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妊娠中期になると、ダウン症候群を始めとした染色体異常症の有無をほぼ確定させられる羊水検査を受けられるようになります。
羊水検査は出生前診断の中で最も精度が高い検査となっていますが、妊婦さんのお腹に針を刺す検査方法のため、どのくらいの痛みがあるのか気になる方は多いと思います。
また、羊水検査は侵襲的検査であるため、さまざまな合併症を伴う可能性もあります。
そこでこの記事では、羊水検査の痛みや起こり得る合併症をご説明した後、その他の5つの出生前診断に生じる痛みについてもご紹介していきます。
羊水検査の内容と痛みについて
赤ちゃんの健康状態を調べるために出生前診断が実施されていますが、検査に用いる注射の痛みなどが苦手な妊婦さんはたくさんいます。
羊水検査に生じる痛みはどの程度のものなのかご紹介していきます。
どんな検査が行われるのか?
羊水検査は子宮にある羊水を採取して分析を行う検査です。
とても細い穿刺針を妊婦さんのお腹から子宮まで挿入して、検査に必要な10ml〜20ml程度の羊水を採取してその後、羊水細胞を培養して染色体の変化を観察します。
特定の染色体が本来あるべき数よりも多かったり、形態に異常がみられたりした場合に、ダウン症候群などの疾患を持っていると診断されます。
検査時期は妊娠14週目以降となり、NIPTなどのスクリーニング検査で陽性反応が出た場合に、本当に疾患を持っているのかを確かめる検査として実施されるのが一般的です。
羊水穿刺の痛みはどのくらい?
お腹に針を刺すというだけで血の気が引いてしまう妊婦さんもいますが、施設によっては局所麻酔を打ってから羊水穿刺を行うため、痛みを軽減することもできます。
麻酔を打つ時のチクっとした痛みと、羊水穿刺の時のズンとくるような痛みさえ耐えれば検査はあっという間に終わります。
子宮から羊水を採取する作業はたった30秒程度で終わり、その後は病院で30分〜40分くらい安静にしていただくことになります。
羊水検査でわかる症候群とは?
羊水検査は、NIPTなどの出生前診断で陽性反応が出た場合に受けることが多い検査です。
その理由は、胎児が患う可能性がある全ての染色体異常症が検査対象であり、なおかつほぼ確実に疾患の有無がわかるという特徴があるからです。
検査対象となるのがこちらです。
- ダウン症候群(21トリソミー)
- エドワーズ症候群(18トリソミー)
- パトウ症候群(13トリソミー)
- ターナー症候群(モノソミーX)
- クラインフェルター症候群
- その他の常染色体・性染色体異常
これらの染色体異常から引き起こされる症候群を、感度99.4%・特異度99.5%で検査できるため、陽性が出た場合は染色体異常を持つ赤ちゃんの出産に向けた準備を進めることになります。
陰性が出た場合はほぼ間違いなく染色体異常がないという診断になるため、ほっと胸を撫で下ろす妊婦さんはたくさんいます。
羊水検査に失敗はあるのか?
頑張って痛みを我慢したのに、羊水検査の結果が出なかったことで再度羊水検査をやり直すケースもあります。
検査結果が出ない原因は羊水細胞を培養する過程にあります。
染色体は細胞核の中にあるため、細胞を培養して増やさないと正しくが分析することができません。培養で染色体が想定よりも増えなかった場合は再度羊水検査を行う必要があり、再び羊水穿刺の痛みに耐えなければなりません。
また、検査の際に羊膜・絨毛膜という現象が起こることで、正しい位置に針を刺すことができず、穿刺を繰り返すといったケースも稀にあります。
突然、検査中に医師に告げられてその場で取り乱してしまうよりも、こうして予備知識を入れてから検査に臨んだ方が精神的には楽だといえます。
羊水検査に伴う合併症について
羊水検査を受ける前に知っておくべきことは検査の痛みではなく、侵襲的検査に伴うさまざまな合併症のリスクです。
- 破水(羊水漏出)
- 絨毛羊膜分離
- 直接的胎児損傷
- 間接的胎児損傷
- 産科的合併症
- 胎児喪失
最も多いのが破水(羊水漏出)であり、羊水検査を受けた妊婦さんには1.7%、受けなかった妊婦さんには0.4%で発生する可能性があります。
必ず理解しておかなければならないのが、胎児喪失に至る確率です。
羊水検査の手技によって合併症が引き起こされる可能性はごく僅かですが、胎児喪失に繋がる確率は0.3%くらいとされています。
1,000人に3人程度、胎児の死亡に繋がるリスクが生じるため羊水検査は軽い気持ちで受けられる検査ではないといえます。
羊水検査の前後にはカウンセリングの機会が設けられますが、そこで医師やカウンセラーから検査のリスクについてじっくり説明を受けるようにしましょう。
羊水検査よりも痛みが少ない出生前診断とは?
痛みが苦手な方は羊水検査を受けることに臆病になってしまいますが、痛みが少ない出生前診断もあります。
羊水検査よりも前に受けられる出生前診断とその痛みについて解説していきます。
絨毛検査の痛み
妊娠10週〜13週頃に行われる絨毛検査は、羊水検査と同じ侵襲的検査に分類されます。
穿刺針を用いて子宮に針を挿入し、胎盤にある絨毛を採取して染色体異常を調べるため、針を刺す時に痛みを生じます。また、経腹法で検査を行った場合、検査直後は下腹部に違和感やじんじんとした痛みが続く場合があります。
検査精度は感度99.25%・特異度98.65%と非常に高いですが、胎児喪失率が1.1%と羊水検査よりもリスクが高い検査であると覚えておきましょう。
エコー検査の痛み
妊娠20週くらいから行われるエコー検査は、超音波機器を用いて胎児の発育や健康状態を調べるもので、経膣法と経腹法という2つの方法で実施されています。
経膣法は経膣プローブという機器を膣から挿入して子宮内の赤ちゃんを観察するため、挿入時に緊張で力が入ることで痛みを伴う場合があります。
経腹法はプローブをお腹にあてるだけで胎内の赤ちゃんの動きを観察できます。プローブをあてる場所にゼリーを塗るため、その時にひんやりとした冷たさを感じる程度です。
出生前診断の中では痛みが少ない検査なので、受検するときも気を楽にしていただけます。
ただし、染色体異常症を対象とした検査精度は他の検査よりも低くなってしまいます。
母体血清マーカー検査の痛み
妊娠16週〜18週頃に実施される母体血清マーカー検査は、母体採血を行った上で3つ、または4つのマーカーの増減の程度で胎児の染色体異常症を調べる検査です。
どちらの検査も採血時に注射を刺すためチクっとした痛みがあります。羊水検査や絨毛検査のように子宮まで針を挿入しないため、痛みも怖さもだいぶ少ない検査です。
4つのマーカーを使ったクアトロテストの検査精度は80%程度とされています。
コンバインド検査の痛み
妊娠11週〜13週頃に実施されるコンバインド検査は、エコー検査・血液検査の2つの検査をかけ合わせて染色体異常を調べます。
エコー検査で経膣法を用いた場合は膣にプローブを挿入する痛みが発生する場合があり、血液検査は母体採血マーカー検査と同様の方法となるため、注射を刺す時に痛みが生じます。
検査精度は母体血清マーカー検査よりも高い83%程度となります。
NIPTの痛み
妊娠10週くらいから実施されているNIPTは、母体採血で染色体異常症や性別を調べる検査です。
母体血漿中にあるセルフリーDNAの断片を集めて分析を行ない、ダウン症候群・エドワーズ症候群・パトウ症候群を高精度で検査することができます。
採血する時に注射を刺す痛みを我慢する必要がありますが、母体と胎児に無害なスクリーニング検査の中では最も高い検査精度となっています。
その精度は感度99%、特異度99%であり、羊水検査を受ける前に最適な出生前診断といえます。
まとめ
羊水検査の痛みや起こり得る合併症についてご紹介しましたが参考になりましたか?
羊水検査は局所麻酔(施設による)と羊水穿刺の時の2回に渡り針を刺す痛みが生じるため、痛みが苦手な妊婦さんには少々大変な検査となります。
痛みができるだけない検査を受けたいという方は、高精度かつ母体と胎児に無害なNIPTを受けることをおすすめします。
東京の「ミネルバクリニック」は、大学病院レベルの臨床遺伝専門医が在籍する遺伝子専門クリニックであり、妊娠9週目からNIPTを実施しております。
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羊水検査の前にNIPTを受けたいという妊婦さんは、この機会に是非「ミネルバクリニック」までご相談ください。