遺伝専門医によるカウンセリングと、精度の高いNIPTを受けることで、現状のリスクを正しく把握し、前向きにマタニティライフを送る準備をしませんか?
ミネルバクリニックは、24時間体制のサポートと、世界基準の検査技術で、より大きな安心をお届けすることを目指しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 1人目がダウン症(標準型)でした。2人目の確率は?

一般的に、標準型(21トリソミー)の再発率は約1%と言われています。ただし、お母様の年齢が高い場合(35歳以上など)は、年齢そのものによるリスクの方が高くなる傾向にあります。いずれにせよ、一般の確率よりはわずかにリスクが上がると考えるのが医学的に妥当です。

Q2. 親の染色体検査は必要ですか?

上のお子さんが「転座型」と診断されている場合は、強く推奨されます。ご両親のどちらかが「均衡型転座保因者」である場合、再発率が数%〜15%程度まで跳ね上がる可能性があるためです。標準型の場合は、親の検査は必須ではありません。

Q3. ダウン症以外の障害も心配です。

ミネルバクリニックのダイヤモンドプランでは、全染色体のトリソミーに加え、微細欠失症候群や、父親の加齢に関連する遺伝子変異(症候性自閉症の原因含む)まで幅広くスクリーニング可能です。より広い安心をお求めの方に選ばれています。

Q4. 陽性だった場合、確定検査はどこで受けられますか?

2025年6月より、ミネルバクリニック院内で羊水検査・絨毛検査が可能になります。また、互助会にご加入いただければ、検査費用(上限16.5万円)を当院が負担いたしますので、経済的な負担も軽減されます。

Q5. オンラインでもNIPTは受けられますか?

はい、可能です。ミネルバクリニックはオンラインNIPTに対応しており、全国どこからでも専門医のカウンセリングを受け、最寄りの採血キット連携医療機関で検査を受けていただけます。上のお子さんがいて通院が難しい方にも好評です。

Q6. 妊娠何週から検査できますか?

通常は妊娠9週0日〜10週0日以降ですが、当院では臨床研究として妊娠6週〜8週の早期NIPTも実施しています。早期に結果を知りたい方はご相談ください。また、2022年11月より導入した4Dエコーで、当日の赤ちゃんの様子を確認してから検査を行うことも可能です。

🏥 臨床遺伝専門医へのご相談

2人目の妊娠、再発リスクに関するご不安は、専門医が常駐するミネルバクリニックへお気軽にご相談ください。
最新の遺伝医学と、温かい心であなたをお迎えします。

参考文献

  • [1] Hook EB. Chromosome abnormalities: prevalence, risks and recurrence. In: Brock DJH, et al, editors. Prenatal Diagnosis and Screening. 1992.
  • [2] Gardner RJM, Sutherland GR. Chromosome Abnormalities and Genetic Counseling. Oxford University Press. 2004.
  • [3] Kong A, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012. [PubMed]
  • [4] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020. [PubMed]


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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