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妊娠22週以前に妊娠が終わってしまう流産ですが、流産に至る前に特徴的な兆候がみられることもあり、いつもとは違う違和感があった場合は注意しなければなりません。
症状によっては流産が始まっていることに気づかないケースもあり、知らない間に胎児がお腹の中で死亡してしまったという妊婦さんもいます。
この記事では、流産が疑われる3つの兆候と気をつけなければならない症状などをご紹介していきます。
妊婦さん皆さんに必要な知識となるため、是非、お役立てください。
覚えておきたい流産の種類と特徴
流産は妊娠の早い段階で受精卵の成長が終わってしまう、またはお腹の中で胎児が死亡してしまうことを指します。
女性にとってとてもデリケートな問題である流産の種類や、その特徴についてご説明していきます。
自然流産とは?
流産に共通しているのは妊娠22週以前に赤ちゃんを亡くしてしまうということですが、流産には複数の種類がありそれぞれに特徴があります。
人工的な手を加えず、自然に流産が起こることを「自然流産」といいます。
自然流産は全ての妊娠の15%前後で発生する可能性があり、その原因の多くは赤ちゃんの染色体異常といわれています。
人工流産とは?
「人工流産」とは、いわゆる「人工妊娠中絶」のことを指します。
人の手を介して流産を促すもので、妊娠22週未満(21週6日)かつ母体保護法が適応される場合のみ医師より人工流産の許可が下ります。
進行流産とは?
流産に至ると、子宮内にある組織(内容物)が体外に完全に排出されるか、体内に残留するかのどちらかの状態になります。
「進行流産」は、子宮内容物の排出が進行している状態を指し、出血などの兆候がみられることがあります。
完全流産とは?
子宮内容物が全て体外に排出された状態を「完全流産」といいます。完全流産に至った後は、母体への負担や痛みはだんだん緩和されていきます。
不全流産とは?
子宮内容物が体内に残留している状態を「不全流産」といいます。不全流産に至った場合は手術で内容物を摘出する必要があります。
稽留流産とは?
子宮の中で胎児が死亡し、付属物がそのまま残っている状態を「稽留流産」といいます。稽留流産に至った場合、自然に体外に排出されるのを待つか手術を行うかをその後の経過を観察して決めることになります。
化学的流産とは?
妊娠が判明した後は妊娠健診でエコー検査を受ける流れとなりますが、エコー検査の前に流産が起こってしまうことを「化学的流産」といいます。
化学的流産に至った場合、組織が形成する前ということもあって内容物の排出を促すような特別な治療は必要ないとされています。
自然流産の可能性がある3つの兆候
妊娠中に最も恐れられている流産ですが、実は流産が始まっていることを知らせてくれる特徴的な兆候があります。
ここからは、自然流産の可能性がある3つの兆候と妊婦さんの体験談をご紹介していきます。
出血
流産の兆候で最も多くみられるのが出血です。
突然の出血でびっくりされる方がたくさんいますが、妊娠初期の出血に関しては胎盤が形成されている段階であり、何らかの原因によって子宮内膜の血管に損傷が起こって出血が生じている可能性があります。
気をつけなければならないのが、鮮血がみられた場合です。
鮮血の場合は妊娠初期の段階でも自然流産の兆候である可能性が示唆されるため、すぐに医師に相談することをおすすめします。
妊婦さんの体験談
「生理2日目よりも大量の出血がみられたため、これはもしかして流産の兆候なのでは?思い、すぐに医師に相談をしました。内診とエコー検査で”進行流産”と診断されてとてもショックを受けました。その後、自然排出を待った結果、内容物がすべて排出されて手術は必要はありませんでした。」
お腹の張り
普段感じられないようなお腹の張りがみられた場合、それは早期流産の兆候かもしれません。
お腹の中の胎児が成長するとともに、子宮の筋肉も徐々に伸びていきますが、流産などをきっかけに筋肉が緊張してしまってお腹の張りを感じることがあります。
お腹の張りが頻繁に起こるほど流産の兆候である可能性が高まるため、おかしいと思った場合はすぐに医療機関に相談をしましょう。
妊婦さんの体験談
「座っている時にお腹がパンパンになっている感覚があり、とても固くなっていました。お腹の中から圧迫されている感じで、かかりつけの産婦人科の先生に相談したところ”流産の兆候かもしれない”と指摘され、結果的に自然流産に至りました。」
下腹部の痛み
お腹の張りだけではなく、下腹部に痛みが生じることもあります。
ジンジンとした痛みは生理痛と似ていますが、自然流産がお腹の中で起きている兆候のひとつとして考えられています。
とても強い腹痛がみられた場合は子宮外妊娠の兆候かもしれませんので、すぐに救急外来にかかることをおすすめします。
妊婦さんの体験談
「臨月に入ってからときどき下腹部に痛みを感じるようになり、嫌な予感がしていました。友人に相談したところ、それは流産の兆候があるからすぐに先生に相談した方がいいといわれ、診てもらいました。その結果、すでに赤ちゃんは亡くなっており、頭が真っ白になって涙が止まりませんでした。」
流産の兆候がみられた場合の治療法について
出血・お腹の張り・腹痛といった流産が疑われる兆候がみられた場合、一体どのような治療法があるのか気になる方は多いと思います。
流産の兆候がみられた場合の治療法についてご紹介していきます。
症状を緩和する方法とは?
気になる流産の治療法ですが、残念ながら流産を治す方法はありません。しかし、流産に伴って発生する症状の治療や緩和をすることはできます。
代表的な兆候であるお腹の張りは子宮の収縮によって起こるものであり、症状の進行を抑える方法として子宮収縮抑制薬が投与されることがあります。
安静が第一
流産の兆候がみられた場合は、最優先で「安静」という行動を取りましょう。
どこまで安静が必要かは妊婦さんの状態を診て医師から指示されるため、早めに医療機関に相談するようにしましょう。
出血や腹痛を我慢していつも通りの生活をするのはとても危険なので、家事や身の回りのことは最小限に減らし、症状が治まって安定するまでは性行為も厳禁となります。
流産のリスクのある出生前診断とは?
流産は妊娠中に行われる出生前診断「羊水検査」と「絨毛検査」によって引き起こる可能性があります。
羊水検査と絨毛検査によって流産に至る確率などをご紹介していきます。
羊水検査で流産に至る確率
妊娠14週目以降に実施されている羊水検査は、染色体異常の有無を確定させる目的で実施されています。
検査内容は侵襲的なものであり、母親のお腹に穿刺針を刺して子宮内の羊水を採取し、羊水細胞の培養を行って染色体異常を調べる流れとなります。
羊水穿刺によって赤ちゃんが流産などの死亡に至る確率は1,000人に1人〜3人くらいとされています。
100%に限りなく近い確率でダウン症など染色体異常症の有無を調べることができますが、検査にはリスクが生じることを予め理解しておかなければなりません。
絨毛検査で流産に至る確率
絨毛検査も羊水検査と同じ侵襲的な検査によって染色体異常を調べる検査です。
妊娠10週目〜13週6日目まで実施されている検査で、穿刺針を用いて子宮内の胎盤の絨毛を採取し、染色体異常を調べる流れとなります。
赤ちゃんが流産など死亡に至る確率は100人に1人とかなりリスクが高いため、安易に受けられる検査ではありません。
流産に至る可能性のある出生前診断は羊水検査、絨毛検査のみであり、染色体異常を調べる際は流産のリスクがないNIPTや母体血清マーカー検査から受けることが推奨されています。
まとめ
妊娠22週以前に妊娠が終わってしまう流産は、出血・お腹の張り・下腹部の痛みという特徴的な兆候が現れる可能性があります。
明らかにいつとは違う体調の変化がみられた場合は、すぐに医療機関で診てもらうようにしましょう。
流産は羊水検査・絨毛検査で稀に誘発される可能性がありますが、NIPTや母体血清マーカー検査などのスクリーニング検査であればノーリスクで染色体異常を調べることが可能です。
東京の「ミネルバクリニック」では、妊娠9週0日目からNIPTを実施しております。
世界最新鋭のNIPT技術を取り入れた遺伝子専門クリニックであり、患者様ひとりひとりに丁寧に寄り添う遺伝カウンセリングにも力を入れております。
染色体異常を調べる出生前診断を受けることをご検討の際は、是非この機会に「ミネルバクリニック」までご相談ください。