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NIPT(新型出生前診断)への注目が集まっている一方で、実際にNIPTがどんな検査で、受けられる施設、メリット・デメリットは何かと疑問を感じている人もいるでしょう。
そこで、この記事では、NIPTの検査内容や受けられる施設の特徴、NIPTのメリット・デメリット、さらにNIPTを受検する前の注意点について解説します。
NIPTを受検するか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
NIPTの読み方
NIPTは、「non-invasive prenatal genetic testing」の頭文字をとったもので、エヌ・アイ・ピー・ティーと読みます。
日本語では、「出生前診断」と表記されます。出生は、「しゅっしょう」と「しゅっせい」の2つの読み方がありますが、医療用語でいうと「しゅっせいまえしんだん」と読むのが一般的です。
NIPTとは?
妊娠9〜10週から母体血の採血で検査が可能で、13/18/21トリソミーの可能性(陽性、陰性、判定保留)を調べるスクリーニング検査です。赤ちゃんに侵襲がなく、検査精度は感度99%・特異度99%を誇ります。
NIPTは、非確定的検査に分類され、赤ちゃんの病気を確定することはできません。しかし、安全かつ高精度の検査として妊婦さんの需要も高まってきています。
NIPTの検査でわかること
NIPTが行えるのは、認証施設と非認証施設の2種類に分かれます。それぞれの施設で特徴は異なり、検査できる内容も異なります。
そこでこの章では、認証施設と非認証施設の違いについて解説します。
認証施設では基本検査のみ
認証施設とは、出生前検査認証制度等運営委員会が2022年2月に公表した「NIPT 等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」に記載されている条件を満たした施設のことをいいます。
認証施設では、検査精度が十分に検証されている13/18/21トリソミーの3つの染色体異常(基本検査)以外は検査できません。
出生前診断において、妊娠中から赤ちゃんの病気がわかってしまうとてもデリケートな検査です。検査を受けるべきなのか、万が一病気がわかった時にどのように受け入れていくか悩む人も多いでしょう。
認証施設では、出生前診断を受けるには遺伝カウンセリングを必須としサポートしているため安心です。NIPTの受検前、採血、NIPTの結果通知の計3回行われ夫婦揃って受ける必要があります。
認証施設によっては、該当施設での分娩予定がなければ受けられなかったり、かかりつけ医の紹介状が必要な場合もあるため注意してください。
非認証施設では基本検査+性別や病気
一方非認証施設は、出生前検査認証制度等運営委員会に承認されていない施設です。承認されていないとはいえ、検査の精度にはまったく問題なく、違法の施設ということではありません。
非認証施設の特徴としては、13/18/21トリソミーの3つ(基本検査)以外にもさまざまな検査を追加で受けることも可能です。
しかし、非認証施設の中には、臨床遺伝専門医が在籍しておらず、遺伝カウンセリングを受けられない場合もあるため、検査施設を探す際は、遺伝カウンセリングが受けられるかどうかも調べた上で選んでいくことをおすすめします。
NIPTのメリット
赤ちゃんがお腹の中にいる時から、赤ちゃんの病気を調べられるNIPTですが、他にも主に3つのメリットがあります。
- 精度が高い
- 早期受検が可能である
- 流産のリスクがなく安全
それぞれくわしく解説します。
NIPTを受けるメリット
NIPTには、妊婦さんの採血だけで妊娠中から赤ちゃんに病気があるかどうかを調べられるという最大のメリットがあります。
そこでこれらについて、くわしく解説します。
精度が高い
厚生労働省によると、NIPTの感度は99%と言われています。また、他の非確定的検査と比較しても検査精度は高いです。以下にNIPTを含む出生前診断の検査精度の比較表を示します。
非確定的検査 | 確定的検査 | ||||
コンバインド検査 | 母体血清マーカー検査 | NIPT | 絨毛検査 | 羊水検査 | |
感度 | 80% | 80% | 99% | 99.9% | 99.9% |
引用:厚生労働省/NIPT非侵襲性出生前遺伝学的検査より
これらからNIPTは、非確定的検査の中では最も検査精度が高いことがわかります。
早期受検が可能である
NIPTは、他の非確定的検査と比べても、より早い時期に検査が可能です。それぞれ検査可能な時期は、以下の表のとおりです。を以下に示します。
非確定的検査 | 確定的検査 | ||||
コンバインド検査 | 母体血清マーカー検査 | NIPT | 絨毛検査 | 羊水検査 | |
実施 時期 |
妊娠11−13週 | 妊娠15-18週 | 妊娠9−10週以降 | 妊娠11−14週 | 妊娠15−16週以降 |
引用:厚生労働省/NIPT非侵襲性出生前遺伝学的検査より
NIPTは、妊娠9〜10週から受検できるため、早い段階で胎児の状態を知ることができます。結果が陰性の場合は、その後の妊娠生活をより安心して過ごすことができるでしょう。
妊娠中から赤ちゃんの状態を知り、先回りして対応することができるのは、妊婦さんや赤ちゃん、家族にとってもメリットは大きいでしょう。
流産リスクがほとんどない
NIPTは、母体血の採血のみで検査ができるため、赤ちゃんの侵襲はなく流産のリスクがほとんどありません。
それに比べ、確定的検査は妊婦さんのお腹に直接針を刺して検査を行うため、感染や穿刺により羊水が流出するなどさまざまな要因で流産のリスクがあると言われています。
羊水検査は約0.2〜0.3%、絨毛検査で約1%の確率で流産・死産のリスクがあります。
NIPTは、羊水検査や絨毛検査のように子宮に直接針を刺すことはないので、安心ですね。
NIPTを受けるデメリット
NIPTには、前述したようにさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。
デメリットもきちんと理解した上で検査を受けることが大切です。
そこでこの章では、NIPTを受けるデメリットについて、くわしく解説します。
他の非確定的検査より費用が高い
NIPTのデメリットは、他の非確定的検査より費用が高いことです。
検査名 | 検査費用 |
NIPT | 10〜20万円 |
コンバインド検査 | 5,000円〜5万円 |
母体血清マーカー | 2〜3万円 |
出生前診断における検査費用は、保険適応外のため全額自己負担です。
上記のとおり、他の非確定的検査と比べると検査費用は高いため、金銭的な負担は大きくなるでしょう。
費用はかかる一方で、検査の精度は他の非確定的検査よりも高いため、それぞれの特徴をふまえて、検討してください。
受検できる期間が限定的である
NIPTは、受検できる期間は妊娠9〜10週以降と期間が限られています。したがって、妊娠がわかってすぐに検査をすることはできません。
そのほかの出生前診断の検査時期を以下に示します。
非確定的検査 | 確定的検査 | ||||
コンバインド検査 | 母体血清マーカー | NIPT | 絨毛検査 | 羊水検査 | |
実施時期 | 妊娠11−13週 | 妊娠15-18週 | 妊娠9−10週以降 | 妊娠11−14週 | 妊娠15−16週以降 |
妊娠が判明した時期が遅かった場合は、NIPTを受検することはできなくなり、NIPTより精度が低い母体血清マーカー検査を選択せざるをるおえなくなる場合もあります。
NIPTを受検する際の注意点とポイント
NIPTを受検する際は、主に3つの注意点やポイントがあります。
- 調べたいことは何なのか決める
- 遺伝カウンセリングの有無を確認
- 自宅から通えるかどうか
それぞれくわしく解説します。
調べたいことは何なのか決める
NIPTを受検する際には、赤ちゃんの病気をどこまで調べたいかによって受検する施設が変わってきます。なぜなら認証施設は、基本検査(13/18/21トリソミー)しか検査が行われていないからです。そのほかの病気を調べたい場合は非認証施設を選ばなくてはなりません。
ただし認証施設では、陽性判定が出た場合にすみやかに羊水検査などの確定検査を受けることができますが、非認証施設ではアフターフォローが整っておらず自分自身で確定的検査を受けられる施設を探さなければならない場合もあるため注意が必要です。
そのため、検査内容を決めたらその施設で検査内容以外でどのようなフォローがなされるかなどを入念に調べた上で施設を選んでいきましょう。
遺伝カウンセリングの有無を確認
遺伝カウンセリングとは、専門家から遺伝子疾患などについての情報を提供してもらい、遺伝子疾患の悩みや疑問などを相談することです。
遺伝カウンセリングの必要性は、NIPTを受けるかどうか適切に決断できたり、受検前後の不安を解消できたり、陽性時のフォローもしてもらえたりするところにあります。
NIPTを検討されているのであれば、できる限り遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。
遺伝カウンセリングは、すべての認証施設では必須となっていますが、非認証施設では一部の施設でしか受けることはできません。
遺伝カウンセリングの体制が整っているかどうかもあらかじめ調べておくことは大切です。
自宅から通えるかどうか
NIPTを受検するにあたって、自宅から通えるかどうかも重要です。
NIPTが受けられる時期(妊娠9〜10週)は妊娠初期にあたり、悪阻と重なる妊婦さんが多いのも事実です。
そのため、自宅から遠方の医院を選ぶと妊婦さんに負担がかかってしまいます。また。認証施設を選ぶ場合は最低でも3回はパートナーとの通院が必要です。
これらの理由からも自宅からできるだけ近い医院で受検できるのが理想的でしょう。
ミネルバクリニックでは豊富な検査内容をオンラインでも!
ミネルバクリニックは、非認証施設であるため、基本的検査(13/18/21トリソミー)以外にも豊富な検査ができるのが魅力です。また、臨床遺伝専門医である院長自ら遺伝カウンセリングを行っているため、検査内容などに不安がある方でも安心して受検していただけます。
そこでこの章では、ミネルバクリニックで行えるNIPTについて詳しく解説します。
ミネルバクリニックの診療メニュー
ミネルバクリニックの診療メニューには、基本プランとして「スーパーNIPTベーシック」と「カリオセブン」があります。
そのほかオプションとして「プラス」と「ジーンプラス」、「デノボ」があります。
基本プラン
スーパーNIPTベーシック
【特徴】
13/18/21トリソミーの検査を行います。
【料金】
17万6,000円(税込)
カリオセブン
【特徴】
13/18/21トリソミーに加えモノソミーXやトリソミーXなどの染色体異常をスクリーニングします。また、構造的染色体異常(欠失や重複)や9/16/22トリソミーのようなごく稀な異数体の染色体異常も検査可能です。臨床的に重要な9つの微小欠失も検出できます。
【料金】
26万4,000円(税込)
オプション
プラス
【特徴】
13/18/21トリソミーに加え、微細欠失のうち4疾患(1p36欠失症候群・4p16.3欠失症候群・Smith-Magenis症候群(17p11.2)・22q11.2症候群)が検査可能です。
【料金】
19万8,000円(税込)
ジーンプラス
【特徴】
スーパーNIPTプラスに加え、常染色体の劣性遺伝する100種類の遺伝子における2000の病的変異を調べる検査です。
【料金】
21万1,000円(税込)
デノボ
【特徴】
父方由来の44疾患が検査できます。日本で初めての父側NIPTと言われています。
【料金】
15万4,000円(税込)
ミネルバクリニックのオンラインNIPT
ミネルバクリニックでは、偽陰性・判定保留ゼロ、陽性的中率100%の高い精度を誇るNIPTをオンラインにて提供しています。
オンラインNIPTの主なメリットは3つあります。
・ご自宅でリラックスした状態でカウンセリングを受けられる
・通院による母体への負担や感染リスクを大幅に減らせる
・全国どこに住んでいても受検が可能である
検査の流れは、まず予約フォームより予約を入れていただきます。希望の日時は、第3希望までご入力ください。
その後当院から「オンラインカウンセリング」の日時確定についてご連絡いたします。
決済は事前にオンラインにてお支払いいただきます。決済確認後、問診票・検査説明書をメールにてお送りいたします。問診票はオンライン診療前日までにメールでお戻しください。
ここまでの手続きが完了したら、臨床遺伝専門医である院長のオンラインカウンセリングを受けていただきます。
検査キットはカウンセリング後にお送りいたします。紹介状もお渡しいたしますので、最寄りの採血機関にてスムーズに採血していただけますのでご安心ください。
採血が終了しましたら、検体を当院にご返送ください。当院より検査会社へ速やかに発送します。検査結果は、10〜14日で患者様のマイページにてご確認いただけます。
まとめ
NIPTは、「non-invasive prenatal genetic testing」を略したもので、「エヌ・アイ・ピーティー」と読みます。妊娠9〜10週から受けられる検査で、母体血の採血を行い、13/18/21トリソミーについての可能性(陽性、陰性、判定保留)を調べるスクリーニング検査です。
NIPTは、赤ちゃんに侵襲がなく流産のリスクがありません。妊娠9〜10週と早期の受検が可能で検査精度は他の非確定的検査よりも高いのが特徴です。
しかし、他の非確定的検査よりも費用が高額であることや受検できる期間が限定的であるのがデメリットです。
受けられる施設は、認証施設と非認証施設があり、どちらも検査精度に問題はありませんが、検査できる内容が異なり、遺伝カウンセリングが受けられる場合とそうでない場合があります。
もし、NIPTの受検を検討するならば、赤ちゃんのどこまでの病気を検査したいか、遺伝カウンセリングがきちんと受けられるのか、自宅から通いやすい場所にあるのかを事前に確認した上で実施する施設を選びましょう。
ミネルバクリニックでは、オンラインNIPTも実施しています。オンライン診療では、通院することなく自宅にいながら遺伝カウンセリングが受けられ、自宅近くの採血機関を選んで検査が可能です。また、結果もオンライン上で確認ができるため便利です。ぜひ活用してみてください。