NIPT(新型出生前診断)は妊娠中の重要な検査です。この記事では、NIPTのおすすめとその理由についてお伝えします。医師による監修のもと、NIPTの種類、検査結果、陰性/陽性反応、可能性、そして注意すべき点について詳しく説明します。
1: NIPTのおすすめ
1.1 なぜNIPTがおすすめされるのか?
NIPTがおすすめされる主な理由は以下の通りです。
- 非侵入的な検査
- NIPTは非侵入的な方法で行われ、母親の血液から胎児の遺伝情報を取得します。このため、母体や胎児に対するリスクが低いです。
- 高い精度
- NIPTは高い遺伝情報の精度を持ち、特定の遺伝的異常や染色体異常を検出するのに非常に優れています。これにより、正確な診断が可能です。
- 早期の結果
- NIPTはその他の胎児スクリーニング検査に比べて、妊娠の早い段階で行え、通常は妊娠10週目以降に結果が得られます。早い段階で情報を受け取ることができ、必要なケアや決定を行う時間を提供します。
- 広範な遺伝的異常の検出
- NIPTはさまざまな遺伝的異常、特にダウン症候群やエドワーズ症候群などを検出するために使用されます。多くの遺伝的異常を網羅的に評価できます。
- 妊娠中の安心感
- NIPTは親にとって妊娠中の安心感を提供し、遺伝的リスクに対処するのに役立ちます。異常が見つかった場合、適切な医療ケアを計画できます。
- 倫理的考慮
- NIPTは他の遺伝的検査法と比較してリスクが低いため、多くの場合、倫理的な観点からも選択されます。
NIPTは妊婦と胎児の健康管理において重要な役割を果たし、遺伝的リスクの早期評価と診断に貢献しています。
1.2 おすすめの期間と週数
NIPT(非侵入性出生前診断)のおすすめの期間と週数は、通常、妊娠10週目以降が推奨されます。この時期に胎児のDNAが母親の血液中に十分に検出可能になり、高い精度で遺伝的情報を提供できるためです。
ただし、具体的な受診時期は個々の妊娠状況や医療機関によって異なることがあります。一部の医療施設は、妊娠9週目、妊娠6週目からNIPTを提供することもあります。したがって、NIPTを検討する場合、医師と相談し、最適な受診時期を決定することが重要です。
1.3 NIPTが従来の胎児スクリーニング検査に比べて正確な理由
NIPT(非侵入性出生前診断)が正確な理由は、次の要因に起因しています。
- 胎児のDNAを検出
- NIPTは母親の血液中に存在する胎児の細胞フリーDNA(cfDNA)を分析します。母体のDNAには胎児の遺伝情報が含まれており、非常に正確な結果を提供します。
- 高い遺伝情報の精度
- NIPTは高度な遺伝学的手法を使用し、個別の染色体や遺伝的異常を非常に精密に評価できます。このため、誤検出や誤排除のリスクが低いです。
- 大規模なサンプルサイズ
- NIPTは大量のcfDNA(セルフリーDNA)サンプルを分析するため、統計的に信頼性の高い結果を提供できます。大規模なサンプルサイズは精度を向上させる要因の一つです。
- 広範な遺伝的異常の検出
- NIPTは多くの遺伝的異常、特にダウン症候群やエドワーズ症候群などを検出するために使用されます。この多面的なアプローチは正確な診断を可能にします。
- 非浸襲的な方法
- NIPTは非侵襲的な方法で行われるため、腹部への針の刺入などのリスクがなく、母体や胎児に対するリスクが低いです。羊水検査で一番問題にある母体血液の混入による誤った結果もありません。
- 高い遺伝情報のコピーサイズ分析
- NIPTはコピーサイズ分析を使用し、染色体の構造異常や遺伝情報の増減を検出できます。これにより、より包括的な評価が可能となり、正確な診断が得られます。
これらの要因が結びついて、NIPTが遺伝的異常や染色体異常の高い精度で検出するための正確な方法となっています。
1.4 おすすめクリニックと医師の選び方
NIPTを受ける際、おすすめのクリニックと医師を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 専門性と経験
- クリニックの医師やスタッフは遺伝学や妊産婦のケアに関する専門知識と経験を持つことが重要です。遺伝学の専門家(臨床遺伝専門医)がいるクリニックが選択肢の一つとして考慮されるべきです。
- 資格と認証
- 選んだクリニックや医師が適切な資格や認証を持っているか確認しましょう。医師が専門の妊産婦医学や遺伝医学の資格認定を受けているか、つまり、産婦人科専門医や臨床遺伝専門医をもっているかどうかを確認することが大切です。
- カウンセリングの提供
- NIPTを受ける際、遺伝カウンセリングが提供されることが望ましいです。遺伝的情報の解釈や検査結果に関するカウンセリングが提供されるかどうか確認しましょう。
- 評判と信頼性
- クリニックの評判や信頼性を調査しましょう。過去の患者のレビューや医療機関の評価を参考にすることで、信頼性の高いクリニックを見つけるのに役立ちます。
- 費用
- NIPTの費用について明確な情報を収集しましょう。費用透明性があり、陽性結果に関するサポートを提供するクリニックが選択肢として考慮されます。
- 場所とアクセス
- クリニックの場所とアクセス可能性(診療時間や診療曜日)を考慮しましょう。通院やカウンセリングに便利な場所にあるかどうかを確認し、スケジュールに合わせやすいか検討しましょう。
- 医師とのコミュニケーション
- 選んだ医師とのコミュニケーションが円滑で信頼できるかどうかも重要です。質問や懸念を遠慮せずに共有できる環境が提供されていることが望ましいです。
NIPTを受ける際には、慎重にクリニックと医師を選び、信頼性の高い専門家にケアを受けることが大切です。個別のニーズと遺伝的リスクに応じて最適な選択を行いましょう。
2: NIPTの種類と理解
2.1 NIPTの種類とその違い
NIPT(非侵入性出生前診断)の主要な種類とその違いは以下の通りです。
- 染色体異常検査(Chromosomal Aneuploidy Screening)
- 対象は、ダウン症候群(トリソミー21)、エドワーズ症候群(トリソミー18)、パタウ症候群(トリソミー13)などの主要な染色体異常のスクリーニングです。最も一般的なNIPTで、染色体異常のスクリーニングに使用されます。
- 性別の特定(Gender Determination)
- 胎児の性別を確定するためのNIPT。親が赤ちゃんの性別を知りたい場合に使用され、染色体異常のスクリーニングとは異なります。日本では性別だけを確定するNIPTは提供されていません。
- 全染色体検査
- 13/18/21トリソミー以外の染色体のトリソミーを検査するものです。件数は少ないのですが、まれに出生する例もあるので、必要性はあると思います。
- 欠失・重複検査
- 全部の染色体の全領域にわたり、700万塩基のサイズで欠失や重複がないかをスキャンします。
- 微小欠失検査
- 主に5万塩基未満のサイズの欠失を特殊技術を用いて検出します。特に多いのが22q11.2欠失症候群で、1/2~4千と報告されています。
- 単一遺伝子疾患検査(Single-Gene Disorder Screening)
- 特定の単一遺伝子疾患が対象です。最近では対象遺伝子の数も多くなってきました。
2.2 陽性結果と陰性結果の意味
NIPT(非侵入的出生前診断)の陽性と陰性は、検査結果の意味を示す重要な用語です。
NIPTの陽性や陰性は、遺伝的リスクの評価と胎児の健康に関する情報提供に役立ちます。ただし、これらの結果は確定診断ではないため、医師との詳細なカウンセリングと検討が重要です。
陽性結果(Positive Result)
陽性判定は、NIPTが特定の遺伝的異常や染色体異常を検出した結果を指します。つまり、この結果は胎児が該当の異常を持っている可能性が高いことを示します。陽性は、追加の診断的検査(例:羊水検査や絨毛膜検査)を検討する理由となります。ただし、陽性結果は確定診断ではなく、偽陽性の可能性もあるため、追加の検査が必要です。
陰性結果(Negative Result)
陰性結果は、NIPTが特定の遺伝的異常や染色体異常を検出しなかった結果を指します。つまり、この結果は胎児が該当の異常を持っていない可能性が高いことを示します。陰性は、安心感を提供し、特定の遺伝的リスクが低いことを示すものです。ただし、陰性でも完全な保証はなく、他の検査と相互に補完的であることに留意する必要があります。
2.3 偽陽性と偽陰性の可能性
NIPT(非侵入性出生前診断)の偽陽性と偽陰性の可能性は、検査の特性や妊娠段階によって異なりますが、以下にそれぞれの可能性を説明します。
- 偽陽性(False Positive)の可能性
- 偽陽性は、NIPTが特定の遺伝的異常や染色体異常を誤って検出する場合を指します。偽陽性の主な要因には以下が含まれます。
1.母親の血液中に胎児のcfDNAが混入せず、母親の染色体異常がNIPTで誤って検出された場合。
2.早い妊娠段階や母体の体質により、胎児由来のcfDNA(セルフリーDNA)が少なく、正確な結果を得るのが難しい場合。 - 偽陰性(False Negative)の可能性
- 偽陰性は、NIPTが特定の遺伝的異常や染色体異常を見逃す場合を指します。早い妊娠段階や母体の体質により、胎児由来のcfDNAが少なく、異常が見逃される可能性があります。また、胎児のcfDNAに母親の正常な染色体が混入し、異常が見逃される可能性もあります。
NIPTは非常に正確な検査方法であり、偽陽性や偽陰性の可能性は他の遺伝学的スクリーニング方法に比べて比較的低いです。しかし、確定的な診断を提供するわけではなく、異常が疑われる場合は追加の診断的検査が必要です。また、NIPTの信頼性は妊娠段階や個々の状況に影響されるため、医師との相談が不可欠です。
3: NIPTの受診と検査結果
3.1 NIPTの受診スケジュール
NIPT(非侵入性出生前診断)の受診スケジュールは、妊娠の進行に応じて異なります。以下は一般的な受診スケジュールです。
- 10 週 – 14 週
- NIPTの受診は、通常、妊娠の 10 週から 14 週の間に行われます。この時期は胎児の cfDNA が母体の血液中に十分に検出されるため、NIPTの正確性が高まります。
- カウンセリングと予約
- NIPTを受ける前に、カウンセリングセッションをスケジュールし、医師と遺伝カウンセラーから情報を受けることが推奨されます。予約を確保するのが重要です。
- 検査日(妊娠 10 週 – 14 週)
- NIPTの実際の検査日は、カウンセリング後に医師と決定されます。通常、妊娠 10 週から 14 週の間に行われます。
- 結果の待ち時間(約 1 – 2 週間)
- NIPTの検査結果は通常、受診から約 1 から 2 週間後に提供されます。
- 結果の確認と追加の検査(必要な場合)
- NIPTの結果が陽性であるか、または異常が疑われる場合、医師との詳細なカウンセリングが行われ、必要に応じて追加の診断的検査が検討されます。
NIPTのスケジュールは個々の状況に応じて異なる場合があります。妊娠のタイミングや医療施設の予約可用性によっても影響を受けるため、NIPTを受ける予定の方は早めに医師やクリニックと連絡を取り、適切なスケジュールを確保することが大切です。
3.2 検査結果を正しく理解するためのポイント
NIPT(非侵入性出生前診断)の検査結果を正しく理解するためのポイントは次の通りです。
- 医師とのカウンセリング
- NIPTの結果を理解する前に、医師や臨床遺伝専門医、遺伝カウンセラーのカウンセリングを受けることが重要です。彼らは結果の詳細を説明し、遺伝的リスクを適切に評価するのに役立ちます。
- 結果の種類
- NIPTの結果は通常「陽性」または「陰性」で示されます。陽性結果は異常の兆候があることを示し、陰性結果は異常が疑われないことを示します。
- リスク評価
- NIPTは確定診断ではなく、結果は確率に基づいています。医師は結果をもとに、遺伝的リスクを評価し、追加の検査の必要性を検討します。
- 偽陽性と偽陰性の可能性
- NIPTには偽陽性と偽陰性の可能性があることを理解しておく必要があります。つまり、結果が誤って陽性または陰性と表示されることがあります。
- 追加の診断的検査
- NIPTの結果が陽性である場合、確定診断のために他の診断的検査(例:羊水検査、絨毛膜検査)が必要です。NIPTはスクリーニング検査であるため、確定診断を提供しません。
- 個別の状況に合わせたカウンセリング
- NIPTの結果は個別の状況に応じて評価されるべきです。妊娠の段階、家族歴、個人の遺伝的リスクなどが考慮されます。
- 医師への質問
- NIPTの結果に関する疑問や懸念がある場合、遠慮せずに医師に質問しましょう。医師は結果を詳細に説明し、疑問を解決するのに協力します。
NIPTの結果は慎重に理解し、追加の検査や治療の計画を立てるために医師と協力しましょう。遺伝的リスクや胎児の健康に関する重要な情報を提供する検査であるため、正確な理解が不可欠です。
3.3 病気や遺伝子異常の確定
4: NIPTの注意点
4.1 検査前に知っておきたいこと
NIPTはスクリーニング検査であり、確定診断ではないこと、偽陽性と偽陰性の可能性があること、NIPTの適応は個別の状況に応じて異なるため、医師によるカウンセリングを受け、自身の医療歴や家族歴を共有する必要があることなどをあらかじめ知っておきましょう。
4.2 無認可施設からの検査を避けるべき理由
無認可施設からの検査を断るべき理由は以下のとおりです。
- 専門的なカウンセリングの不足
- 無認可施設では遺伝的カウンセリングが不十分である可能性があり、正確な情報とサポートが不足しているかもしれません。特に美容外科や美容皮膚科など遺伝診療と関係ないクリニックが検査だけを提供し、陽性になってもカウンセリングを一切行わない形で検査していることは憂慮すべきでしょう。
※ミネルバクリニックでは、無認可施設でありながら、臨床遺伝専門医が常駐し、しっかりと遺伝カウンセリングを提供しています。 - 信頼性の不確かさ
- NIPTを提供する施設が認可を受けていない場合、検査の信頼性や品質に関する不確かさが高まります。検査はイルミナのシークエンサーを買えば可能ですが、日本では厚生労働省の医療機器としての認可を受けていないため、カットオフ値が提供されません。このため、胎児分画がどのように低くても検査結果が出てしまいます。胎児分画が低いと検査の信頼性が落ちますので偽陰性につながりやすいことは前述しました。
※ミネルバクリニックでは、妊娠6週からNIPTを提供していますが、胎児分画が2%、3%であっても検査の信頼性を担保できるという臨床試験を経ている検査会社を採用しています。このため、2回検査をお受けいただくことも必要ありません。 - 個人情報のセキュリティ
- 認可を受けた医療施設は患者の個人情報を適切に保護するためのセキュリティ対策を講じています。無認可施設ではそれが保証されない可能性があります。
※ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が運営しておりますので、倫理面にも非常にナーバスで、セキュリティ対策もしっかり行っておりますのでご安心ください。
5: NIPTの精度と安心感
5.1 NIPTの精度と信頼性
NIPT(非侵入的出生前診断)は、染色体異常および一部の遺伝子疾患のスクリーニングにおいて高い精度と信頼性を持つ検査方法です。以下はその特徴です。
- 染色体異常の検出
- NIPTはダウン症候群(21トリソミー)やエドワーズ症候群(18トリソミー)、パタウ症候群(13トリソミー)などの主要な染色体異常を高い精度で検出できます。
- 精度
- NIPTの染色体異常の検出率は通常99%以上であり、偽陽性率も低いため、信頼性が高いと言えます。
- 特定の遺伝子疾患
- NIPTは一部の遺伝子疾患についてもスクリーニングが可能であり、適切な遺伝的カウンセリングの下で行われます。
5.2 羊水検査との比較
NIPTと羊水検査(羊水穿刺)は、遺伝子疾患の診断に関連して比較されることがあります。以下は両者の比較です。
- 非侵襲的 vs. 侵襲的
- NIPTは非侵襲的で、母体の血液から胎児のDNAを検査します。一方、羊水検査は侵襲的で、羊水を採取するために胎児の近くに針を刺します。
- リスク
- 羊水検査は合併症のリスクが高く、流産の可能性があるため、必要がある高リスクな妊婦に勧められます。NIPTはリスクが低いため、より広範な適応があります。
- 精度
- NIPTは主にスクリーニング検査であり、確定診断を提供しません。一方、羊水検査は確定診断を行うため、精度が高いですがこちらも100%ではありません。。
- 検査時期
- NIPTは妊娠の初期から可能であり、結果が速く得られます。羊水検査は通常、妊娠中期の16週からで行われます。
5.3 NIPTのおすすめに基づく遺伝子疾患検査
NIPTのおすすめに基づく遺伝子疾患検査は、個々の状況に応じて異なります。以下は一般的なおすすめに基づく遺伝子疾患検査のポイントです。
- 妊娠の段階
- NIPTは妊娠初期から実施できるため、できるだけ早い段階で検討することがおすすめです。とはいえ、早すぎると胎児DNAが十分にありませんので、偽陰性のリスクが高まります。
- 家族歴
- 遺伝的リスクのある家族歴がある場合、NIPTの検討がより重要です。しかし、常染色体劣性疾患には家族歴はないことが多いです。
- 年齢
- 特に父親の年齢が上がると、精子側の突然変異による常染色体優性遺伝性疾患の確率が高まることから、NIPTの遺伝子検査のオプションがすすめられます。
NIPTの適用は個別の状況に応じて異なり、医師や遺伝的カウンセラーとのカウンセリングが重要です。適切な遺伝子疾患検査の選択は個人の医療歴や状況に基づいて行うべきです。
まとめ
NIPTは妊婦にとって非常に重要な検査であり、正しい知識と情報を持つことが大切です。検査結果に基づき、安心感を持ちながら妊娠期間を過ごすために、NIPTのおすすめと理由をしっかりと理解しましょう。
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