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出産を控えたママさんが気になるのはお産のときの痛みです。今でも一番多いのは自然分娩ですが、最近は無痛分娩も増えてきています。そこでよくママさんから質問されるのが「無痛分娩と和痛分娩はどちらが痛くないの?」「無痛分娩と和痛分娩の違いがわからないから教えて」という内容です。
いつも通っている産婦人科の医師からお話を聞いているとは思いますが、はっきりとした違いがわからず困っている人もたくさんいるでしょう。今回は、無痛分娩と和痛分娩の違いや無痛分娩を選んだときの出産の流れ、誰が行うのかなどを詳しく紹介します。違いがわかれば安心して出産に臨めると思いますので参考にしてください。
無痛分娩と和痛分娩の違いとは?
無痛分娩と聞くと出産するときの痛みを完全になくしてくれるイメージをもたれがちですが、痛みをゼロにすることは不可能です。なぜなら痛みを完全になくしてしまうと陣痛がいつくるかわからなくなり、赤ちゃんを押し出す”いきみ”ができなくなるからです。そのため無痛分娩といって陣痛の痛みは残しておくパターンがほとんどとなります。医学的にも定義がなく曖昧なので医院によって無痛分娩と和痛分娩が違っているのが妊婦さんにとって混乱を呼んでいるのが現状といえます。
はっきりしているのは痛みを和らげるために「硬膜外麻酔」を使用している点です。しかし医院によっては、麻酔を打つときが無痛分娩で呼吸法や自己暗示法を使う場合は和痛分娩と分けて案内しているところもあります。その場合、費用が無痛分娩と和痛分娩で違っている可能性が高いので必ず確認しておきましょう。
出産するときに痛みが出る理由
出産時に痛みが出るようになったのは人間が四足歩行から二足歩行に変わったときから始まっています。子宮が体内で倒立し、子宮口が最下部に位置するようになりました。それにより重力や腹圧で簡単に早産にならないよう子宮の出口が固く厚く開き難くなったのです。固くなることで子宮が収縮して痛みが生じます。
また、大脳の発達によって赤ちゃんの頭が産道よりも大きくなり、通りづらくなったのも痛みが起きる原因の一つです。膣や外陰部・肛門周囲が出てくるときに押し広げられるような強い痛みを感じます。
陣痛の痛みは3つ。その違いを学びましょう
出産のときに起きる陣痛は、前駆(ぜんく)陣痛、本陣痛、後(こう)陣痛の三つです。前駆陣痛とは妊娠中の体が少しずつ出産に向けて準備を始めているサインで、不規則におなかの張りを感じたり痛みが伴ったりします。子宮の収縮が規則的に何回か来ていても続かないで消えてしまう人、あまり感じない人もいるなど個人差があります。赤ちゃんへ「もうすぐ出てきていいよ」と刺激をするのと同時に、赤ちゃんの通り道である子宮や子宮頸管を柔らかくするための準備段階と捉えてください。
本陣痛は、ご存じの通り出産直前に起きる痛みです。最初は子宮収縮の間隔が不規則で痛みもあまり強くないのですが、徐々に規則的となり、強烈な痛みを感じます。37週を超えたらいつ起きてもおかしくないのですぐに病院へ行けるよう準備をしておきましょう。
後(こう)陣痛は出産後に大きくなった子宮が元に戻るときに感じる痛みです。出産で傷ついた血管をふさいで止血し、回復を図る役割があります。産後1日目の痛みが強く、3日目くらいでおさまるのが通常です。
無痛分娩の流れを覚えておきましょう
無痛分娩と和痛分娩で行うときはほとんどが計画分娩です。誘発分娩とも呼ばれており、人工的にお産を始める方法です。日本で無痛分娩(和痛分娩)を実施するときに多くの医院が採用しています。
計画出産だと予定日の前日に入院をしてママさんと赤ちゃんの状態をチェックするところからスタートです。もし子宮口を広げる必要があれば、バルーン(メトロイリンテル)と呼ばれる器具を挿入します。このときに子宮口を広げるので痛みが起きるので注意してください。
当日になると人工的に子宮収縮を起こして陣痛を促進させるために点滴で妊娠促進剤を投与します。人によって効果はさまざまなので効き目が弱ければ投与量を増やしたり、薬の種類を変えたりして対応しています。陣痛が起きれば後は通常の出産と同じです。陣痛促進剤が効かない場合、帝王切開に切り替えたり、使用をストップして自然分娩に切り替えたりしますので医師に確認しておきましょう。
無痛(和痛)分娩は誰が行うのですか?
無痛分娩は、産婦人科医、麻酔科医、助産師が麻酔をかけてお産をする方法です。麻酔に精通している産科麻酔科医が担当するのが理想ですが現状ではそうなっていません。もちろん麻酔科医や産科麻酔科医が担当をしている医院もありますが、医師の数が多くないのと無痛分娩を望むママさんが増えてきているため形態はさまざまです。
もし可能であれば、通っているクリニックで麻酔科医や産科麻酔科医が在籍しているか確認してみてください。いなければ『麻酔科標榜医』という資格を持っている医師がいるか調べてみましょう。これは厚生労働省が認定している資格で産科の先生でも麻酔科専門医の下で2年以上研修したら申請が可能です。
この資格もなく、麻酔科医と産科麻酔科医がいないのに無痛分娩を看板に掲げている医院は危険です。別のクリニックにしたほうがいいでしょう。理由は、無痛分娩(和痛分娩)を行う際に欠かせない硬膜外麻酔は、注射テクニックだけではなく産後まで続くトラブルシューティングも含めるからです。知識以外に経験も重要です。資格があるということは第三者によるお墨付きがあるのと同様ですので安心して麻酔を使ったお産を依頼できると思います。
背中から麻酔薬を注射する硬膜外麻酔で痛みを和らげる
無痛分娩(和痛分娩)を実施する際に使用されるのが硬膜外麻酔です。背中から麻酔薬を注射で注入し、下半身を麻痺させて痛みを和らげる麻酔です。
背中から麻酔薬を入れるなんてとんでもないと思うかもしれませんが、出産時に起きるかもしれない外陰部や腟の縫合時に痛みが感じにくいのと、もし帝王切開に切り替えしないといけないときもスムーズに移行できる点がメリットです。
他には、なんといっても生まれた赤ちゃんを見届けてすぐに抱っこできることです。硬膜外麻酔は上半身には麻酔がかからないから可能となります。子宮の出口が3~5cm開く頃までに始めることが多いですが、妊婦さんの状態、医院の方針によって変わるケースもあるので事前に聞いておきましょう。
硬膜外麻酔以外に痛みを和らげる方法を教えます
無痛分娩と和痛分娩を掲げている医院によっては、硬膜外麻酔以外に呼吸法や自己暗示法といった薬を使わない方法を採用しています。呼吸法には陣痛の痛みを和らげる効果があると言われており、呼吸に意識を向けることで痛みを感じにくくなると言われています。
有名なのが陣痛の痛み逃しに「ハッハッフー」とやるラマーズ法です。他にはリラックスをした状態での出産を目的にしたソフロロジー式と呼ばれる方法もあります。ヨーロッパでは50年以上前から行われており、妊娠中からソフロロジー式のエクササイズやイメージトレーニングをして前向きな気持ちから出産に対する不安や恐怖を減らせるといわれる呼吸法です。腹式呼吸が基本のため分娩のときもゆっくりと十分な酸素を送り続けられ、赤ちゃんが健康的な状態で産まれると言われています。
無痛(和痛)分娩をすると帝王切開になってしまうのは本当?
無痛分娩(和痛分娩)をしたからといって帝王切開をするとは限りません。しかしながら欧米のように24時間体制で管理する体制が整っているならば0%ですが、日本の施設で多く使われている妊娠促進剤を投与して硬膜外麻酔を使用した無痛分娩のデータはありません。そのためもしかしたら確率は上がってしまう可能性もあります。
無痛分娩は、時間は長くなる傾向があるため鉗子分娩と吸引分娩の率が増えるのは事実です。無痛分娩を選択した初産婦さんでは、選択しなかった初産婦さんに比べて、子宮口が全開してから赤ちゃんが出てくるまでの時間が1時間ほど長くなると言われています。