InstagramInstagram

NIPTが救ったママのこころ


NIPT体験談—18トリソミー診断と無頭蓋症を乗り越えた母の決断

妊娠は喜びと希望に満ちたものですが、時には思いがけない試練に直面することもあります。今回は、NIPT(新型出生前診断)を受けて18トリソミーと診断され、さらに超音波検査で無頭蓋症が確認されたお母さんの体験談をご紹介します。

「NIPTが救ったママのこころ」—これは、一つの検査がどれほど大きな安心と希望を与えるかを示す実話です。

最初の妊娠とNIPTの決断

妊娠初期、彼女は赤ちゃんの健康を早めに知りたいという思いから、NIPTを受検しました。高齢出産であることも考慮し、特に染色体異常のリスクを確認することを目的としていました。

しかし、検査結果は想定外のものでした。「18トリソミーの可能性が高い」という診断が下されたのです。

18トリソミーとは?

18トリソミー(エドワーズ症候群)は、通常2本ある18番染色体が3本になることで発生する疾患です。重度の心疾患、発育の遅れ、多臓器異常を伴うことが多く、多くの赤ちゃんは出生後まもなく亡くなるケースが多いとされています。

さらに、その後の精密超音波検査で、無頭蓋症が確認されました。

無頭蓋症のメカニズム

無頭蓋症(Anencephaly)は、胎児の頭蓋骨と脳が正常に形成されない神経管閉鎖障害(NTD: Neural Tube Defect)の一種です。

妊娠3〜4週頃に、胎児の神経管が正常に閉じなかった場合、脳や頭蓋骨の発達が阻害され、生存の可能性が極めて低い状態になります。

また、葉酸の摂取が神経管閉鎖障害の発生リスクを低減するとされていますが、18トリソミーとは異なるメカニズムで発生するため、葉酸不足が直接の原因ではありません

「私のせい?」—母としての葛藤

診断を受けた瞬間、彼女の心は深い悲しみに包まれました。

「私のせいなの?」

彼女は、自分を責めずにはいられませんでした。特に、過去の妊娠ではしっかりと葉酸を摂取していたのに、今回はあまり意識していなかったことを思い出し、「葉酸を飲まなかったからこうなったのかもしれない」と後悔の念に苛まれました。

しかし、医師から「葉酸不足が直接の原因ではない」と説明を受け、徐々に自分を責める気持ちを手放すことができました。

NIPTがもたらした安心感

もちろん、悲しみが完全に消えることはありません。しかし、NIPTによって赤ちゃんの状態を正確に知ることができたことで、彼女は徐々に現実を受け入れられるようになりました。

「もしNIPTを受けていなかったら、ずっと自分を責め続けていたかもしれない」

彼女は、医師と相談しながら次のステップを決められたことに、心から感謝していると言います。

再び訪れた妊娠の喜び

それから数ヶ月後、彼女は再び妊娠しました。しかし、前回の経験から大きな不安を抱えていました。

「また何か異常が見つかるのでは?」

彼女は慎重に妊娠生活を送りながら、再度NIPTを受検しました。

結果は「すべて陰性」

医師から「赤ちゃんは健康ですよ」と告げられた瞬間、彼女の目からは安堵の涙がこぼれました。

そして、無事に元気な赤ちゃんを出産

「NIPTがなかったら、また妊娠する勇気は持てなかったかもしれない」

すべての妊婦さんへ

NIPTは、赤ちゃんの遺伝情報を知るだけでなく、親の心を守る役割も果たします。

「知ることは怖いことではなく、次のステップを考えるための大切な一歩だった」

妊娠中の不安を抱えるすべての方へ。NIPTは単なる検査ではなく、安心と未来への希望を支えるものです。あなたが決して一人ではないこと、どんな結果であってもサポートを受けられることを忘れないでください。

© Minervaclinic. All rights reserved.

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事