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絨毛検査の感度・特異度(精度)は?方法や時期、痛みについて専門医が解説

絨毛検査の感度・特異度(精度)は?方法や時期、痛みについて専門医が解説

絨毛検査の感度・特異度(精度)は?方法や時期、痛みについて専門医が解説

この記事でわかること(Q&A要約)
📖 読了時間:約15分
📊 約10,000文字
臨床遺伝専門医監修


  • Q. 絨毛検査の精度(感度・特異度)は?
    A. 確定的検査であるため、感度・特異度ともにほぼ100%です。NIPTで陽性となった場合の確定診断として用いられます。

  • Q. 検査時期はいつからいつまで?
    A. 一般的に妊娠11週〜14週に行われます。羊水検査(16週以降)よりも約1ヶ月早く結果が分かるのがメリットです。

  • Q. 検査の痛みや方法は?
    A. 「経腹法(お腹から)」と「経腟法(腟から)」の2種類があります。痛みは伴いますが、当院では局所麻酔を使用し痛みを軽減します。

  • Q. NIPTとの違いは?
    A. NIPTは「スクリーニング(確率)」、絨毛検査は「診断(確定)」です。当院のNIPT(ダイヤモンドプラン)は、COATE法により陽性的中率99.9%以上という画期的な精度を実現しています。

「NIPTで陽性だったらどうしよう」「結果を早く知りたいけれど、流産リスクが怖い」。出生前診断を検討される際、多くの妊婦さんが精度の高い情報を求めています。

絨毛検査(CVS)は、胎盤の一部である絨毛を採取し、赤ちゃんの染色体を調べる確定的検査です。そのため、その感度と特異度は極めて高く、ほぼ100%の診断精度を誇ります。

この記事では、日本で初めて臨床遺伝専門医が開業したミネルバクリニックの院長が、絨毛検査の「数字(精度)」の意味から、具体的な「方法(経腹法・経腟法)」、そしてNIPTとの賢い使い分けについて、最新の医学的知見に基づいて解説します。

1. 絨毛検査の感度・特異度とは?(精度の解説)

医療検査の性能を表す際、「感度」と「特異度」という言葉が使われます。絨毛検査を正しく理解するために、まずはこの意味を整理しましょう。

💡 用語解説

  • ●感度(Sensitivity):
    病気がある人を、正しく「陽性」と判定できる確率。
  • ●特異度(Specificity):
    病気がない人を、正しく「陰性」と判定できる確率。

なぜ絨毛検査の精度は「ほぼ100%」なのか

NIPT(新型出生前診断)などのスクリーニング検査は、母体血に混ざった胎児のDNA断片を「推測」する検査です。そのため、稀に「偽陽性(本当は陰性なのに陽性と出る)」が存在します。

一方、絨毛検査は「胎児由来の細胞そのもの」を採取し、顕微鏡で染色体を直接観察します。推測ではなく実物を「診断」するため、技術的な失敗がない限り、感度・特異度ともにほぼ100%となります。

🔍 NIPT(スクリーニング)

あくまで「確率」を出す検査。
陽性になっても確定診断が必要。

🎯 絨毛検査(確定診断)

「白黒」はっきりさせる検査。
結果がそのまま最終診断となる。

ただし、ごく稀に「胎盤性モザイク(赤ちゃんと胎盤で染色体が異なる状態)」が見られる場合があり、この場合に限り、追加で羊水検査が必要になることがあります。それでも、診断としての信頼性は極めて高い検査です。

2. 絨毛検査の方法(経腹法と経腟法)と痛み

絨毛検査には、アプローチの違いによって2つの方法があります。胎盤の位置や子宮の傾きによって、最適な方法を医師が選択します。

① 経腹法(お腹から)

超音波で胎盤の位置を確認しながら、お腹の上から細い穿刺針を刺し、胎盤組織(絨毛)を吸引します。羊水検査と似た手技です。

  • 痛み: 針を刺す瞬間の「チクッ」とした痛みと、吸引時の違和感程度。
  • 適応: 胎盤がお腹側や子宮底部(上の方)にある場合。

② 経腟法(腟から)

内診のような体勢で行います。カテーテルや鉗子(かんし)を腟から子宮口を通して挿入し、絨毛を採取します。

  • 痛み: 子宮の出口を操作するため、重い生理痛のような鈍痛を感じることがあります。
  • 適応: 胎盤が背中側や子宮口に近い場所にある場合。

痛みへの配慮

「痛みが怖い」という方は多いですが、基本的には局所麻酔を使用し、超音波ガイド下で慎重に行うため、耐えられないような激痛ではありません。

3. 検査を受ける時期(いつからいつまで?)

絨毛検査の最大のメリットは、羊水検査よりも早い時期に結果が分かることです。

  • 推奨時期:妊娠11週〜14週
    羊水検査(16週以降)と比較して、約1ヶ月早く確定診断が得られます。
  • 早すぎる場合(10週未満):
    四肢短縮(手足の形成不全)のリスクがわずかに上昇するという報告があるため、原則として10週以降、安全を見て11週以降の実施が推奨されます。
  • 遅すぎる場合(15週以降):
    胎盤が硬くなり採取が難しくなることや、羊水検査が可能になる時期と重なるため、15週以降であればよりリスクの低い羊水検査を選択するのが一般的です。

🔍 NIPT・絨毛検査・羊水検査の違い(比較表)

それぞれの検査の特徴、時期、リスクをまとめました。スマホの方は横にスクロールしてご覧ください。

項目 NIPT
(スクリーニング)
絨毛検査
(確定診断)
羊水検査
(確定診断)
検査の目的 確率を調べる
(ふるい分け)
確定させる
(白黒つける)
確定させる
(白黒つける)
実施時期 10週〜
(当院は6週〜)
11週〜14週 16週〜
精度 非常に高いが
非確定
ほぼ100% ほぼ100%
流産リスク なし
(採血のみ)
約1/100
(1%)
約1/300
(0.3%)
痛み 採血の痛み 針の痛み
(局所麻酔あり)
針の痛み
(局所麻酔あり)

4. 絨毛検査のリスク(流産率)と安全性

お腹や腟から器具を入れる侵襲的検査であるため、流産や破水のリスクがゼロではありません。

  • 流産率:約1/100(1%)
    ※羊水検査の流産率(約1/300)と比較するとやや高めです。これは手技の難易度が羊水検査よりも高いためです。
  • その他のリスク: 出血、破水、感染症、腹痛など。

だからこそ、いきなりリスクのある絨毛検査を受けるのではなく、まずは安全なNIPTでスクリーニング(ふるい分け)をし、陽性だった場合のみ絨毛検査へ進む」という流れが、母体と赤ちゃんにとって最も負担の少ない選択肢となります。

5. ほぼ100%に近い精度を実現する「COATE法」NIPT

NIPTの数字(陽性的中率など)は一般的にはあくまで目安ですが、実際には検査会社や採用している技術によって精度に天と地ほどの差があります。

ミネルバクリニックでは、米国の4大遺伝子検査会社の一角が提供する次世代技術「COATE法」を採用したNIPT(ダイヤモンドプラン)を提供しています。

💎 ミネルバクリニックの「ダイヤモンドプラン」の凄さ

  • 微細欠失の精度が桁違い(>99.9%):
    従来のNIPTでは、染色体の小さな欠け(微細欠失)の陽性的中率は70%台に留まっていました。しかし、COATE法の導入により、陽性的中率99.9%以上という、確定診断に肉薄する超高精度を実現しました。
  • 父親の加齢リスク(56遺伝子)もカバー:
    従来のNIPTは母親由来のリスクが中心でしたが、ダイヤモンドプランでは、父親の加齢とともに精子のコピーミス(突然変異)で増える56の遺伝子疾患も検査可能です。これには「症候性自閉症」の原因遺伝子も含まれます。
  • 広範囲のトリソミー検出:
    基本の13,18,21番に加え、流産に関わる15,16,22番のトリソミー(染色体が1本多い状態)も測定できます。

💡 用語解説

微細欠失(Microdeletion):
染色体の一部がごくわずかに欠けている状態。通常の検査では見逃されやすいですが、COATE法なら検出可能です。

父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ

(図:精子の突然変異による父方由来のリスク)

6. ミネルバクリニックの「トリプルリスクヘッジ」

どんなに検査の精度が高くても、「万が一」への備えがなければ本当の安心とは言えません。ミネルバクリニックでは、他院にはない圧倒的なサポート体制「トリプルリスクヘッジ」を構築しています。

1. 金銭的リスクヘッジ(互助会)

検査時に「互助会」へご入会(会費8,000円・非課税)いただくことで、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を、上限15万円(税込16万5千円)まで全額カバーします。

2. 時間的リスクヘッジ(自院完結)

ミネルバクリニックは非認証施設で唯一、2025年6月より産婦人科を併設し、確定検査(羊水検査・絨毛検査)を自院で行えるようになりました。たらい回しを防ぎます。

3. 心理的リスクヘッジ(専門医)

臨床遺伝専門医である院長が、検査前から検査後のフォローまで一貫して担当します。陽性時のショックな場面でも、事情を知る医師が寄り添い続けます。

さらに安心!「安心結果保証制度」(返金システム)

NIPTは、母親の血液中の胎児DNAが少ないと、再検査になることがあります。
もし再検査のタイミングで流産してしまい、検体を再提出できない場合、通常は検査費用が無駄になってしまいます。
そこでミネルバクリニックでは、流産の診断書をご提出いただければ検査代金を全額返金する「安心結果保証制度」(6,000円)を新設しました。流産が多い時期に患者さんに寄り添うことを最優先した、当院ならではの安心システムです。

7. 早期NIPTと4Dエコーによるサポート

ミネルバクリニックでは、不安な時間を少しでも短くするために、様々な取り組みを行っています。

① 妊娠6週からの早期NIPT

一般的なNIPTは10週からですが、当院では臨床研究として妊娠6週〜8週からの検査を実施しています。

万が一の結果が出た場合でも、12週未満の初期中絶という選択肢を残すことで、母体の身体的・精神的負担(中期中絶によるトラウマや産後休暇の義務など)を最小限に抑えるための配慮です。

② 検査前の4Dエコー(2022年11月導入)

NIPTを受ける当日に、院内で4Dエコーを行い、赤ちゃんの心拍や発育状態を確認してから採血を行います。「お腹の中で元気かな?」という直前の不安を解消し、安心して検査を受けていただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 絨毛検査と羊水検査、どちらが良いですか?

時期によります。早く結果を知りたい(11-14週)なら絨毛検査、15週以降なら羊水検査が一般的です。ただし、絨毛検査には稀に「胎盤性モザイク」による偽陽性リスクがあるため、診断の確実性だけを見れば羊水検査がゴールドスタンダード(最終基準)となります。

Q2. 絨毛検査は痛いですか?

採血よりは太い針を使うため痛みは伴いますが、当院では局所麻酔を使用し、痛みを最小限に抑えています。経腹法は「チクッとする程度」、経腟法は「重い生理痛のような感覚」と仰る方が多いです。

Q3. ミネルバクリニックで絨毛検査は受けられますか?

はい、可能です。2025年6月より産婦人科を併設し、NIPTで陽性となった場合の確定検査(絨毛検査・羊水検査)を自院で実施できる体制を整えました。非認証施設でこの体制があるのは当院だけです。

Q4. NIPTの精度が100%ではないのはなぜですか?

NIPTは胎盤から漏れ出たDNA断片を調べる検査だからです。母体のDNAと混ざっているため、あくまで「確率」として算出されます。しかし、当院のダイヤモンドプラン(COATE法)は、微細欠失症候群でも99.9%以上の陽性的中率を誇り、限りなく確定診断に近い精度を実現しています。

Q5. 35歳以上ですが、いきなり絨毛検査を受けるべきですか?

いいえ、おすすめしません。絨毛検査には1%程度の流産リスクがあります。まずは流産リスクのないNIPTを受け、陽性の場合のみ確定検査に進むのが、最も安全で合理的な選択です。

Q6. 父親が高齢の場合のリスクも分かりますか?

通常のNIPTでは分かりませんが、当院の「ダイヤモンドプラン」なら可能です。父親の加齢とともにリスクが上昇する新生突然変異(デノボ変異)による56の遺伝子疾患を検査できます。

まとめ:精度の高い検査と、専門医の安心をあなたに

絨毛検査は、感度・特異度がほぼ100%の確実な検査ですが、わずかながら流産のリスクを伴います。大切な赤ちゃんを守るためには、まずは高精度なNIPTでリスクを判定し、必要な場合のみ確定検査に進むステップが理想的です。

ミネルバクリニックは、日本で唯一の「臨床遺伝専門医によるNIPT専門クリニック」として、最新のCOATE法による高精度な検査と、万が一の時のための「トリプルリスクヘッジ(費用・時間・心のケア)」をご用意しています。常に患者さんのことを考え、一歩一歩できることを増やしてきました。

検査の精度や方法について不安がある方は、ぜひ一度、当院の遺伝カウンセリングをご利用ください。専門医があなたと赤ちゃんのために、最適な選択をサポートいたします。

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ミネルバクリニックは、あなたの不安に寄り添い、
確かな医療技術と温かい心でサポートします。

参考文献

  • [1] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. 2020.
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  • [2] International Society for Prenatal Diagnosis (ISPD). Position Statement on Cell Free DNA Screening. 2020.
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  • [3] Alfirevic Z, et al. Chorionic villus sampling for fetal genetic diagnosis. Cochrane Database Syst Rev. 2003.
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  • [4] Wapner RJ, et al. Chromosomal Microarray versus Karyotyping for Prenatal Diagnosis. N Engl J Med. 2012.
    [NEJM]



プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

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