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妊娠における「着床」とは、一体どのことを指しているのでしょうか?この着床について気になる方もいるはずです。妊娠は自然な流れで訪れるように思えますが、実は数々のタイミングが重なって初めて起こる奇蹟のような出来事です。妊娠するための活動を始める前にぜひ知っておきましょう。
本記事では、着床の基礎概要や妊娠の流れ、着床出血について解説します。妊娠の不安を乗り越えるためにも、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
着床について
着床とは、精子と卵子が受精した受精卵が卵管を通って子宮内膜に接着することを指します。着床することが妊娠成立の目安となります。
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、コロコロと転がり子宮に向かって移動します。受精から2日目に4分割、3日目に8分割というように分裂を繰り返します。その後、受精卵は子宮内膜に沈み込むように着床し、母体から酸素や栄養分を吸い上げて成長していきます。なお、排卵されてから着床までは大体5〜6日かかるとされています。
着床するまでの流れ
着床については大まかに理解できたでしょうか?続いて、着床を踏まえて妊娠の流れを解説していきます。妊娠についての理解がより深まるはずです。
排卵
妊娠はこの排卵から始まります。排卵とは、卵子を含む卵胞が月経周期に合わせて成長し、卵子として卵巣から放出されることを意味します。卵子は直径20mmほどの大きさに成長してから放出されます。
卵巣から放出された卵子は卵管に取り込まれ、精子が来るまでその場で待機します。なお、受精しなかった卵子は24時間ほどで寿命が尽きるとされています。
射精
パートナーとの性行為によって射精された精子は膣、子宮頸管、子宮、卵管の順に卵子を目指します。1度の射精で1億以上の精子が放出されるものの、卵管までたどり着くのはほんのわずかであり、そのなかのたった1匹だけが卵子と受精できます。この精子は3〜5日ほど生き延びるとされています。
受精
精子が卵子にたどり着いて融合することを受精といいます。たった1匹の精子と受精を行い、その後はほかの精子を受け入れない状態になります。
受精が行われると受精卵になり、細胞分裂を繰り返しながら子宮に移動していきます。卵管から子宮に移動するまでにおおよそ4〜6日ほど時間を要します。
着床
子宮に到着した受精卵が子宮内膜に接触することを着床といいます。接触する際の子宮内膜はふわふわのベッドのようになっているものの、めり込むように着床するため痛みや出血が伴うことがあります。
着床によって感じる痛みを「着床痛」、着床によって生じる出血を「着床出血」と呼びます。なお、受精卵ができてからは約12日で着床が完了します。
着床してから出産までの妊娠期間
ここまで、着床するまでの流れを大まかに解説しました。次に着床してから出産するまでの妊娠期間をみていきましょう。妊娠のイメージがいままでより明確になるはずです。
妊娠4〜11週目
着床が完了したあとは生理の遅れや体調の変化を感じ始めます。妊娠している事実はこの頃に発覚し、つわりや倦怠感などが発生します。
また、妊娠4〜11週目では赤ちゃんの心臓や消化器などが作られると同時に、目や口、耳などが形成されます。妊娠6週ほど経過すると、赤ちゃんはさくらんぼくらいの重さまで成長し、大きさは2〜3cmほどになります。
妊娠12〜15週目
おなかの膨らみを感じ始め、おりものの量が増えます。この妊娠12〜15週目は情緒不安定になりやすい時期であるため注意が必要です。
赤ちゃんの手指がほぼ出来上がり、人間らしい顔つきになります。妊娠13週くらいでオレンジくらいの重さになり、大きさは約15cmまで成長します。
妊娠16〜19週目
この時期を迎えてつわりが落ち着き始めます。ママのおなかがさらに大きくなるため、私生活において動きにくさを感じます。家族と家事の分担をすると良いでしょう。
赤ちゃんは皮膚の厚みが増して産毛や爪が生え始めます。重さは約300gまで成長し、大きさは25cmくらいになります。
妊娠20〜23週目
妊娠20〜23週目になるとママのおなかがふっくらし、胎動を感じることが多くなります。妊娠中期〜後期は貧血や妊娠高血圧症候群が起こりやすいため、細心の注意をはらいましょう。
妊娠20週も経過すれば赤ちゃんの身長は約30cmまで成長し、メロンくらいの重さになります。また、赤ちゃんは排泄機能が発達し、羊水を飲んでおしっこをします。
妊娠24〜27週目
妊娠24〜27週目で安定期に入り、ママのおなかは全体的に丸くなってきます。おなかの張りが強いときは横になって安静にしましょう。それでも治まらない場合は、病院やクリニックで受診することをおすすめします。
赤ちゃんはかぼちゃくらいの重さとなり、身長は約35cmまで成長します。まぶたが上下に分かれて、まばたきができるようになります。
妊娠28〜35週目
ママのおなかが前にせり出し、姿勢が反り気味になりやすい時期です。貧血や運動不足にも陥りやすいため、体調に合わせて軽い運動や散歩を心がけましょう。とはいえ、無理せず休息を取ることも大切です。
この時期には赤ちゃんの骨格がほぼ完成し、重さはパイナップルくらいになります。大きさは約45cmまで成長します。
妊娠36〜40週目
妊娠36〜40週目になると子宮が下がり、上腹部の圧迫が少し楽になります。予定日が近い臨月であるため、できるだけ安静にしましょう。
赤ちゃんの臓器はすべて完成し、スイカくらいの重さになります。大きさは約50cmまで成長します。
妊娠中に受けるべき妊婦健診について
着床してから出産までの妊娠期間は理解できたでしょうか?次に妊婦健診についてお話していきます。
妊婦健診とは、おなかの赤ちゃんが順調に育っているかを調べる健康検査のことです。また、母体についての問題も検査できます。妊娠中は当然、普段よりも健康面に気を使う必要があります。健康に自信のある方でも、ぜひ妊婦健診を利用しましょう。
妊婦健診では母子の健康を検査するだけでなく、妊娠や出産についての相談も行えるため、妊娠に対する不安を打ち明けることが可能です。なお、妊婦健診の内容やスケジュールは下記をご参照ください。
- 妊娠初期:妊娠反応、経膣超音波検査(1週間〜3週間おき)
- 妊娠12週頃~妊娠23週まで:血圧・体重測定・尿検査、腹囲と子宮底長測定、経腹超音波検査(4週間おき)
- 妊娠24週~妊娠35週まで:血圧・体重測定・尿検査、腹囲と子宮底長測定、経腹超音波検査、助産師外来(2週間おき)
- 妊娠36週~分娩まで:血圧・体重測定・尿検査、腹囲と子宮底長測定、経腹超音波検査 38週以降 内診(1週間おき)
なお、これら妊婦健診の内容は住まいの市区町村によって異なります。妊婦健診を受ける際は事前に確認しておきましょう。
着床出血について
前項では、妊娠中に受けるべき妊婦健診について解説しました。最後に着床出血をみていきましょう。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に発生する出血のことを指します。この着床出血は妊娠した人全員が発生するわけではなく、4人に1人くらいの割合で起こるとされています。また、着床出血は生理と症状が似ていることから、生理と勘違いされることが多いです。
着床出血が発生する時期
着床出血は妊娠4週目頃に着床のタイミングで起こります。これは生理予定日と同じ時期であるため、生理との区別がつきにくいです。しかし、着床出血は生理と違って1〜2日程度、長引く方でも3〜4日ほどで出血が収まります。
着床出血の色と量
着床出血の色には個人差があります。例えば、おりものが混ざったピンク色、真っ赤な鮮血、茶色の血液などがあげられます。一方、生理の出血は赤から暗赤色であるため、色によって見分けられることもあるでしょう。
なお、着床出血の量は塊ではなく少量で収まるケースが多いです。「ティッシュに血がついた」程度の方もなかにはいます。
着床出血の痛み
着床出血が起こるときにはチクチクとした痛みをおなかの奥で感じます。また、腹痛のほかにも腰辺りに重苦しい痛みを感じる場合があります。しかし、着床時に感じる着床痛は医学的に証明されておらず、生理痛に比べて痛みは軽度であり数日中に収まります。
なお、着床出血の痛みで流産の心配をされる方がいますが、痛みや違和感を覚えることは一般的であるため、そこまでの心配は必要ありません。痛みが長い間続く場合はすぐに病院やクリニックで診断を受けましょう。
まとめ
本記事では、着床の基礎概要や妊娠の流れ、着床出血について解説しました。
受精卵が卵管を通って子宮内膜に接着することを着床と呼び、妊娠が成立した目安となります。この着床までは排卵、射精、受精の順に行われ、少しずつ妊娠を進行させていきます。着床が完了してから赤ちゃんの成長が始まり、妊娠時期によって自身の体調変化が伴います。
妊娠には不安や悩みがつきものです。心配事や不安を取り除くためにも、ぜひ本記事を参考にして妊娠の流れを理解しておきましょう。また、妊婦健診についても事前に把握しておくことをおすすめします。
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