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「生理予定日じゃないのに茶色い出血が発生した」そういった状況が起きて不安に思う方もいるかもしれません。もしかしたら茶色い出血は「着床出血」の可能性があります。
着床出血とは、受精卵が着床するときに発生する出血のことを指します。生理現象で危険性は少なく、妊娠した方の4人に1人程度の割合で起こるとされています。しかし、茶色い出血は着床出血とは限りません。「子宮がん」や「卵巣がん」といった、命にかかわる病気である可能性も考えられるです。
そこで本記事では、茶色い性器出血が起こる原因を徹底解説します。是非ご覧ください。茶色い出血の正体がわかるとともに、今後取るべき行動が明確になるはずです。
茶色い出血は着床出血なのか?
もしかしたら茶色い出血は着床出血かもしません。着床出血とは、受精卵が着床する際に発生する少量の出血のことです。着床出血は妊娠した人全員に発生するわけではなく、4人に1人ほどの割合で発生します。
茶色い出血が起きて不安に思う方も多いと思いますが、この着床出血では茶色い出血が発生するケースがあります。出血の色については個人差があり、おりものと血が混ざったピンク色、鮮血のような赤色、出血から時間が経過した茶色、といったように人それぞれです。
つまり、生理以外で茶色い出血が発生したとしても、生理現象である着床出血の可能性が考えられます。もし着床出血であれば過度に心配する必要ありません。ただし、茶色い出血が長期間続いたり痛みを伴うのであれば、子宮の異常や病気であることも考えられます。その場合は早めに診断を受けましょう。
茶色い出血で考えられる原因
茶色い出血は着床出血である可能性を解説しましたが、もしかしたらほかの原因があるかもしれません。そのため本項では、茶色い出血で考えられる原因をお話します。問題ないものや危険な出血などさまざまであるため、茶色い出血が起こっている方はご参照ください。
器質性出血
器質性出血とは、膣や子宮、卵巣などに異常や病気があることで起こる出血のことです。器質性出血が起こる代表的な病気としては、子宮筋腫、子宮内膜症、膣炎、子宮膣部びらん、子宮頸管ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどがあげられます。
また、膣炎や子宮膣部びらん、子宮頸管ポリープといった症状がある場合、性行為をするときに出血するケースが多くなります。
機能性出血
機能性出血は病的な原因ではなく、ホルモンバランスの乱れによって発生する出血です。ホルモンバランスが不安定である思春期や更年期に多くみられる傾向があります。
この機能性出血のトラブルとしては、出血が長引く無排卵月経や、生理前に少量の出血が続く黄体機能不全などがあげられます。これらの要因は脳下垂体や卵巣といった、ホルモン分泌に関係する機器の働きが低下していることが考えられます。
中間期出血
中間期出血は排卵期に発生する少量の出血です。卵胞ホルモンの分泌が一時的に低下することによって発生するだけであるため、中間期出血自体は病気ではありません。出血が気になる方は基礎体温をつけて発生時期を確認し、婦人科で受診しましょう。
着床出血
茶色い出血は先程お話した着床出血の可能性があります。受精卵が着床した際に発生する出血であるため、身体の異常性は特にみられません。
4人に1人ほどの割合で起こる生理現象であるものの、発生時期が生理予定日と重なることが多く、生理との区別がつきにくいという特徴があります。
不正出血が発生する病気
ここまで、茶色い出血が起こる原因をお話しました。茶色い出血は異常性がない中間期出血や着床出血などで起こる一方、もしかしたら重篤な病気である可能性もあります。茶色い出血の危険性を確認するためにも、不正出血で発生する代表的な病気を5つ解説します。なお、不正出血とは月経以外で発生する性器からの出血のことです。
子宮がん
子宮がんは子宮にできる悪性腫瘍の総称にあたります。できる場所によって「子宮頸がん」や「子宮体がん」などに分類されます。
それら子宮がんの種類によって発生原因は異なり、子宮頸がんの場合はほとんどの確率で「ヒトパピローマウイルス(HPV)」による感染だとわかっています。一方、子宮体がんの原因は「エストロゲン」という女性ホルモンが影響しているとされます。この「エストロゲン」は子宮内膜の発育を促すホルモンではあるものの、分泌量が多すぎると子宮内膜増殖症や子宮体がんにつながってしまいます。
なお、これら子宮がんの症状としては、月経以外の出血、性行為時の出血、下腹部の傷みや違和感などがみられます。一番多い自覚症状が不正出血であるため、閉経後や更年期に茶色い出血が発生した際には注意しましょう。
卵巣がん
卵巣がんは子宮の両脇にある卵巣に起こる悪性腫瘍です。以前までは欧米人に多いとされるがんでしたが、食事の欧米化によって日本でも近年は増加傾向にあります。妊娠・出産を経験したことがない女性や、家族に卵巣がんの患者がいる方は発症するリスクが高いとされているため、女性であれば全員が気をつけるべき病気だといえます。
卵巣がんの原因は、長年にわたるホルモン補充療法、不規則な食生活、排卵誘発剤の使用などがあげられます。そのほかにも、子宮内膜症や骨盤内炎症性疾患、多のう胞性卵巣症候群といった疾患が原因となる可能性もあります。
また、この卵巣がんの代表的な症状として不正出血があげられるため、茶色い出血が起こった際には注意が必要です。ほかに現れる症状としては以下のようなものがあげられます。
- 下腹部の違和感
- 下腹痛
- 便秘
- 頻尿
- 食欲不振
これらの症状は進行してから発見されるケースが多いため、婦人科などで定期的な診断を行って早期発見を心がけましょう。
子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープとは子宮の出口付近の頸管内に発生するポリープのことであり、子宮頸管の細胞が増殖することによって粘膜が盛り上がるようにできる良性腫瘍です。なお、ポリープとは体の表面がいぼのように盛り上がった形状のことを意味します。
子宮頸管ポリープが発生する原因としては、出産による物理的な刺激や女性ホルモンによる影響であると考えられており、悪性化する可能性は低いとされています。しかし、ポリープからがんが発生する可能性やポリープではなく悪性腫瘍のケースがあることから、切除して病理診断を受けることもあります。なお、自覚症状はほとんどありませんが、不正出血や性行為時の出血、血の混ざったおりものなどをみられるケースが一部あります。
子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮内腔にのみ存在するはずの子宮内膜が、腹膜、子宮筋層内、卵巣など、子宮内腔以外の場所に発生する病気のことです。子宮内膜症は20〜40代の女性に多い傾向があり、激しい生理痛を引き起こします。良性の病気であるため命に別状はないとされていますが、激しい痛みと長く付き合っていかなければなりません。
子宮内膜症の原因は明らかではありませんが、女性ホルモンが深くかかわっているとされています。具体的な症状としては、激しい生理痛、過多月経、不正出血、性交痛、排便痛などがあげられます。そのほかにも、生理と同時に腹痛や腰痛といった痛みが起こるケースがあります。
クラミジア感染症
クラミジア感染症は日本で最も多い性感染症だとされており、「クラミジア・トラコマチス」という細菌によって起こります。クラミジアに感染している保菌者とのキスや性行為が感染の原因となり、性器だけではなく咽頭にも感染します。
クラミジア感染症では、生理痛に似た下腹部の痛みや不正出血、性交痛などの症状が現れます。女性の場合は感染しても症状が出ないことが多く、約80%が無症状であるため無自覚に感染させてしまうリスクがあります。
不正出血で病院に行く目安
前項では不正出血が発生する病気を5つご紹介しましたが、どのタイミングで病院に行けば良いのか不安な方もいるでしょう。
一般的には不正出血が2週間ほど続く場合に止血処置が行われます。しかし、不正出血は「子宮がん」や「卵巣がん」といった命にかかわる病気の可能性もあるため、できるだけ早く病院やクリニックを受診することをおすすめします。なお、不正出血で受診する目安は下記をご参照ください。
- 生理予定日以外で出血がある
- 生理痛がひどい
- 不正出血を繰り返している
- 閉経後でも出血している
- 2週間以上出血が続いている
これらは身体の異常や病気の疑いが持たれるため、症状が現れたら早めに受診しましょう。
まとめ
本記事では、着床出血の色、不正出血の原因や病気について解説しました。
着床出血は受精卵が着床する際に発生する出血であり、茶色い出血が伴うケースもあります。妊娠した人全員に起こる症状ではありませんが、茶色い出血が発生した場合はこの着床出血が疑われます。しかし、不正出血は子宮がんや卵巣がんといったような命にかかわる病気である可能性もあるため、不正出血が発生した際には病院やクリニックを早めに受診しましょう。
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