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妊娠中にOK/NGな食べ物|むくみ・貧血・便秘・妊娠中毒症対策も紹介

健康維持のためには、必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。とくに妊娠中の女性は、さらに栄養バランスに気を付ける必要があります。妊娠中の栄養状態は、母体はもちろん、お腹の赤ちゃんにも影響する時期だからです。

本記事では、妊娠中に必要な栄養素について解説します。また、食べ物の選び方や避けるべき食品についても解説しているので、ぜひ確認してください。

妊娠中に必要な栄養素

妊娠中に必要な栄養素はたくさんあります。その中でもより大切なものについてここでは解説をいたします。

葉酸

葉酸とはビタミンB12とともに赤血球を作ってくれる栄養素です。赤血球は胎児の発育に重要な役割を果たします。そのため、葉酸は妊娠初期から、積極的に摂取したほうがよい栄養素といえるでしょう。
また、葉酸の摂取によって、神経閉鎖障害を引き起こす二分脊椎などの先天性奇形のリスクを下げるといわれています。

ただし、葉酸は加熱調理によって減少するため、食事で摂取する際は注意しましょう。
また、葉酸は体にためておくことができない栄養素です。短期だけ集中して摂取するのではなく、毎日継続して摂取するよう心がけてください。

鉄分

妊娠中は血液量が増加して、血液を作るための鉄分が不足しがちです。妊娠中の女性は鉄欠乏症貧血になりやすいため、鉄分を積極的に摂取すべきといえるでしょう。

鉄分を効率的に摂取したいときは、ヘム鉄が豊富なレバーなどの動物性食品を適量食べるのがおすすめです。また、緑黄色野菜や海藻などにも鉄分が含まれています。
鉄分はたんぱく質やビタミンと一緒にとることで吸収が良くなるため、普段から主食と主菜、副菜をバランスよく食べるように心がけましょう。

カルシウム

骨を作るために欠かせないカルシウムも積極的に摂取しなければいけません。
しかし、日本人の食事はカルシウムが不足しがちだといわれています。
赤ちゃんの骨はお母さんのお腹の中で作られます。そのため、妊娠中の女性は意識的に多くのカルシウムを摂取すべきといえるでしょう。

カルシウムは大豆や乳製品などに多く含まれているため、積極的に食べるようにしてください。また、カルシウムはバランスの良い食事によって吸収しやすくなるため、偏りのない食事内容にすることも大切です。

妊娠中に食べるとよいもの

妊娠中期に必要な食材の数々

妊娠中に食べるとよいものはたくさんあります。栄養素別に食べたほうがいい食材について解説いたします。

海苔・わかめ・ほうれん草・ブロッコリー・アスパラガス

海苔・わかめ・ほうれん草・ブロッコリー・アスパラガスは、葉酸が大量に含まれている食材です。先述のとおり、葉酸は妊娠初期には欠かせない栄養素です。このほかにも枝豆やモロヘイヤ、パセリ、切り干し大根などにも葉酸が含まれています。

ただし、葉酸を食事で継続して食べるのは大変という人もいるでしょう。加熱調理によって減少することもあり、思ったよりも摂取できていない可能性もあります。
葉酸を効率的に確実に摂取したいときは、サプリメントを利用するのもおすすめです。

ごぼう・かぼちゃ・さつまいも・ドライフルーツ

ごぼう・かぼちゃ・さつまいも・ドライフルーツは、食物繊維を多く含んでいる食材です。

妊娠すると、胃腸の働きを鈍くする作用のあるプロゲステロンというホルモンが分泌され、便秘になりやすくなります。
便秘に悩む妊婦さんは多く、なかには大きなストレスを感じる人もいます。ごぼうやかぼちゃなどの食物繊維が豊富な食材を積極的に摂取して、便秘解消につなげましょう。

牛乳・乳製品・小松菜・ワカサギ・煮干し・干しエビ

牛乳や乳製品、小松菜、煮干しなどの食材にはカルシウムが多く含まれています。日本人はカルシウムが不足しやすいことを考慮すると、妊娠中はより意識して摂取すべきでしょう。

おすすめの食材は、牛乳や乳製品です。朝食時に牛乳を1杯飲む、あるいはチーズやヨーグルトを食べるなどして、無理なく習慣づけるのがおすすめです。

切り干し大根・あさり・ほうれん草・高野豆腐・卵黄

切り干し大根・あさり・ほうれん草・高野豆腐・卵黄には、鉄分が多く含まれています。
卵黄など比較的食べやすい食材もありますが、よほど意識しないと鉄分の理想的な摂取量には足りなくなってしまうかもしれません。朝食時に卵料理を1個食べる、汁物を作るときはほうれん草かあさりを使用するなどして、毎日のメニューを工夫しましょう。

葉酸と同じく、サプリメントで補うのもおすすめです。

豚肉・鮭・さんま

豚肉・鮭・さんまには、赤ちゃんの成長に欠かせないビタミンB群が多く含まれています。なお、妊娠中は魚を生のままで食べるのは避け、なるべく加熱調理したものを食べましょう。

妊娠中に食べないほうがよいもの

つわりによい食べ物

妊娠中に食べたほうがいい食材は数多く存在しますが、その一方で妊娠中に食べないほうがいい食材も存在します。
ここでは、妊娠中に避けたほうがよい食材を確認していきましょう。

レバー ・ うなぎ

レバーやうなぎなど食材は、栄養が豊富に含まれている一方、大量に摂取すると赤ちゃんの形態異常を引き起こす可能性があるといわれています。
そのため、あまりにも食べすぎるのは避けるべきです。

葉酸が豊富なレバーなどは、1日あたり1欠け程度など、適量を摂取するのがおすすめです。「妊娠中にレバーを食べるのは心配」という人は、緑黄色野菜や海藻などの食材を積極的に摂取しつつ、不足分は葉酸のサプリメントで補うとよいでしょう。

ひじき

ひじきには、発がん性物質である無機ヒ素という成分が多く含まれています。継続して大量に摂取しない限り大きな影響はないといわれており、あまり神経質になる必要はないでしょう。
ただし、とくにつわりなどで食べるものが偏りがちな時期は注意してください。

刺身

先ほども少し触れましたが、刺身などの生魚を食べるのは避けてください。生魚には食中毒のリスクがあります。妊娠中の食中毒は、妊婦さんにとって大きな負担になる上、赤ちゃんへの影響も心配です。

また、魚介類は水銀を含んでいる可能性があり、胎児への影響が懸念されます。まったく摂取してはいけないというわけではないものの、大量に食べ続けることがないよう、注意しましょう。

妊娠中の食事に関する注意点

料理をする女性

妊娠中は、食事に関していくつか注意しなければならないポイントがあります。

おやつのカロリー量

妊娠中は食材に注意しなければならないため、おやつを控えるべきかもしれないと考える人もいます。
妊婦健診でとくに問題がなければ、おやつを控える必要はありません。甘いものも、適量であれば摂取して構わないでしょう。

ただし、妊娠中は一日のカロリー量に注意すべきです。
おやつなら、1日あたり200kcal程度に留め、食べすぎないようにしてください。

急な体重増加に気をつける

妊娠中に増えるプロゲステロンというホルモンによって、食欲は増加しやすくなります。「お腹の赤ちゃんのためにたくさん食べよう」という意識も働き、普段以上に食べすぎてしまう妊婦さんもいるようです。

ただ、妊娠中に体重が増えすぎると、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などのリスクを高める可能性があるといわれています。バランスの良い食事を適量食べるよう心がけ、急激に体重が増加しないようコントロールしましょう。

果物を積極的にとる

妊娠中はバランスのいい食事に加えて、果物の摂取が推奨されています。普段は果物をあまり食べないという方も、妊娠中は意識して食べるとよいでしょう。

なお、スイカやメロンなどの水分量が多い果物を食べすぎると、体が冷えてしまうかもしれません。体の冷えが気になるときは、なるべく水分量が少ない果物を選ぶとよいでしょう。

【まとめ】妊娠中はバランスの良い食生活を続けることが大切

食事をする女性

バランスのいい食事というのは、簡単なようで難しいです。妊娠中に普段食べていないものを意識して食べるのは、ストレスに感じるかもしれません。

葉酸や鉄分、カルシウムなどは妊婦さんの健康維持や赤ちゃんの成長にかかわる大切な栄養素です。
それぞれの栄養素が豊富に含まれている食材を選んだり、サプリメントで補ったりしながら、無理なく摂取するよう心がけましょう。

1日あたりのおやつのカロリー量を200kcal程度に抑える、急な体重増加に配慮することも大切です。また、妊娠中は果物を積極的に摂ることも推奨されていますが、冷えが気になるときは水分量の少ない果物を選ぶことをおすすめします。

生魚やレバー、ひじきといった、妊娠中に避けるべき食べ物だけを食べすぎたり、際限なく食べてしまったりすることがないよう注意しつつ、食事内容と食事量をコントロールしてください。
なかなか上手くいかないときは、1人で悩まずに産院などで相談してみるとよいでしょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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