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胚盤胞移植9日目|妊娠検査薬のタイミング【陰性から陽性への変化】

近年の晩婚化に伴って、不妊症に悩まれるカップルも増加傾向にあります。

不妊症の治療法も患者の体調や体質などに合わせた形で整ってきていますが、そのひとつに胚盤胞移植があります。

胚盤胞移植を含めた各種の治療では排卵誘発から子宮へ戻すまで、子宮への移植後から妊娠判定までがスケジュールとして整えられていることが多いですが、妊娠を望むカップルにとっては少しでも早く結果を知りたいもの。

そのため、スケジュールとして組まれている妊娠判定日よりも前に「フライング」という形で妊娠検査薬を用いて確かめてみる方も多いのではないでしょうか?

この記事では胚盤胞移植の概要を押さえるとともに、胚盤胞移植のスケジュールを確認します。そして、妊娠判定日前に妊娠検査薬を使う方に向けて、その種類や使い方、他の方の検査薬の結果に関する声をまとめています。ぜひ最後までお読みください。

胚盤胞移植の基本

医師と不妊治療で成功した女性

「胚盤胞移植(はいばんほういしょく)」とは、その名の通り、胚盤胞(はいばんほう)を子宮へと移植するという、不妊治療における治療方法のひとつです。

更に、「胚盤胞」とは、精子と卵子の受精によって生まれた受精卵が細胞分裂を繰り返していき、子宮内膜への着床の準備が整った状態にまで成長した受精卵のことを指しています。

これまでの体外受精における治療法の主流は初期胚移植でした。初期胚(しょきはい)とは胚盤胞よりも前の成長段階にある受精卵で、細胞分裂による細胞の分割数が2~8のものを指します。

その理由は受精卵を胚盤胞まで成長させるための培養技術が十分に整っていなかったためです。現在では胚盤胞まで成長させる培養技術も整備されていることから、胚盤胞移植も体外受精における一般的な治療方法となってきました。

メリット・デメリット

ここでは胚盤胞移植のメリットとデメリットに関して確認していきましょう。

メリットとしては以下のものが挙げられます。

  1. 自然妊娠の場合と同じような状態で子宮へと戻すことができる
  2. 良質な胚(受精卵)を選択して移植できる

デメリットには以下のものが挙げられます。

  1. キャンセル率が高くなる傾向にある
  2. 費用がかさむこともある

それぞれに関して見ていきましょう。

メリット1:自然妊娠の場合と同じような状態で子宮へと戻すことができる

自然妊娠の場合における受精から着床までのステップは、①精子と卵子が卵管内で出会い受精が行われ、②細胞分裂を繰り返しながら徐々に胚盤胞へと成長しながら子宮へと移動し、③子宮にたどり着く頃に胚盤胞となり着床する、というのが一般的です。

初期胚移植では胚盤胞へと成長するまでの間、胚が子宮内を漂うことになってしまうのですが、胚盤胞移植であればそのようなこともなく移植後0~1日目には着床に至ります。

これは結果的に子宮外妊娠が生じてしまう危険性も小さくしています。

メリット2:良質な胚(受精卵)を選択して移植できる

体外受精における受精卵はグレードと呼ばれる評価によって、どの受精卵を優先的に移植へ用いるかを判断しています。

このグレードは初期胚である時期と、胚盤胞へと成長した時期のそれぞれに定められているのですが、初期胚の時に良好なグレードであっても、胚盤胞に成長すると着床のための準備が十分ではないということもあります。

このような可能性を小さくできるのも胚盤胞移植の特徴です。

デメリット1:キャンセル率が高くなる傾向にある

自然妊娠・体外受精のどちらの場合であっても、受精卵が胚盤胞まで成長する確率は20~30%と言われています。

そのため、複数の受精卵を用意しても、胚盤胞まで成長した受精卵のみを移植に用いるとなると、結果的に移植に用いなかった受精卵の数も多くなります(キャンセル率が高くなります)。

デメリット2:費用がかさむこともある

単純に、胚盤胞移植の方が受精卵を培養液中で育てる期間が長いため、初期胚移植の場合よりも費用が掛かることが一般的です。

胚盤胞移植のスケジュール

スケジュール

ここでは、これまで紹介した胚盤胞移植がどのようなスケジュールで進んでいくのかを確認しましょう。

月経の開始日を1日目として妊娠判定に至るまでの胚盤胞移植のスケジュールは以下の表の通りです。]

1 2 3 4 5 6 7 8
月経開始 卵子を育てる期間(排卵誘発・LHサージ誘起)
9 10 11 12 13 14 15 16
採卵・受精
17 18 19 2週間の経過観察 妊娠判定
胚盤胞移植

月経開始日を1日目として3~11日の間は、卵子を作る器官である「卵胞」を排卵誘発剤やLHサージ誘発剤などを用いて刺激し、卵子を育てる期間となります。

そして14日目に採卵が行われます。採卵する日と同日、男性の採精も行われ、受精まで済ませます。受精させる方法には、培養液中にて精子と卵子を出合わせ自力の受精を図る体外受精と、顕微鏡下で採取した精子を直接卵子に注射する顕微授精があります。

受精後は培養液中にて胚盤胞まで成長させ、19日目(受精後5日目)に移植が行われます。

妊娠判定ではhCGホルモンが血中にどの程度含まれているかを調べること妊娠しているか否かを確認します。十分なホルモン量が確認されるための期間として2週間が設定されるのが一般的です。

妊娠したか否か結果が気になってしまう方にとっては、上記の2週間の経過観察の間で妊娠検査薬を使うかどうかも悩ましいところかと思います。そこで、次から妊娠検査薬についてご説明していきます。

妊娠検査薬

妊娠検査薬
ここでご紹介するのは妊娠検査薬に関してです。胚盤胞移植で移植から2週間後に行う血液検査によって最終的な妊娠判定を実施しますが、妊娠しているか否かを少しでも早く知りたいという方も多いのではないでしょうか?

そんな際に妊娠検査薬を用いて「フライング」という形で調べるかと思いますが、どのような妊娠検査薬があるのか、胚盤胞移植の後にフライング検査を行ってみた人の声をまとめていますので確認していきましょう。

種類

妊娠検査薬は妊娠した女性の体内に分泌される、hCGホルモンの尿中に含まれる量を判定基準として、一般的な妊娠検査薬と、早期妊娠検査薬とに大別されます。

それぞれの検査薬の特徴などをまとめたものが以下の表になります。

一般的な妊娠検査薬 早期妊娠検査薬
hCGホルモンの判定基準 50mIU/ml以上 25mIU/ml以上
検査可能となるタイミング 生理予定日1週間後~ 生理予定日当日、または数日前~

受精卵が着床すると、着床後3日~4日ほどで尿の中にhCGホルモンが分泌されるようになります。

一般で売られている妊娠検査薬の多くは、hCGホルモンの量が「50mIU/ml」以上で陽性反応が出るようになっており、その程度の量が確認されるのは妊娠3週目の終わりごろとなります。

この時期は生理の予定日とも重なります。そのため、検査薬の使用時期には「生理予定日1週間後~」と記載されていても、それより早い段階で使用した際であっても陽性反応が見られることが多いです。

早期妊娠検査薬では、陽性反応の基準数値が一般の検査薬よりも低く設定されているため、生理予定日の当日から数日遡った期間からでも確認ができるようになっています。

使い方

次に確認するのは妊娠検査薬の使い方に関してです。妊娠検査薬の使い方の手順は以下の通りです(以下の手順はアナログ式の検査薬の方法に則っています。デジタル式の場合も含めて、用法をきちんと確認しましょう)。

  1. 妊娠検査薬の採尿部に2秒ほど尿をかける、または紙コップに採尿した後、検査薬の採尿部を2秒ほど浸す
  2. 検査薬を平らな場所に置いて規定の時間待つ
  3. 確認窓に線が出れば検査完了(窓に線が出れば陽性、出なければ陰性)

上記の手順で検査薬を使用して頂ければ正確な結果が得られるかと思いますが、検査薬を用いて確認する際の尿は朝一番のものをお勧めします。

朝一番の尿は1日の中でも最も濃いものが出るので反応を確認しやすいです。

みんなの声

ここでは胚盤胞移植を行った後に妊娠検査薬を用いた方の声を集めてみました。

胚盤胞移植後1日目と2日目に早期妊娠検査薬を使用

「あまりにも妊娠しているかどうかが気になりすぎて使ってみたものの、結果は真っ白でした。早すぎるということは分かっていたものの、線のない窓を見て少し落ち込みました。」

この方は早期妊娠検査薬を、検査薬に記載されている可能時期よりも早く使ったケースですね。前述したように、着床からhCGホルモンが尿中に確認されるようになるには最低でも3日程は必要であるため、あまりにも早期の利用は用法にも則っていないということも含めてお勧めできません。

胚盤胞移植後9日目に妊娠検査薬を使用

「判定日は移植から2週間後に設定されていたのですが、胚盤胞移植から5日目に使用した際には陰性で、9日目に再度利用したら薄くですが陽性線を確認できました。」

「胚盤胞の移植から9日目に使用したら割としっかりと線が出てくれました。その後、12日目にも使用してみたら線が更に濃くなっており、妊娠判定日にもきちんと妊娠を確認できました。」

使用者の声で多く見られたのが、移植から9日目くらいのタイミングで陽性反応が見られるようになった、ということでした。

そのくらいの時期ですと、hCGホルモンが尿中に含まれる量も判定基準量を超えていることが多くなるため確認がしやすくなるかと思います。

使用者の声には線の濃さについて触れているものも多くあり、陽性の確認が見られた後に再度使用してみて線の濃さが変化しているかを確認してみるのも有効です。

まとめ

妊娠して嬉しそうな女性
ここまで胚盤胞移植の概要と、どのような妊娠検査薬があるのか、移植後の妊娠検査薬の使用と経験者の声を集めてみましたが、ご参考になったでしょうか?

妊娠しているか気になってしまうお気持ちもよく分かりますが、検査薬を使用するタイミングがあまりにも早すぎると、反応が見られないということを分かっていてもショックを受けてしまったり、1回分を無駄にしてしまったりすることにもなってしまうため、用法をきちんと守り、前向きに治療に取り組んでいただければ幸いです。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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