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妊娠成立のサインとして出血が発生することはご存じでしょうか?受精卵が着床する際に起こる出血を着床出血といい、着床が完了した際に生理と似たような出血が発生します。とはいえ、妊娠した人全員に起こるわけではないため注意が必要です。
では、この着床出血はどのタイミング・期間で発生するのでしょうか?そこで本記事では、着床出血の期間や生理との違い、不正出血の特徴について解説します。生理以外の出血が起こっていると心配している方はぜひ最後までご覧ください。
着床出血の期間とタイミング
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに発生する出血のことを指します。受精卵は沈み込むように着床するため、子宮内膜を傷つけてしまう可能性があるのです。とはいえ、妊娠した人全員に起こる症状ではなく、4人に1人ほどの割合で発生します。
この着床出血に対して病気や流産を心配される方がいるかもしれません。しかし、着床出血は妊娠完了を知らせる生理現象であるため、基本的には心配いりません。もし痛みが伴う出血が長引くようであれば病院やクリニックを受診しましょう。
着床出血が発生する期間・タイミング
では、この着床出血はいつ起こるのでしょうか?着床時の出血は、通常、受胎後10~14日目に発生する少量の薄いシミや出血と定義されます。着床時の出血は、受精卵が子宮内膜に付着したときに起こると考えられています。着床出血は生理開始予定日の前後に発生する可能性があります。性行為からカウントすると約2週間後であり、妊娠4週目となります。このように、生理と同じタイミングであるため区別がつきにくいという特徴があります。
着床出血の期間は生理よりも少しだけ短く、1〜2日程度だとされています。出血が長引く方であれば3〜4日ほど継続します。一方、生理で起こる出血は3〜7日間であり、平均して5日程度です。このことから、着床出血は生理よりも早く治まる傾向があるため、出血の期間で区別できるといえます。なお、着床出血が発生する流れは下記のとおりです。
- 生理になる
- 生理から14日前後で排卵が起こる
- 排卵日前後の性行為により精子と卵子が融合して受精卵となる
- 受精後1週間ほどで受精卵が子宮に移動する
- 受精卵が子宮内膜に1週間ほどかけて着床する
- 子宮内膜が傷つき着床出血が発生する可能性がある
着床出血と生理の違い
ここまで、着床出血の基礎概要と期間についてお話しました。そのほかにも着床出血と生理の違いはいくつかあります。1つずつ詳しくみていきましょう。
出血の色
着床出血で発生する出血の色は生理と多少異なります。例えば、おりものに血液が混ざったピンク色、赤色や鮮血色、出血から時間が経過した茶色などがあげられます。一方、生理による出血は最初は薄くてもだんだん濃くなって明るい赤から暗赤色であることが多いため、着床出血の色とは少し異なります。
出血の量
着床出血は生理と比べて出血の量が少ない傾向にあります。
ただし、この着床出血の量には個人差があり、出血がまったく発生しない方、生理と同じくらいの出血がある方、といったように人それぞれです。なお、多量の出血が長期間続くようであれば病気などの可能性もあるため、病院やクリニックを早めに受診しましょう。
血の塊があるかどうか
生理中に大量の血液凝固を経験する女性もいれば、全く経験しない女性もいます。しかし、着床時の出血では、血液凝固は見られません。つまり、生理は血の塊が出ることがあるのに対し、着床出血では血の塊は発生しません。
出血の痛み
受精卵が着床する際に感じる痛みを着床痛といいます。この着床痛は生理よりも軽度であることが多いです。この着床痛にも個人差があり、おなかの奥にチクチクとするものやツーンとした痛みなどがあげられます。また、腹痛だけに留まらず、腰辺りに重苦しい痛みや違和感が発生するケースもあります。
しかし、この着床痛は医学的に証明されているものではありません。ほとんどの場合が勘違いやほか症状による痛みであるとされています。このことから、妊娠後に勘違いではない明らかな痛みが発生した際には病院へ相談しましょう。
妊娠超初期に発生する代表的な症状3つ
前項では、着床出血と生理の違いを解説しました。しかし、まだ着床出血と生理の区別がつかない方もいるはずです。そのため本項では、妊娠超初期に発生する代表的な症状を3つご紹介します。なお、妊娠超初期とは妊娠0〜3週のことを指します。
基礎体温の上昇
通常、生理予定日になれば基礎体温が低下する傾向にあります。しかし、着床が完了すると基礎体温は低下せずに熱っぽい状態が続きます。この際、風邪に似た症状が現れることもありますが、妊娠超初期の生理現象であるため過度な心配は必要ありません。
おりものの変化
妊娠の可能性が持たれる症状としては、おりものの変化があげられます。妊娠後はホルモンバランスが乱れることにより、おりものの量が増える、状態が水っぽくなる、乳白色や黄色っぽくなるなど、さまざまな変化が起こります。なお、おりものの変化には個人差があります。
精神的にイライラする
妊娠超初期は精神的にイライラしてしまいます。妊娠によるホルモンバランスの変化から感情のコントロールが難しくなり、情緒不安定にもなりやすいといった特徴がありますが、ホルモンバランスの変化によるものなので自分を責めないようにしましょう。具体的には、怒りっぽくなる、急に泣きたくなる、誰にも会いたくないといった症状があげられます。
着床出血が発生した際の対処法
妊娠超初期に発生する症状については理解できたでしょうか?続いて、着床出血が発生した際の対処法をお話します。着床出血が現在みられている方はご参照ください。
妊娠検査薬を使用する
着床出血がみられた場合は妊娠の可能性があります。とはいえ、着床出血は生理の発生時期と重なるため、自身で妊娠を判断するのは難しいです。そこで、まずは妊娠検査薬を使用して妊娠の有無を確認しましょう。
妊娠検査薬とは、尿のなかに含まれる「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンを検出して妊娠を確認する検査のことです。この「hCG」は基本的に妊娠した女性からしか検出されないホルモンであるため、妊娠検査薬は高い精度で妊娠の可能性を調べることができます。
なお、妊娠検査薬の使用時期が早すぎる場合は正確な検査結果が期待できません。妊娠4週未満だと「hCG」の分泌量が十分ではないため、誤った検査結果が現れてしまう可能性があるのです。このことから、妊娠検査薬は妊娠4週以降に使用することが推奨されます。
産婦人科で受診する
妊娠検査薬で陽性反応が出たら妊娠5~6週を目安に産婦人科を受診しましょう。妊娠検査薬は精度が高いものの、妊娠を100%証明するものではありません。偽陽性の可能性は少ないものの、産婦人科の検査で妊娠を確定させる必要があるのです。
産婦人科では尿検査のほか、内診や腟超音波(エコー)検査を行って妊娠を確定させます。また、妊娠を調べるだけでなく、妊娠や出産についての相談なども行えます。妊娠初期は不安を抱えやすい時期であるため産婦人科の利用をおすすめします。なお、産婦人科で行われる問診の内容は以下をご参照ください。
- 月経周期
- 月経日数・初経年齢
- 妊娠歴・出産歴
- 服用中の薬確認
- 性行為の経験
- アレルギーの有無
- 自覚症状の確認
これら問診の内容は産婦人科によって内容が異なるため注意が必要です。事前に問診内容を確認して心の準備をしておきましょう。
着床出血の期間に発生する不正出血とは?
前項では、着床出血が発生した際の対処法を解説しました。しかし、生理予定日のタイミングで発生する出血は着床出血だけではありません。ホルモンの異常やさまざまな病気が原因で起こる「不正出血」の可能性があるのです。そこで、本項ではこの不正出血についてお話していきます。
不正出血の原因
不正出血には大きく分けて3つの原因があります。なお、着床出血もこの不正出血に含まれています。
- 器質性出血:膣、子宮、卵巣などに異常があり、病気が原因で発生する出血
- 機能性出血:病気が原因ではなく、ホルモンバランスの乱れるによる出血
- 中間期出血:病的なものではない生理と生理の間である排卵期に発生する出血
上記のほかにも、性行為による出血、甲状腺機能低下などによる出血があげられます。このように、生理的な出血から病気による危険な出血までさまざまな不正出血があります。
不正出血が起こる病気
不正出血が起こる代表的な病気は以下のようなものがあげられます。
- 子宮がん
- 卵巣がん
- 子宮内膜炎
- 子宮内膜ポリープ
- 粘膜下子宮筋腫
- 卵巣機能不全
- 粘膜下子宮筋腫
- 膣部びらん
不正出血にはホルモンバランスの乱れのほか、危険な病気である可能性があります。そのため、不正出血の発生には十分注意しなければなりません。
なお、出血をみて自身で判断する行為は非常に危険です。「子宮がん」や「卵巣がん」といった重篤な病気のリスクがあるため、不正出血を発見して少しでも違和感を持った際はすぐに病院を受診しましょう。
まとめ
本記事では、着床出血の期間や生理との違い、不正出血の特徴について解説しました。
着床出血が発生するタイミングは生理開始予定日と同じであることから、自身で生理との区別をするのは難しいです。着床出血が発生する期間については1〜4日程度、生理の場合は3〜7日程度だとされます。なお、着床出血などで妊娠の可能性が判明した際には自身だけで判断せずに、妊娠検査薬や産婦人科を利用して妊娠の有無を確定させましょう。
また、生理以外の出血は着床出血であるとは限りません。ホルモンの異常や病気の影響による不正出血の可能性があるため、少しでも違和感を持ったら病院やクリニックを受診しましょう。
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