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新型出生前診断は母体の血液検査で高精度低リスクで赤ちゃんの健康状態をチェックできる検査です。
新型出生前診断(NIPT)とは、妊婦さんの血液検査で胎児の染色体異常を調べることです。
しかしながら、このような事務的な説明よりも、妊婦さんが気になる点は、次のようなことではないでしょうか?「検査の精度はどのくらいなの?」
「どのくらいのリスクがあるの?」
「いつから検査ができるの?」
実は、新型出生前診断が最新の血液検査手法であることを理解すると、これらの疑問への解答をイメージしていただけるかと思います。
今回のコラムでは、新型出生前診断とその他の血液検査との比較をおこないます。
1、新型出生前診断(NIPT)の血液検査とは?
多くの妊婦さんにとって、新型出生前診断(NIPT)はそれほど身近とは言えないものじゃないでしょうか。
テレビやインターネットなどで見聞きしたことはあっても、多くの方が
「どのような検査なのかイメージできない」
「なんとなく怖い」
というイメージをお持ちかと思います。
そこで、この章ではまず、新型出生前診断の検査方法や血液検査の特徴について、具体的に解説していきます。
1-1. 概要と検査方法
新型出生前診断(NIPT)とは、妊娠9週目以降を目安に、妊婦さんの血液検査をおこない胎児の染色体異常を調べるものです。
染色体異常(先天性異常)の具体例は以下の通りです。
・ダウン症候群(21トリソミー)
・エドワーズ症候群(18トリソミー)
・パトウ症候群(13トリソミー)
また、全染色体検査や微小欠失症などの検査をすれば、より多くの項目の染色体異常のリスクを検査することができます。
※ただし、これらの検査に対応できるかはクリニックにより異なります。
妊婦さんの血液に含まれる胎児のDNAで、染色体異常が高リスク(陽性)であるか、低リスク(陰性)であるのかを調べる検査が、新型出生前診断です。
1-2. 血液検査以外の診断方法とリスク
血液検査である新型出生前診断(NIPT)の大きなメリットは、リスクが小さいことです。
新型出生前診断では、妊婦さんの血液を20cc採取すれば診断ができるためです。
これに対して、リスクが0ではない検査方法もあります。
代表的なものとしては、確定検査である「羊水検査」や「絨毛検査」です。
これらの検査では、胎盤に針を刺してDNAを採取する方法のため、その際にお腹の中の赤ちゃんを傷つけ、流産や死産を招く可能性があります(「羊水検査」では300件に1件以下、「絨毛検査」では100件に1件以下の割合です)。
「羊水検査」や「絨毛検査」は、陽性を100%確定できる確定検査ではありますが、その前にリスクが低い新型出生前診断を受けることによって、リスクのある検査を受けずに済む可能性があるということです。
2、新型出生前診断(NIPT)以外の血液検査
新型出生前診断(NIPT)の他にも、遺伝子異常を調べる血液検査があります。
この章では、新型出生前診断以外の血液検査にどのようなものがあるのかご紹介します。
2-1. 母体血清マーカー検査
「母体血清マーカー検査」は、新型出生前診断(NIPT)と同様に血液検査により遺伝子異常を調べるスクリーニング検査(非確定診断)です。
検査に使用するマーカー数によって「クアトロマーカー検査」「トリプルマーカー検査」といわれており、これらの名称の方が耳覚えがあるかもしれません。
新型出生前診断との違いを比較すると、検査内容がイメージしやすいかと思います。
母体血清マーカー | 新型出生前診断(NIPT) | |
---|---|---|
流産・死産リスク | ほとんどない | ほとんどない |
受けられる時期 | 15~18週目 | 9週目以降(ミネルバ以外は10週から) |
陰性の精度 | 80% | 99.9%以上 |
検査項目 | ・ダウン症候群(21トリソミー)
・エドワーズ症候群(18トリソミー) ・神経管閉鎖不全症 |
・ダウン症候群(21トリソミー)
・エドワーズ症候群(18トリソミー) ・パトウ症候群(13トリソミー) などオプションで拡張性あり |
「母体血清マーカー検査」の検査項目は、3種類のみです。
これら3種類の中で、神経管閉鎖不全症のみ新型出生前診断の検査項目には含まれていません。
神経管閉鎖不全症は、脊髄や脊椎に起こる先天性異常であり、発症すると神経損傷・学習障害・麻痺・死亡を招くリスクが高まります。
葉酸の十分な摂取により、神経管閉鎖不全症のリスクを下げるとされています。
逆に、新型出生前診断では、「母体血清マーカー検査」には含まれていないパトウ症候群(13トリソミー)の検査が含まれています。
ダウン症候群(21トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)・パトウ症候群(13トリソミー)の3つの検査項目で、先天性異常の70%を検出可能であるとされています。
また、「母体血清マーカー検査」は、比較的費用が安いことも特徴の一つです。
具体的な費用は、クリニックによって異なりますが、「母体血清マーカー検査」は3万円前後であるのに対して、新型出生前診断は10万円以上であるのが一般的です。
2-2. コンバインド検査
「コンバインド検査」とは、超音波検査と採血検査を組み合わせたものです。
新型出生前診断(NIPT)と同じようにリスクが非常に低い検査方法で、ダウン症候群(21トリソミー)とエドワーズ症候群(18トリソミー)の2項目を調べることができます。
11~13週目頃に受けることができ、検出精度は80%程度です。
3、他の血液検査との比較から見る新型出生前診断(NIPT)の特徴
ここまでの内容を踏まえて、新型出生前診断(NIPT)を他の血液検査や確定診断と比較すると、3つの特徴があることが分かります。
この章では、新型出生前診断の3つの特徴について解説します。
3-1. 早期に検査できる
まず「母体血清マーカー検査」「コンバイン検査」と比較して、新型出生前診断(NIPT)は早期に検査を受けられるということです。
早く結果がわかるということは、それを踏まえて早期に確定診断を受けることができるため、先天性異常検査の中でもメリットが大きいといえるでしょう。
3-2. リスクが少ない
血液検査に共通する特徴として、胎児へのリスクが低いことが挙げられます。
新型出生前診断(NIPT)は、確定診断である「羊水検査」や「絨毛検査」と比べて流産や死産のリスクが低いため、より低リスクで
先天性異常の検査ができる意義は大きいといえるでしょう。
3-3. 精度が高い
新型出生前診断(NIPT)で「陰性」と診断された場合の的中率は、99.9%以上です。
100%ではないとはいえ、新型出生前診断を受けて「陰性」であれば、1,000人中999人以上の確率で、検査項目についての先天性異常はないということです。
「陽性」だった場合は、引き続き確定診断を受けるか否かを、夫婦や医師・遺伝カウンセラーとの間でおこなっていきます。
まとめ
新型出生前診断(NIPT)は、精度が高くリスクが少ない血液検査です。
例えば「母体血清マーカー検査」の精度が80%ほどの的中率であるのに対して、新型出生前診断では99.9%の精度で「陰性」であることを確認できます。
また、「羊水検査」「絨毛検査」ではわずかながら胎児にリスクが生じるのに対して、新型出生前診断は死産や流産のリスクがほとんどない検査でもあります。
20cc程度の血液を採取するのみの検査なので、大きな負担をかけずに受けることができます。
新型出生前診断が受けられるのは、妊娠9か月以降からです。
検査項目や費用、細かな流れなどはクリニックによって異なるため、詳細はクリニックに確認しましょう。
東京のミネルバクリニックは無認定施設で新型出生前診断を実施していますが、経験と知識が豊富な大学病院レベルの臨床遺伝専門医が在籍しています。
遺伝カウンセリング体制が整っており、世界最新鋭のNIPT技術による検査が可能な国内でも珍しい遺伝子専門のクリニックです。
新型出生前診断を受ける施設にお悩みの場合は、この機会にミネルバクリニックまで是非ご相談ください。