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産休でもらえる出産手当金の計算方法とは?出産育児一時金との違いや申請方法を紹介

産休を取得するママが気になることの一つに「出産手当金はいくらもらえるの?」という不安があります。

出産手当金は産休を取得するママが申請できる手当金として、必ず申請しておきたいものですが、計算方法がわからずどのくらいもらえるかわからないという方も。

出産する際に必要な手当として支払われるものなので、いつもらえるのか、いくらもらえるのかということは事前に把握しておきたいものです。

そこでこの記事では、産休でもらえる出産手当金の計算方法と、出産手当金について、出産育児一時金との違いや手続き方法などを詳しくご紹介します。

出産手当金や出産育児一時金について理解を深め、申請漏れなどがないように事前に準備しておきましょう。出産手当金の計算方法や手続き方法が知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

産休のときにもらえる出産手当金の計算方法

ハートマークを作る女性

出産手当金の計算方法は、過去12か月の各標準報酬月額を基準として日給の2/3に相当する額となるため、以下のようになります。

【支給開始日以前の12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3=出産手当(日額)】

標準報酬月額は、給与など(基本給、能力給、通勤手当、住宅手当など)の金額ごとに社会保険で定めている金額のことで、勤務先の健康保険などのホームページから確認することが可能です。

仮に、標準報酬月額が30万円で、産前休暇が42日間、産後休業が56日間だった場合、以下のような計算式になります。

【30万円÷30日×2/3=6,667円(日額)・6,667×98日=65万3,366円】

98日の産休は標準的な日数となるため、出産予定日よりも日数が遅れればその分出産手当金の支給額も増え、反対に早まれば支給額が減ることになります。

出産手当金とは

リラックスしている妊婦さん

出産手当金は健康保険から支給される手当となり、産休中に女性が無給となってしまうことから設けられた制度です。

しかし、勤務先の健康保険に加入していることや妊娠4か月以降の出産であることなど、条件や対象者が定められているため、自分が対象となるかをしっかり確認しておきましょう。

ここからは、出産手当金を取得できる条件や対象外となるケースをご紹介します。

支給対象者・条件

支給対象は妊娠していて健康保険に加入しているすべての女性となりますが、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 勤務先の健康保険に加入している(被保険者である)
  • 妊娠4か月以降の出産である
  • 出産のために休業している

勤務先で、妊婦さん本人が会社員として健康保険組合や共済組合などに加入していなければいけません。パートやアルバイトの方でも健康保険に加入していれば対象となります。

また「出産」とは妊娠4か月以上を経過した状態を指すため、妊娠4か月未満の流産や死産、人工妊娠中絶などは給付の対象外となります。

産前休暇は取得が任意とされているため、休業制度を利用しない方もいらっしゃいますが、その場合は働いた日数が支給の対象にはなりません。

退職者にも支給される?

退職後も以下のようなケースでは出産手当金を受け取れます。

  • 任意継続被保険者でない
  • 退職日が産休の期間内である
  • 退職日当日に勤務していない
  • 退職日まで1年以上健康保険に加入している

このように、健康保険の加入期間が1年以上ある妊娠した女性が、産休中に退職することになり、退職日当日に労働をしていないという場合は出産手当金を受け取ることができます。

そのため、何らかの理由によって退職を考えている方は、これらの条件を満たすように退職日を設定するようにするなど、会社とよく相談してみるようにしましょう。

しかし、健康保険への加入が1年未満である場合や、退職日が産休期間内ではない場合は出産手当金を受け取ることができないうえに、受け取ってしまった場合は返金しなければならないケースもあるため注意しましょう。

対象外となるケース

出産手当金の対象外となるケースは以下のような場合です。

  • 国民健康保険に加入している
  • 家族の健康保険の扶養に入っている
  • 休業中に給与を受け取っている

出産手当金は健康保険の被保険者であることが条件となるため、個人事業主やフリーランスの方で国民健康保険に加入している方は対象外となります。

また、家族の健康保険の扶養に入っているという方も同様に、妊婦さん自身が被保険者ではないので対象外です。

出産手当金は収入が減ってしまった方のための制度となるため、休業中に給与を受け取っている場合は原則支給されないということになります。

出産育児一時金との違い

仕事をしている妊娠初期の女性

出産手当金と出産育児一時金には以下のような違いがあります。

出産手当金 出産育児一時金
目的 産休中の生活保障 出産や育児にかかる費用の負担軽減
支給対象者 出産の42日前から出産の翌日以降56日までの範囲で会社を休業した健康保険加入者 妊娠4か月(85日)以上で出産する健康保険、国民健康保険の加入者、または夫の健康保険の場合は被扶養者
金額 標準報酬日額の2/3に相当する金額 赤ちゃん1人につき42万円
申請先 会社へ申請 病院へ申請

出産手当金と出産育児一時金は混同してしまうこともありますが、対象となる方や目的がそれぞれ違います。

また、出産育児一時金の基本的な支給額は赤ちゃん1人につき42万円ですが、産科医療補償制度に加入していない病院や施設で出産した場合の支給額は40.4万円になります。多胎妊娠の場合は、金額×赤ちゃんの人数分の出産育児一時金を受け取ることができます。

出産育児一時金は、妊婦さん自身が健康保険に加入していなくても申請することで支給対象となり、提出先や手続きの方法も異なります。

扶養に入っている場合は、パートナーの自筆署名も必要となるため、あらかじめ準備しておくことが重要です。

これらは、申請しなければ取得できない手当となるため、それぞれ忘れずに申請するようにしましょう。

また、出産育児一時金は、直接支払い制度というものがあり、医療保険者から医療機関に直接的に支払いが行われるという方法もあります。その際は、病院側から合意書を提示されるため、必要書類をそろえて提出するようにしましょう。

出産手当金の手続き方法

お出かけをする女性

出産手当金は、会社で事前にどのような手続きが必要になるのかをしっかり把握しておく必要があります。

ここからは、出産手当金の手続き方法について詳しくご紹介します。

手続きの流れ

一般的な手続きは以下のように行います。

  1. 勤務先で自分が対象者かどうかを確認する
  2. 勤務先の担当部署で「健康保険出産手当金支給申請書」を発行してもらう(産休前に間に合わなかった場合は、加入している健康保険のホームページからダウンロードできるケースもあります。)
  3. 申請書に必要事項を記入する
  4. 申請書内にある「医師・助産師記入欄」を医師や助産師に記入してもらう
  5. 勤務先の担当部署に提出する

出産手当金の申請期間は、産休を開始する翌日から2年以内となっています。万が一期限を過ぎてしまった場合は、受給額が徐々に減額されてしまうため、期限内に提出するようにしましょう。

申請書には自分で記入する欄と、医師、助産師が記入する欄、事業主が記入する欄が設けられているため、事前に確認しておき会社との連携を取れるようにしておきましょう。

また、同時に提出する書類として健康保険証の写しが必要となります。あらかじめ準備しておき、提出漏れのないようにしましょう。

出産手当金はいつもらえる?

産休中の生活保障の目的で支給される出産手当金ですが、申請が受理されてから振り込まれるまでに1~2か月ほどかかります。

たとえば、9月1日に出産して9月30日に出産手当金の申請をすると、産休期間が終わってからの受理となるため10月末以降に申請が受理されることになります。

結果的に、11月末~12月末ごろに出産手当金がもらえるというスケジュールになるため、産休中の無給になってしまう期間の生活資金を別途用意しておく必要があります。

まとめ

産休でもらえる出産手当金の計算方法と、出産手当金について、出産育児一時金との違いや手続き方法などを詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?

出産手当金は出産育児一時金とともに、自分が対象になっているかを確認して漏れなく申請を行うようにしましょう。

産休に入るときは、赤ちゃんが生まれることを楽しみに待っている反面、今後の生活費のことも心配になってしまいますよね。

さらに、出産後は赤ちゃんに思った以上のお金がかかることもあります。

出産手当金や出産育児一時金だけではなく、育休(育児休業中)にもらえる手当や社会保険の免除制度もうまく活用しながら、これから生まれてくる赤ちゃんを迎える準備を整えましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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