InstagramInstagram

不妊治療とは|種類と検査方法、必要な費用

妊娠を目的に性生活を営んでいるにも関わらず妊娠する気配がないと、最初に疑うのは「不妊症」ではないでしょうか?

そして不妊症であるなら、治療をしないと妊娠する可能性はほぼありません。そうは言っても不妊症であることに確信を持てないまま病院を受診するのは、ハードルが高いですよね。

そこでこの記事では、不妊症を疑っている夫婦に向けて、以下の内容をお伝えします。

  • ・女性・男性それぞれの不妊症の原因
  • ・男女別に見た不妊症の検査
  • ・不妊治療を受ける前に知っておくべきこと

この記事を最後まで読むことで「あなたが不妊症である可能性」や「不妊症だった場合に行われる検査・治療」について広く学べます。また、夫婦で不妊症の可能性について話し合う機会にもなるでしょう。

ぜひ、最後までご覧ください。

不妊症とは?

近年、不妊症の方は増加傾向にあります。そして「不妊症」という言葉をよく耳にすることがありますが、不妊症の正しい定義ができる方は少ないのではないでしょうか?

そこでこの章では、以下の内容について解説します。

  • ・不妊症の定義と確率
  • ・【要チェック】不妊症になりやすい人の特徴

不妊症に関する正しい知識を学び、あなた自身が不妊症かどうかを考える参考にしていただけると幸いです。

不妊症の定義と確率

不妊症について日本産科婦人科学会は、以下のように定義しています。

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないもの

また「一定期間」とは、一般的に「1年間」を示します。

10組のカップルに1組は不妊症であり、厚生労働省のデータによると不妊検査・治療経験のあるカップルは「約5.5組に1組」であることも分かります。現代社会において不妊症は珍しいことではありません。

一方で不妊治療に対するハードルは高く、検査や治療を始めるまでに時間がかかることが問題視されています。不妊治療による妊娠率は開始時期が早いほど高いため、「不妊症かな?」と感じたら迷わず産婦人科に相談しましょう。

引用文献
公益社団法人 日本産科婦人科学会/不妊症
厚生労働省/不妊症と仕事との両立サポートハンドブック

【要チェック】不妊症になりやすい人の特徴

思うように妊娠できないと「もしかして自分は不妊症になりやすい体質なのでは?」と心配になりますよね。実際、不妊症になりやすい人には、以下の特徴があります。

  • ・高齢(35歳以上)
  • ・婦人科疾患の既往歴もしくは現在治療中
  • ・月経異常
  • ・性感染症にかかっている

加齢に伴う生殖機能の低下は妊娠率を下げて、不妊症を誘発します。以下は日本生殖医学会の年齢と妊娠率の関係を示したグラフになります。
妊娠率

一般社団法人 日本生殖医学会/年齢が不妊・不育症に与える影響より画像引用)

特に35歳からは妊娠率が急激に下がり、40代になると30%前後となることが分かります。

また、婦人科疾患や感染症にかかっているなど、何かしらの病気が原因で不妊症になっていることも十分考えられます。特に性感染症は自覚症状に乏しいものもあり、婦人科を受診した際に偶然発見されるケースも稀ではありません。

このように不妊症になりやすい人には特徴があると分かりました。ただし、人それぞれ体質や妊活環境が異なるため、あくまで参考程度に考えていただけると幸いです。

参考資料:一般社団法人 日本生殖医学会/年齢が不妊・不育症に与える影響

【女性側】不妊症の5つの原因

女性不妊の原因は、以下の5つです。

  • ・排卵因子
  • ・卵管因子
  • ・頸管因子
  • ・免疫因子
  • ・子宮因子

実際にあなたの症状を比較できるように、一つひとつの原因についてかなり詳しく解説しています。そして、これらの原因に当てはまった場合、すぐに産婦人科で相談することをおすすめします。

では、1つずつ解説します。

原因①:排卵因子

排卵とは卵巣で育った卵子が卵管に排出されることです。そして排卵に関わる機能や生理現象などの排卵因子が、不妊症を引き起こしている可能性もあります。

例えば「卵巣機能の低下」や「月経不順」により、排卵自体が行われていない無排卵症が有名です。生理痛や月経に伴う出血はあるため発見に遅れ、知らないうちに不妊症になっているケースもあります。

その他にも排卵因子の原因として、以下があります。

  • ・甲状腺の病気で女性ホルモンのバランスが崩れる
  • ・極端な体型(痩せすぎ・太りすぎ)
  • ・男性ホルモンの分泌過多(多嚢胞性卵巣症候群
  • 早発卵巣不全早発閉経

排卵活動が正常に行われているかは、基礎体温や血液検査(ホルモンを調べる)をしないと分かりません。そして放置しておくと不妊症が悪化して、妊娠する機会を知らず知らずのうちに失ってしまいかねません。

そのため、気になる方は一度産婦人科に相談することが望ましいでしょう。

原因②:卵管因子

卵管とは卵巣と子宮を繋ぐ道であり、卵子と精子が出会い受精する場所のことです。卵管因子とは、何らかの原因で卵管自体に炎症が起こり、卵子・精子が通過できず受精できない状態のことです。

卵管が炎症を起こす原因は、以下の通りです。

  • ・クラミジア感染症
  • 子宮内膜症による卵管周囲の癒着

クラミジアなどの性感染症は、卵管炎や骨盤腹膜炎の原因になります。そしてクラミジア感染症の多くは無症状であるため、長期的に感染している場合でも気づいていないケースもあります。

また、子宮内膜症により卵管周囲が癒着・通過障害を起こしている可能性も否定できません。通過障害になることで卵子と精子が出会えなかったり、卵管で妊娠する異所性妊娠になったりするリスクもあります。

そのため、卵管造影検査で通過障害やその他形態に異常がないかを確認してもらいましょう。

原因③:頸管因子

頸管因子とは、子宮頸管の問題のことです。

子宮頸管とは、子宮と膣の間にある細い通り道のことです。外部から感染菌の侵入を防ぐとともに、排卵が近づくと分泌物を増やして精子が通過しやすい環境に調整をする働きがあります。

しかし子宮頸管が機能低下や感染症にかかると、分泌物の低下や炎症による通過障害が起こります。結果として不妊症を誘発・悪化させる原因になるのです。

 

原因④:免疫因子

抗精子抗体が精子を異物と判断して攻撃する免疫因子も不妊症の原因の一つです。

免疫とは、外部から細菌やウイルスが侵入すると攻撃して体内で悪いことをしないように守るバリア機能のことです。

免疫因子による不妊症では、女性由来の免疫が精子を外敵と判断して攻撃します。結果として精子の活動性が低下したり、死滅したりして、受精できません。また女性の免疫が卵子自体を異物と判断して攻撃するパターンもあります。原因は未だに解明されていません。

免疫因子に対しては、体外受精で妊娠を目指します。体外で人工的に受精をさせて、体内に戻すことで妊娠率を高められるでしょう。

 

原因⑤:子宮因子

子宮の形態異常や癒着などが原因で不妊症になる場合、子宮因子が考えられます。子宮因子は全不妊症のうち「約1〜3%」、女性不妊症の「約2〜7%」の原因です。

子宮因子になる具体的な原因は、以下の通りです。

  • ・先天的な形態異常
  • ・手術や処置後の癒着・炎症
  • ・子宮筋腫
  • ・子宮への血流障害・低下

形態異常や癒着・炎症で卵子と精子が出会えないと妊娠することはありません。特に子宮筋腫は30歳以上の女性の「約20〜30%」がかかっていると言われており、若い女性でも不妊症になる可能性は十分考えられます。

また、血流障害は子宮機能を低下させる原因となり、妊娠したとしても着床に失敗したり、受精卵(胚)を成熟させられなかったりします。

参考資料:公益社団法人 日本産婦人科医会/不妊の原因と検査

【男性側】不妊症の4つの原因

「不妊は女性がなるもの」と考えている男性は、少し待ってください。

男性でも不妊症になる可能性は十分にあります。そして近年、男性不妊に関する治療も確立されつつあります。

男性不妊の原因は、以下の4つです。

  • ・造精機能障害
  • ・精路通過障害
  • ・副性器障害
  • ・機能不全

不妊を夫婦の問題として捉えて、男性の方も不検査・治療を積極的に受けられるようになりましょう。

原因①:造精機能障害

造精機能障害の原因は、以下の通りです。

  • ・生殖機能の低下
  • ・精巣静脈瘤

生殖機能が低下すると作られる精子の数が少なくなったり、奇形や活動性が低くなったりします。最悪の場合、精子自体が作られなくなると「無精子症」になる危険性も十分考えられるでしょう。

また、精巣静脈瘤(精巣静脈の血流が逆流する)になると精巣内の温度が上昇して、作られた精子の活動性が低下する原因になります。造精機能障害が低下することも考えると、早期に治療を始める重要性がわかるのではないでしょうか?

人によっては陰嚢部(いんのうぶ)の重圧感や不快など自覚症状を伴うこともあります。精巣静脈瘤は手術や内服治療で改善の見込みがあるため、診断されたら早いうちから治療を始めるのが望ましいでしょう。

原因②:精路通過障害

精巣内で作られた精子は、精巣上体・精管・射精菅・尿道を通過して射精に至ります。しかし、精路通過障害ではこれらの通り道の一部が詰まっており、射精された精子をペニスの先端、つまりペニスの外に出すことができません。

精子自体が射精されないため、妊娠する可能性はありません。

精路通過障害の原因は、以下の通りです。

  • ・先天性の形態異常
  • ・精巣上体の炎症
  • ・射精管閉塞症
  • ・前立腺嚢胞
  • ・鼡径(そけい)ヘルニア
  • ・手術後の癒着

治療法として、精路の詰まりや閉鎖を解除する手術(精路再建術)が行われます。ただし、先天性の形態異常や閉鎖期間が長く改善が難しいケースもあります。また、原因不明の精路通過障害もあるため、すべての症例で改善が見込まれるというわけではありません。

原因③:副性器障害

副性器障害とは、睾丸以外の副性器(精巣上体・精管・精のう・前立腺)に何らかの問題があり不妊になっている状態です。

副性器障害の原因は、以下の通りです。

  • ・副性器(精巣上体・精管・精のう・前立腺)の炎症
  • ・クラミジア感染症
  • ・精路感染(マイコプラズマ、結核菌、サイトメガロウイルスなど)

副性器に炎症が起こると奇形の精子が作られたり、活動性が下がったりします。また、クラミジアやその他マイコプラズマ、結核菌、サイトメガロウイルスなども精路感染の原因です。

精液中の白血球が上昇しており性感染症と診断されたら、抗生物質で治療します。治療の必要性や薬の副作用について医師からの説明をしっかりと聞き、改善できるようにしましょう。

原因④:機能不全

勃起障害(ED)や膣内射精障害などの機能障害が原因で不妊症になっている可能性も考えられます。これらの障害があると、性行為の時に思うように射精ができず、妊娠ができません。

機能不全の原因は、以下の通りです。

  • ・精神的なストレス
  • ・糖尿病
  • ・動脈硬化
  • ・神経損傷
  • ・薬剤性

夫婦間の関係性や「妊娠をしなければ」というプレッシャーで機能障害に陥るケースも稀ではありません。また、生活習慣病(糖尿病や動脈硬化)による血流障害が原因の一つです。

抗けいれん薬・抗精神病薬・不整脈薬の内服など、持病の治療が原因で機能不全になることも考えられます。継続的な内服をしなければいけない方は、かかりつけ医に相談が必要です。内服の種類の変更や減量など改善策を一緒に考えてもらいましょう。

【男女別】不妊症の検査

この章では、男女別に不妊症の診断で行われる検査について解説します。

検査内容によっては「痛み」や「羞恥心」が伴うものもあり、検査内容を知らないまま受けると後悔します。

この章で検査に対する基礎知識を学び、安心して受けられるようになりましょう。

女性側の不妊検査

女性不妊症の診断をするには、以下の検査があります。

  • ・内診
  • ・エコー検査(経膣超音波検査)
  • ・子宮卵管造影検査
  • ・ホルモンの検査
  • ・性交後試験(Huhnerテスト・PCT)

内診・エコー検査では子宮筋腫やクラミジアによる炎症の有無を確認します。これらの病気が疑われたら、MRI検査や腹腔鏡検査などの精査が勧められるでしょう。

子宮卵管造影検査は、卵管・子宮因子の診断をします。卵子や精子の通り道となる卵管や子宮の形態異常や狭窄がないか確認可能です。

ホルモン検査では、妊娠に関するホルモンの状況を確認できます。検査は採血のため針を刺されるデメリットはあるものの、短時間かつ手軽に行えるメリットがあります。

性交後試験では、免疫因子(抗精子抗体といい、女性側が精子を外敵として認識していないか)がないか診断可能です。排卵日に合わせて性行為を行い、翌日の子宮頸管粘液を採取、活動性のある精子がないなら免疫因子による不妊が確定します。

このように様々な検査をして、不妊の原因を探ることができるのです。

男性側の不妊検査

男性不妊症を診断するには、以下の検査があります。

  • ・精液検査
  • ・ホルモン採血
  • ・尿検査
  • ・超音波検査
  • 精液検査では、採取した精子の活動性を確認して、精子の質を探ります。直接観察するため、受精能力のある精子かどうかを評価しやすいことが最大のメリットです。

    妊娠率を上げるためには禁欲が効果的とよく耳にしますが、精液検査で調べてみるとそうでもないことがわかりました。

    禁欲をしすぎると古い精子が溜まり、質の低い精子が射精されます。質の低い精子が射精されると妊娠率が下がるだけでなく、先天性異常発症するリスクも高まります。

    禁欲期間は「2〜5日」が目安と言われており、長ければ良いという訳ではないと覚えておきましょう。

    不妊治療を受ける前に知っておくべき3つのこと

    一口に不妊治療といっても様々な種類があることをご存知でしょうか?

    そしてどの治療も高額な費用が必要です。そのため、経済的な負担と妊娠率を考慮しながら可能な範囲で挑戦しなければいけません。

    そこでこの章では、不妊治療を受ける前に知っておくべき以下の3つを解説します。

    • ・不妊治療の種類と流れ
    • ・不妊治療にかかる費用
    • ・日本における不妊治療の実績

    これから不妊治療を始める方にとって、少しでもイメージを膨らませる参考になれば幸いです。

    1. 不妊治療の種類と流れ

    不妊治療の種類は、以下の5つです。

    • ・タイミング法
    • ・ホルモン療法
    • 人工授精
    • ・体外受精
    • ・顕微授精

    不妊症の原因や状況によって治療法は異なります。

    例えば、排卵障害や黄体機能不全による着床障害が原因なら、排卵誘発剤などのホルモン療法が勧められます。免疫因子(抗精子抗体)により精子を外敵として攻撃しているなら、体外受精がマストです。

    このように、原因に応じて最適な治療ができるようになっています。

    また不妊治療の流れは、以下の表でご確認ください。

    不妊治療の流れ

    不妊症・不育症応援サイト あしたのママへ/不妊症の治療より画像引用)

    「不妊症かもしれない」と一人で悩んでいても解決することはありません。そして不妊症だった場合、1日でも早い治療が妊娠率を高めます。次章以降で、不妊治療の費用や治療成績についてお伝えしますので、ぜひご覧ください。

    参考資料:不妊症・不育症応援サイト あしたのママへ/不妊症の治療

     

    2. 不妊治療にかかる費用

    不妊治療にかかる費用は、厚生労働省の「不妊治療の実態に関する調査研究(2020年度)」のグラフをご覧ください。

    タイミング療法

    人工授精

    体外受精

    顕微授精

    (上記画像は厚生労働省/不妊治療の実態に関する調査研究 P115・116より引用)

    タイミング法のみで妊娠した方は「約3万円」の治療費である一方、体外受精などの生殖補助医療(ART)を受けると「約50〜100万円」は必要です。不妊症の診断検査や不妊症治療の内容によって費用は増減します。

    高額な治療費が予測されるため治療を始めるハードルが高いのがデメリットと感じる方も多いのではないでしょうか?

    厚生労働省によると、令和4年4月から不妊治療が保険適応になりました。そのため、経済的な負担がハードルで不妊治療を諦めていた方でも、治療しやすくなったのです。

    また、各種助成金を活用することでさらに経済的負担を軽くできます。助成金制度を利用するための条件があるため、厚生労働省のサイトでご確認ください。

    参考資料
    厚生労働省/不妊治療の実態に関する調査研究 P115・116
    厚生労働省/不在流に対する取り組み
    厚生労働省/不妊に悩む夫婦への支援について

    3. 日本における不妊治療の実績

    近年、生殖医療の目覚ましい進歩により不妊治療の成績は上がっています。

    生殖補助医療(人工授精・体外受精・顕微授精)の治療成績については、以下のグラフをご覧ください。
    ART妊娠率2019

    JSOG 公益社団法人 日本産科婦人科学会/生殖補助医療の成績より画像引用)

    日本産科婦人科学会のグラフによると妊娠率は年齢が若いほど高く、流産率は年齢が上がるにつれて高くなることも分かります。つまり、不妊症治療は始める時期が早いほど、治療成績が上がるのです。

    不妊症ではないかと疑ったその日から不妊治療は始まっています。

    参考資料:JSOG 公益社団法人 日本産科婦人科学会/生殖補助医療の成績

    「不妊症かな?」と感じた方が次にすべき行動

    「不妊症かな?」と感じて、インターネットなどで調べた後、結局何から始めれば良いのか分からないと困っている方も多いのではないでしょうか?

    いざ不妊治療をしたくても、産婦人科や生殖医療科のある専門の病院に行くべきなのかなど受診場所すら検討がつきません。

    そこでこの章では、「不妊症かな?」と感じた方が次にすべき行動について以下の内容をお伝えします。

    • ・パートナーと一緒に産婦人科へ受診
    • ・不妊治療を始める

    不妊治療を受けるまでの流れやポイントについても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

    パートナーと一緒に産婦人科へ受診

    不妊症を疑ったら、パートナーと一緒に産婦人科を受診しましょう。男性不妊の可能性が十分考えられる上に、不妊症を夫婦の問題として考えてほしいからです。

    そして、本当に不妊症なら医療的な介入がないと妊娠することはありません。また、不妊治療の開始時期は早いほど妊娠率も高まり、挑戦できる年数や治療の幅も広がります。

    初めて産婦人科を受診すると、以下の検査が行われます。

    • ・問診
    • ・内診
    • ・エコー検査
    • ・採血・尿検査
    • ・基礎体温の記録(自宅で継続して行う)

    これらの検査に加えて、不妊の原因を特定する精密検査が勧められることもあります。例えば、卵管の狭窄が疑われた場合、卵管造影という卵管の形を確認する検査が追加になるでしょう。

    不妊症には様々な原因があるため、一つひとつ検査で確認していく必要があります。

    また男性不妊が疑われたら、泌尿器科の受診を勧められます。1日でも早く妊娠できる日を迎えるためにも、今必要な検査を確実に受けられるようにしましょう。

    不妊治療を始める

    不妊治療にはパートナーの協力が不可欠です。パートナーとしっかり相談した上で、不妊治療を始めましょう。

    例えば、タイミング法を行うなら排卵日に合わせて性行為を行わなければいけません。そのため、仕事やプライベートのスケジュール調整が必要でしょう。体外受精は採卵・採精の必要があり、羞恥をはじめ精神的な苦痛が伴うことも考えられます。

    子どもが欲しい一方で、このようなストレスがあると治療に前向きになれなかったり、妊娠率が落ちたりすることもあります。妊娠するまでパートナーと二人三脚で歩めるように、お互いにコミュニケーションを取り合いながら治療に臨みましょう。

    まとめ: 妊娠率を高めるなら産婦人科を早めに受診することが重要

    以上、不妊症を疑っている夫婦に向けて、不妊症の原因や検査・治療について男女別に解説しました。

    「不妊症」と聞くと女性側の問題というイメージを持っている方もいます。しかし、男性不妊も女性不妊と同程度です。重要なのは、夫婦のどちらに問題があるかではなく、夫婦の問題として協力し合って解決することです。

    女性側の不妊症の原因は、以下の5つがありました。

    • ・排卵因子
    • ・卵管因子
    • ・頸管因子
    • ・免疫因子
    • ・子宮因子

    一方の男性側の不妊症の原因は、以下の4つです。

    • 造精機能障害
    • 精路通過障害
    • 副性器障害
    • 機能不全

    このように男女問わず不妊症の原因は様々にあることが分かります。

    また検査や治療には、羞恥心や高額な治療費が必要になります。そのため、夫婦間でしっかりとコミュニケーションを取りながら、一緒に不妊治療を勧めていけると良いでしょう。

    この記事で不妊症の基礎知識を学び、あなた自身が今後すべき行動が明確になれば幸いです。

    わかりやすく動画で紹介

    【不妊症、本当の原因は遺伝子かもしれません】現役医師がこっそり教えます

    プロフィール

    この記事の筆者:仲田洋美(医師)

    ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

    仲田洋美のプロフィールはこちら

    関連記事