胎動の痙攣・しゃっくりとダウン症の関係
医師監修・科学的根拠に基づく解説
Q. 胎動が痙攣のようにピクピクするのはダウン症のサインですか?
A. 胎動の特徴だけでダウン症かどうかは判断できません。
「痙攣のような動き」の多くは胎児のしゃっくりです。胎動の感じ方には個人差が大きく、少なさや激しさ、しゃっくりの有無だけで染色体異常を診断することは医学的に困難です。
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痙攣の正体 → 多くの場合は胎児の生理的な「しゃっくり」様運動 -
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ダウン症との関係 → 胎動のみでダウン症の可能性が高いとは言えません -
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評価方法 → 心配な場合は超音波検査(NTなど)やNIPTで客観的な評価を -
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ミネルバクリニック → 臨床遺伝専門医が不安の整理から検査まで一貫してサポート
1. 胎動の痙攣・しゃっくりとは?
【結論】 妊娠中期からの胎動の中で、時々「ピクピク」と規則的な動きを感じることがあります。体感として「痙攣(けいれん)のよう」と表現されることもありますが、多くは胎児のしゃっくり(しゃっくり様運動)として説明されます。
妊娠中期になると感じ始める胎動は、赤ちゃんが成長しているサインのひとつです。一方で、「痙攣のような動き」を感じると、てんかん発作などの異常ではないかと不安になる方もいらっしゃいます。しかし、胎内でのてんかん発作は極めて稀であり、ママが胎動として区別することは非常に困難です。
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一定のリズムで同じような動きが続く(ピクッ、ピクッ…)
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ピクピクと小さな震えのように感じることがある
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数分〜20分程度、ときにそれ以上続くこともある
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通常の胎動(ドンと蹴る感じ)とは違うと感じやすい
胎児がしゃっくりをする理由
胎児がしゃっくり様運動をする理由は、医学的にひとつに断定できるわけではありませんが、主に次のような説が考えられています。
呼吸の準備説
横隔膜の動きを通じて、出生後の呼吸に向けた準備(トレーニング)に関与する可能性があると考えられています。
羊水のやりとり説
胎児は羊水を飲み込むなどの動きをします。しゃっくり様運動がその過程と関連するのでは、という説明がされることがあります。
👩⚕️ 院長コラム
「痙攣」という言葉に惑わされないで
ネット検索で「胎動 痙攣」と入れると不安になる情報がたくさん出てきます。しかし、お母さんが感じる「ピクピク」の多くは、赤ちゃんのしゃっくり様運動です。私のクリニックでも「痙攣かも」と心配されて来院される方がいらっしゃいますが、検査してみると正常であることがほとんどです。不安なときこそ、正確な情報と専門家のサポートが大切です。
2. 胎動(少ない・激しい・痙攣・しゃっくり)とダウン症の関係
【結論】 胎動の特徴だけでダウン症を判断することはできません。胎動には個人差が大きく、胎盤の位置やママの体型、赤ちゃんの向きや活動時間帯によっても感じ方が大きく変わるためです。
「胎動が激しいとダウン症の可能性がある」「胎動が少ないとダウン症かもしれない」といった情報を目にすることがあるかもしれませんが、これらに医学的な根拠はありません。
| 胎動に関する情報 | 現時点の考え方 |
|---|---|
| 胎動が激しい | ダウン症の可能性とは結びつきません。健常な妊娠でも胎動が強いことはよくあります。 |
| 胎動が少ない | 個人差が大きく、少なさだけで判断できません。ただし、急に減った場合は産科で確認が必要です。 |
| 痙攣・しゃっくり | 体感だけで染色体異常を判断できません。多くは生理的なしゃっくり様運動です。 |
| 胎動を感じるのが遅い | 胎動を「胎動と認識する」時期には個人差があり、週数だけで判断できません。 |
ダウン症の胎児で「検査で評価できる」所見
ダウン症(21トリソミー)は、21番目の染色体が3本になる染色体異常です。胎動の感覚ではなく、超音波検査で「疑うきっかけになる所見」を評価することが一般的です。
⚠️ 医学的な評価ポイント
胎動の特徴だけで判断するのではなく、超音波所見(NTの肥厚や心疾患など)やNIPTなど、検査で分かる情報をもとに整理することが大切です。必要に応じて、羊水検査・絨毛検査などの確定検査で最終判断をします。
3. 医師が解説:胎動はいつから?時期による特徴の違い
【結論】 胎動は妊娠中期から後期にかけて感じるようになりますが、時期によって特徴が変わります。週数だけで不安になりすぎず、「いつものパターン」を知っておくことが大切です。
| 妊娠時期 | 胎動の特徴(目安) | 注意点 |
|---|---|---|
| 妊娠16〜19週頃 | 泡が弾けるよう、ピクピクと感じることがある | 初産婦さんは胎動と認識しにくいことがあります |
| 妊娠20〜24週頃 | ポコポコ、コトコトとした動きが分かってくる | この時期も個人差が大きいので、焦りすぎない |
| 妊娠25〜28週頃 | 蹴る、押す、回転する動きを感じやすい | しゃっくり様運動に気づく方もいます |
| 妊娠29〜36週頃 | 強く感じることがあり、お腹が動くことも | 急な減少・消失が気になるときは産科へ |
👩⚕️ 院長コラム
「胎動が少ない」と感じたときのこと
妊娠中に胎動の少なさを強く心配されていた方で、生まれてからお子さんがプラダー・ウィリ症候群(筋緊張低下を伴う)と診断されたケースがありました。しかし、「胎動が少ない=特定の病気が分かる」ということではありません。胎動の感じ方には大きな個人差があり、出生前に分からない疾患も少なくありません。不安が続くときは、検査の選択肢を一緒に整理することが大切です。
4. 心配な場合:NIPTで「可能性」を整理する
【結論】 ダウン症などの染色体異常が心配な場合、NIPT(新型出生前診断)は「可能性(確率)」を評価する方法のひとつです。NIPTは母体採血で行うスクリーニング検査であり、確定には羊水検査・絨毛検査が必要になることがあります。
NIPTのメリット
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母体採血で実施できる
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妊娠初期から検討できる
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染色体異常の可能性を整理しやすい
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結果を踏まえて次の選択肢を考えられる
注意点
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スクリーニング検査(確定診断ではない)
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陽性の場合は確定検査が必要
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検査前後の説明(カウンセリング)が大切
5. ミネルバクリニックのサポート体制
出生前検査で本当につらいのは、結果が出るまでの時間と、結果が出た後の迷いです。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の視点で、検査の意味・限界・次の選択肢を一緒に整理し、必要なときに確定検査までつながる体制を整えています。
👩⚕️ 検査の「前」と「後」を支える
臨床遺伝専門医が検査結果の受け止め方まで含めて丁寧に整理します。「速さ」よりも「正確性」と「心の安全」を優先する方針です。
💰 陽性時のサポート
互助会に加入いただくと、陽性時の確定検査(羊水検査・絨毛検査)費用をカバー。確定検査まで含めて相談可能です。
ひとりで抱え込まずに、まずは整理から
不安が強いときほど、情報を増やすほど苦しくなることがあります。
あなたの状況に合わせて、何を気にして、何を気にしなくてよいかを一緒に整理できます。
よくある質問(FAQ)
参考文献
- [1] Pillai M, James D. Hiccups and breathing in human fetuses. Arch Dis Child. 1990;65(10 Spec No):1072-1075. [PubMed]
- [2] American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 226: Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69. [ACOG]
- [3] National Down Syndrome Society (NDSS). What is Down Syndrome? [NDSS]
- [4] Alfirevic Z, Navaratnam K, Mujezinovic F. Amniocentesis and chorionic villus sampling for prenatal diagnosis. Cochrane Database Syst Rev. 2017;9(9):CD003252. [Cochrane/PubMed]
- [5] Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. [PubMed]


