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ワクチンと自閉症スペクトラム障害(ASD)

ワクチンと自閉症スペクトラム障害(ASD)についての疑問と不安がかつて語られたことがあります。
今回は、ワクチン接種が自閉症スペクトラム障害の原因となるのかという事についてお伝えします。

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会性、コミュニケーション、行動面で大きな問題を引き起こす可能性のある発達障害です。米国のCDCの自閉症・発達障害モニタリングネットワークの最新データでは米国内では、54人に1人の子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されています。

ワクチンが自閉症の原因になることはありません

ワクチンとASDの関連性を懸念する声もありますが、これまでの20年以上に及ぶ研究で、ワクチン接種と自閉症スペクトラム障害(ASD)の発症には関連性がないことがわかっています

2011年 米国医学研究所(IOM)報告

2011年、米国医学研究所(IOM)は、子どもと大人に接種される8つのワクチンについて、まれな例外を除き、これらのワクチンは非常に安全であることを報告しました

ワクチンが自閉症を引き起こすのではないかという懸念は、当初、麻疹・おたふく・風疹ワクチンとチメロサール含有ワクチンに関連していました。2004年に米国医学研究所が行った包括的なレビューでは、これらのワクチンと自閉症との因果関係を否定する証拠があると結論づけられました。
しかし、ワクチンと自閉症との間に関連性があるのではないかという懸念は根強く、最近の懸念は、乳幼児に投与されるワクチンの数に集中しています。最近の調査によると、親が最も懸念しているワクチン関連の問題は以下の通りです。

「生後2年間に接種するワクチンの数が多すぎる」
「1回の受診で接種するワクチンの数が多すぎる」
「ワクチンと自閉症との間に関連性があるのではないか?
ワクチンと自閉症などの学習障害との間に関連性があるのではないか、

このような懸念事項は、調査回答者全体の30%〜36%が懸念があるとこたえていて、自分の子どもに一部のワクチンしか受けさせないと答えた親の55%〜90%がそうした懸念があると答えています。別の最近の調査では、幼い子どもを持つ親の10%以上がワクチン接種を拒否したり、遅らせたりしています。

ワクチンに含まれる抗体刺激蛋白質や多糖類の数を指標として、免疫刺激度との関連性を評価しました。生後2年間にワクチンから受けた免疫刺激のレベルと、特定のASDサブタイプを含む自閉症スペクトラム障害(AIDS)の発症リスクとの関連を評価し、関連性が否定される根拠が得られています。

2013年のCDCの研究

2013年のCDCの研究では、ワクチンがASDの原因にはならないという研究結果が追加されました。この研究では、生後2年間のワクチンに含まれる抗原(体の免疫系に病気と闘う抗体を作らせるワクチンに含まれる物質)の数を調べました。その結果、受けたワクチンからの抗原の総量は、ASDの子どもとASDでない子どもで同じでした。

ワクチン成分が自閉症の原因になることはありません。
ワクチンの成分で特に研究されているのは、マルチドーズバイアル(1本で数人分のワクチンが入っているタイプのもの)のワクチンの汚染を防ぐために使用される水銀系の防腐剤であるチメロサールです。研究結果によると、チメロサールは自閉症の原因にはならないとされています。実際、2004年にIOMが行った科学的レビューでは、「チメロサールを含むワクチンと自閉症との間の因果関係を否定する証拠がある」と結論づけられています。2003年以降、CDCが出資または実施した9つの研究では、チメロサール含有ワクチンとASDとの間に関連性はなく、また、麻疹・おたふく・風疹(MMR)ワクチンと子どものASDとの間にも関連性はないとされています。

ワクチンからチメロサールが除去

1999年から2001年にかけて、一部のインフルエンザワクチンを除くすべての小児用ワクチンからチメロサールが除去されたり、微量になったりしました。これは、チメロサールが有害ではないという研究が行われる前に、子どもたちのあらゆる種類の水銀曝露を減らすための国の広範な取り組みの一環として行われたものです。これは予防措置として行われたものです。現在、チメロサールを含む小児用ワクチンは、マルチドーズバイアルに入ったインフルエンザワクチンのみです。インフルエンザワクチンには、チメロサールを含まない製品も用意されています。

チメロサール以外のワクチン成分と自閉症スペクトラム障害との関係性

チメロサール以外のワクチン成分についても、ASDとの関連性を懸念する声があります。しかし、いずれのワクチン成分もASDとの関連性は認められていません。

新型コロナワクチンは大丈夫ですか?

新型コロナウイルスのワクチンもマルチドーズなものがありますが、これらはチメロサールは含んでいません。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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