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妊娠したかもと思ったら、病院を受診する前に妊娠検査薬を使用してみましょう。妊娠検査薬を用いれば自分で妊娠しているかどうかを確認できます。
今回は妊娠検査薬の仕組みや正しい使い方などを解説します。
妊娠検査薬とは?
妊娠検査薬とは妊娠しているかどうかを自宅でも把握できる検査薬です。妊娠検査薬はドラッグストアでも購入可能なので、少しでも妊娠の可能性を感じたら検査できます。
妊娠検査薬はhCGに反応
妊娠検査薬で陽性・陰性が検査可能なのは、hCGという成分があるからです。hCGとは受精卵が着床したことでできた胎盤で産生されるホルモンです。
妊娠検査薬は尿にhCGが含まれているかどうかで、妊娠しているかどうかを確認しているのです。
妊娠検査薬の正しい使い方
妊娠検査薬で正確な結果を出すには、正しい使い方を心がけましょう。
正しく使わないと、本来陽性なのに陰性結果が出てしまうという場合もあります。
検査薬の指定箇所に尿をかける
検査薬には尿をかける箇所が指定されています。そのため、検査薬を正しく使用するためには、指定された箇所に尿をかけましょう。
また、製品によって尿をかける秒数が異なります。そのため、使用前に説明書を確認しておきましょう。
判定が出るまでは水平にしておく
検査薬に尿をかけたら、水平の状態を保つようにしましょう。斜めにしてしまったり縦にしてしまったりすると、検査薬が正しく機能しない場合があります。
判定結果を確認
尿をかけてしばらくすると、判定結果が現れます。結果は検査薬の種類によって異なりますが、一般的に陽性であれば判定窓に線が現れます。
妊娠検査薬を使うときの注意点
妊娠検査薬を使うときはタイミングや検査薬の使い分けなどの注意点を把握しておきましょう。
早急に検査をしない
妊娠検査薬を使用するときは、タイミングに気を付けましょう。市販されている妊娠検査薬は、使用のタイミングを一般的に生理予定日から1週間後を目安としています。
ですが、hCGの分泌が始まるタイミングは生理予定日から1週間後よりも早い傾向にあります。そのため、製薬会社が設定している生理予定日から1週間後という目安よりも前倒しで検査可能です。
前倒しで検査をした場合、妊娠していても陰性結果が出てしまう恐れがあるので注意が必要です。
タイミングによって検査薬を使い分ける
妊娠検査薬のなかでも早期に検査可能なのが、早期妊娠検査薬です。通常の検査薬の場合、hCGの量が通常の妊娠検査薬の半分でも判断可能です。
ただ、早期妊娠検査薬は第1類医薬品のため、薬剤師がいる薬局のみで購入可能です。
生理がこなくても陰性になる場合がある
検査の結果が陰性であっても、生理がこない場合があります。これは次のような原因が考えられます。
- ・判定窓に尿がかかっていない場合
- ・生理の予定日が計算間違いの場合
- ・子宮外妊娠などの異常妊娠だった場合
- ・生理の周期が不規則な場合
妊娠検査薬で陽性でも注意が必要
妊娠検査薬で陽性という結果がでても、自己診断をせずに病院を受診することが大切です。
異所性妊娠(子宮外妊娠)
受精卵は子宮に着床しますが、次のように子宮以外に着床する場合があります。
- 卵巣に着床する:卵巣妊娠
- 卵管に着床する:卵管妊娠
- 子宮の筋肉に着床する:間質部妊娠
これらは異所性妊娠(子宮外妊娠)と呼ばれる異常妊娠です。異所性妊娠によって着床した箇所は、組織が破裂してしてしまい出血につながってしまいます。その結果、命に関わることもあるので、早期に病院に行きましょう。
胞状奇胎
胞状奇胎とは、胎盤を作る組織の一部が増殖してしまった異常性妊娠です。この状態では、胎児が育たないため、取り除く必要があります。また、発見が遅れてしまいそのままにしておくと出血につながってしまいます。
流産
流産をしてしまっていても、子宮内に胎盤が残っていると陽性反応がでる可能性があります。この状態を放置していると感染症や出血の原因となってしまいます。
妊娠検査の結果が陽性だった場合に覚えておきたい感染症
妊娠検査で陽性だった場合、母体と赤ちゃんが健やかに暮らすためにも、妊娠中に気を付けたい病気や感染症を把握しておきましょう。
風疹
風疹は妊娠20週までに感染してしまうと、赤ちゃんに次のような症状が引き起こされる可能性があります。
- ・難聴
- ・白内障
- ・心疾患
風疹は妊娠中に予防接種が受けられないため、妊娠前に抗体がないかを確認しておきましょう。抗体がない場合や少ない場合は風疹の感染を防ぐために人混みは避けるのが望ましいです。
クラミジア
クラミジアは性感染症のひとつです。妊娠中に感染してしまうと、流産や早産のリスクが高まってしまいます。また、出産時に赤ちゃんが肺炎や結膜炎にかかってしまう恐れもあります。
水ぼうそう
水ぼうそうは免疫を持っている人が多くいますが、免疫のないお母さんが感染してしまうと、赤ちゃんの眼や皮膚などに異常をきたしてしまう恐れがあります。
トキソプラズマ
トキソプラズマとは火が十分に通っていない肉や猫のフン、土などにある原虫です。この原虫が口に入ってしまうことで感染・発症してしまいます。感染してしまうと、赤ちゃんの先天異常や流産、早産の原因になる恐れがあります。
感染を防ぐためには猫のフンを処理する場合はしっかり手を洗う、生肉は食べない、ガーデニングなどで土を触るときは手袋をするといった対策をとりましょう。
B群溶血性連鎖球菌 (GBS)
B群溶血性連鎖球菌は女性の腟や直腸、膀胱、肛門周辺に存在する細菌です。B群溶血性連鎖球菌はお母さんとお腹の赤ちゃんに感染することはありません。ですが、GBSの抗体を持たないお母さんの赤ちゃんが感染してしまうと、肺炎、敗血症などを発症してしまいます。
ヒトパルボウイルスB19
ヒトパルボウイルスB19感染症とはリンゴ病の名前で知られる症状の原因となります。
妊娠中に胎児に感染してしまうと、流産、死産の原因となる恐れがあります。住んでいる地域でリンゴ病が流行しているようであれば、外出を控えて感染を避けましょう。
妊娠中に気を付けたいこと
妊娠検査薬で陽性がでた場合、感染症以外にも普段の生活でも気を付けるべき点がいくつもあります。
服薬
薬のなかには妊娠初期に服用すると、お腹の赤ちゃんに影響を与えてしまうものもあります。
そのため、妊娠初期の段階は市販の薬を独断で服用しないようにしましょう。また、妊娠前から服用している薬があれば主治医に相談することが大切です。
過度な運動や無理は避ける
妊娠初期は体調が安定しません。そのため、激しい運動は避けるようにしましょう。また、重いものを持つ、旅行に行くといった身体に負担がかかる行動も避けるとよいでしょう。
禁煙と禁酒
喫煙によってニコチンを摂取すると、血管が収縮してしまい赤ちゃんに栄養が行きづらくなってしまいます。また、喫煙は流産や早産の原因になることもあります。そのため、喫煙をしている場合は禁煙に取り組みましょう。
また、アルコールも赤ちゃんに悪影響を及ぼしてしまいます。妊娠中もアルコールを摂取していると、赤ちゃんが胎児性アルコール症候群になってしまうかもしれません。
胎児性アルコール症候群になってしまうと、低体重・低身長といった発達の遅れにつながってしまいます。
食生活
妊娠初期は食生活にも注意が必要です。妊娠すると免疫力が低下してしまうため、感染症や食中毒にかかってしまう恐れがあります。そのため、生肉や生ハム、殺菌されていないナチュラルチーズは避けましょう。
一方、海藻類のように鉄分を多く含む食べ物、きのこ類のような食物繊維を多く含む食べ物などは積極的に摂取するようにしましょう。
【まとめ】妊娠検査薬を正しく使って妊娠初期に心構えをしておこう
妊娠検査薬は正しく使うことで、高い確率で妊娠が判断できます。妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、病院を受診して妊娠の確定診断を受けましょう。
妊娠するとそれまでの生活とは大きく変わります。妊娠中に気を付けたい感染症や生活習慣などを把握して自分と赤ちゃんの健康を守りましょう。