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お産が近づいてくると、徐々に子宮口が柔らかくなり、ときどきお腹が張ったりするようになります。
妊婦生活の後半に入ると、医師から「子宮口が柔らかくなっているから、もうすぐ出産だね」「子宮口がまだ硬いから、赤ちゃんが出てくるまでにはもう少しかかるかな」などと言われることもあるでしょう。
お産がはじまると、子宮の収縮が強まるとともに、子宮口が少しずつ開くことで赤ちゃんの通り道ができていきます。
出産の兆候というと、最初に思い浮かぶのは陣痛や破水ですが、子宮口の開きも非常に重要となります。いざそのときが来ても不安にならないよう、子宮口が開くということについて知っておきましょう。
子宮口が開くってどういうこと?
臨月に入り、出産が間近に迫ってくると、さまざまな思いがよぎって不安になるものです。とくに初産の妊婦さんは、すべてが初体験です。陣痛はもちろん子宮口が開くということはどういうことなのか、あまりわかっていないという方もおられるのではないでしょうか。
そこでここでは、子宮口が開くとはどういうことなのか、子宮口に関する基本的な情報についてご紹介します。
子宮口とは
そもそも子宮口とは、子宮の下側にある、子宮の出口のことです。
子宮は洋梨を逆さまにしたような形をしており、子宮体部と子宮頸部の2つにわかれます。赤ちゃんは子宮上部にある子宮体部の中で育ち、出産時には子宮頸部を通って産まれてきます。
子宮口は子宮頸部の上下に存在し、子宮体部と頸部の境目にある内子宮口と、子宮頸部と膣との境目にある外子宮口から成り立っており、医師が内診時に肉眼で確認するのは内子宮口の方です。
妊娠中は赤ちゃんが出てきてしまわないようにしっかりと閉じていますが、分娩時には子宮の収縮やホルモンの影響により、徐々に開いて赤ちゃんが産まれる通り道になります。
子宮口が開くのはいつ?
子宮口は、臨月に入り出産が近づいて赤ちゃんが下に降りてくることによる刺激で少しずつ開きはじめます。
分娩の進行に伴いしっかりと閉じた状態から徐々に開いていくのですが、子宮口が全開になるまでにかかる時間は、初産婦さんでは10〜12時間、経産婦さんで4〜6時間程度です。開く際は、完全に閉じた状態から以下のように3つの段階を踏みます。
- 分娩第1期(開口期):陣痛とともに子宮口が徐々に開いていく。開き方によってさらに準備期、進行期、極期の3つにわけられる。
- 分娩第2期(娩出期):子宮口が全開になり、赤ちゃんが出てこられる状態。
- 分娩第3期(後産期):赤ちゃんが出てきた後、胎盤を体外に出すために軽い陣痛が起こる。
子宮口は、分娩がはじまるまでは鼻くらいの硬さだといわれていますが、陣痛やホルモンの作用により徐々に柔らかくなります。
ただし、子宮口が開く時期やかかる時間については、十人十色です。同じ妊婦さんでも出産のたびに違うというくらいさまざまなケースがあるため、あくまでも目安であると思っておきましょう。
子宮口の測り方
分娩がはじまると、医師が内診を行って子宮口の開き具合を確認します。「子宮口が何cm開いてきましたね」などと言われますが、医師がどうやって子宮口を測っているのか気に留める方は少ないようです。
実は、医師が子宮口を測る際は膣に指を2本入れ、指と指の開き具合で何cmか測っています。
なぜなら、子宮口の硬さや開き具合は内診でしかわからないからです。医師の内診の経験による感覚でしか測れないと聞くと不安になってしまうママもいるかもしれませんが、子宮口が全開になる感覚を間違える医師はいないので安心してお産に臨みましょう。
お産がはじまるのは子宮口が何cmひらいたとき?
お産がはじまるのは、分娩第2期、子宮口が10cm開いたときです。子宮口が10cm開くと、医師は「全開」と判断します。赤ちゃんが外に出てこられるよう、柔らかく広がった状態になっており、陣痛は2分間隔くらいになるでしょう。
とはいえ、胎児の頭の位置や妊娠週数なども考慮してお産がはじまるかどうか判断するので、子宮口が全開になったからといって、すぐにお産がはじまらない可能性もあることを知っておきましょう。
お産に伴う子宮口の開き方
分娩開始時からはじまる陣痛は次第に間隔が短くなり、1回の痛みの継続時間は長くなります。それに伴って子宮口が最大10cmまで開き、陣痛がピークに達すると分娩室へ移動するのが分娩の一般的な流れです。
妊娠36週に入ると、いつお産がはじまってもおかしくない状況になるため、子宮口が開いていく過程ではどのようなことが起こっているのか知っておくとよいでしょう。
子宮口1cm
赤ちゃんが下に降りはじめると、子宮口が開きはじめます。この期間は、数日から数週間継続する方もいるようです。陣痛もあまり感じませんが、中には生理痛のような痛みがある方もいます。
子宮口2cm
まだまだ本格的な陣痛は開始していません。赤ちゃんは徐々に時間をかけて下に降りてきている状態です。前駆陣痛という分娩前の不規則な陣痛を感じる方もいるようですが、短い時間で強まることはあまりありません。
とくに初産婦さんは、前駆陣痛を数日間経験してから本格的な陣痛になることも多いでしょう。
子宮口3cm
子宮口が3cm開くまでの時期を、第1期の中でも「準備期」といいます。この時期は、陣痛が1時間に6回起こる方もいれば、まだ痛みを感じない方もいるなど、個人差も大きいようです。
一般的に、1時間に6回以上の規則的な陣痛が起きていて、子宮口が3cm開いていれば確実に分娩第1期に突入していると考えられるため、入院して出産に備えることになるでしょう。
ただし、子宮口が3cm開いていたとしても、数時間のうちに分娩につながる陣痛が起こらない場合もあります。その場合は一旦帰宅して本格的な陣痛を待つことになるかもしれません。焦らず医師の指示に従うようにしましょう。
子宮口4〜6cm
準備期を経て、子宮口が4〜6cmまで開いている時期を「進行期」といいます。この時期になると子宮の収縮も強まり、3〜5分間隔で定期的な陣痛が起こるようになるでしょう。
痛みも強くなるため、不安になってくるかもしれませんが、赤ちゃんは顎を胸につけて前屈した状態で外に出るのを待っているので、赤ちゃんが出てきやすいようにときどき姿勢を変えてあげるとよいでしょう。
子宮口7〜8cm
子宮口が7〜8cm開き、全開に向かっていく時期を「極期」といいます。陣痛の間隔は3〜4分と短くなり、痛みも強いので、お産の過程でももっとも苦しい時期だといえるでしょう。
赤ちゃんの頭が骨盤の中に深く入ってくることから、いきみたくなる方も多いようです。
子宮口9〜10cm(全開)
子宮口が全開になると、陣痛の間隔は1〜3分とさらに短くなり、痛みももっとも強くなります。あまりの痛さに冷静ではいられないかもしれませんが、助産師さんが呼吸のコツなどを教えてくれるので、しっかりと耳を傾けましょう。
赤ちゃんは、体を回転させてさらに下に降りてきています。これを乗り越えれば待望の赤ちゃんとの対面が待っているので、パートナーに腰を強めにさすってもらうなどして乗り切りましょう。
お産がはじまるサインと子宮口が開かないときに行われる処置
医師に子宮口が開いてきたといわれると、赤ちゃんと会えるのが楽しみな反面、不安な気持ちも湧いてくることでしょう。本番に落ち着いて対処するためにも、お産がはじまるサインについて知っておくと安心です。
また、陣痛がはじまったもののなかなか子宮口が開かないときはどうするのか、気になっている方も多いようなので、ここではお産がはじまるサインと子宮口が開かないときに行われる処置についてご紹介します。
お産がはじまるサインに要注意
以下は、お産がはじまる3つのサインです。
- おしるし:子宮口が開きはじめると出ることがある、血液が混じったおりもの。
- 陣痛:最初はお腹が張るような痛みだが、10分間隔もしくは1時間に6回の痛みが定期的にくるようになると陣痛の開始と判断される。
- 破水:赤ちゃんを包む卵膜が破れて羊水が外に流れ出ている状態。風船を割るような感覚を覚えることもあれば、膣から羊水が流れ出て気づくこともある。
これらのサインは、すべて同時に現れるとは限りません。
とくにおしるしについては、なかったという方も多いうえ、これだけで分娩になることはありませんので、陣痛や破水などのサインが出るまで普段通りに生活しましょう。
子宮口が開かないときに行われる処置とは
以下は、子宮口が開かないときに行われる処置の例です。
- 陣痛促進剤:子宮収縮を促進し、陣痛を促す薬を使用する。点滴と内服薬があるが、点滴を使用する頻度が高い。
- 子宮頸管拡張器具:一般的にバルーンと呼ばれる器具を使用する。空気が入っていない風船を子宮に入れ、生理食塩水を注入してバルーンを膨らませて子宮収縮を促進する。
- 内診グリグリ(卵膜剥離):内診時に子宮頸管の内周に沿って指を一周させて卵膜を子宮壁から剥がす。陣痛よりも痛い場合もあれば痛くない場合もある。
子宮口が開かなければ出産には至らないため、上記のような処置を行うことがあります。子宮口がスムーズに開かない要因にはさまざまなものがありますが、あまりに長い時間子宮口が開かない場合は、「遷延分娩」と判断され、帝王切開になる可能性もあるでしょう。
まとめ
子宮口についての基本的な情報とお産に伴う子宮口の開き方、お産がはじまるサインと子宮口が開かないときに行われる処置についてご紹介しました。
子宮口が開くということは、お産がすぐそこまで近づいているということです。しかし、子宮口の開き方や開きはじめる時期にも個人差があるため、先輩ママと比較して焦らないようにしましょう。
もしも子宮口の開きがスムーズにいかない場合は、状況によって今回ご紹介したような処置を行ったり、帝王切開になったりする可能性もあります。妊婦さん自身もリラックスするよう心がけ、体を温めたり少し歩いたりして子宮口がスムーズに開くよう対処することをおすすめします。