目次
📖 読了時間:約12分
- ➤ ヘパリン皮下注射中でもNIPT検査は受けられるが、条件がある
- ➤ ヘパリンがNIPT検査結果に影響を与えるメカニズム
- ➤ 判定保留を避けるための推奨休薬期間(12~48時間)
- ➤ 不育症治療とNIPT検査を安全に両立させる方法
- ➤ ミネルバクリニックでの効率的な検査の流れ(1回来院で完結)
- ➤ 主治医との連携で気をつけるべきポイント
不育症治療でヘパリン皮下注射を行っている方でも、NIPT検査を受けることは可能です。一般的には検査の精度を保つために採血前12~48時間の休薬が推奨されていますが、休薬については必ず主治医にご相談ください。
🏥 ミネルバクリニックの方針
ミネルバクリニックでは、ヘパリンを休薬せずにお越しください。
当院では、これまでヘパリン使用中の患者さんで判定保留(NC)が一例もありません。そのため、まずは休薬せず、不育症の治療を優先してNIPT検査を行います。万が一判定保留となった場合のみ、再採血時にヘパリンの休薬をご検討いただくという方針で対応しております。不育症治療中の方の安全を最優先に考えた体制です。
ヘパリン皮下注射とは?不育症治療での役割
ヘパリン皮下注射は、抗リン脂質抗体症候群や血液凝固異常による不育症の治療に用いられる重要な薬剤です。
🔬 ヘパリン注射の基本情報
💊 不育症におけるヘパリン療法の目的
不育症の原因の一つである抗リン脂質抗体症候群では、血液が固まりやすくなることで胎盤の血流が悪化し、流産や死産のリスクが高まります。
- • 3回流産後の自然流産率:約30%
- • 4回流産後の自然流産率:約40~50%
- • 低用量アスピリン+ヘパリン併用療法:標準的治療として確立
- • 保険適用:2012年1月より血栓塞栓症予防として適用
ヘパリン療法により、胎盤での微小血栓形成を防ぎ、赤ちゃんへの栄養と酸素の供給を維持することができます。
ヘパリン注射中でもNIPT検査は受けられる?【結論:可能です】
ヘパリン注射中でもNIPT検査を受けることは可能です。ただし、以下の点に注意が必要です:
- • 判定保留(検査結果が出せない)のリスクがある
- • 採血前の休薬が推奨される
- • 休薬は必ず主治医の判断のもとで行う
- • クリニックによって対応方法が異なる
🏥 医療機関による対応の違い
当院では、これまでヘパリン使用中の患者さんで判定保留(NC)が一例もありません。
そのため、以下の方針で対応しております:
- ① まずは休薬せず、不育症治療を優先してNIPT検査を実施
- ② 万が一判定保留(NC)となった場合のみ、再採血時にヘパリン休薬をご検討いただく
- ③ 不育症治療中の方の安全を最優先に考えた体制
ヘパリンを休薬せずにそのままお越しください。母体と赤ちゃんの安全を第一に考えた検査を提供いたします。
ヘパリンの休薬は必ず主治医に相談してください。不育症治療中は血栓形成のリスクがあるため、自己判断での休薬は危険です。NIPT検査を希望する場合は、不育症の主治医とNIPT実施クリニックの両方に相談し、安全な検査スケジュールを立てることが重要です。
ヘパリンがNIPT検査結果に影響を与える理由
ヘパリンとNIPTの直接的な関係についてはまだ完全には解明されていませんが、ヘパリンがPCR法の阻害物質であることから、NIPT検査に影響を与える可能性が指摘されています。
📚 科学的根拠
判定保留とヘパリン使用の関連性:
- • ある民間検査機関の報告では、判定保留となった12人中9人(75%)が低分子ヘパリン治療を受けていたことが判明
- • 滋賀県立成人病センターの研究では、ヘパリンによるPCR反応阻害が定量的に確認され、誤判定の危険性が示唆されています
🧪 ヘパリンがNIPTに影響を与える3つのメカニズム
ヘパリンが母体血中の胎児由来DNA(cffDNA)の量を減少させ、検査に必要な最低量(4%以上)を下回る可能性があります。
ヘパリンはDNA増幅に使用するPCR法の阻害物質として知られており、遺伝子解析の精度を低下させます。
ヘパリンがDNA断片をさらに細かく分解し、検査精度に影響を与える可能性が指摘されています。
判定保留を避けるための推奨休薬期間
ヘパリン注射の影響を最小限にし、NIPT検査の精度を保つためには、適切な休薬期間を設けることが重要です。
⏰ 推奨される休薬期間
- • 自己判断での休薬は絶対に避けてください
- • 不育症治療中は血栓形成のリスクがあります
- • 休薬の可否・期間は主治医が判断します
- • NIPT検査よりも母体と胎児の安全が最優先です
- • 切迫流産や出血がある場合は、ヘパリン継続が必要な場合があります
📅 検査スケジュールの立て方
NIPT検査を希望していることを伝え、ヘパリン休薬の可否と期間について相談します。
ヘパリン使用中であることを伝え、対応可能か確認します。ミネルバクリニックでは、メールでの事前相談が可能です。
主治医とNIPTクリニックの指示に従い、安全な休薬スケジュールを立てます。
決定したスケジュール通りに休薬し、予約した日時に採血を行います。
採血終了後は、主治医の指示に従ってヘパリン注射を再開します。
判定保留になる確率とその対処法
📊 判定保留の発生率
一般的な判定保留率:0.3~0.4%
判定保留の主な原因:
- • ヘパリンなどの薬剤使用:約50%
- • 母体の肥満(BMI高値):約20%
- • 母体の悪性腫瘍:約20%
- • 原因不明:約10%
特に注目すべきは、判定保留の約半数がヘパリンなどの薬剤使用に関連しているという点です。適切な休薬により、このリスクを大幅に低減できます。
🔄 判定保留になった場合の選択肢
ミネルバクリニックでは、判定保留となった場合も臨床遺伝専門医が丁寧にカウンセリングを行い、患者さんの状況に応じた最適な選択肢をご提案します。
- • 24時間体制でのフォローアップ
- • 陽性時の確定検査費用は互助会でフルカバー(NIPT開始当初から)
- • 2025年6月より自院で確定検査(羊水・絨毛検査)が可能に
ヘパリン使用中の患者さんへの安心の実績
ミネルバクリニックでこれまで検査を実施したヘパリン使用中の患者さんにおいて、偽陽性・偽陰性・判定保留(NC)のいずれも発生していません。
適切な休薬タイミングの調整と、臨床遺伝専門医による丁寧な事前相談により、ヘパリン使用中でも高精度な検査結果を提供しています。
ミネルバクリニックでの検査の流れ(ヘパリン使用中の方)
ミネルバクリニックでは、ヘパリン注射中の方でも安心して効率的にNIPT検査を受けていただける体制を整えています。
🏥 ミネルバクリニックの特徴
ミネルバクリニックでこれまで実施したヘパリン使用中の患者さんの検査において、偽陽性・偽陰性・判定保留(NC)のいずれも発生していません。
臨床遺伝専門医による個別の休薬スケジュール調整と、適切な事前カウンセリングにより、不育症治療中の方でも安心して高精度な検査を受けていただけます。
専門医による質の高い遺伝カウンセリングを提供。非認証施設ですが、高い専門性を維持しています。
最新の次世代NIPT技術により、微細欠失症候群の陽性的中率を従来の70%台から99.9%以上に向上。
2025年6月より産婦人科を併設し、確定検査(羊水・絨毛検査)を自院で実施可能。ワンストップでの対応を実現。
2022年11月より、NIPT前に当日の胎児の状態を4Dエコーで確認。より安心して検査を受けられます。
2025年1月より、胎児分画が低く流産で再検査不可能な場合、検査代金を返金する制度を導入。
オンライン遺伝カウンセリングにより、全国どこからでも受検可能。
📝 検査の流れ(1回来院で完結)
「ヘパリン注射中ですが検査可能ですか?」とメールでお問い合わせください。クリニックから休薬タイミングや検査スケジュールについてご案内します。
📧 お問い合わせ:こちらから
来院前に検査コースの説明ビデオをご視聴いただきます。これにより、当日の時間を有効活用できます。
①4Dエコーで胎児の状態確認(希望者)
②臨床遺伝専門医による詳しいカウンセリング
③個別の状況に応じた検査コース選択
④その場で採血実施
1回の来院ですべて完了するため、つわりのつらい時期に何度も通院する負担がありません。
採血終了後は、主治医の指示に従ってヘパリン注射を再開してください。
検査結果が出次第、マイページに結果をアップロードいたします。
📱 陰性の場合:マイページで結果をご確認いただけます
☎️ 陽性の場合:速やかに患者様からご連絡をいただき、陽性時のカウンセリング予約をお取りします
🕐 24時間体制:陽性時も手厚くサポートします
ミネルバクリニックが1回来院にこだわる理由:
- • 妊娠初期のつわりがつらい時期の負担を最小限に
- • 不育症治療中の方は通院回数が多く、さらなる負担を避けたい
- • しっかりとした枠を確保することで、本当に検査を必要とされている妊婦さんが確実に受けられる体制を維持
- • 事前準備により、当日の時間を最大限有効活用
主治医との連携が重要な理由
ヘパリン注射中のNIPT検査では、不育症の主治医とNIPTクリニックの連携が不可欠です。
⚠️ ヘパリン休薬のリスク
- • 血栓形成リスクの増加:抗リン脂質抗体症候群では血液が固まりやすい
- • 胎盤機能の低下:血流が悪化する可能性
- • 流産リスク:過去に流産経験がある方は特に慎重に
- • 母体の血栓症:深部静脈血栓症や肺塞栓症のリスク
だからこそ、休薬は必ず主治医の判断のもとで行ってください。
📋 主治医に伝えるべき情報
- NIPT検査を希望していること
- NIPTクリニックから推奨された休薬期間
- 検査予定日
- 過去の流産歴や血栓症の有無
- 現在の妊娠週数と母体の状態
ヘパリン注射中でNIPT検査をご検討の方へ
ミネルバクリニックでは、不育症治療中の方でも安心してNIPT検査を受けていただけるよう、個別の状況に応じたサポートを行っています。
🌟 ヘパリン休薬は不要です
当院ではヘパリン使用中の患者さんでNC発生実績ゼロ。
不育症治療を優先し、休薬せずに検査を受けていただけます。
✓ 臨床遺伝専門医が常駐
✓ 1回の来院で完結(1.5時間)
✓ 事前メール相談可能
✓ 2025年6月より確定検査を自院で実施可能
よくある質問(FAQ)
ミネルバクリニックの強み:常に患者さん第一で進化
ミネルバクリニックは、常に患者さんのことを考え、一歩一歩できることを増やしてきました。
- • 最高精度のCOATE法:微細欠失症候群の陽性的中率99.9%以上
- • 臨床遺伝専門医常駐:専門医による質の高い遺伝カウンセリング
- • 産婦人科併設:非認証施設で唯一、確定検査を自院で実施可能
- • 4Dエコー完備:NIPT前に胎児の状態を確認
- • 24時間サポート:陽性時も手厚くフォロー
- • 全国対応:オンラインカウンセリングで遠方からも受検可能
- • 返金制度:胎児分画低値で流産した場合の経済的救済
- • 1回来院完結:妊娠初期の負担を最小限に
まとめ:不育症治療とNIPT検査の安全な両立
- • ヘパリン注射中でもNIPT検査は可能ですが、判定保留のリスクがあります
- • 採血前12~48時間の休薬が推奨されますが、必ず主治医に相談してください
- • ヘパリンはPCR法の阻害物質であり、判定保留の約75%がヘパリン使用と関連
- • 不育症の主治医とNIPTクリニックの連携が安全な検査の鍵
- • ミネルバクリニックでは1回の来院(1.5時間)で完結する効率的な体制
- • 事前メール相談で個別の状況に応じたスケジュールを提案
- • 2025年6月より確定検査を自院で実施可能になり、よりワンストップな対応が可能に
- • ミネルバクリニックの実績:ヘパリン使用中の患者さんで偽陽性・偽陰性・判定保留の発生ゼロ
不育症治療中の方にとって、NIPT検査は赤ちゃんの健康状態を知るための大切な選択肢の一つです。ヘパリン注射との両立には注意が必要ですが、適切な休薬と医師との連携により、安全に検査を受けることができます。
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が常駐し、一人ひとりの状況に応じた最適なサポートを提供しています。不安なことがあれば、まずはメールでお気軽にご相談ください。
📚 参考文献
- Shree R, et al. “Anticoagulation use is associated with lower fetal fraction and more indeterminate results.” American Journal of Obstetrics & Gynecology. 2023;229(3):263.e1-263.e12.
- Norton ME, et al. “Noninvasive prenatal testing for aneuploidy using cell-free DNA – New implications for maternal health” Prenat Diagn. 2015;35(8):725-729.
- 滋賀県立成人病センター「ヘパリンによるRT-PCR阻害の定量的評価とその対策」臨床検査学会誌.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. “Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities.” Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69.
- 日本産科婦人科学会「不育症管理に関する提言」2021年.
- 日本人類遺伝学会「出生前診断に関するガイドライン」2023年改訂版.
- 厚生労働省研究班「不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究」
- Bianchi DW, et al. “DNA sequencing versus standard prenatal aneuploidy screening” N Engl J Med. 2014;370:799-808.

