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妊娠初期に流産しやすい行動とは?原因・兆候・気をつけることを解説

流産とは?

妊娠したにも関わらず何かしらの原因によって妊娠が継続できず、赤ちゃんが亡くなってしまうことを「流産」といいます。日本産婦人科学会によると「妊娠22週目(赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数)よりも前に妊娠が終わること」をすべて流産としています。母体や胎児の異常、両親の事情含めてすべて同じ扱いです。

日本産婦人科学会によると妊娠した女性の4割が流産しているという報告が上がっており、決して人ごとではないことがわかっています。

妊娠初期は流産しやすい

実は流産全体の80%が妊娠初期となる12週目までに起きている(日本産婦人科学会調べ)というデータがあります。それだけ妊娠初期というのは流産しやすい傾向です。そうなると妊婦さんは自分の行動一つで赤ちゃんが亡くなってしまうと思ってしまいますが、ママさんの行動はほとんど関係がありません。

妊娠12週目までに流産した理由の多くは赤ちゃんの染色体異常によるものです。これは受精した段階で精子卵子に何かしらの理由で、染色体の異常があって生まれてこられないまま受精卵となってしまったことによります。つまり、妊娠初期の12週目までの流産は、妊婦さんの行動によって起きたわけでありませんので気にしないようにしましょう。この事実を妊婦さん本人はもちろん、パートナーや周りの人が知っておくと気が楽になると思います。

ただし、妊娠初期はホルモン分泌によって身体が変化する時期です。体調を崩しやすいので気をつけてほしいのは変わりません。体調管理は忘れずに注意しましょう。

妊娠初期に流産の兆候と思われる症状

妊娠初期の流産では、性器から出血が唯一の兆候です。週数が短いと少量ですが、週が進むと量も増えてきて血液に粘液や血のかたまりが含まれていることがあります。場合によっては痛みを感じることもあります。もしお腹の張りが収まらない場合はすぐに病院へ連絡をしてください。遅くなると入院になる恐れもあるので早めに行動をしましょう。

家庭の環境によって入院して様子を見るのが難しいご家庭もあります。もし当てはまるならば医師に事情を話してみてください。状況も考慮した上で判断をしてくれると思います。

流産が起きる原因

まず知っておいてほしいのは年齢によって流産する確率が高くなることです。

年代 確率
20代 8%から20%
30代 20%から25%
40代 30%

20代であれば流産する危険性は低いのですが、30代に入ると数値が徐々に上がっていき、40代になると30%まで上昇します。原因は卵子の質が下がることによるものです。こればかりは解消できる方法はありませんので、もし流産したとしても自分を責めるのは止めてください。特に妊娠12週目までの流産は、上述したように母体が原因である可能性はほぼありません。また、精子も年齢が上がることで質が落ちることがわかっていますので、高年齢のカップルは、こうした事実を認識した上で行動するようにしてください。

妊娠13週目以降の原因として挙げられるのは、胎児構造異常(2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠している)、母体の内分泌・免疫・凝固系(血液が固まりやすくなる)の異常や感染症、子宮形態異常などさまざまです。お酒を飲んだり、タバコを吸ったりした影響によって起きるケースもあります。

流産の種類

流産は、いくつか種類が分けられています。それぞれに名前も付いていて症状によっては治療法もありますのでご紹介します。

原因による分類

人工流産
いわゆる「中絶手術」です。母体保護法指定医によって処置される手術になります。
自然流産
中絶手術以外の流産はすべてこちらになります。

症状による分類

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)
近年増加している症状です。ストレスが原因ではないかと考えられています。胎児はいるけど心拍が認められずに死亡している状態です。出血・腹痛などの自覚症状がないため医院での診察で初めて発見されるケースが多い流産です。妊娠週数によっては入院して子宮内容除去手術を受ける必要がありますが、外来で様子を見て自然に流れるのを待つケースも多いようです。
・進行流産
腹痛、出血から始まり、子宮内容物が外に出てきている状態です。その後、「完全流産」と「不全流産」に分かれます。

流産の進行具合による分類

完全流産
進行流産から子宮内容物が外に出てきてしまった状態を指します。痛みや出血は多くの場合収まっています。経過観察で対応しますが、症状によっては子宮収縮剤投与を追加することもあります。
不全流産
子宮内容物が一部留まっている状態です。痛みや出血が続いており、子宮内容除去手術をする場合が多い状態です。

流産の状態に伴う分類

感染流産
細菌の感染を伴った流産です。母体にも影響を与えてしまい死亡リスクも上昇することから慎重な管理が求められます。

流産の回数による分類

反復流産
流産を2回することです。頻度は2~5%と言われています。
習慣流産
流産を3回以上した場合に用いられる名称です。流産は多くの女性が経験する疾患ですが、3回以上となると僅か1%のみです。そのため両親に疾患がある可能性が考えられ、専門機関で検査を受けるケースもあります。ただし原因が不明という場合もありますのでご注意ください。子宮のかたちの異常、カップルの染色体異常などが原因と考えられています。

流産の時期による分類

化学流産
妊娠検査薬(尿や血液による反応も含む)によって妊娠の反応が出たけど、その後の超音波検査で判明できなかった状態です。多くの場合、超音波検査で確認できる週数に入る前に流産したと考えられています。妊娠反応をしなければわからないことがほとんどなので経過観察で様子を見ています。

流産しやすい妊婦さんの行動

赤ちゃんが欲しい女性

妊娠初期は流産しやすい時期であると同時に妊婦さんの体質が変化してくる時期でもあります。妊娠12週目までは母体が原因で流産はしないまでも無理な行動をすると元も子もありません。そこでどんな行動をすると流産しやすくなるのかを紹介しますので反面教師にしてください。

あれもこれも自分の行動に制限をかけてしまう
ようやく授かった赤ちゃんなので心配するのはわかります。しかし、大事にするあまり自分の行動に制限をかけすぎるとかえってストレスがたまる原因になってしまいます。ストレス過多は13週以降に流産する原因の場合がありますので、無理をせずに自分の行動にやたらと制限をかけない生活をしてください。
お酒やタバコを止めずに続ける
ご存じのように妊娠中のアルコールとタバコは厳禁です。しかし、止められずにいる妊婦さんがいるのも事実です。大事な赤ちゃんを守るためにも妊娠中だけでもいいからタバコとお酒は控えてください。もし止められないのであれば、主治医に相談といった止めるための行動をするようにしましょう。
ヒールの高い靴を履いて仕事をする
職場によってはヒールを履くように言われているところもあるかもしれません。しかしながら、胎盤を作っている時期に転倒をすると万が一のことがあるのでローヒールやパンプスに履き替えてるようにしてください。ちなみに男女雇用機会均等法には母性健康管理の措置というのがありますので妊婦健診などで休みを取る場合や通勤の緩和や休憩時間についても規定されていますので確認しておきましょう。

参考サイト:働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について(厚生労働省)

流産しやすい食品があるのか?

特定の食品を食べたから流産しやすくなることはありません。先述したように妊娠初期に起きる流産の原因は染色体異常がほとんどです。食品の接種によって起きる可能性はないとお考えください。

ただし、お腹の中に赤ちゃんがいるときは摂らないほうがいい食材はあります。アルコールは胎児の成長に悪影響を与えるため厳禁です。カフェインも摂りすぎると良くないのでコーヒーなら1杯分(200ml)までにしましょう。他にはお刺身や生肉、生卵を食べるのも避けてください。なぜなら胎盤を介して胎児が感染症にかかる恐れがあるからです。

特に妊娠初期の妊婦さんが感染するとで、重篤な先天的疾患にかかってしまったり、胎内で死亡してしまうリスクがあがります。

流産を防ぐために

繰り返しになりますが、妊娠12週目までの流産は防ぐことができません。もし起きてしまったら、つらくても自分を責めずに過ごしてほしいと思います。13週以降の流産を防ぐには「激しい運動を控える」「重い物を持たない」といった予防法があります。他にも「身体を温める」「ぐっすりと眠る」のも有効な手立てです。妊娠16週目を過ぎれば安定期と呼ばれて流産する可能性が低くなりますが、生活習慣が乱れたままだと確率が高くなるので注意しましょう。

もし、流産した経験が2回以上なる妊婦さんは「不育症」の可能性があるので医師に相談の上、抗リン脂質抗体症候群の検査、自己抗体の検査、凝固一線溶系検査、黄体機能不全の検査(ホルモン採血、基礎体温の記入)などを受けてみましょう。原因は不明だとしても原因を探ることが、流産を防ぐ第一歩です。

妊娠初期に気をつけておきたいこと

少しでも流産を防ぐためにやっておいたほうがいいことがありますのでご紹介します。

風邪や感染症の予防と薬の服用

妊娠初期は身体の免疫力が落ちやすい時期です。そのため風邪を引きやすく、インフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなっています。病気になるのはお腹の赤ちゃんにとっても良くないので手洗いやうがいをまめにして、室内の換気もこまめにしておきましょう。薬は胎児に影響を与えるものもありますので、服用する際は医師に相談をしてOKが出たものだけを飲むようにしてください。

体に負担がかかる運動や行動は避ける

制限はかけないほうがいいと言いましたけど、無理はしないでください。例えば、筋トレやランニングといった激しい運動をするのは避けてウォーキングやヨガに変更して身体への負担を軽くしましょう。体調が優れない場合は横になって身体を楽にしてください。もし医師から安静にするように言われたら従うようにしましょう。

酸の摂取

妊活で摂るように言われる葉酸は妊娠初期にも必要な栄養素です。葉酸はビタミンBの一種で、胎児神経管閉鎖障害(二分脊椎無脳症など)予防に効果あるといわれています。神経管閉鎖障害の発症リスクを下げるためにはできる摂るようにしましょう。1日に必要な量は0.4mgです。葉酸は緑黄色野菜に多く含まれていますが、食事だけで摂るのは大変なのでサプリメントも併用するのがおすすめです。

流産後の妊娠について

症状や医師の判断によって異なりますが、最短で生理を1回過ぎれば問題ないと言われています。
流産で残っている残留物がなくなり、流産後は子宮内がきれいになって妊娠しやすいといわれていますが、体質的に妊娠しやすくなるということはないでしょう。

流産後は精神的なショックが大きいので、心と体のケアをしてください。
妊活を再開するのであれば、流産後に抱えた不安やストレスを取り除いてあげる事が望ましいでしょう。

世界保健機構(WHO)は、流産後の次回妊娠の経過がうまくいく為には、6ヶ月間の妊娠を延期することを推奨していました。
しかし2017年に次回妊娠成立まで6ヶ月未満であった場合には、6ヶ月以上間隔が開いた場合に比べて、流産するリスクや早産、低出生体重児のリスクが明らかに低いとの報告も出てきました。
しかも新しい報告では、意外なことに母親の人種やお産の回数に関係なく、流産後3ヶ月未満での妊娠の場合には、流産を繰り返すリスクが最も低いという報告があったので早めに再開したほうがいいかもしれません。

まとめ

せっかく妊娠したのに流産になってしまった女性は自分を責めてしまいがちです。もしかしたら自分が流産しやすい行動をしてしまったから?と思い詰めたりもします。しかしながら、妊娠初期の0週目から12週目の間での流産は母体が原因である可能性はほぼありません。

ところが自分が原因だと思ってしまう女性が大勢いらっしゃいます。そんなに自分を責めないでください。ご紹介したように妊娠初期に流産しやすい行動をしても、12週目までに流産するのはあなたの責任ではありません。だからこそ正しい知識を知って新しい命を授かることを祈っています。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

わかりやすく動画で紹介

【早期流産の原因の半分、実はコレです】現役医師がこっそり教えます

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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