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「ADHDの遺伝率は70%」——この数字を目にして、眠れなくなった方が多くいらっしゃいます。ご自身やパートナーにADHDの診断があり、これから子どもをもつかどうかで立ち止まっている方も、上のお子さんが診断を受けて次のお子さんのことを考えている方も、まず知っていただきたいことがあります。遺伝率70〜80%というのは、「あなたのお子さんが70〜80%の確率でADHDになる」という意味ではありません。まったく別のことを表す数字です。この記事では、その誤解をていねいにほどいたうえで、実際の数字はどれくらいなのかを、大規模な研究データにもとづいて臨床遺伝専門医の立場から整理します。
- ➤ 「遺伝率70〜80%」は集団を説明する数字で、お子さん個人の発症確率ではない
- ➤ 親・きょうだいなど第一度近親者では、一般の方の5〜9倍。それでも大多数は発症しない
- ➤ 父親由来・母親由来で伝わりやすさに差はない。「母親のせい」でもない
- ➤ きょうだい・いとこ・孫では、血縁が遠くなるほど数字が下がっていく
- ➤ 妊娠中の喫煙などが「原因」という説明は、きょうだい比較研究でほぼ消える
- ➤ 遺伝子検査で「将来ADHDになるかどうか」は判定できない。何ならわかるのか
「遺伝率70〜80%」は、子どもに伝わる確率ではありません
はじめに、いちばん大切なところからお伝えします。インターネットで見かける「ADHDの遺伝率は70%」「76%」といった数字は、医学・遺伝学で遺伝率(heritability)と呼ばれる指標です。これは集団の中でのばらつきを説明するための数字であって、目の前のひとりの子に何が起きるかを示すものではありません。
遺伝率…ある集団の中で、人によって違いが出ている理由のうち、何割が遺伝的な差で説明できるかという割合です。「集団の説明」であって、「個人の予測」ではありません。
たとえば身長の遺伝率は約80%とされますが、これは「背の高い親から生まれた子の身長が80%決まっている」という意味ではなく、「その集団で身長に差が出る原因の8割が遺伝的な違いによる」という意味です。ADHDの70〜80%も、これとまったく同じ読み方をします。
双生児研究が示してきた数字
遺伝率は、一卵性双生児(遺伝情報がほぼ100%一致)と二卵性双生児(およそ50%一致)で、どのくらい一致しやすさが違うかを比べて計算します。ADHDについては、37の双生児研究の平均で74%という値が報告されており、診断名で区切った研究に限ると77〜88%という幅で示されています[1][6]。スウェーデンの100万組を超えるきょうだいを解析した研究でも、遺伝要因の寄与は89%と推定されています[2]。
つまりADHDは、精神・神経発達の領域ではかなり遺伝の影響が大きい状態です。そこは事実として押さえておく必要があります。ただし、それでも「親がADHDなら子どもも7〜8割ADHD」にはなりません。なぜそうならないのかを、次の章で数字にしてお見せします。
ADHDは「ADHDの遺伝子」が伝わるのではない
もうひとつ誤解が多いのが、伝わり方のイメージです。ADHDには、ひとつ持っていれば発症が決まるような「ADHDの遺伝子」は存在しません。多因子遺伝といって、ごく小さな影響しか持たない多数のバリアントが少しずつ積み重なり、そこに環境の要素が加わって成り立っています。
2023年に発表された大規模なGWAS(ゲノムワイド関連解析)では、ADHDのある38,691人と対照186,843人を比較して27の領域が同定されましたが、そのひとつひとつの効果はごくわずかでした[4]。しかも、こうした一般的なバリアントで説明できる部分は14〜22%程度にとどまり、双生児研究の70〜80%との間に大きな隔たりがあります[6]。この差は「ミッシング・ヘリタビリティ(見えない遺伝率)」と呼ばれ、現在も研究が続いています。
多因子遺伝…多数の遺伝要因と環境要因が重なって起きる伝わり方です。血友病のように「1つの遺伝子で決まる」タイプとはまったく違い、家系図をなぞって確率を計算することができません。
ポリジェニック…影響の小さい遺伝的な違いが多数集まっている状態のこと。積み上げた合計を数値化する試みが多遺伝子リスクスコア(PRS)ですが、現時点で個人の発症を言い当てられる精度はありません。
では実際、どのくらいの確率で伝わるのか
ここからが、多くの方がいちばん知りたい部分だと思います。親・きょうだい・子どもといった第一度近親者にADHDのある方がいる場合、本人がADHDと診断される確率は、一般の方と比べておおむね5〜9倍と報告されてきました[2]。
「5〜9倍」と聞くと非常に大きく感じますが、これは倍率であって確率ではありません。もとの確率が小さければ、何倍になっても絶対的な数字は限られます。スウェーデンで165万人を追跡した大規模研究の結果を、血縁の近さの順に並べてみます[2]。
| 血縁関係 | 共有する遺伝情報 | 一般との比(倍) |
|---|---|---|
| 一卵性双生児 | 100% | 70.5 |
| 二卵性双生児 | 50% | 8.4 |
| きょうだい(両親が同じ) | 50% | 8.3 |
| 母親だけが同じきょうだい | 25% | 2.9 |
| 父親だけが同じきょうだい | 25% | 2.3 |
| いとこ | 12.5% | 2.2 |
| はとこ | 6.25% | 1.5 |
※出生年で調整したハザード比。血縁が遠くなるほど、きれいに数字が下がっていくことがわかります。
「倍率」ではなく「実数」で見ると
同じ研究で、実際に何%の方が診断を受けたのかも示されています。ADHDのあるお子さんのきょうだいで、20歳までにADHDと診断されたのは25.3%。診断のないお子さんのきょうだいでは約3.6%でした[2]。米国で、上のお子さんが診断を受けたあとに生まれた下のお子さんだけを集めた研究でも、12.5%という数字が出ています(比較群は1.5%)[3]。
研究のやり方や国によって数字は変わりますが、共通しているのは「1〜3割程度」であって、7割でも8割でもないということです。言い換えれば、家族にADHDのある方がいても、7割から9割近くのお子さんは診断に至りません。ここは、はっきり申し上げておきたいところです。
💡 ここが大事です:「遺伝率70〜80%」と「実際に伝わる確率1〜3割」は、矛盾していません。前者は集団のばらつきの説明、後者は個人に起きたことの割合で、そもそも測っているものが違います。
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父親から伝わる? 母親から伝わる?
「父親がADHDだと伝わりやすいのか」「母親からのほうが強いのか」というご質問を、非常によくいただきます。結論からお伝えすると、父親由来・母親由来で伝わりやすさに差があるという確かな根拠はありません。
理由はシンプルです。ADHDに関わる遺伝的な要素の大部分は、性別に関係のない常染色体の上に散らばっています。お子さんは常染色体をお父さんから半分、お母さんから半分ずつ受け取りますから、どちらか一方に偏る仕組みがそもそもありません。遺伝率も、男性と女性で同程度と報告されています[1]。
「母方のほうが少し高い」というデータの読み方
先ほどの表で、母親だけが同じきょうだい(2.9倍)が、父親だけが同じきょうだい(2.3倍)よりわずかに高くなっていました。遺伝情報の共有割合はどちらも25%で同じですから、この差は遺伝以外の理由によるものです。
研究者が挙げているのは、母方きょうだいのほうが生活環境を共有しやすいこと、そして父方きょうだいには、記録上の父親と生物学上の父親が一致しない例が一定数まぎれこむことです[2]。「母親のほうが強く伝える」という意味ではありません。
女の子がADHDのとき、下のきょうだいはどうか
ADHDと診断される割合は、小児では男児が女児のおよそ2倍とする研究があります[5]。これは女児のADHDが不注意優勢型として現れやすく、周囲に気づかれにくいことも一因と考えられています。
興味深いことに、米国の研究では上のお子さんが女児でADHDだった場合、下のきょうだいがADHDと診断される割合がやや高いという結果が出ています[3]。診断されにくい側の性別で診断に至ったということは、その家族に遺伝的な要素がより多く積み上がっている可能性を示唆する、という解釈です。ただしスウェーデンの研究ではこの傾向がはっきりせず[2]、まだ確定した知見ではありません。
父親の年齢は関係するのか
精子は生涯にわたってつくられ続けるため、父親の年齢が上がるほど、お子さんにde novo変異(新生突然変異)が生じる数は増えていきます。ただし先ほどのスウェーデンの研究では、父親・母親の年齢で調整しても家族内での集積の強さはほとんど変わりませんでした[2]。父親の年齢がADHDの主要な原因、という位置づけではありません。
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きょうだい・いとこ・孫はどうなるのか
「きょうだいには伝わらない」と書かれた記事を目にすることがありますが、これは誤りです。ADHDのあるお子さんのきょうだいは、明らかに診断を受けやすいことが、複数の大規模研究で一貫して示されています。数字としてはおよそ8倍、実数では20歳までに25%程度でした[2][3]。
きょうだいは親から遺伝情報を受け取るという意味では確かに「遺伝した」わけではありませんが、同じご両親から、似た組み合わせを受け取っているのですから、似た傾向が出るのは自然なことです。上のお子さんが診断を受けた段階で、下のお子さんの様子も気にかけていただく価値は十分にあります。
「隔世遺伝」という説明は当てはまりません
「祖父に似ている」「一代飛んで孫に出た」という言い方をされることがありますが、隔世遺伝という現象はもともと、一つの遺伝子で決まる伝わり方を説明するための概念です。多因子で成り立つADHDには、そのままでは当てはまりません。
実際のデータでは、いとこで2.2倍、はとこで1.5倍と、血縁が遠くなるにつれてなだらかに下がっていきます[2]。「飛んで出る」のではなく、「薄まりながら広がっている」と考えるほうが実際に近いのです。お孫さんにあたる関係も、遺伝情報の共有はおよそ25%ですから、この連続的な減り方の中に位置づけられます。
⚠️ ご注意ください:「家系にADHDの人が多い」と感じられても、それは特別なことではありません。ADHDは学齢期のお子さんの数%にみられ、決してまれな状態ではないためです。家系図を書いて確率を計算しようとしても、多因子遺伝では意味のある数字になりません。
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「母親のせい」でも「育て方のせい」でもありません
検索キーワードを見ていると、「ADHD 原因 母親」「ADHD 親が原因」という言葉で調べていらっしゃる方がとても多いことに気づきます。ここは、臨床遺伝専門医としてはっきりお伝えします。ADHDは、お母さんの妊娠中の過ごし方や、ご両親の育て方によって引き起こされるものではありません。日本小児心身医学会も、ADHDの症状は親の育て方の失敗ではなく生まれつきの特性によるものであり、叱って改善できるものではないと明記しています[9]。
「妊娠中の喫煙が原因」という説明は、覆されています
長いあいだ、妊娠中の喫煙はADHDの危険因子として説明されてきました。実際、単純に集団を比べると約2倍という関連が出ます。ところが、同じお母さんから生まれたきょうだいどうしを比べるという手法を使うと、この関連はほとんど消えてしまうことがわかりました。
デンマークで約97万人を対象に行われた研究では、通常の解析で2.01倍だった関連が、きょうだい比較では1.07倍(統計的に意味のある差なし)まで下がりました[7]。スウェーデンの81万人規模の研究でも同じ方向の結果が示されています[8]。研究者らの結論は、喫煙とADHDの見かけの関連は、お母さん自身がもともと持っている遺伝的な要素や家庭環境によって説明されるというものでした。
きょうだい比較デザイン…同じ家族の中で、ある要因にさらされた子とそうでない子を比べる研究手法です。遺伝的な背景も家庭環境もほぼ共通しているため、「本当にその要因が原因なのか」を見きわめやすくなります。
この手法を使うと、「一見すると原因に見えていたもの」が、実は家族に共通する背景を反映していただけだった、と判明することがしばしばあります。妊娠中の喫煙とADHDは、その代表例です(なお、低出生体重との関連はきょうだい比較でも残るため、喫煙そのものは避けるべきです)。
高齢出産だとADHDが増えるのか
「高齢出産だから」とご自分を責めておられる方にもお伝えしたいことがあります。米国の研究では、母親の年齢が20歳から50歳へ上がるにつれて、お子さんがADHDと診断される確率はむしろ下がるという結果が示されています[3]。ダウン症などの染色体の数の変化とは、まったく別の話だとご理解ください。
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「子どもを産むのが怖い」と感じている方へ
この記事にたどりつく方の中には、「ADHD 子供 産むな」といった、ご自分を傷つけるような言葉で検索された方が少なくありません。誰にも相談できないまま、深夜にひとりで調べておられるのだと思います。まず、そこまで真剣に考えておられること自体が、すでにお子さんのことを大切に思っている証拠だとお伝えしたいです。
そのうえで、事実を整理します。ここまで見てきたとおり、親がADHDでも、お子さんの大多数はADHDと診断されません。そして仮に診断がついたとしても、それは「その子の人生が決まる」ということではありません。ADHDは知能とは独立しており、高い知的能力をもつ方でも診断されることがわかっています[5]。
むしろ、ご両親のどちらかにADHDがあることには、実際的な利点もあります。特性を身をもって知っているぶん、お子さんのつまずきに早く気づき、早く手を打てるということです。何もわからないまま「なぜできないの」と叱り続けてしまう環境よりも、ずっと良い出発点だと私たちは考えています。
ADHDのある方どうしのご夫婦の場合
お二人ともADHDの場合、お子さんに伝わる可能性が一方だけの場合より高くなることは、多因子遺伝の考え方からいって想定されます。ただし、「両親ともADHDのときの子の発症率」を直接示した信頼できる大規模研究は、現時点で見当たりません。数字を断定的に示している情報を見かけたら、その出典を確かめていただくことをおすすめします。
確かなのは、一卵性双生児(遺伝情報が100%一致)ですら一致率が100%ではない、という事実です[2]。遺伝的な条件が完全に同じでも、結果は同じになりません。そこには必ず、決まっていない余地が残されています。
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遺伝子検査で「将来ADHDになるか」はわかりません
遺伝の話をすると、次に必ず出てくるのが「検査で調べられませんか」というご質問です。ここは誠実にお答えしなければならないところです。現在の医療には、生まれる前や幼いうちにADHDの発症を予測できる遺伝子検査はありません。
理由は、これまで見てきたとおりです。ADHDは影響の小さい多数の遺伝要因が積み重なって成り立っており、「これがあれば発症する」という決め手の遺伝子が存在しないからです。積み上げを数値化する多遺伝子リスクスコアという手法も研究段階にあり、個人の将来を判定できる精度には達していません。
ADHDそのものは、遺伝子ではなく行動と生活上の困りごとを診ることで診断されます。世界規模の専門家グループも、ADHDは面接による評価が必要な状態であり、評価尺度だけ、あるいは脳画像だけでは診断できないと明記しています[5]。日本では、症状のいくつかが12歳より前からあり、家庭・学校・職場など複数の場面で困難がみられることが診断の前提とされています[10]。
それでも遺伝子検査が役に立つ場面はあります
では検査が無意味かというと、そうではありません。知的発達の遅れ、言葉の遅れ、けいれん、身体的な特徴などが重なっている場合には、背景に一つの遺伝子の変化による疾患が隠れていることがあります。この場合は、発達障害・学習障害・知的障害の遺伝子検査や自閉症遺伝子検査によって診断がつき、その後の見通しや必要な支援がはっきりすることがあります。
大切なのは、「ADHDかどうかを調べる検査」ではなく、「ほかの原因が隠れていないかを確かめる検査」だと理解することです。当院では、検査を受けるべきかどうかという段階から、臨床遺伝専門医がご一緒に整理します。
⚠️ ご注意ください:「発達障害がわかる遺伝子検査」をうたう検査には、医学的な裏づけが不十分なものも流通しています。何を調べ、結果をどう使えるのかが明示されているか、必ずご確認ください。
ADHDとASD(自閉スペクトラム症)は、両方あることがあります
古い解説では「ADHDは行動の問題、ASDはコミュニケーションの問題で、どちらか一方」と書かれていることがあります。これは現在の基準では正しくありません。2013年のDSM-5以降、ADHDとASDは併存する診断として認められています。
遺伝の面でも、両者は重なり合っています。米国の研究では、ADHDのあるお子さんの下のきょうだいは、ASDと診断される割合も4.4倍高く、逆にASDのあるお子さんの下のきょうだいはADHDと診断される割合が3.7倍高いという結果が示されました[3]。ですから、上のお子さんがどちらかの診断を受けている場合は、両方の可能性を視野に入れて様子を見ていただくのが理にかなっています。
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気になったとき、どこに相談すればよいか
遺伝のことを調べているうちに、「うちの子は大丈夫だろうか」という気持ちに変わってこられた方も多いと思います。お子さんの様子が気にかかる場合の相談先は、小児科・児童精神科・発達外来です。学齢期以降であれば精神科や心療内科でも対応されています[11]。
診断は、問診・行動観察・心理検査などを組み合わせて総合的に行われます。ご家庭や園・学校での様子が重要な情報になりますので、気づいたことをメモしてお持ちになると診察が進みやすくなります。
支援の柱は3つ
ADHDの支援は、症状をゼロにすることではなく、日常生活の困りごとを減らすことを目標にします。大きく、生活や学びの環境を整える環境調整、本人とご家族を支える心理的支援、そして必要に応じた薬による治療の3つです。
早い段階から支援が入ることには、はっきりした意味があります。叱責が積み重なると自己評価が下がり、二次的な困難につながりやすいことが指摘されているためです[9]。遺伝を心配するエネルギーは、早く気づいて環境を整えることに向けたほうが、確実にお子さんの助けになります。
当院でできること
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が運営し、ご相談から検査、結果のご説明、その後のフォローまで終始責任をもって支援するクリニックです。ADHDそのものの診断や治療は小児科・精神科の領域ですが、「遺伝の心配をどう受け止めればよいのか」というご相談は、遺伝診療の中心的なテーマです。
🏥 当院のご相談・サポート体制
ご相談から結果のご説明まで、専門医が一貫して関わります
かかりつけ医を経ずに、直接ご相談いただけます
特定の選択へ誘導せず、ご自身で選べるよう情報をお伝えします
ネットで見た数値が何を表すのかを、一つずつ整理します
遠方の方もご相談いただけます
受けない選択も、同じ重さで尊重します
検査前後の遺伝カウンセリングは、臨床遺伝専門医が担当します。ご家族に発達に関する診断のある方がいらっしゃる場合の遺伝診療についても、お気軽にご相談ください。
まとめ
- • 遺伝率70〜80%の意味:集団のばらつきを説明する指標で、お子さんの発症確率ではない
- • 実際の数字:第一度近親者で5〜9倍。きょうだいの実数では1〜3割程度で、大多数は診断に至らない
- • 父親か母親か:常染色体に散らばるため、どちらか一方に偏る仕組みはない
- • きょうだい・いとこ・孫:約8倍・約2.2倍・約1.5倍と、血縁が遠くなるほどなだらかに下がる
- • 母親のせいではない:妊娠中の喫煙との関連は、きょうだい比較でほぼ消える
- • ASDとの関係:DSM-5以降は併存が認められ、家族内では両方の可能性を視野に入れる
- • 遺伝子検査:ADHDの発症予測はできない。ほかの原因が隠れていないかを確かめる用途で意味をもつ
遺伝の話は、どうしても「決まってしまっている」という方向に受け取られがちです。けれどADHDに関していえば、決まっていない部分のほうがずっと大きいというのが、データが示していることです。数字の意味さえ正しく理解できれば、必要以上に怖がらずに次の一歩を選べます。気がかりなことがあれば、どうかお一人で抱え込まず、ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
🏥 ミネルバクリニックへのご相談
遺伝の数字が気になって眠れない方も、子どもをもつかどうかで迷っていらっしゃる方も、どうぞお気軽にご相談ください。臨床遺伝専門医が、答えを押しつけずにご一緒に整理します。
🏥 発達に関する遺伝のご相談も承ります
✓ 臨床遺伝専門医が運営し、終始責任をもって支援します
✓ 紹介状なしで、直接ご相談いただけます
✓ オンラインでのご相談にも対応しています
✓ 中立・非指示的な遺伝カウンセリングで、ご自身の決定に寄り添います
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参考文献
- Faraone SV, Larsson H. Genetics of attention deficit hyperactivity disorder. Mol Psychiatry. 2019. [PMC]
- Chen Q, Brikell I, Lichtenstein P, Serlachius E, Kuja-Halkola R, Sandin S, Larsson H. Familial aggregation of attention-deficit/hyperactivity disorder. J Child Psychol Psychiatry. 2017;58(3):231-239. [PubMed]
- Miller M, Musser ED, Young GS, Olson B, Steiner RD, Nigg JT. Sibling Recurrence Risk and Cross-aggregation of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder and Autism Spectrum Disorder. JAMA Pediatr. 2019;173(2):147-152. [JAMA Pediatrics]
- Demontis D, Walters GB, Athanasiadis G, et al. Genome-wide analyses of ADHD identify 27 risk loci, refine the genetic architecture and implicate several cognitive domains. Nat Genet. 2023;55(2):198-208. [Nature Genetics]
- Faraone SV, Banaschewski T, Coghill D, et al. The World Federation of ADHD International Consensus Statement: 208 Evidence-based conclusions about the disorder. Neurosci Biobehav Rev. 2021;128:789-818. [PMC]
- Grimm O, Kranz TM, Reif A. Genetics of ADHD: What Should the Clinician Know? Curr Psychiatry Rep. 2020;22:18. [PMC]
- The risk of attention deficit hyperactivity disorder in children exposed to maternal smoking during pregnancy – a re-examination using a sibling design. J Child Psychol Psychiatry. 2016. [PubMed]
- Skoglund C, et al. Familial confounding of the association between maternal smoking during pregnancy and ADHD in offspring. J Child Psychol Psychiatry. 2014. [論文]
- 一般社団法人 日本小児心身医学会「注意欠如・多動症」 [公式サイト]
- 厚生労働省「こころの耳」用語解説:注意欠陥性多動障害(ADHD) [公式サイト]
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」 [公式サイト]

