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化学流産に気がつくきっかけは?つわりがなくなるなど5つの理由を紹介
化学流産とは妊娠超初期の、受精卵が着床する頃に起こる流産のことで、着床しない、着床が継続しないなどの理由から受精卵が腟から流れ出てしまう症状です。
妊娠超初期の段階で妊娠検査薬による検査を行ったあとに、病院で胎嚢が確認できないことから化学流産が判明することが多いようです。
また、不妊治療を行っている方は早い段階で妊娠に気がつくので、その後の経過によって化学流産だったとわかることがあります。
そのため、妊娠検査薬を妊娠超初期段階で使わなかった方は、出血が通常の生理が遅れてきたと考え、妊娠に気がつかないケースもあります。
この記事では、化学流産の解説と化学流産に気がつく理由をご紹介します。
化学流産について詳しく知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
化学流産について
妊娠超初期に起こる流産である化学流産は、受精卵の着床が継続できなかった状態であるため、通常の妊娠とは考えられておらず、流産の回数にも含まれません。
その原因や化学流産をする時期はいつなのか、予防方法はあるのかなど、疑問に感じている方もいらっしゃいます。
そこでまずは、化学流産について詳しくご紹介します。
化学流産の原因
化学流産が起こる原因は詳しくわかっていませんが、妊娠初期に起こる流産の多くは受精卵の染色体異常によるもので、受精卵に原因があることがほとんどです。
母体側の原因としては、着床障害の可能性も考えられます。着床障害の原因は以下です。
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮筋腫
- 卵管留水腫
- 子宮腺筋症
- 子宮内膜癒着
- 子宮形態異常
- 子宮内膜炎
- 子宮内膜受容体異常
- 抗リン脂質抗体症候群
- 自己免疫抗体異常
- ホルモン異常
着床障害であったとしても、着床の複雑な過程のなかで原因をはっきりさせるのはとても困難とされています。
しかし、上記のような異常があると着床障害を起こす可能性があると考えられていて、原因が明らかになれば治療を行うことができます。
化学流産の時期
化学流産とは、妊娠検査薬で陽性反応が出たのちに、超音波検査で胎嚢を認められないまま妊娠が終結してしまうことをいいます。
妊娠検査薬は、尿に一定以上hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が含まれているかを調べています。
hCGは、受精卵が子宮内膜に着床すると作られるホルモンで、妊娠することで検出されます。
妊娠検査薬が使用できる時期は受精卵が着床をはじめた妊娠4週ごろからになり、通常では妊娠5週ごろには超音波検査で胎嚢が確認できるようになります。そのため、妊娠5週でも胎嚢が確認できない場合は化学流産の可能性が疑われることになります。
化学流産の予防はできる?
化学流産の原因はわからないことが多く、防ぐ方法も今のところありませんということになります。
着床障害などの原因がはっきりわかっている場合は、原因に対する治療を行うことで化学流産を防ぐことができます。
化学流産後は治療も必要なく、次の生理がくればまた妊活をはじめることが可能です。
化学流産後は再度妊活をはじめるという気持ちをもてない方もいらっしゃるかもしれませんが、妊娠に向けた体づくりをするなど、できることに取り組むようにしましょう。
基礎体温はどのように変わる?
基礎体温は、排卵日を境に高温期となり、生理がはじまるころ低温期となって下がっていきます。
妊娠すると、黄体ホルモンの分泌によって体温が上がるため、高温期が続くようになります。
化学流産をすると黄体ホルモンが分泌されなくなることから高温期が終わり、基礎体温が下がります。
しかし、基礎体温にだけ頼って化学流産だと決めつけることはやめましょう。計測ミスなども考えられるため、1週間ほど基礎体温を測り続けることをおすすめします。
化学流産に気がつく理由
妊娠超初期に起こる化学流産は、気がつかない方もいるほど症状がないともいわれていますが、以下のような理由で判明することがあります。
ここからは、化学流産に気がつく理由をご紹介します。
つわりがなくなる
つわりは一般的に妊娠5週~6週頃に感じる方が多いので、化学流産前の妊娠4週の時点ではつわりを感じていない方がほとんどですが、つわりは症状も期間も個人差が大きく、妊娠4週でつわりを感じることもあります。
つわりの原因は明らかになっていませんが、急激なホルモンの変化や代謝の変化などが影響していると考えられています。子宮内に受精卵が着床することでホルモンが分泌されるようになり、妊娠4週からつわりを感じる方もいます。
妊娠4週からつわりを感じていた方は、化学流産をすることによりつわりがなくなり、その後妊娠検査薬を使用しても陰性と出ることで、化学流産に気がつくケースがあります。
生理が重い
化学流産が起こると、妊娠によって厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちることで、化学流産時に激しい痛みやひどい出血を伴う場合があります。
化学流産と気がつかずに生理がきたと思っていても、生理痛がいつもより重いと感じたり、出血の量が多い場合は化学流産の可能性があります。
検査薬の反応が薄い
体験談としてよく見られるのが、妊娠検査薬を使用時期よりも前に使い、薄い陽性反応が確認できたものの、しばらくたってから再度妊娠検査薬を使用すると今度は、陰性であったという状態です。
妊娠検査薬は、尿の中に含まれるhCGがごく微量でも測定できてしまうほど精度が高いため、フライング検査によって化学流産に気がつくというケースも珍しくありません。
超音波検査で胎嚢が確認できない
胎嚢とは、子宮内膜に受精卵が着床したあとに赤ちゃんや胎盤が成長していく過程でできる、赤ちゃんを包み込む部屋のことです。
胎嚢は、早ければ妊娠4週の後半頃から確認できますが、妊娠検査薬の反応が陽性だったにもかかわらず、この胎嚢が確認できずに出血が起こって流産してしまうというケースもあります。
妊娠4週前半だと、胎嚢がまだ確認できないだけという場合もあるため、妊娠5週以降に病院を受診することをおすすめします。
レバー状の出血や白い塊が出る
化学流産をすると、子宮内膜が剥がれ落ちることでレバー状の経血が出るケースもあります。
また、生理のあとに白い塊が出たという方もいます。白い塊は出血に混ざって出てくることもあれば、出血が終わった後に出てくることもあります。
この白い塊は、絨毛や脱落膜という組織と考えられていて、赤ちゃんそのものではないものの、妊娠していたという証になります。
妊娠初期の腹痛で化学流産以外に考えられること
妊娠初期には、妊娠したことによる体の変化が原因で以下のような腹痛の症状があります。
- チクチクするような痛み
- 靭帯がつったような痛み
- 生理痛に似た痛み
- お腹の張りを感じる痛み
このような痛みは妊娠による腹痛と考えられるため、あまりにもひどい場合は受診をおすすめしますが、持続しない痛みであれば心配はいりません。
我慢できないほどの妊娠初期の腹痛は、化学流産を疑いますが、化学流産だけではなく、以下のような原因も考えられます。
- 子宮外妊娠
- 絨毛膜下血腫
子宮外妊娠は、子宮の外に受精卵が着床してしまっている状態で、卵管に受精卵が着床したことによって卵管が破裂してしまうと、大量出血が起こり、母体にとって危険な状態となります。
絨毛膜下血腫は、絨毛膜という組織に血がたまってしまう状態で、全妊娠の0.5%~22%ほどの頻度で起こります。
安静にすることで自然に改善することがほとんどですが、中には流産や、子宮内胎児死亡に至ってしまうケースもあります。
妊娠すると、便秘や下痢を引き起こすこともあるので、腹痛の原因が便秘や下痢という場合もあります。
妊娠中に分泌される黄体ホルモンは、腸の動きを鈍くするため便秘や下痢を起こしやすいとされているのです。
腹痛の原因がわからず不安なときには、安静に過ごし様子を見ることが重要です。
安静にしていても症状が続くときは、受診して医師に相談するようにしましょう。
まとめ
化学流産についてと化学流産に気がつく理由、妊娠初期の腹痛で化学流産以外に考えられる原因をご紹介しましたが、参考になりましたか?
化学流産は多くは染色体の異常によるものが原因となるので、母体が何かをしたから、何かをしなかったから、ということではありません。
また、通常の生理だと思い化学流産に気がつかないというケースが非常に多いのですが、今回ご紹介したような異変によって気がつく方もいます。
化学流産は治療の必要がないといわれていることに加えて、妊娠に数えられないため流産の回数にも入らないとされています。
化学流産をしてしまったと気がついても、それは卵子や精子に問題なく妊娠できる証となるので、次の生理が始まったら妊活を再開することが可能です。
化学流産について理解したいと考えている方は、この記事をぜひ参考にしてみてください。
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