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精液の色でわかる精子の数|色が透明だと不妊症検査の対象

精液が透明で、精子の状態に何か異常がないかが気になり不安になった経験はありませんか?妊娠を望んでいる場合は、妊娠との関連性についても気になるところです。

ここでは、精液が透明になる理由や精子が少ない原因、さらに、生活習慣の見直しについて解説します。精液の異常は適切な治療で改善する可能性があるため、本記事を参考に医療機関の受診も検討しましょう。

精液が透明な理由とは?

人間の精子の流れ

精液が透明になる理由としては、射精したばかりで透明なゼリー状のものが混ざっていることによるものと、精液に含まれる精子の数が少ない可能性の2つが考えられます。

精子の数が少ない場合は、精液が透明になるほか、水っぽくサラサラしている場合もあります。

ただし、射精をしていない期間によっても精液の状態は異なります。精液が透明な状態が続く場合は、一度医療機関を受診しましょう。

精液の色でわかる生殖機能

睾丸と精巣上体、断面図

実は精液の色で健康状態がわかります。どういった色のときにはどんな症状があるのでしょう。

透明にちかい

精液の色は乳白色が正常です。透明だった場合、先述したように何かしらの症状によって精子の数が少なくなっている可能性があります。

WHO(世界保健機構)の精液検査正常値(2021年)は、精液量1.4ml以上、精子濃度1600万/ml以上、運動率42%以上、正常形態率4%以上としています。正常値に達していない精液だと不妊症といえるでしょう。

ちなみに、精子の数が正常値を下回る状態を乏精子症、精子が存在しない状態を無精子症です。

赤っぽい

精液が赤っぽいのは出血によるものです。この状態を血精液症といいます。原因ははっきりわからない場合も多く、前立腺や尿道の炎症で出血を起こしている可能性も考えられます。

血精液症は10代~起こりえますが、40代以降に多いそうです。症状を繰り返す場合は重大な病気が潜んでいるかもしれませんので医療機関に相談をしてください。

黄色っぽい

元々黄色っぽい方は特に気にする必要はありません。他方、元は正常の色だったのが黄色っぽくなったら注意が必要です。膿精液症(精液に膿が混ざっている状態)を発症している恐れがあるからです。膿精液症は、前立腺・尿道・精嚢などの炎症で、性感染などによって起こります。

性感染症の種類によっては男性不妊の原因となります。またパートナー以外の性行為によって感染した場合、妊活は一時休止して医師の診断を受けてください。

精液が透明だと不妊症になるのか?

精子の濃度0~500万匹/ml ・無精子症やクラインフェルター症候群などの先天性の症状
・放射線や抗がん剤など精巣がんの治療によるもの

精子の濃度500万~1,500万匹/ml ・精索静脈瘤
・ホルモン異常(LH,FSH等の異常)
・生活習慣(多忙な仕事、喫煙、タイトな下着の着用、サウナ、長時間のサイクリング、過度の飲酒など)

精子が少ない場合、原因として造精機能障害と精路通過障害の2つが考えられます。この2つはどういった症状なのか説明をします。

造精機能障害とは、精子を作りだす機能そのものに問題があり、精子を上手く作れない状態のことです。

男性不妊の原因の約90%を占め、精巣やホルモン分泌の異常で発生します。無精子症や乏精子症、精子無力症などもこれに当てはまります。

パートナーと子どもを作ることを考えている人は治療を検討する症状です。

精路通過障害は、精子が出るまでの経路がふさがっていたり、何らかの原因で経路が狭くなっていたりする状態です。そのうち、精子の通り道が完全にふさがっている状態を“精管閉鎖”と呼びます。

精路通過障害を起こす代表的な疾患には、精巣上体炎、精管炎、逆行性射精があります。

精巣上体炎と精管炎は、クラミジアを含む性感染症の後遺症として、精巣上体の中の細い管や精管がふさがってしまうことが原因です。

逆行性射精は、射精時に精液が膀胱に入る現象を指します。射精した感覚はあるものの、精液が全く出ない、精液の量が極端に少ないことがあります。

不妊症になりやすい男性の特徴

前立腺と膀胱の問題の概念。 ターゲットを絞った痛み 若者の健康問題 痛みのある若い男性は治療のために医者に行きます。 医師は患者にインタビューし、アドバイスを与えている

不妊治療は時間がかかる場合が多く、時が経つと妊娠できる確率が下がってしまいます。そのため男女ともに不妊症の可能性がある場合は検査を受ける必要があります。ここでは男性不妊になりやすい特徴について詳しく解説をしていきます。

主に以下の3つについてです。

  • ・見た目
  • ・病歴
  • ・生活習慣

見た目

精子は高温になると死滅してしまいます。そのため精子を作る睾丸は体温よりも低く保っているのがベストです。

例えば、睾丸が以下の場合は検査を受ける必要があります。

  • ・睾丸が小さい人、あるいは、思春期の頃より小さくなった人
  • ・睾丸を触るとふにゃふにゃと柔らかく張りがない人
  • ・陰嚢(睾丸の袋)の表面に血管が多くある人
  • ・睾丸の位置が陰嚢内の上方や鼡径部にある人

睾丸がもともと小さかったり、柔らかかったりする人は精巣で精子が作られていないかもしれません。もし最近になってこうした変化を感じる人は精子所見が悪化している恐れがあります。

また陰嚢(睾丸の袋)の表面に血液が多くある人は、精索静脈瘤かもしれません。この状態は静脈が逆流し、睾丸の周りに滞留しています。血液は体温と同じ温度なので低く保てなくなります。そのため精子が作られにくい状態になり、男性不妊の原因です。

睾丸の位置が陰嚢の上方や鼠径部に近いところにある人も、陰嚢(睾丸の袋)の表面に血管が多くある人同様に精子が作られにくい状態です。やはり睾丸の温度が高くなってしまい精子を作る機能が衰えてやすいからです。

病歴

以下の手術や病気によっても、男性不妊の原因と言われています。

  • ・鼡径ヘルニアの手術を幼少期に受けた人
  • ・おたふく風邪に罹患後、精巣炎で睾丸が腫れた人

精子は鼡径管を通りますが、鼡径ヘルニアの手術時に、鼡径管が一緒に縛られてしまう場合があります。それによって男性不妊の原因となってしまうのです

また大人になってからおたふく風邪にかかった人も男性不妊を疑ってください。なぜなら精巣炎で睾丸が腫れてしまう場合があるからです。他にも高熱が続いて睾丸近くに痛みを感じた経験のある人も注意してください。

生活習慣

精子が少なくなる原因として、生活習慣に問題がある可能性が考えられます。

以下のような生活習慣に心当たりがある方もいるのではないでしょうか。

  • ・喫煙
  • ・長風呂
  • ・サウナ
  • ・締め付けのある下着の着用
  • ・膝の上でPCを使う
  • ・自転車・バイクの乗りすぎ
  • ・お酒の飲みすぎ
  • ・放射線治療を受けている

喫煙は、血管が収縮して血流が悪くなるため勃起不全(ED)を招く原因になるだけでなく、精子の数や運動性のよい精子が減ったり、DNAが破損されたりする可能性もあります。パートナーとの子どもを望むのであれば禁煙しましょう。

また、精子を作る精巣は熱に弱いため、長風呂やサウナ、膝の上でのPC作業も控えた方がよいとされています。同様の理由から、締め付けのある下着の着用や自転車・バイクに長時間乗ることも精巣を温めてしまうため男性不妊の要因と考えられます。さらに、生殖器付近への放射線の照射はDNAを傷つけてしまう可能性があるため要注意です。

気になる症状は病院に相談をしよう

病院に通うカップル

精液の色が普段と違う場合、精子の数が少ない可能性があります。

精子が少なくなる原因には、造精機能障害と精路通過障害の二つがあり、原因に合わせた治療が必要です。また、生活習慣も精子に影響を及ぼします。精巣は熱に弱いため、温め過ぎないように心がけましょう。男性不妊の治療には、助成金制度を利用することができます。気になっている方は、一度助成金の指定を受けている病院に相談してみてください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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