目次
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- ➤ 弟に重度知的障害があるAさんの実体験
- ➤ 結婚反対を受けた際の遺伝子検査への取り組み
- ➤ 知的障害の家族歴に対する社会的偏見の現実
- ➤ 臨床遺伝専門医の考え方と診療方針の変化
- ➤ 遺伝子検査が人生に与える意義と可能性
遺伝子検査で乗り越える|兄弟の知的障害が結婚の障壁に
弟に重度知的障害があるAさんの物語
弟に重度の知的障害があるAさん。
Aさん自身の発達には身体的にも精神的にも問題はありません。大学を卒業して、知的レベルの高い人にしかできない専門的職業につきました。
Aさんは、自立して生活を送り、恋人ができ、二人の将来を誓い合うようになりました。
好きな人との結婚。夢に見た憧れの幸せが手に届きそうになった時、Aさんに一つ、暗い影を落とす出来事がありました。
彼女のご両親が、結婚に反対したのです。
反対の理由とAさんの苦悩
理由は、Aさんの弟さんに知的障害があるので、Aさんと結婚したら知的障害のある孫ができるのではないかという懸念を彼女のご両親が表明したことにありました。
「大丈夫です。そんなことはありません。僕は正常です。」
そう何度言ってみても、彼女の御両親に頭を下げ続けても、血のつながった弟さんが重度の知的障害という現実を指摘されては、Aさんはなにも克服できませんでした。
知的障害・自閉症の家族歴が抱える社会的偏見
現実的に、知的障害や自閉症を含む精神科領域の疾患の家族歴は、一般的には最も負の印象を発生させる要因となります。
たとえば、「がん家系」や「卒中家系」といってもあまりマイナスのイメージとはならないでしょうが、知的障害や自閉症の家族歴は、「おなじ病気の子どもが生まれる」ことを考えるとその人との結婚を避けなさいと言われる疾患として最も強く頭に浮かぶのではないでしょうか。
少子化の現代、産むお子さんの数も減っているので、なるだけ健康なお子さんを望む心理的圧力も高まっています。
エビデンスを求めてミネルバクリニックへ
なにかエビデンスにできるものはないのか?Aさんは一生懸命ネットで調べて、ミネルバクリニックを見つけました。
Aさんは、とにかく焦っていました。彼女と結婚したいのに、許してもらえない。。。
遺伝子検査で大丈夫だと証明してもらいたい。
臨床遺伝専門医の考え方の変化
わたしは、開業当初(2014年12月に開業しました)は、こういう状況では、患者さんに否定的な意見を述べる普通の遺伝専門医でした。
「兄弟や姉妹に障害があったら嫌だという相手と結婚してもうまくいくのでしょうか。そういう偏見のないご家庭の人と結婚したほうが良いのではないでしょうか?」
こうなるともう、専門医の意見というよりは、おせっかいなオバサンの意見ですよね。
様々な患者さんとの出会い
開業以来、いろんな人たちがミネルバクリニックにやってきました。
- •「父がパーキンソン病で亡くなった。同じ病気で僕が早死にするのではないかと彼女の両親が強硬に反対している。」
- •「弟が重度の色覚異常だということを隠して結婚したが、そろそろ子どもが欲しいと言われて困っている。」
などなど。様々な状況を訴える人たちが来られました。
医師としての姿勢の転換
一人一人の真摯な深い悩みとがっつり向き合って、わたしは考えを改めることになりました。
遺伝子レベルの証明を求める人たちの願いを受け入れよう、と。
昔の私なら、「そんな人と結婚しないほうがいいんじゃないの?」と言い放ってしまっていましたが、今の私は、「どうしてもその人と結婚したいというのが彼の真摯な願いであれば、頼ってくれたわたしは、それがかなう方向に努力するのが医者としての本分の仕事。」と思うようになりました。
遺伝子検査の結果とその後
もちろん、問題がないという結果だけではありません。知りたくなかったことを知ることになる可能性も十分ある。だけど知りたい。そして一歩踏み出すかどうかを自分で選択したい。
「結婚や子どもをつくることに問題ない」という証明を遺伝子検査に求める人々の思いの切実さが、割と頑なだった普通の遺伝専門医だったわたしを突き動かしました。
そうしてわたしは、求められる検査を求め、世界中の検査機関と交渉して検査を提出できる体制を順番に作っていきました。
Aさんの検査結果
そしてAさんはミネルバクリニックにやってきて。悩みをうちあけ、知的障害の遺伝子パネル検査を受けました。
出た結果は、知的障害に関しては何も問題がありませんでした。
証明書への要望と医師の回答
それでも、Aさんは言いました。
「先生の意見を証明書としてください。そうじゃないと相手の両親を説得する自信がありません。」
わたしは言いました。
「そこは自分で乗り越えてください。自分でしか超えられない壁があります。わたしはエビデンスであなたの背中を押しました。一歩踏み出して超えるのはあなた自身です。」
医師としての葛藤と成長
でも。ちょっと今ではそれも反省しています。やっぱ、結婚しても問題ないという証明書は作成しようかなとか悶々と考えています。
わたしの意見書が役に立つならそれでいいじゃないか、と思うようになりました。
いろんな経験をして人は考えや態度を変えていきます。それは、わたしたち専門医も同じです。
遺伝子検査が開く希望の扉
わたしとしては、わたしと出会った患者さんたちが最高に笑顔になれるようにという思いで取り組んでいきたいと思います。
遺伝子検査は、あなたの人生の不安を払しょくし、幸せな未来への橋渡しをすることが可能です。
もちろん、知ることでよい結果ばかりとは限らないですが、知らずに怯えてあきらめるよりもずっといいと思いませんか?
あなたのライフスタイルの節目に遺伝子検査を。
ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医が皆さまのよりよい明日をサポートいたします。
よくあるご質問
- 兄弟に知的障害がある場合、自分の子どもに遺伝する可能性はどのくらいですか?
- 知的障害の遺伝リスクは原因によって大きく異なります。遺伝性疾患による知的障害は約30%、染色体異常による知的障害は約5%程度とされています。しかし、すべての知的障害が遺伝するわけではなく、環境要因も重要な役割を果たします。正確なリスク評価には専門的な遺伝カウンセリングと遺伝子検査が必要です。
- 知的障害の遺伝子検査はどのような流れで行われますか?
- まず遺伝カウンセリングで詳細な家族歴の聞き取りを行い、必要な検査を決定します。その後、血液採取を行い、専門機関で遺伝子解析を実施。検査結果は1〜2ヶ月で判明し、結果説明の際には今後の対応や支援について詳しくご説明いたします。検査前後のカウンセリングが重要な要素となります。
- 遺伝子検査の費用はどのくらいかかりますか?
- 発達障害・学習障害・知的障害遺伝子パネル検査は275,000円(税込)、自閉症遺伝子パネル検査も275,000円(税込)、発達障害・学習障害・知的障害・自閉症フルセットは308,000円(税込)です。発達障害・自閉症・知的障害染色体シーケンス解析は462,000円(税込)となります。遺伝カウンセリング料金は別途16,500円(税込)が必要です。
- 検査で「問題なし」と判定されても100%安心できますか?
- 遺伝子検査は現在判明している遺伝的要因を調べるものです。すべての知的障害の原因が解明されているわけではないため、「遺伝的リスクが低い」ことを示しますが、100%の保証はできません。ただし、科学的根拠に基づいた客観的な評価として、将来の計画を立てる上で重要な参考情報となります。
- パートナーと一緒に検査を受けることは可能ですか?
- もちろん可能です。むしろパートナーと一緒に遺伝カウンセリングを受けることで、お二人で正しい情報を共有し、将来の計画について話し合うことができるため推奨しています。結果の説明時にも、お二人で今後の方針を検討できるメリットがあります。
- 結婚に反対されている場合、検査結果を証明書として使えますか?
- 検査結果は医学的根拠に基づいた客観的なデータとして活用できます。必要に応じて臨床遺伝専門医による所見書の作成も可能です。ただし、最終的にはご自身とパートナーで乗り越えていただく必要がある問題でもあります。検査結果は、説得の材料というより、お二人の将来への安心材料として考えていただければと思います。
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