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妊活中の方にとって基礎体温は妊娠をしたかどうか考える大切なデータです。妊娠すると高温期(基礎体温が高い状態が保たれる)が続くはずですが、無排卵月経であれば波形がガタガタになります。
そこでこの記事では、以下の内容について解説します。
- ・基礎体温と体の変化の関係や正しい測定方法タイミング
- ・基礎体温がガタガタになる原因
無排卵月経は放っておくと卵巣機能の低下や不妊症の原因になります。この記事を最後まで読んで無排卵月経を改善し、妊娠する日を迎えられるようになりましょう。
基礎体温とは?
基礎体温とは人が最低限のエネルギーで生命維持をする際の体温のことです。そして妊娠や生理不順など様々な状態を把握する上で重要となるデータになります。
そこでこの章では、以下の内容について解説します。
- ・基礎体温とは?
- ・基礎体温と体の変化
- ・基礎体温の一般的な波形
基礎体温の波形が変化する原因について知るために、ぜひ最後までお読みください。
基礎体温とは?
基礎体温とは、生命維持をしていくために必要な最小限のエネルギーを維持している状態での体温値のことです。
日中は活動しているため体温が上がったり下がったりして安定せず、正確な基礎体温の測定は難しいでしょう。一方の夜間、寝ている際は体温が安定しており、基礎体温に最も近い状態といえます。
つまり正確な基礎体温を知りたければ、覚醒直後で体を動かしていない状態で測定しなければいけないということです。
基礎体温は妊娠の可能性や排卵日を予測するのに重要なデータとなります。
基礎体温の高低には妊娠後に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンが関係しています。プロゲステロンが分泌されると基礎体温が高くなり、子宮が受精卵を迎える準備をします。
また、この他にも自律神経の乱れや無排卵月経によっても変化することが分かっています。つまり、基礎体温は体調に左右されやすいのです。
※参考資料:厚生労働省/ヘルスケアラボ
基礎体温と体の変化
基礎体温と体の変化には、分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが大きく関係しています。
(厚生労働省研修班監修/ヘルスケアラボより画像引用)
プロゲステロンは排卵されて以降、卵子が受精して妊娠成立できるように基礎体温を高める働きがあります。プロゲステロンの作用により基礎体温は、およそ0.3〜1℃程度上昇します。
反対に基礎体温に変化がない、もしくはガタガタであるなら無排卵月経などの可能性があるため、すぐに産婦人科で相談しましょう。
※参考資料:厚生労働省研修班監修/ヘルスケアラボ
基礎体温の一般的な波形
生理周期には体温が低い低温期と妊娠に向けて高くなる高温期の2種類があります。そして基礎体温は、低温期と高温期がおよそ2週間ごとに訪れる計4週間を1サイクルとしてカウントします。
基礎体温の正常な波形は、日本産婦人科医会の画像をご覧ください。
(メディカルジャパン立川より画像引用)
ただし生理不順や婦人科疾患などにも左右されるため、基礎体温の波形は人それぞれ違います。2週間ごとのサイクルは、あくまで目安に過ぎません。
※参考資料:公益社団法人 日本産婦人科医会/月経について教えて下さい。
実は難しい?基礎体温を正確に測る方法とタイミング
基礎体温を記録したら波形がガタガタだった時に考えられる原因は、以下の2つです。
- ・基礎体温に影響する疾患や体の変化がある
- ・測定方法に問題がある
そこでこの章では、正しく測定できているかを確認するために以下の2つについて解説します。
- ・基礎体温を正確に測る方法
- ・基礎体温を正確に測るタイミング
あなたの測定方法が正しいかを確認するために、ご活用ください。
基礎体温を正確に測る方法
基礎体温を正しく測るためには、以下の方法を意識しましょう。
- ・基礎体温計は舌の裏で固定する
- ・口を閉じて測る
- ・測定中は鼻呼吸をする
測定中に口呼吸をすると外気温の侵入や基礎体温計自体が冷まされるため、正しく測れません。手技自体も統一できるように意識してみると良いでしょう。
基礎体温を正確に測るタイミング
基礎体温を正確に測るタイミングは、以下の通りです。
- ・朝、覚醒直後
- ・同一の測定時間
- ・覚醒後、活動(体動)していない
基礎体温とは生命維持に必要な最低限の体温のことです。つまり睡眠中が基礎体温のベースとなり、起床直後かつ無体動で体温上昇が加わっていない状態が覚醒している時間では最も正しい値になります。
そのため、覚醒直後に布団に寝た状態で測定できるように、基礎体温計と体温表は頭元に準備しておきましょう。
また、毎日欠かさず測定できることに越したことはありません。ただし、基礎体温の1周期の波形がわかれば良いため、今詰めて毎日絶対に測らないといけない訳ではありません。
仕事や就寝時間など人それぞれ生活習慣が異なるため、できる範囲内で測定しましょう。
基礎体温がガタガタな人に考えられる6つの原因
基礎体温は測定方法以外にも様々な状況に影響されます。
例えば以下の状況でも基礎体温は影響を受けて波形がガタガタになることも十分考えられます。
- 1.無排卵月経
- 2.黄体機能不全
- 3.妊娠初期
- 4.ストレス
- 5.更年期
- 6.季節
これらの状況とあなたの状況を照らし合わせて、基礎体温がガタガタになる原因を探ってみましょう。
原因①:無排卵月経
無排卵月経とは普通の月経と同様に出血はあるものの、妊娠するのに必要な卵子が排卵されていない状態のことです。基礎体温の波形がガタガタだったり、低温期が持続したりする場合に疑われます。
通常排卵されていないと卵胞は黄体まで成熟しないため、妊娠の準備として子宮内膜を厚くすることもありません。
しかし、何らかが原因でプロゲステロンという妊娠の準備を始めるホルモンの分泌が上昇して、厚くなった子宮内膜のみが剥がれ落ちて月経様の出血が起こるのです。このことを無排卵月経と言います。
出血時期も月経とあまり変わらないため、無排卵月経と気づかずに過ごしている方も多くいます。
無排卵月経の原因は、以下の通りです。
- ・ストレス
- ・不規則な生活リズム
- ・過度なダイエット
- ・喫煙
- ・卵巣の病気
- ・抗うつ剤の内服
その他にも不健康な生活習慣が大きく影響します。そのため、生活習慣の改善が効果的な予防策や改善法として考えられます。
原因②:黄体機能不全
黄体機能不全とは、妊娠の準備・継続をするためのプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きが弱くなる症状です。
プロゲステロンの働きは、基礎体温を高めて妊娠の準備をすることです。そのため、黄体機能不全になると高温期になりきれず、波形がブレるためガタガタになります。
またプロゲステロンの働きが弱いため、妊娠しにくくなることも考えられます。高温期が短く不安定なら黄体機能不全を疑い、産婦人科医へ相談しましょう。
原因③:妊娠初期
妊娠初期症状として基礎体温の波形がガタガタになることもあります。
妊娠初期はエストロゲンやプロゲステロン以外にも、hGCホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)など様々なホルモンが多量に分泌されるため、ホルモンバランスが崩れやすく基礎体温が変化しやすい時期だからです。
特にプロゲステロンの分泌は盛んであり、高温期が維持されます。体温上昇は平均で0.3〜1℃ほどと小さく、原因として疑うまでに時間がかかります。
そのため、基礎体温がガタガタであれば妊娠の可能性も考えられるでしょう。
原因④:ストレス
過度なストレスは女性ホルモンの乱れを誘発して、基礎体温の波形がガタガタします。
エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンは、視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン(GnRH)によってコントロールされています。
一方で強いストレスを感じると視床下部から副腎皮質刺激ホルモン(CRH)が分泌され、女性ホルモンが上手くコントロールできなくなります。結果として卵胞に向けた適切な刺激がされず、基礎体温が乱れるのです。
原因⑤:更年期
卵巣機能の低下とともにホルモンバランスが崩れる更年期も、基礎体温がガタガタになる原因の一つとして考えられます。
一般的に更年期とは45〜55歳で発症するイメージがあります。しかし、実際は卵巣機能が低下して排卵されにくくなる時期から更年期は始まっているのです。
更年期に卵巣機能が低下するとエストロゲンなどのホルモンの分泌がされなくなるため、基礎体温の維持やコントロールが難しくなり、結果として基礎体温の波形がガタガタになります。
原因⑥:季節
季節の変化などの外的要因で基礎体温が乱れることもあります。
例えば、夏は冷房の効いた屋内と屋外では10 ℃近くの温度差があり、行き来するだけでも体温調整機能に負担がかかります。また汗をかく量も増え、冷たい飲料水を飲むなど体内外から体温を変化させる行為も影響するでしょう。
冬になると暖房器具の効いた室内と外気の温度差は20℃近くになります。熱い湯船と脱衣所では寒暖差が大きく、体温調整を担う自律神経が乱れる原因となるでしょう。
このように季節の変化やそれに伴った外的要因で、基礎体温の維持・コントロールが難しくなることも考えられます。
今すぐできる!無排卵月経の改善法
ここまで読み進めていただき、あなた自身が「無排卵月経ではないか?」と疑っている方もいるのではないでしょうか?
そこでこの章では、無排卵月経の改善法や放っておくことのリスクについて解説します。
無排卵月経を少しでも疑っているなら産婦人科医に相談しつつ、改善するための手段としてご活用ください。
無排卵月経の改善法
無排卵月経の改善をするなら、まずは生活習慣を見直しましょう。
規則正しい生活や栄養バランスの良い食事、十分な睡眠時間の確保などは、無排卵月経を改善するための土台になります。すぐに効果が現れることはありませんが、長期的な改善方法であるため今日から始めることをおすすめします。
また、今すぐにでも妊娠を望んでいるなら排卵誘発剤による治療も検討するため、一度産婦人科や生殖医療科のある専門機関で相談しましょう。
一方で妊娠を希望していない方は、避妊具やピルで避妊をしつつ無排卵月経の改善をしましょう。
無排卵月経は何かしらの健康被害が生じている証拠です。妊娠希望の有無に関わらず、改善することが重要になります。
無排卵月経を放っておくことのリスク
妊娠の希望がないなら無排卵であってもそれほど気にすることではないように感じます。また、通常の月経と同様に出血があるため、無排卵月経と気づくのに時間がかかるケースもあるでしょう。
しかし、無排卵月経を放っていると卵巣機能が低下して、最悪の場合不妊症となるリスクもあります。卵巣の排卵機能が低下すると早期閉経や骨粗鬆症の原因にもなります。
また、子宮がんの発症率も高まり、発見が遅れると命の危険に晒されます。そのため、早期改善が求められることは言うまでもありません。
まとめ: 無排卵月経と感じたら産婦人科に相談をする
以上、基礎体温の波形がガタガタになる原因を詳しく解説しました。
主な原因は以下の6つでしたね。
- ・無排卵月経
- ・黄体機能不全
- ・妊娠初期
- ・ストレス
- ・更年期
- ・季節
無排卵月経を改善する土台は生活習慣の改善です。規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠時間の確保など改善が必要です。放っておくと卵巣機能低下や不妊症の原因になるため、産婦人科にも相談しましょう。
また、基礎体温が正しく測れているかも合わせて確認しましょう。基礎体温は毎日同一条件で測って初めて意味のあるデータになります。「朝・覚醒直後・動く前」など日々の測定時間を統一すること、頭元に体温計と記録用紙を準備して寝るなどの工夫が必要になります。
基礎体温の測定方法を見直しつつ、基礎体温がガタガタになる原因について探るためにこの記事をご活用いただけると幸いです。