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自閉スペクトラム症(ASD)は、早い段階で気づくことができれば療育によって大人になっても社会に生きづらさを感じさせずに成長することが可能です。もちろん医師の診断を受ける必要はありますけど、子どもの行動から自閉スペクトラム症(ASD)ではないかと疑いを抱く特徴があります。
今回の記事では2歳自閉スペクトラム症の子どもが行う行動についてご紹介しますのでぜひ最後までお付き合いください。
自閉スペクトラム症とは
自閉スペクトラム症(ASD)とは、「自分の感情をうまくコントロールできない」「特定の物事に強いこだわりを示す」「他人の表情から感情をくみ取ることが上手くできない」という特徴を持った発達障害です。
「対人関係や社会的なやりとりの障害」「こだわり行動」という2つの基本特性があります。コミュニケーションが困難であることに加えて、言葉の遅れや知的障害がみられますが個人差があります。
詳しい内容については下記のリンク先に記載しておきますのでご確認ください。
また、注意欠陥多動性障害(ADHD)とよく混同されがちです。どちらの症状の子どもも集中力に問題がありますけど別の疾患です。ADHDは脳の成長と発達に影響を与えますけど、自閉スペクトラム症(ASD)は遺伝子が原因によって起きる疾患です。違いについてはこちらの記事に詳しくまとめていますのでご覧ください。
乳幼児期の自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの特徴
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは早ければ1歳6ヵ月で判定が可能です。なぜなら正常な子どもと違う特徴があるからです。通常、1歳6ヵ月時には、ほとんどすべての子どもが多様な対人コミュニケーショ
ン行動を示すことが明らかになっているが、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもだとコミュニケーションを取る頻度が少なかったり、程度が弱ったりします。
具体的には「要求の指さし」「模倣」「ふり遊び」「指さし追従」「言語理解」「興味のあるものを見せる」といった行動が弱いと自閉スペクトラム症(ASD)の可能性があります。ただし、発達には個人差があるため、ある時期にある 1 つの行動が弱いからといって自閉スペクトラム症(ASD)であると結論づけないでください。
2歳で現われてくる症状や特徴
正常な子どもは2歳になってくると以下のことができるようになってきます。
●社会性と情緒性
- ・人の真似をする、特に大人や年上の子どもを真似る
- ・他の子供と一緒にいると興奮する
- ・自立心が芽生える
- ・反抗的な行動をとる(してはいけないと言われたことをする)
- ・主に他の子どもと一緒に遊ぶが、追いかけっこなど、他の子どもを含めるようになってきた
●言語/コミュニケーション
- ・物や絵の名前を聞いて、それを指さす
- ・身近な人や体の一部の名前を知っている
- ・2~4語の文を言う
- ・簡単な指示に従う
- ・会話の中で耳にした言葉を繰り返す
- ・本の中のものを指さす
●認知機能(学習、思考、問題解決)
- ・2~3枚のカバーで隠れていても物を見つけることができる
- ・形や色の分類ができるようになる
- ・身近な本の中で文章を完成させたり、韻を踏んだりする
- ・簡単なごっこ遊びができる
- ・4つ以上のブロックでタワーを作ることができる
- ・片方の手を多く使うことがある
- ・靴を拾ってクローゼットに入れなさい」など、2段階の指示に従う
- ・猫、鳥、犬などの名前を絵本の中で言える
●運動・身体の発達
- ・つま先立ちする
- ・ボールを蹴る
- ・走り始める
- ・人の手を借りずに家具に登ったり降りたりする
- ・つかまって階段を上り下りする
- ・ボールを手で投げる
- ・直線や円を作ったり写したりする
しかしながら、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは上記のスキルができない場合があります。同時に下記のような行動をしていたら自閉スペクトラム症(ASD)の可能性が考えられます。
- ・2語のフレーズを使わない(例:「まんま食べる」「ワンワンかわいい」)
- ・ブラシ、電話、フォーク、スプーンなど、よく使うものをどうすればいいかわからない。
- ・他人の行動や言葉を真似ることができない
- ・簡単な指示に従うことができない
- ・安定して歩くことができない
- ・できていたことがすぐにできなくなってしまう
- ・知っているものを見ても指をささない
- ・名前を呼んでも振り向かない
- ・おもちゃで遊ぼうとしない
- ・他人に無関心
- ・ママ、マンマ、ブーブーなどの簡単な言葉も話さない
- ・こっちにおいで、まんまだよ、ちょうだいななどの呼びかけに無反応
- ・手足の動きがぎこちない
- ・クレヨンや色鉛筆を持っても何も書こうとしない
- ・かんしゃくを起こしやすい
ただし、症状や特徴は個人差があります。当てはまる行動の数が多いからと言って子どもが自閉スペクトラム症(ASD)だと決まったわけではありませんのでご注意ください。
子どもへの対応方法
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもに起こりやすい症状や特徴については対処法があります。代表的なものを紹介しますのでご覧ください。
言葉での説明が伝わりづらい
「あの」や「その」といった抽象的な言い回しが伝わらないので具体的な言葉で言ってあげましょう。また複数のことを同時にすることが苦手な場合一つの行動をだけをするようにしてください。
例えば、「手を洗ってからおやつを食べてね」と二つの行動をするのが理解できないので「手を洗ってきて」と伝えてあげてから「おやつを食べてね」と話すようにしましょう。
下記に具体的な方法を記載しておきますのでご確認ください。
- ・短い文章で、1つずつ伝える
- ・注意をひいてから伝える
- ・具体的な言葉で伝える
- ・視覚的に伝える
時間を守ることが苦手
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは時間などの目に見えない概念を守れないのが特徴です。予定がいつ始まって、いつ終わるのかが分からないと不安になるので「時計のイラストつきの予定表・タイマーなど、視覚的に伝える」や「いつ、なにをするか作業の見通しを伝える」といった方法が有効です。
相手の気持ちや表情・身振り手振りが分からない
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは表情や身振り手振り、視線などから、相手の状況を読むことや気持ちを理解することが不得手です。そのため集団生活が苦手だったり、意図せず友達を傷つけたりしてしまうこともあります。対応する方法は以下の通りです。
- ・表情だけではなく、言葉や動作なども交えて伝える
- ・あれ・それなど、代名詞は避ける
- ・ルールや指示は分かりやすく伝える
光や音、温度、匂いなどに過敏に反応する
感覚過敏は自閉スペクトラム症(ASD)の代表的な症状の一つです。もし子どもが音や温度、匂い、光などに過剰に反応する場合は以下のような対応をしてあげてください。
- ・装飾のない静かな環境を用意する
- ・音や光など、感覚刺激の原因になるものを少なくする
- ・騒がしい場所ではイヤマフや耳栓、フードをかぶる
今挙げたもの以外にも不安な気持ちを感じやすいため自己肯定感を育みにくいと言われています。しかしながら「1つのことに集中して取り組むことができる」「行動力がある」など、特性を子どもの個性ととらえることが大切です。特性を発揮したら積極的に褒めてあげてください。そうすることで達成感や安心感を得やすくなります。
まとめ(もし気になる症状や特徴があったら)
自閉スペクトラム症(ASD)はいくつかの特徴や症状が出ていても現れ方は一人ひとり違います。今回の記事で挙げた症状が出ていたからといって自閉スペクトラム症(ASD)だと決まったわけではありません。小児科や児童精神科、発達障害の専門外来、都道府県・政令指定都市の発達障害者支援センターなどで相談してみてください。原因である遺伝子検査を受けるのも一つの方法です。
東京の「ミネルバクリニック」では遺伝子検査を実施しており、遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が在籍している医療機関です。もし遺伝子検査のことでご不明な点があれば遠慮なくミネルバクリニックまでご相談ください。