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前駆陣痛とは?特徴や陣痛との違いを紹介

妊娠後期に入り出産予定日が近づいてくると、お腹のちょっとした痛みや張りに「もしかして、陣痛…?」と敏感になることが少なくありません。陣痛は大きく「前駆陣痛」「微弱陣痛」「本陣痛」「後陣痛」の4つに分けることができ、出産が近づくと前駆陣痛を感じることがあります。

そこで今回は、前駆陣痛とはどのような陣痛なのかや、陣痛との違い、前区陣痛の対処法や病院に連絡するタイミングなどを詳しく解説します。

前駆陣痛とは?

前駆陣痛とは?特徴や陣痛との違いを紹介

前駆陣痛とは、妊娠後期にあたる妊娠28~40週頃に感じられる痛みで、出産が初めてではない場合は妊娠中期にあたる妊娠14~27週頃から感じられることもあります。本陣痛とは異なり、分娩に至ることはありません。

前駆陣痛は子宮の筋肉が収縮することで起こり、前駆陣痛が起こることで硬く閉じている子宮口や産道が柔らかくなったりなります。つまり、前駆陣痛は体が出産の準備段階に入っていることを知らせてくれるものともいえるでしょう。

前駆陣痛が起こるタイミングは妊婦さんが体をよく動かしたときや、膀胱内に尿が多く溜まっているとき、脱水傾向にあるとき、性交渉のあとなどさまざまです。夕方~夜にかけて痛みを感じ、朝になると治まるケースが多いようです。

微弱陣痛とは?

微弱陣痛は、その名のとおり痛みが弱い、痛みの間隔が長い、痛みを感じる時間が短いといった弱い陣痛のことです。微弱陣痛が起こった場合、本陣痛に移行するまで様子を見るケースもありますが、母子の状態を考慮して陣痛促進剤を投与したり、帝王切開を行うこともあります。

本陣痛とは?

本陣痛は出産に至る際に起こる痛みです。本陣痛は子宮が赤ちゃんを外に押し出そうと激しく収縮をするため、非常に強い痛みを感じます。規則的に痛みがあり、出産が近づくにつれて痛みが強くなり、痛みを感じる感覚も短くなるのが特徴です。

後陣痛とは?

後陣痛は、妊娠中赤ちゃんが入っていた子宮が、出産後に元の大きさに戻る際の収縮により感じる痛みで、子宮内の出血を抑える役割もあります。一般的に初めての出産よりも第二子以降の出産の方が痛みが強いことが多いといわれています。

前駆陣痛と陣痛の違い

自然分娩の場合、陣痛はいつやって来るかわかりません。前駆陣痛は妊娠後期に起こることが多いため、妊婦さんはお腹に痛みや張りを感じると「ひょっとして陣痛が来たのでは…?」とドキドキすることが多いものです。
前駆陣痛と本陣痛にはいくつかの違いがあります。お腹の痛みや張りを感じた時には、これからご紹介するそれぞれのポイントをチェックしてみましょう。

痛みの間隔

前駆陣痛と本陣痛の違いとしてまず挙げられることが、痛みの間隔の違いです。
前駆陣痛の特徴は、痛みの間隔がバラバラなことです。たとえば、「12分→10分→11分→15分…」といったように分単位でも間隔が違うことが分かります。一方本陣痛の場合は「10分→10分→10分→9分→9分→9分…」といったように、同じ感覚の痛みが続ながらも、徐々にその間隔が短くなっていきます。

お腹の痛みや張りが気になったら、まずは時間を計ってみましょう。陣痛の間隔を計測するアプリなどを利用してみる方法も良いでしょう。

痛みの強さ

前駆陣痛の痛みの感じ方は妊婦さんによってさまざまですが、「生理痛のような痛み」「我慢できないほどではない痛み」と感じる人が多いようです。また、お腹がカチカチに張る感じや、胃の圧迫感、腰痛や便意を感じる人もいます。

本陣痛は時間の経過とともに痛みが強くなり、思わずうずくまってしまうほどの強い痛みに変わっていきますが、前駆陣痛ではそのような変化はありません。徐々に弱くなり、気付いたら痛みがなくなっているということがほとんどでしょう。

痛みの期間

前駆陣痛は数日に1回や1日数時間だけ、あるいは1日数時間が数週間続くといったことがありますが、本陣痛は出産まで痛みが治まることはありません。出産まで数時間のみ本陣痛を感じることもあれば、1~2日本陣痛を感じ続けることもあります。

痛みは数日間~数週間続くものの、「痛くなったり、痛くなくなったり」という状態なのであれば、前駆陣痛である可能性は高いといえます。

前駆陣痛が起きた時の対処法

女性は月経による胃の痛みがあります。

前駆陣痛は、体の向きを変えるなどの対処法によって痛みが消えたり和らいだりすることがあります。「前駆陣痛かな?」と思ったら、次のような対処法をとってみましょう。

深呼吸をする

深呼吸をすると、体をリラックスさせる副交感神経の働きが活発になります。筋肉の緊張も和らぎやすくなるため、子宮の収縮も緩やかになり、痛みが治まることがあります。

体の向きを変える

仰向けの状態や同じ姿勢をとり続けると、お腹の張りや痛みをより感じやすくなります。横になりながらも意識的に寝返りをうつなど、体の向きを変えてみましょう。体の左側を下にすることで下大動脈と呼ばれる太い血管の血流が良くなり、痛みが和らぎやすくくなります。

痛む箇所をさする

痛む箇所をさするだけで痛みが和らぐことがあります。自分でさするのはもちろん、家族にさすってもらうのも良いでしょう。腰が重く感じる時は、テニスボールなどのほどよい弾力のあるものでグイグイと押す方法も効果的です。

体を温める

体を温めることで血行がよくなり、筋肉の緊張が緩和されます。カイロや湯たんぽを使ったり、足湯に浸かるのも良いでしょう。ただし、低温やけどには注意が必要です。

ストレッチをする

適度なストレッチも血行の促進には有効です。腰を回したり、背中を伸ばすなど、心地よいと感じる形に体を動かしてみましょう。体を動かしすぎるとかえってお腹が張ってしまうこともあるため、無理のない範囲で行いましょう。

意識を逸らす

「痛いかも」「本陣痛に変わるかも」といったように、痛みに集中しすぎると、どんどん痛みが増してくるような感覚になることがあります。音楽を聴いたり誰かと会話するなど、楽しいと感じることに意識を逸らしてみるのも一つの手です。

病院へ連絡するタイミングは?

オフィスで手で携帯電話を使用して医師のトリミングされた画像

痛みの感じ方は人それぞれ。前駆陣痛だと思っていたら、そのまま本陣痛に移行したり、すぐに病院を受診すべき痛みの場合もあります。
次のようなケースでは、まず病院に連絡をし、病院からの指示を仰ぎましょう。

規則的に張りと痛みが来る場合

お腹の痛みや張りを規則的に感じる場合は本陣痛が始まっているかもしれません。痛みの長さや間隔をメモし、病院に連絡をしましょう。

破水した場合

診療時間外であってもすぐに病院に連絡しましょう。感染の恐れがあるため、お風呂やシャワーは禁物です。ナプキンやバスタオルなどで処置をしながら病院に向かいましょう。自分で車の運転はせず、誰かに運転してもらうか、タクシーを利用しましょう。

激しい痛みが続く場合

本陣痛の場合は、痛みを感じる時間と、痛みがなくなる時間が交互にやってきます。痛みのない時間がなく、激しい痛みがずっと続く場合は母子に何らかの危険が及んでいる可能性があります。すぐに病院に連絡をし、受診をしましょう。

その他の異常を感じる場合

出血がある、赤ちゃんの胎動を全く感じないなど、「いつもとは違う」と感じることがある場合には病院に連絡をし、状況を伝えましょう。自己判断をすることは避けましょう。

【まとめ】不安を感じたら一人で悩まず病院に連絡を

妊婦健診を受ける女性、不安、心配、悲しむ、医者、女医、看護師

前駆陣痛は「痛みの間隔が不規則」「痛みが強くならない」など、本陣痛とは違う特徴があり、妊娠後期で前駆陣痛を感じるケースは少なくありません。しかし、前駆陣痛がそのまま本陣痛につながる可能性もあります。お腹の張りや痛みを感じた場合には痛みの程度や間隔を観察し、気になる点がある場合にはすぐに病院に連絡をしましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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