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卵子の質を上げる方法|妊娠しない原因と年齢の関係を解説

卵子の質の低下は、妊娠率や流産率、染色体異常の増加につながります。そのため卵子の質を上げるためにどのようなことをすればいいか気になる人も多いでしょう。今回は、卵子の質と加齢の関係や卵子の質を上げるためにできることを解説します。卵子の質は抗酸化対策や生活習慣の改善など今日から取り組めるものばかりです。是非参考にしてくださいね。

卵子の質とは?

卵子の質とは、妊娠や出産に必要となる、受精する能力や成長する能力、正常な染色体を持っているかどうかを表すものです。卵子の質には一つひとつばらつきがあり、同じ女性でも卵子の状態がいいものとそうではないものもあるため、排卵日にタイミングを待っても正常な染色体を持っていない卵子が排卵された場合は正常に受精することができません。

つまり、染色体異常が見つかったり、一度流産したからといって、他の卵子の質も同じように悪いとは限らないのです。卵子の質は妊娠や出産を考える女性にとって大切なポイントですが、卵子の質だけが良ければいいというわけではありません。卵管や子宮の状態、パートナーの精子の状態など、他に問題があれば妊娠が難しいこともあります。妊娠は卵子の質だけで決まるのではなく、さまざまな要因が組み合わさって決まることを理解しておきましょう。

卵子の質は加齢とともに低下する

卵子が老化すると
卵子の質は加齢とともに減少することがわかっています。さらに女性は生まれながらに一生涯の卵子をすでに持っており、出生時から閉経までの間に卵子の数は減少していくのです。卵子の数が減少し、卵子の質が低下すると以下のことが起こります。

□ 妊娠率の低下
□ 流産率の増加
□ 染色体異常児の発生率の増加
それぞれを解説します。

妊娠率の低下

加齢により卵子の質が低下すると、自然妊娠の確率も低下します。30歳が6ヶ月で妊娠する確率は77%であるのに対し、37歳を過ぎると62%、42歳では29%にまで下がることが研究により明らかになっています。妊娠にはいくつもの条件が合わさって成立するため、一概に卵子の質が原因とは言えませんが、卵子の質が低下することで、うまく受精できない卵子の割合が高くなることは、日本生殖医学会のデータでも明らかになっています。

参照:北カリフォルニア大学
Impact of female age and nulligravidity on fecundity in an older reproductive age cohort

流産率が増加する

女性の加齢と流産率の増加
一回の妊娠における流産の頻度は15%と誰にでも起こり得るものです。しかし加齢に伴ってその割合が増加することがわかっています。特に40歳以上では、妊娠の約50%が流産するとのデータもあります。散発流産の70~80%は胎児(胎芽)染色体異常によって起こります。

これも全てが卵子の質の問題であるとは限りませんが、染色体異常などによって受精しても胚がうまく育たないことが原因で流産に至ることもあります。

厚生労働省が示す上記の表でも、30~34歳以下の流産率は10%程度であるのに対し、35歳以上から徐々に増加し、40歳以上では41.3%となっていることから流産と加齢が相関関係にあるのは明らかです。

染色体異常児の出生頻度が増加する

女性の年齢と子どもの染色体異常のリスク
卵子の質が低下すると、染色体異常児の出生率の割合が増加します。卵子の低下が進み、流産することなく出生した場合でも、21トリソミーや16トリソミーなどの染色体疾患を持った子どもを出産する頻度が高くなります。

染色体異常は、受精卵の本来2 本のペアである染色体が3 本になるトリソミーや1 本しかないモノソミー、それぞれの染色体が3 本あって全部で69本になる三倍体などがあります。

上記の表では、40歳を境に徐々に染色体異常児の出生率が増えはじめ、49歳では125%になっているのがわかります。

卵子の質を上げるためにできること

普段の生活の中にも、卵子の質を上げるために以下のようなことに取り組むことができます。
□ 抗酸化対策
□ 生活習慣の改善

それぞれを解説します。

抗酸化対策

卵子の質を上げるためには抗酸化対策を行いましょう。私たちの体にはもともと尿酸やアスコルビン酸、メラトニンなどの抗酸化物質が存在しており、体の酸化を防ぎ病気や老化に負けない体を作っています。しかし、20代を境にこれらの物質量が低下していくのです。卵子の質を維持するには、体内で不足する抗酸化物質を食べ物で補いましょう。

抗酸化対策をすることで、ミトコンドリアの酸化も防ぐことができます。ミトコンドリアはエネルギー産生に欠かせない物質で、卵子の質にも影響するため以下の食品を積極的に摂りましょう。

【卵子の質を上げる食べ物】
□ 魚介類
□ 動物の内臓
□ にんにく
□ 緑黄色野菜(パプリカ、ブロッコリーなど)
□ キウイフルーツ
□ 植物油(ひまわり油、やし油)
□ 赤ワイン
□ リンゴ
□ 海藻類

これらの食品はスーパーで手に入れることができるものばかりです。抗酸化対策にはビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類、ミネラル類の摂取を意識しましょう。

生活習慣の改善

ミトコンドリアはストレスや食生活の乱れ、腸内環境などによって機能低下するため、生活習慣を改善すれば卵子の質の改善にもつながります。生活習慣の改善には以下のポイントをチェックしてみましょう。

【卵子の質を上げるためのチェックポイント】
□ 食生活の改善
□ 質の良い睡眠
□ 適度な運動

食生活の改善

妊娠しやすい体を作るためには食生活を見直すことが大切です。食生活を改善することで、卵子の質を高め、妊娠しやすい体を作ることができます。

例えば、スイーツや甘い飲み物、パン、麺類、米を避ける糖質制限です。糖質制限をすることで、体の糖化を防ぐことができ、卵巣機能の低下や体外受精の成績低下も防ぐことができるなどの報告があります。食後のデザートは何かを頑張ったときのご褒美として摂り、野菜中心の食事を心がけましょう。

また、高タンパク質の食事やビタミンD、鉄、葉酸を意識した食事も妊娠しやすい体を作るためには欠かせません。これらの成分は、卵子の質を高め流産しにくい卵子を育てたり、免疫機能を高めたり、子宮の環境を整えたり、赤ちゃんの成長に必要な栄養素です。効率よく摂取するためには、食品以外にもサプリメントで必要な栄養素を補うことができますよ。

質の良い睡眠

睡眠は体を休めるだけでなく、さまざまなホルモンの分泌を促したり整えたりするために欠かせません。中でも睡眠を促すホルモンの「メラトニン」は卵子の質にも影響します。メラトニンは卵胞液中に高濃度に存在しており、卵の質が良くないために妊娠が難しい患者にメラトニンを投与したところ、卵胞液中の酸化ストレスが軽減して卵の質が改善されたとの報告があります。

質の良い睡眠をとるためには、ストレスを溜め込まないのはもちろん、寝具や室温などを見直すことも大切です。日本のように湿度が高い環境は睡眠に影響を及ぼすため、エアコンや除湿器を使って調整しましょう。また、少しぬるめの39度程度の湯船にゆっくり浸かるのも、質の良い睡眠をとることができます。

適度な運動

適度な運動も卵子の質を上げるためには欠かせません。妊娠するためには卵巣への血流をよくして栄養を届けましょう。また、血行不足が解消すれば、排卵後の子宮内膜着床に適した状態に近づきます。

卵胞期は体を温める程度の軽めの運動が理想です。手軽に取り組めるウォーキングやストレッチ、ヨガなどを取り入れ体がじんわりと温かくなる程度の運動強度で行いましょう。また、激しい運動はNGです。激しい運動は活性酸素が作られてしまうため、卵子の老化につながります。長時間の激しい運動を行う必要があるときは医師に相談してください。

まとめ

卵子の質は、妊娠や出産に必要となる、受精する能力や成長する能力、正常な染色体を持っているかどうかを指し、加齢により卵子の質が低下することがわかっています。卵子の質が低下すると、妊娠率や流産率、染色体異常児の出生率にも関わるため、妊娠を希望したときには生活習慣を見直すことが大切です。また、抗酸化作用のある栄養素を積極的に摂ることで、体の酸化を防ぐこともできますよ。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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