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早産とはいつからのこと?早産の原因や兆候も紹介

早産とは妊娠22週0日~36週6日までの出産のことで、子宮内感染など原因がはっきりしているものもあれば、体質など原因が不明確な早産もあります。そのため、おりものに血が混ざったり、下腹部に痛みを感じたりした場合は、速やかにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

本記事では、早産の定義と原因、なりやすい人の傾向、兆候と対処法を解説します。

早産とはいつからのこと?

早産とはいつからのこと?早産の原因や兆候も紹介

妊娠の経過が順調であれば37週0日~41週6日までの間に出産を迎え、この期間内の出産を正期産(せいきさん)といいます。

早産とは正期産よりも前のお産のことで、妊娠22週0日~36週6日までの出産です。なお、妊娠22週0日以前の出産は胎児が生命維持をできないことから、流産として区別されています。

早産の赤ちゃんへの影響

妊娠22週の早産で生まれた赤ちゃんは体重が500g程度しかありません。発育が十分でないため、NICU(新生児集中治療室)で長期の治療が必要となります。さらに、呼吸器への障害や感染症など、早産で生まれた赤ちゃんには多くのリスクがともないます。

自然早産と人工早産

早産は全妊娠の約5%に見られる症状です。[注1]
早産と一口にいっても、原因により以下の2種に分類されます。

自然早産:体質など、なんらかの理由から陣痛が早まってしまう早産
人工早産:母子のトラブルが原因で出産を早める以外方法がなくなってしまう早産

なお、早産のうち約25%は人工早産が占めています。

[注1]公益社団法人 日本産科婦人科学会:早産・切迫早産
www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=5

切迫早産とは?

切迫とは「非常に差し迫った」を意味します。切迫早産とは言葉のとおり、早産の一歩手前であり、早産になりかかっている状態です。規則的な子宮収縮が頻繁に起こり、子宮口が開いた状態となるため、赤ちゃんがいつ出てきてもおかしくない状態です。同時に破水が起きれば妊婦さんは感染症にかかりやすく、赤ちゃんの命にも関わるため、早急に対処が必要な状態です。

切迫早産の症状が出た際は、子宮収縮を抑制したり、原因によっては抗菌薬などを使ったりして早急に対処が必要です。また、子宮口の開きが強い場合は、入院による処置や、子宮の出入口にあたる子宮頸管を縛って開かないようにする手術(頸管縫縮術)を行うこともあります。

早産の原因やリスク

早産の原因には母体が原因によるものと、胎児が原因によるものの2種類があります。それぞれ解説します。

子宮内感染

クラミジアなどの細菌が膣から子宮内に入ることで、炎症を起こしている状態です。感染が原因で絨毛膜羊膜炎や子宮頚管になると、破水や子宮収縮が起きやすくなり、早産に至る恐れがあります。炎症があれば早期治療が必要です。

妊婦糖尿病にともなう合併症

妊婦糖尿とは、妊娠中にはじめて診断された糖代謝異常のことです。妊婦糖尿病になると、妊娠高血圧症候群や羊水量の異常などの合併症が起きるだけでなく、早産や流産の危険が高くなってしまいます。食事療法や血糖療法などにより管理が必要です。

子宮頸管無力症

痛みが生じることなく子宮頸管が開いてしまう病気で、妊娠中のみに生じ、詳しい発生理由は分かっていません。通常、子宮頸管は陣痛が始まらないと開かないものの、なんらかの理由により早期に開いてしまうことで、早産につながってしまいます。状態が悪化している場合、頸管縫縮術が必要となることもあります。

胎児の状態

早産の中には胎児の状態が原因となっているケースも少なくありません。例えば、染色体異常などの疾患があると、通常より早産になりやすい傾向があります。これらの疾患は出生前診断などである程度予測が可能です。

早産になりやすい人の傾向

早産の原因には子宮内感染などある程度予測がつくものもある反面、全ての早産で原因が特定できる訳ではありません。ここでは、早産になりやすい人の傾向を確認します。該当する場合、事前に対策を立てることが大切です。

妊婦さんの年齢

一般的に10代の若年者や、35歳以上や40代の高齢妊婦では早産や低体重児の傾向が強くなります。

妊婦さんの体重

BMIが18.5を大きく下回るなど、妊娠前に痩せすぎていると、早産や低体重児出産のリスクが高まります。また、妊娠後も適切な体重を維持できないと、胎児の発育に影響がでる恐れがあります。

子宮の病気

過去に子宮頸部の円錐切除術を受けたことがあると、早産になりやすいです。また、子宮筋腫などの病気がある場合も、早産になるリスクが高まります。

多胎妊娠

双子や三つ子など、多胎妊娠の場合はつわりや妊婦糖尿病など、単胎妊娠以上にさまざまなトラブルが起きる可能性が高くなり、早産の割合も高くなります。

体質

これまでの出産で早産になったことがある人は、次の出産でも早産になりやすいです。また、体質的に子宮頸管長が短い場合も、早産になりやすい傾向です。

飲酒や喫煙

妊娠中の飲酒や喫煙は、お腹の赤ちゃんに酸素や栄養が行き届きにくくなるため、早産や流産のリスクが高まります。また、妊婦さん本人の喫煙だけでなく、受動喫煙も胎児の発育に悪影響です。

早産の兆候とは?

切迫早産や早産の兆候としては、以下が挙げられます。

  • ・下腹部に張りを感じる
  • ・下腹部に周期的な痛みを感じる
  • ・出血やおりものに血が混じる
  • ・透明な水分が漏れる(破水の恐れ)

軽い下腹部の痛みで、安静にしていれば収まるなら問題はありません。しかし、歩くのも辛い下腹部の痛みがあったり、出血や破水があったりする場合は早産のリスクが高いため、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡し受診しましょう。

早産を防止するポイント

早産を防止するためにも、まずは妊婦健診を受診することが大切です。その上で指示に従い、異常があればすぐにかかりつけ医に相談しましょう。

妊婦健診を受診する

妊婦健診では、妊婦さんと胎児の状態を確認するだけでなく、切迫早産の傾向も確認します。まずは、定期的に妊婦健診を受診し、体重管理などの指示があれば従うようにしましょう。

リスクに応じた対策をとる

早産になりやすい傾向に該当するなら、早産の兆候を事前に確認し心配があればすぐにかかりつけ医に相談しましょう。お腹の張りやおりもの様子など、普段の状況を観察して、異変をすぐに察知できるようにするとよいでしょう。

無理をしない

妊娠中はストレスに気をつけ、体に無理がかからないように生活しましょう。安静が必要なときは仕事や家事を休むことも必要です。また、妊娠中は免疫力が低下しやすいため、体を冷やさないようにします。運動は気分転換や体力の維持にも役立つため、適度に取り入れましょう。

自動喫煙の防止

妊婦さんの禁煙はもちろん、飲酒も控えるようにしましょう。なお、カフェインの過剰摂取もよくありません。また、家族にタバコを吸う人がいるなら、受動喫煙防止のためにも、喫煙場所を分けるなどの対処が必要です。

早産は兆候を見逃さず、なるべく早めの段階で対処することが重要

早産は全妊娠の約5%に見られます。感染症など原因が特定できるものは事前に対処もしやすいでしょう。しかし、体質や年齢などが理由の自然早産もあるため、日頃から兆候を見逃さず、すぐに対処できるようにしておくことが大切です。

下腹部の周期的な強い痛みや出血、水分が漏れるなどの症状があれば切迫早産の危険もあるため、我慢せず、すぐにかかりつけの産婦人科に相談の上受診しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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