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ADHDの遺伝子検査に挑戦!将来子どもがADHDになる可能性に不安を抱える人必見

AさんにはADHDと軽度自閉症、軽度知的障害の弟がいるため、結婚を考えた時に、自分の子どもがADHDになるのではないかと不安になっていました。そこで、知的障害・発達障害・学習障害・自閉症の遺伝子検査を受けることにしました。結果、病気を引き起こす遺伝子が見つかかり、彼女の遺伝子検査も必要であることがわかりました。今回は、そんな不安を抱える人に向けて、ADHDの遺伝性や遺伝子検査について詳しくご紹介します。将来子どもがADHDになる可能性に不安を抱えている方は必見です。

遺伝子検査とは?

遺伝子検査、それは、将来の不安を解消するための有効な手段となります。

ADHDは、約5%の子供たちに見られる発達障害の一種です。しかし、ADHDの原因は明らかになっていない一方、遺伝子による影響があることが研究で示されています。ADHDの弟を持つAさんは、今までの人生で別に何ん感じたことはなかったのですが、結婚を意識しはじめると、自分の子どもがADHDになるかもしれないという不安を抱え、ミネルバクリニックの遺伝子検査を受けることにしました。

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遺伝子検査とは、DNAに含まれる遺伝子配列を読み取り、病気や障害を引き起こす遺伝子の有無や変異を特定する検査です。ADHDの遺伝子検査は、たくさんの関係する遺伝子に変異があるかどうかを調べます。この検査の結果、Aさんには一つの病気を引き起こす遺伝子が見つかりました。

この結果に基づいて、パートナーとなる彼女にも遺伝子検査を受けることが勧められました。何よりも大切なのは、正しい情報を得ることで、遺伝子検査は将来の不安を解消するための有効な手段です。

ADHDの伝子検査を受けることで、自分自身や家族の健康に関する情報を得ることができます。そして、細かい情報を知ることで、より正確で効果的な治療方法を見つけることができます。ADHDに関する情報を共有することで、将来の不安を解消し、より安心できる家庭環境をつくることができます。

ADHDとは?

注意欠陥多動性障害(ADHD)は、小さい頃から始まる病気で、集中力がないこと、衝動的な行動、じっとしていられないことが特徴です。長い間の研究で、ADHDについてたくさんの大切な情報が集まっています。この病気は、世界中どこでも子どもの約5%が持っていて、他の病気と一緒に起こることがよくあります。例えば、気分が落ち込む病気や、不安になる病気、問題を起こす行動、勉強が難しい、薬物を使ってしまう問題などです。

研究によると、ADHDのある若者の約3分の2は、大人になっても症状が続きます。ADHDのある人は、学校でうまくいかなかったり、友達から受け入れられなかったり、事故に遭ったり、犯罪に巻き込まれたり、仕事で失敗したり、離婚したり、自分の命を絶ったり、早く亡くなるリスクが高くなります。

ADHDがどのようにして起こるのかはまだよくわかっていませんが、脳の中の特定の部分がうまく機能しないことが関係していると考えられています。これには、物事を計画したり、報酬を感じたり、時間を感じたりするときに使われる脳の回路が含まれます。

ADHDの遺伝性について

近年、注目されている発達障害のひとつであるADHD。その症状は、不注意・衝性・多動性であり、特に小児期から若年期にかけて多く見られます。しかし、ADHDは遺伝するのしょうか。

ADHDは、遺伝要因と環境要因の両方が関与しているとされています。遺伝要因としては、脳内での神経達物質の不均衡が考えられ、そのための遺伝子が影響を持っているとされています。一方、環要因としては、妊娠・出産・子育てなどが挙げられます。特に、胎内時期に母親がストレを感じることが多いと、その後の子どものADHD発症率が高まると言われています。

そんな中、Aさんは自の弟がADHDであることから、将来自分の子どもがADHDになる可能性があることに不安をじ、ミネルバクリニックで遺伝子検査を受けることに決めました。その結果、一つの病気を引き起こす遺伝子が見つかり、パートナーの遺伝子検査も必要であることが判明しました。

現在、ADHDの遺伝要因についてはまだ解明が進んでいない部分もありますが、遺伝子検査である程度の情報を得ることができることがわかりました。今後も、遺伝子検査の情報が蓄積されていくことによって、より詳細な情報が得られる日が来るかもしれません。ADHDが遺伝するということに不安を持つ人は多いかもしれませんが、遺伝子検査を通じて将来への対策を考えることができるのは、大きな希望と言えるかもしれません。

しかし、遺伝子によって引き起こされる病気には、必ずしも発症しない場合があります。また、環境や生活習慣も影響するため、完全に遺伝子だけで病気を予測することはできません。そのため、ADHDの遺伝子検査を受けた場合でも、子どもが病気になる可能性が100%であるとは言えません。

それでも、子どもがHDになる可能性がある場合には、そのことを考慮して生活を計画することが大切です。そのためにも、必要があると判明した場合、パートナーの遺伝子検査を受けることは、とても重要なことなのです。将来的に結婚を考えている人は、ぜひ一度、ミネルバクリニックに相談してみてください。

ADHD(注意欠陥多動性障害)の遺伝性に関する研究

ADHD(注意欠陥多動性障害)の遺伝性に関する研究、具体的には、家族研究、養子縁組研究、双生児研究による証拠を紹介します。(参考

家族研究では、5~17歳のADHD患者894人とその兄弟姉妹1135人を調査した結果、ADHD患者の兄弟姉妹は、ADHDがない子どもの兄弟姉妹に比べて、ADHDになるリスクが9倍も高いことが分かりました。これは、ADHDが家族内で高い確率で発生することを示唆しています。

養子縁組研究では、ADHDの子どもを持つ生物学的な親族と養子縁組によって育てられた子どもの親族を比較しました。この研究から、ADHDの子どもを持つ生物学的親族の方が、養子縁組した子どもの養子縁組親族よりもADHDの発生率が高いことが報告されています。これは、ADHDには遺伝的な要因が大きく影響していることを示唆しています。養子縁組した子どものADHDリスクが、一般の子どもの親族のリスクと同じであったことから、ADHDの発生には環境よりも遺伝がより重要であることが示されています。

双生児研究は、ADHD(注意欠陥多動性障害)の遺伝的要素を理解するための重要な方法です。このアプローチは、遺伝的に全く同じ遺伝子を持つ一卵性双生児(MZ)と、おおよそ半分の遺伝子を共有する二卵性双生児(DZ)の間の違いを比較することに基づいています。

ADHDに関する37の双生児研究の分析から、ADHDの特性における遺伝的要因の寄与度(遺伝率)は平均で74%と推定されています。これは、ADHDの特性が大部分遺伝的な要因によって決定されていることを意味します。さらに、一卵性双生児と二卵性双生児、さらには全姉妹や母方、父方の異母兄妹を含む研究でも、約80%の高い遺伝率が推定されており、これらの結果は、ADHDの遺伝的影響が非常に強いことを示しています。

また、この遺伝率は、男性でも女性でも、そしてADHDの異なる特性(不注意や多動性-衝動性)においても変わらないと報告されています。これは、ADHDの根底にある遺伝的要素が、性別や特定の症状の有無にかかわらず一貫していることを意味します。

このような双生児研究の結果は、ADHDの治療や対応策を考える際に、遺伝的背景を考慮することの重要性を強調しています。遺伝的要素がADHDの発生に大きく寄与していることを理解することで、より効果的な予防策や治療法の開発につながる可能性があります。

ADHD(注意欠陥多動性障害)の原因となる遺伝子

ADHD(注意欠陥多動性障害)と関連する遺伝子の変化は、ADHDの発症リスクに影響を与えると考えられていますが、その具体的なメカニズムは完全には解明されていません。世界中の多くの集団で見られるこれらの遺伝子変異は、ADHDを発症するすべての人に共通しているわけではなく、多くの場合、遺伝子の変異はわずかな影響しか及ぼしません。ADHDの人は、これらの関連する遺伝子変異を多数持っていると考えられており、これらの変異は環境的危険因子と組み合わさって個々の発症リスクを決定します。

ADHDの発症に寄与すると考えられる環境的危険因子には、妊娠・出産時の合併症や重金属への曝露などが含まれます。遺伝因子と環境因子がどのように相互作用してADHDを引き起こすかはまだはっきりしていません。

また、ADHDは非常にまれに、特定の遺伝子変異や染色体異常によって引き起こされることがあります。この場合、ADHDは体の複数の部分に影響を及ぼす症候群の一部として現れることがあります。

ADHDに関連する遺伝子は、脳の発達に重要な役割を果たしています。これらの遺伝子から生産されるタンパク質は、神経細胞の産生、成長、組織化、ニューロン間のコミュニケーションなど、脳の発達と機能の多方面に影響を与えます。特に、ニューロン間の伝達シグナルを中継する神経伝達物質の産生や制御に関わるタンパク質や、シナプスでのコミュニケーションに関わるタンパク質が重要です。

ADHDの人には、神経伝達物質であるドーパミンの濃度が低いことが多く、ドーパミンは思考、意欲、行動、運動の制御などに複雑な役割を持っています。また、ADHDの人の脳の特定の層の発達が通常と異なる可能性があるという研究結果もあります。これらの発見は、ADHDの理解を深めるための重要な手がかりを提供していますが、ADHDの発症メカニズムを完全に理解するにはさらなる研究が必要です。

遺伝子検査によって得られた判断をもとにした生き方とは?

ADHDの遺伝子検査結果による生き方の選択肢とは?

AさんがADHDの弟を持っていることから、将来自の子どもにも同じ病気が発症するのではないかと心配していました。そこで、知的障害・発達障害学習障害・自閉症の遺伝子検査を受けることに決めました。結果として、ADHDを引き起こ可能性のある遺伝子変異が見つかり、パートナーの遺伝子検査が必要であることが判明しました。

この結果をもとに、Aさんたちは将来の子どもに対する生き方を選択することできます。例えば、病気を引き起こす遺伝子が見つかった場合、自然妊娠することは避けたり、体外受精着床前診断で病気になる遺伝子がない胚を選択することができるようになります。

ただし、遺伝子検査の結果には真偽の判断が必要です。自己判断をせず、遺伝子専門医などの専門家のアドバイスを仰ぐことが必要です。また、遺伝子検査による結果はあくまでも確率的なものであり、病気が発症するとは限りません。生きる上での選択肢を増やすための一つの手段と捉え、冷静な判断をすることが大切です。

遺伝子検査によって得られた判断をもとに、どのような生き方を選ぶかは個の価値観によって異なるでしょう。しかし、遺伝子検査を受けることで、自分や家族に関情報を得ることができるため、今後の人生をより豊かに、より幸せにするために役立つことは間違いありません。

まとめ

本記事では、ADHDに関する遺伝子検査について詳しくご紹介しました。病気を引き起こす遺伝子が見つかった場合は、どのように対応するべきか、そしてパートーの遺伝子検査がなぜ必要になるのかを解説しました。遺伝子検査の結果をもとにした生き方や、遺伝子検査を受けることで得られるメリットにも触れました。将来子どもがADHDになる可能性に不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

遺伝子検査は、あなたの人生の不安を払しょくし、幸せな未来への橋渡しをすることが可能です。
もちろん、知ることでよい結果ばかりとは限らないですが、知らずに怯えてあきらめるよりもずっといいと思いませんか?

あなたのライフスタイルの節目に遺伝子検査を。
ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医が皆さまのよりよい明日をサポートいたします。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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