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胚盤胞移植の着床率をもっとも大きく左右するのは、胚の染色体の数が正しいかどうかです。そしてその割合を決めている最大の要因は、卵子の年齢です。日本の2023年の統計では、移植1回あたりの妊娠率は30歳で約51%、40歳で約33%でした。着床率を上げる方法として、PGT-A、ERA検査、子宮内膜スクラッチ、食事やサプリなどさまざまなものが紹介されていますが、出産率を上げることが確かめられた方法は限られています。この記事では、年齢やグレードごとの数字の読み方、着床しない理由、そして一つひとつの方法の根拠の強さを、臨床遺伝専門医の立場から整理します。
Q. 胚盤胞移植の着床率を上げるには、何がいちばん効きますか?
A. 結果を最も大きく左右するのは、胚の染色体の数、つまり卵子の年齢です。これは生活習慣やサプリでは変えられません。そのうえで医療としてできることは、「胚を選ぶ」「子宮の形の異常を見つけて治す」「体重や喫煙など根拠のある生活要因を整える」の3つです。ERA検査や子宮内膜スクラッチは、大規模な試験で出産率の改善が示されませんでした。
- ➤着床率の目安 → 年齢で大きく変わる。2023年の日本の統計で、移植あたり妊娠率は30歳51.1%、40歳33.3%、45歳11.4%
- ➤着床不成功の重要な理由 → 胚の染色体の数の異常(異数性)。年齢とともに増える
- ➤PGT-A → 移植1回あたりの成功率は上がりうるが、採卵1回からの出産率は増やさない
- ➤子宮側の検査 → 画像で異常があれば治療の意味がある。ERAなどは日常的な使用は勧められていない
- ➤生活習慣 → 根拠があるのは体重と禁煙。寝方や移植後の安静に根拠はない
体外受精全体の流れ(排卵誘発・採卵・受精・培養)は体外受精とはで解説しています。この記事では、そのうち胚盤胞を子宮に戻したあと「着床するかどうか」に絞って説明します。胚盤胞とは、受精からおよそ5〜6日たち、内部に腔(すきま)ができて、将来赤ちゃんになる細胞のかたまり(内細胞塊)と、将来胎盤になる外側の細胞の層(栄養外胚葉)に分かれた段階の胚のことです。
1. 胚盤胞移植の着床率はどれくらい?
日本の2023年の統計では、凍結した胚を移植した場合の移植1回あたりの妊娠率は40.5%、出産に至った割合(生産率)は28.8%でした[1]。この年、凍結胚の移植は約10万9千回行われています。ただしこれは、すべての年齢と、初期胚・胚盤胞の両方を合わせた平均です。1人ひとりの見込みは、年齢や胚の状態によって大きく異なります。
着床率・妊娠率・出産率は何が違う?
着床率・妊娠率・出産率は、分母と数えるゴールがそれぞれ違う数字です。同じ「成功率」でも、どの数字かによって値は大きく変わります。
着床率は、戻した胚1個あたり、何個が子宮内膜に着床したかを表します。胚を2個戻して1個着床すれば、着床率は50%です。臨床妊娠率は、移植1回あたり、超音波で胎嚢(赤ちゃんを包む袋)が確認できた割合を指すのが一般的です。妊娠反応(hCG)だけで数える場合もあり、その場合は化学流産(妊娠反応は出たものの胎嚢が確認できる前に終わる妊娠)も含まれるため、数字は高めになります。生産率(出産率)は、生きて生まれた赤ちゃんに至った割合で、流産を差し引いた最終的な数字です。
さらに、分母が「移植1回あたり」なのか、「治療を始めた周期あたり」なのか、「採卵1回あたりの累積」なのかによっても値が変わります。治療周期あたりの数字には、採卵できなかった周期や移植まで進めなかった周期も分母に含まれるため、移植あたりの数字より低くなります。日本産科婦人科学会の統計も、妊娠率は「胚移植を行った周期」を、生産率は「すべての治療周期」を分母にして示しています[1]。
クリニックのウェブサイトなどで「着床率60%」と「妊娠率40%」を並べて比べても、分母がそろっていなければ比較になりません。数字を見るときは、何を分子にし、何を分母にした数字かをまず確かめてください。
年齢別の妊娠率・出産率(ART全体の数字)
年齢別に見ると、移植1回あたりの妊娠率は30歳で51.1%、35歳で46.1%、40歳で33.3%、42歳で24.4%、45歳で11.4%と、年齢が上がるほど下がります[1]。同時に、妊娠したあとの流産率は30歳の18.1%から、40歳で35.6%、45歳で55.2%へと上がっていきます。
📊 年齢別のART成績(日本・2023年)
| 年齢 | 妊娠率(移植あたり) | 流産率(妊娠あたり) | 生産率(全治療周期あたり) |
|---|---|---|---|
| 30歳 | 51.1% | 18.1% | 23.2% |
| 35歳 | 46.1% | 22.0% | 20.5% |
| 40歳 | 33.3% | 35.6% | 10.6% |
| 42歳 | 24.4% | 44.5% | 5.6% |
| 45歳 | 11.4% | 55.2% | 1.7% |
※日本産科婦人科学会「2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」[1]の年齢別グラフから抜粋。新鮮胚と凍結胚、初期胚と胚盤胞をすべて合わせたART全体の数字で、胚盤胞移植だけの成績ではありません。生産率は、移植に至らなかった周期も含む全治療周期が分母です。
この表で大事なのは、妊娠率が下がるのと同時に流産率が上がっている点です。年齢とともに「着床しにくくなる」ことと「着床しても続かなくなる」ことが並行して起きていて、その共通の背景にあるのが、次の章で説明する胚の染色体の数の異常です。卵子の質という言葉で語られるものの中心も、この点にあります。
なお、これは日本全体の集団の平均であり、個人の確率ではありません。同じ40歳でも、得られた胚の数や状態、子宮の状態によって見込みは異なります。「40歳だから33%」と自分に当てはめるのではなく、年齢による傾向の目安として受け止めてください。
グレードと着床率の関係(目安)
胚盤胞のグレード(見た目の評価)が良いほど着床しやすい傾向はありますが、グレードごとの決まった着床率はありません。「4AAなら何%」と言い切れる標準的な数字は存在せず、同じグレードでも施設や評価者によって判定に差が出ます。
💡 用語解説:胚盤胞のグレード(Gardner分類)
胚盤胞の見た目を「数字+アルファベット2文字」で表す評価法です。数字(1〜6)は胚盤胞の腔がどこまで広がったか(拡張の程度)を、1文字目は内細胞塊(将来の赤ちゃんになる部分)の細胞の多さとまとまりを、2文字目は栄養外胚葉(将来の胎盤になる部分)の細胞の多さと並び方を、それぞれA〜Cで表します。たとえば「4AB」は、十分に広がった胚盤胞で、内細胞塊はA、栄養外胚葉はBという意味です。
染色体の検査で数が正常と確認された胚盤胞271個を移植した研究では、形態を3段階に分けたときの着床率は、良好(AA・AB・BA)で79.3%、中間(BB)で64.8%、不良(AC・BC)で48.0%でした[2]。染色体が正常な胚どうしでも、見た目の評価の差が着床率の差として表れたということです。染色体が正常な胚盤胞で形態評価が着床と継続妊娠に関係することは、別の研究でも報告されています[3]。
ただし、この研究で差がはっきりしたのは35歳未満の人だけで、早期の流産率はグレードとの関係が見られませんでした[2]。また、1施設の後ろ向きの研究で、対象は染色体が正常と確認された胚に限られています。染色体を調べていない胚では、グレードの良い胚にも染色体の異常を持つものが混じるため、着床率はこれより低くなります。
グレードは、複数の胚があるときにどれから移植するかの優先順位を決めるための目安です。グレードが低い胚でも着床・出産に至ることはあり、低いから移植する意味がないということにはなりません。グレードの付け方や、グレードと染色体異常との関係は胚盤胞グレードと染色体異常の関係で詳しく解説しています。
初期胚移植より妊娠しやすい?
移植1回あたりで比べると胚盤胞移植のほうがやや有利ですが、採卵1回から最終的に出産できる人の割合は、初期胚移植と変わらないことが大規模な試験で示されています。
オランダで、胚が4個以上得られた予後良好の女性1,202人を、胚盤胞で移植するグループと初期胚(受精2〜3日目の胚)で移植するグループに分けた無作為化比較試験では、採卵1回あたりの累積出産率は胚盤胞58.9%、初期胚58.4%で、差はありませんでした[4]。胚盤胞移植は新鮮胚移植1回あたりの成績が良く、出産までに必要な移植回数が少なくて済むという利点がありました。一方で、胚盤胞グループでは単胎の中等度の早産がやや多かったことも報告されています。
この結果は、胚盤胞まで培養すること自体が胚の力を高めるわけではないことを示しています。培養の途中で成長が止まる胚は、子宮に戻しても着床しなかった可能性が高い胚であり、胚盤胞まで育てることは「育つ胚を見極める」ことに近いのです。そのため1回あたりの成功率は上がりますが、もともと採卵で得られた胚の中に出産できる胚が何個含まれていたかは変わりません。
凍結した胚盤胞を移植する方法については凍結胚移植で、新鮮胚移植との違いを含めて解説しています。
2. 着床しない重要な原因は「胚の染色体の数」
見た目の良い胚盤胞を移植しても着床しない重要な理由の一つが、胚の染色体の数が正しくないこと(異数性)です。染色体の数に過不足がある胚の多くは、着床しないか、着床しても早い時期に流産に終わります。前の章の表で、年齢とともに妊娠率が下がり、流産率が上がっていたのは、この異数性の胚が増えることが大きな背景にあります。
💡 用語解説:異数性(いすうせい)
ヒトの細胞は通常、23対46本の染色体を持っています。そのうち特定の染色体が1本多い(トリソミー)、または1本少ない(モノソミー)状態を異数性といいます。胚の段階で起こる異数性の多くは、卵子や精子ができるときの細胞分裂(減数分裂)で染色体がうまく分かれなかったことが原因です。ほとんどは着床しないか早期に流産しますが、21番染色体のトリソミー(ダウン症候群)のように出生に至るものもあります。
異数性とその種類については染色体の数的異常とはで詳しく解説しています。
年齢とともに増える胚の異数性
胚の異数性は、女性の年齢が26歳を過ぎたころから年齢とともに予測できる形で増えていきます[5]。米国で胚盤胞の栄養外胚葉から採取した15,169件の検体を調べた研究では、異数性の割合は26歳以降に年齢とともに上昇し、一方で23歳以下の若い年齢でもやや高く、40%を超えていました[5]。
🧬 年齢と「染色体が正常な胚が1個も得られない」割合
| 女性の年齢 | 正常な胚が1個もない割合 |
|---|---|
| 26〜37歳 | 2〜6%(最も低い) |
| 42歳 | 33% |
| 44歳 | 53% |
※PGT-Aを受けた2,701人・15,169検体の解析[5]による。PGT-Aを受けた集団のデータで、すべての体外受精患者を代表するものではありません。
同じ研究では、異数性のあった胚のうち64%は1本の染色体だけの異常で、2本が20%、3本以上が16%でした。年齢が上がるほど、複数の染色体にまたがる複雑な異常の割合が増えていました[5]。
年齢とともに異数性が増える理由は、卵子の成り立ちにあります。卵子のもとになる細胞は、女性が胎児のときにすでにつくられ、減数分裂の途中で止まったまま、排卵の直前まで何十年も待っています。その間に、染色体をペアとして結びつけておく仕組みが少しずつ弱まり、排卵の前後に分裂が再開したときに、染色体が正しく2つに分かれないことが起きやすくなります。仕組みの詳細は卵子で染色体異常(異数性)が起こる仕組みで解説しています。
これは卵子そのものの生物学的な性質で、食事や運動、サプリメントで元に戻せるものではありません。着床率を上げる方法を探すとき、この点を最初に押さえておくと、後の章で紹介する多くの方法の効果の大きさを冷静に見ることができます。
4AAでも染色体異常はありうる
見た目のグレードと染色体の数は別々のものさしで、4AAのような上位の評価の胚盤胞にも、染色体の数に異常がある胚は含まれます。グレードは顕微鏡で見た形の評価であり、染色体の数を直接見ているわけではないからです。
前の章で紹介した研究では、染色体が正常な胚の中でもグレードによって着床率が違いました[2][3]。これは裏を返すと、「グレード」と「染色体」はそれぞれ別に着床に影響している、ということです。グレードが良い胚は染色体も正常である割合がやや高い傾向はありますが、両者は一致しません。
4AAの胚を移植して着床しなかったとき、「良い胚だったのになぜ」と感じるのは自然なことです。しかし、その胚が染色体の数の異常を持っていた可能性は、年齢に応じて一定の割合で存在します。1回の不成功から、子宮や体に原因があると結論づける必要はありません。グレードと染色体の関係は4AAでも染色体異常は起こる?胚盤胞グレードとダウン症の関係で詳しく扱っています。
染色体が正常な胚でも、着床は100%ではない
染色体の数が正常と確認された胚盤胞を1個移植しても、着床・妊娠継続に至るのはおよそ半分から8割程度です。予後良好の女性を対象にした国際的な試験では、PGT-Aで正常と判定された胚を移植したグループの、移植1回あたりの継続妊娠率は50%でした[6]。前述の研究でも、正常胚の着床率はグレードによって48〜79%の幅がありました[2]。
染色体が正常でも着床しない理由として、子宮内膜の状態、胚と子宮内膜のタイミングの合い方、検査で調べきれない胚の問題(染色体の数以外の異常や、検査に使った細胞と胚の内側の細胞とで結果が異なる場合など)が考えられています。ただし、どの要因がどの程度関わっているのかは、現時点では十分に解明されていません。
つまり、胚の染色体をそろえても、1回で必ず妊娠するわけではありません。正常な胚でも1回で着床しないことは珍しくなく、それだけで子宮に異常があるとは言えないという点も、あわせて知っておいてください。
🩺 院長コラム【年齢の影響は、努力不足ではありません】
移植がうまくいかないと、食事や睡眠、仕事の仕方など、自分の生活に原因を探してしまう方が少なくありません。しかし、年齢とともに胚の染色体の数の異常が増えるのは、卵子が胎児期からつくられて長く待機するという生物学的な仕組みによるもので、日々の努力の良し悪しで決まるものではないと考えています。
臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、変えられるものと変えられないものを分けて考えることです。胚の染色体は変えられませんが、何個の胚を得て、どの順に移植し、どこで次の手を考えるかという治療の組み立ては、主治医と相談して変えることができます。
3. 胚の側でできること
胚の染色体を後から治す方法はなく、胚の側でできることは、主に「どの胚を移植するかを選ぶこと」と「胚を育てる環境を整えること」です。選ぶための方法として最も注目されているのがPGT-Aです。
PGT-Aで変わること・変わらないこと
PGT-Aは、移植1回あたりの成功率を上げ、流産を減らす可能性がありますが、採卵1回から出産できる人の割合を増やすことは示されていません。
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は、胚盤胞の栄養外胚葉から数個の細胞を採取し、染色体の数を調べてから移植する胚を選ぶ検査です。予後良好の女性661人を対象にした国際的な無作為化比較試験(STAR試験)では、移植1回あたりの継続妊娠率はPGT-A群50%、通常の形態評価の群46%で、全体では差がありませんでした。割り付けられた人全体あたりでみても、41.8%と43.5%で差はありませんでした。35〜40歳の人に限ると、移植1回あたりでは51%と37%でPGT-A群が高かったものの、割り付けられた人全体あたりでは差がありませんでした[6]。
中国で、20〜37歳で良好な胚盤胞が3個以上得られた女性1,212人を対象にした試験では、累積出産率はPGT-A群77.2%、通常の体外受精群81.8%で、通常の体外受精はPGT-Aに劣らないという結果でした。臨床妊娠後の流産の割合は、PGT-A群8.7%、通常群12.6%でした[7]。欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)は2023年の推奨で、PGT-Aを日常的に用いることは勧めていません[8]。
これらの結果をまとめると、PGT-Aは異数性の胚を移植から外すことで、「着床しない移植」や「流産に終わる妊娠」を減らす方向に働きます。そのぶん移植1回あたりの成功率は上がりえます。一方、PGT-Aは胚の染色体を正常にするわけではないため、採卵で得られた胚の中に正常な胚が何個あるかは変わりません。胚の数が少ない場合には、検査の過程で移植できる胚が減ったり、判定が確定しなかったりすることもあります。
日本では、日本産科婦人科学会の認可を受けた施設で、体外受精の不成功や流産を繰り返している方、女性の年齢が高い方、染色体の構造異常の保因者などを対象にPGT-A・PGT-SRが行われています。同学会は、胚の培養液を調べる非侵襲的PGT-Aについても注意喚起を出しています[9]。対象の細かい条件は改訂されることがあるため、同学会の最新の案内と主治医に確認してください。
また、PGT-Aは胚の外側の細胞の一部を調べる検査で、妊娠後に行う出生前検査の役割がなくなるわけではありません。PGT-Aの費用や限界はPGT-Aとはで、妊娠後の検査との関係は着床前診断をしてもNIPTは必要かで解説しています。
採卵・培養で医療側がしていること
培養の技術は治療施設ごとに工夫されていますが、ESHREは、タイムラプス(胚の成長を連続撮影して評価する方法)や孵化補助(アシステッドハッチング)を日常的に用いることは勧めていません[8]。いずれも、出産率を上げることを示す質の高い根拠が十分ではないという判断です。
一方で、卵巣刺激の方法を体の状態に合わせて選ぶこと、得られた卵子や胚を安定した環境で培養すること、複数の胚があるときに見た目の評価をもとに移植の順番を決めることは、体外受精の基本的な部分です。これらは特別な追加オプションではなく、治療施設が日常的に行っている工程です。
追加の技術を検討するときは、その方法が「移植1回あたりの数字」を上げるものか、「最終的に出産できる人の割合」を上げるものかを分けて考えると、判断しやすくなります。費用のかかる追加オプションほど、どちらの数字について根拠があるのかを主治医に確かめてください。
4. 子宮の側でできること:検査・治療と根拠の強さ
子宮の側で根拠がはっきりしているのは、画像で見つかる子宮の形の異常を確認し、必要に応じて治療することです。子宮内膜の「タイミング」や「炎症」「細菌」を調べる新しい検査もありますが、現時点では出産率を上げることは確認されていません。
ポリープ・筋腫など、子宮の形の問題
超音波などで子宮内膜ポリープや子宮の内側に突き出た筋腫、子宮の形の異常が疑われる場合は、子宮鏡で確認し、必要に応じて治療することが勧められます。一方、異常が疑われていない人に体外受精の前にルーチンで子宮鏡を行うことは、出産率の改善がはっきりしていません。
体外受精の前のスクリーニング子宮鏡を調べたコクランレビューでは、6つの試験(2,745人)をまとめると生産率が上がる可能性が示されたものの、根拠の質は低いと評価されました。バイアスの少ない2つの試験(1,452人)に限ると、生産率に差はありませんでした(リスク比0.99)[10]。ESHREも、ルーチンの子宮鏡は日常的には勧めず、画像で子宮の異常が疑われる場合に行うとしています[8][11]。
子宮内膜ポリープについては子宮内膜ポリープで、子宮筋腫については子宮筋腫で、種類や治療法を解説しています。
ERA検査(着床の窓)
💡 用語解説:着床の窓(implantation window)
子宮内膜が胚を受け入れられる状態になる、限られた期間のことです。排卵後に卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用で子宮内膜が変化し、この窓が開きます。凍結胚移植では、黄体ホルモンの投与を始めた日を基準に移植日を決めるのが一般的です。ERA検査は、子宮内膜の組織の遺伝子の働き方を調べ、この窓の時期が人によってずれていないかを推定しようとする検査です。
ERA検査で移植のタイミングを調整しても、出産率は上がらなかったことが、大規模な無作為化比較試験で示されています。米国で、染色体が正常と確認された胚盤胞1個を凍結胚移植する767人を、ERA検査で移植日を決めるグループと標準の日程で移植するグループに分けた試験では、生産率はERA群58.5%、標準群61.9%で、差はありませんでした[12]。
この試験は、胚の染色体という最大の要因をあらかじめそろえたうえで、子宮側のタイミングだけの効果を調べた点に意味があります。それでも差が出なかったことから、研究者は移植日の決定にERA検査を日常的に使うことを支持しないと結論しています。ESHREも、2023年の推奨でERAなどの子宮内膜受容能検査を勧めていません[8][11]。
ただし、これらは集団としての結果です。特定の条件の人で効果があるかどうかについては、まだ研究が続いています。
慢性子宮内膜炎・EMMA/ALICE
慢性子宮内膜炎の検査や、子宮内の細菌の種類を調べる検査(EMMA/ALICEなど)は、着床率を上げることが確かめられた検査ではありません。
慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に軽い炎症が続いている状態で、内膜の組織を採って形質細胞という免疫細胞(CD138という目印で染める)を探して診断します。ESHREの反復着床不全の推奨では、慢性子宮内膜炎の検査は「考慮してもよい」とされつつ、診断の基準が統一されていないこと、抗菌薬による治療の効果についての研究結果が一致していないことが指摘されています[11]。
子宮内の細菌の種類(マイクロバイオーム)を調べる検査については、同じ推奨の中で「勧めない」とされています[11]。細菌の構成と着床の関係を調べる研究は進んでいますが、検査結果に基づいて治療を変えることで出産率が上がるという証拠は、まだ得られていません。
SEET法・二段階移植・内膜スクラッチ
子宮内膜を細い器具で軽く傷つける内膜スクラッチは、大規模な試験で出産率が上がらないことが示されています。5か国13施設の1,364人を対象にした無作為化比較試験では、生産率はスクラッチ群26.1%、対照群26.1%で同じでした。反復着床不全の人に限っても差はありませんでした[13]。ESHREも内膜スクラッチを日常的には勧めていません[8]。
SEET法(胚を培養した液をあらかじめ子宮に注入してから胚盤胞を移植する方法)や二段階移植(初期胚と胚盤胞を日を分けて移植する方法)は、日本の一部の施設で行われている方法です。胚からのシグナルで子宮内膜を着床に適した状態にするという考え方に基づいていますが、本記事の調査の範囲では、出産率の改善を確かめた質の高い無作為化比較試験は確認できませんでした。二段階移植は複数の胚を戻す方法のため、多胎妊娠の可能性にも注意が必要です。
これらの方法を勧められたときは、効果を示した研究がどのような人を対象にしたものか、出産率で比べたものかを確認すると、判断の材料になります。
方法別の根拠の強さ一覧表
ここまで紹介した方法を、ESHREの2023年の推奨をもとに整理すると、次のようになります[8][11]。「勧めない」は効果がないと証明されたという意味ではなく、日常的に使うだけの根拠がそろっていないという意味です。
📋 着床率を上げるとされる方法と根拠の強さ
| 方法 | ESHREの位置づけ | 本記事での整理 |
|---|---|---|
| 画像で異常が疑われる場合の子宮鏡 | 推奨 | ポリープ・筋腫などの確認と治療に意味がある |
| ルーチンの子宮鏡 | 日常的には勧めない | 質の高い試験では出産率に差なし |
| PGT-A | 日常的には勧めない | 移植あたりの成功率・流産は改善しうるが、累積出産率は増えない |
| タイムラプス・孵化補助 | 日常的には勧めない | 出産率改善の根拠が不十分 |
| 子宮内膜スクラッチ | 日常的には勧めない | 大規模試験で出産率は同じ |
| ERA検査 | 勧めない | 正常胚の移植でも出産率は上がらず |
| 子宮内の細菌検査 | 勧めない(反復着床不全) | 治療を変えて出産率が上がる根拠なし |
| 慢性子宮内膜炎の検査 | 考慮してよい(反復着床不全) | 診断基準が未統一、治療効果の研究結果が一致しない |
| 抗酸化サプリ・PRP・G-CSF・イントラリピッド | 勧めない | 質の高い根拠がない |
| SEET法・二段階移植 | 本記事で確認した推奨には項目なし | 質の高い無作為化比較試験を確認できず |
※ESHRE「Good practice recommendations on add-ons in reproductive medicine」(2023)[8]および「ESHRE good practice recommendations on recurrent implantation failure」(2023)[11]をもとに作成。推奨は今後の研究で変わる可能性があります。
🩺 院長コラム【検査が多いほど良いとは限らない】
着床しない理由を知りたいと思うのは当然のことで、調べられる検査が次々に紹介されると、全部受けたほうがよいように感じられるかもしれません。しかし、検査の結果に基づいて治療を変えても出産率が上がらないのであれば、その検査は時間と費用をかける割に得るものが少ないことになります。
臨床遺伝専門医として、検査の価値は「何がわかるか」ではなく「わかった結果で次の行動が変わり、結果が良くなるか」で判断するものだと考えています。根拠の強さを確かめたうえで、自分に必要な検査を主治医と選ぶことが大切だと考えています。
5. 生活習慣でできること(効果の大きさは正直に)
生活習慣のうち、体外受精の成績との関係がはっきりしているのは、体重と喫煙です。一方で、特定の食べ物、サプリ、寝方、移植後の安静が着床率を上げるという質の高い根拠はありません。生活習慣の見直しは大切ですが、その効果は、前の章までで見た胚の染色体の影響と比べると小さいことも知っておいてください。
根拠があるもの:禁煙・体重・飲酒
肥満は、体外受精の生産率の低下と関係しています。21のコホート研究をまとめたメタ解析では、BMI 30以上の女性は標準体重(BMI 18.5〜24.9)の女性と比べて生産率が低く(リスク比0.85)、BMI 25〜29.9の過体重でも低い傾向(リスク比0.94)がありました。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を伴う肥満では、関係がより強く見られました[14]。
ただし、これは観察研究から得られた「関係」で、減量すれば同じだけ生産率が上がることを示したものではありません。体重を減らすことが妊娠中の合併症のリスクを下げる面もあるため、治療の時期とのバランスを主治医と相談しながら考えることになります。
喫煙は、妊娠する力を下げ、体外受精の成績にも悪い影響を与えることが知られています。米国生殖医学会(ASRM)は委員会見解で、喫煙が不妊の原因になりうることを示し、禁煙を勧めています[15]。本人の喫煙だけでなく、パートナーの喫煙についても見直しの対象になります。
飲酒については、体外受精の成績との関係を調べた研究の結果が一致しておらず、本記事では数値を示しません。妊娠を目指している時期は、妊娠が成立した場合の胎児への影響も考え、量を控えておくのが現実的です。
根拠が乏しいもの:食事・サプリ・寝方・移植後の安静
移植後に安静にする必要はありません。胚移植後の安静と、すぐに普段どおり動くことを比べた研究をまとめたメタ解析では、安静によって成績が良くなることはなく、かえって悪い影響を与える可能性があると結論づけられています[16]。移植した胚は子宮の中で動き回って落ちてしまうものではなく、歩いたり立ち上がったりしても影響はありません。
「着床しやすい寝方」についても、特定の姿勢で着床率が変わるという根拠はありません。楽な姿勢で休んでかまいません。
抗酸化作用をうたうサプリメントについては、ESHREが根拠の質が非常に低いとして勧めていません[8]。「着床率を上げる食べ物」として特定の食品が紹介されることもありますが、それを食べることで着床率が上がると確かめた研究はありません。食事は偏りなくとるのが基本で、妊娠を考える時期に一般的に勧められている葉酸の摂取などを、主治医の説明に沿って続けてください。
生活のひとつひとつに気をつけるあまり、日常生活が大きく制限されてしまう方もいます。効果が確かめられていないことまで我慢する必要はない、ということも、根拠を知ることで得られる大事な情報です。
6. 何度移植しても着床しないとき(反復着床不全)
良好な胚を何度か移植しても着床しない場合は、「反復着床不全」として、原因を調べる検査を考える段階になります。何回で反復着床不全とするかは、年齢や移植した胚の状態によって変わります。
💡 用語解説:反復着床不全(RIF)
良好と考えられる胚を移植しても、妊娠反応が陽性にならない状態が繰り返されることをいいます。英語の recurrent implantation failure を略してRIFとも呼ばれます。妊娠は成立するものの流産や死産を繰り返す「不育症」とは区別されます。以前は「良好胚を3回以上移植しても着床しない」などの回数による定義が使われていましたが、現在は年齢や胚の状態を考慮した考え方に変わってきています。
反復着床不全の定義
ESHREは2023年の推奨で、反復着床不全を回数ではなく、「その人で予測される累積の着床の見込みが60%に達するだけの移植をしても着床しない状態」を目安として考えることを示しました[11]。
この考え方では、同じ回数の不成功でも、年齢や胚の状態によって意味が変わります。たとえば、染色体が正常と確認された胚を移植している若い人と、染色体を調べていない胚を移植している40代の人とでは、1回あたりの着床の見込みが大きく異なります。後者では、数回の不成功が胚の異数性だけで説明できることも少なくありません。回数で一律に区切るより、その人にとって「何回の移植で、本来ならどのくらい着床していたはずか」を基準にする、という発想です。
そのため、「何回失敗したら検査すべきか」には一律の答えがありません。これまでに移植した胚の数と状態、年齢を主治医と整理したうえで、検査に進むかどうかを判断することになります。
考えたい検査:夫婦の染色体検査・不育症との違い
反復着床不全で検討してよい検査として、ESHREは夫婦の染色体検査、3D経腟超音波による子宮の形の評価、画像で異常が疑われる場合の子宮鏡などを挙げています[11]。一方、ERA検査、NK細胞の検査、子宮内の細菌検査は勧めていません[11]。
夫婦の染色体検査は、夫婦のどちらかが「均衡型転座」などの染色体の構造の変化を持っていないかを調べる検査です。均衡型転座は、2本の染色体の一部が入れ替わっているものの、全体の遺伝情報の量は保たれている状態で、本人は健康に過ごしていることがほとんどです。しかし、卵子や精子ができるときに遺伝情報の量が偏った組み合わせができやすく、その結果、胚の染色体に過不足が生じて、着床しない・流産を繰り返す原因になることがあります。ESHREは、異常が見つかった場合には遺伝カウンセリングを受けることを勧めています[11]。検査の内容は染色体検査(Gバンド法)で解説しています。
反復着床不全と混同されやすいのが不育症です。反復着床不全は「妊娠反応が陽性にならない」状態、不育症は「妊娠は成立するが流産や死産を繰り返す」状態を指します。どちらにも胚の染色体の問題や夫婦の染色体の構造の変化が関わりうる点は共通していますが、調べる項目や対応は同じではありません。不育症については不育症とはで解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 胚盤胞移植で着床しなかったらどうなりますか?
妊娠判定で陰性となり、通常はその後に月経が来ます。黄体ホルモンの薬を使っている場合は、薬をやめたあとに出血が起こります。着床しなかった理由として胚の染色体の数の異常は重要な要因で、1回の不成功だけで子宮や体に異常があるとは言えません。不成功が続く場合は、年齢や胚の状態を踏まえて、反復着床不全として検査を考えるかどうかを主治医と相談します。
Q2. 40歳で胚盤胞移植をした場合、妊娠できる確率は?
日本の2023年の統計では、40歳の移植1回あたりの妊娠率は33.3%、妊娠後の流産率は35.6%でした。ただしこれは初期胚・胚盤胞、新鮮胚・凍結胚をすべて合わせた集団の平均で、個人の確率ではありません。実際の見込みは、得られた胚の数や状態によって変わります。
Q3. 着床しやすい寝方はありますか?
特定の寝方や姿勢で着床率が変わるという根拠はありません。楽な姿勢で休んでかまいません。
Q4. 移植後は安静にしたほうがいいですか?
安静にする必要はありません。研究をまとめたメタ解析では、移植後の安静で成績が良くなることはなく、かえって悪い影響を与える可能性があると報告されています。普段どおりの生活でかまいません。
Q5. PGT-Aを受ければ必ず妊娠できますか?
いいえ。PGT-Aで染色体の数が正常と判定された胚を移植しても、移植1回あたりの継続妊娠率はおよそ50%と報告されています。PGT-Aは異数性の胚を移植から外すことで移植1回あたりの成功率を上げうる一方、採卵1回から出産できる人の割合を増やすことは示されていません。
Q6. 胚盤胞移植後、フライング検査はいつからできますか?
移植後の日数ごとの妊娠検査薬の反応と、陰性から陽性に変わるケースについては、胚盤胞移植9日目|妊娠検査薬のタイミングで詳しく解説しています。正式な判定は、治療施設が指定した判定日の血液検査で行います。
Q7. 胚盤胞は移植後いつ着床しますか?
胚盤胞は着床の直前まで育った段階の胚のため、移植から数日のうちに着床が始まると考えられています。移植日からの着床の流れや出産予定日の計算は、胚盤胞移植の着床・妊娠判定のスケジュールで解説しています。
Q8. ミネルバクリニックで体外受精や着床率を上げる治療は受けられますか?
いいえ。当院では体外受精・胚移植、ERA検査などの不妊治療は行っておらず、この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。不妊治療については、生殖医療を専門とする医療機関にご相談ください。
まとめ
胚盤胞移植の着床率は年齢によって大きく変わり、日本の2023年の統計では移植1回あたりの妊娠率が30歳で51.1%、40歳で33.3%でした[1]。その差の重要な背景の一つは、年齢とともに増える胚の染色体の数の異常です[5]。この要因は、生活習慣やサプリメントで変えることはできません。
着床率を上げる方法として紹介されるもののうち、PGT-Aは移植1回あたりの成功率を上げうるものの累積の出産率は増やさず[6][7]、ERA検査や子宮内膜スクラッチは大規模な試験で出産率の改善が示されませんでした[12][13]。根拠がはっきりしているのは、画像で異常が疑われる場合の子宮の治療と、体重・喫煙の見直しです。不成功が続く場合は、夫婦の染色体検査を含めた検査を主治医と相談してください。
🏥 体外受精・胚移植の治療をお考えの方へ
当院では、体外受精・胚移植・ERA検査などの不妊治療を行っておりません。
この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。
不妊治療については、生殖医療を専門とする医療機関へご相談ください。
この記事は着床率について正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。なお、他の診療の過程で具体的な遺伝学的評価が必要と判断された場合に限り、遺伝カウンセリングが関係することがあります。
参考文献
- [1] 日本産科婦人科学会. 2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績. [日本産科婦人科学会]
- [2] Lou H, Li N, Guan Y, et al. Association between morphologic grading and implantation rate of Euploid blastocyst. J Ovarian Res. 2021;14(1):18. doi:10.1186/s13048-021-00770-8. PMID:33485390. [J Ovarian Res]
- [3] Irani M, Reichman D, Robles A, et al. Morphologic grading of euploid blastocysts influences implantation and ongoing pregnancy rates. Fertil Steril. 2017;107(3):664-670. doi:10.1016/j.fertnstert.2016.11.012. PMID:28069172. [PubMed 28069172]
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- [5] Franasiak JM, Forman EJ, Hong KH, et al. The nature of aneuploidy with increasing age of the female partner: a review of 15,169 consecutive trophectoderm biopsies evaluated with comprehensive chromosomal screening. Fertil Steril. 2014;101(3):656-663.e1. doi:10.1016/j.fertnstert.2013.11.004. PMID:24355045. [ScienceDirect]
- [6] Munné S, Kaplan B, Frattarelli JL, et al. Preimplantation genetic testing for aneuploidy versus morphology as selection criteria for single frozen-thawed embryo transfer in good-prognosis patients: a multicenter randomized clinical trial. Fertil Steril. 2019;112(6):1071-1079.e7. doi:10.1016/j.fertnstert.2019.07.1346. PMID:31551155. [PubMed 31551155]
- [7] Yan J, Qin Y, Zhao H, et al. Live Birth with or without Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy. N Engl J Med. 2021;385(22):2047-2058. doi:10.1056/NEJMoa2103613. PMID:34818479. [PubMed 34818479]
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- [9] 日本産科婦人科学会. 不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR). [日本産科婦人科学会]
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- [15] Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Smoking and infertility: a committee opinion. Fertil Steril. 2018;110(4):611-618. doi:10.1016/j.fertnstert.2018.06.016. PMID:30196946. [PubMed 30196946]
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