目次
結婚年齢の上昇に伴い、近年不妊症にお悩みのカップルが増加傾向にあります。年齢を重ねるとともに男性も女性も赤ちゃんができにくくなり、自然に妊娠することが難しくなってしまうのも理由のひとつです。以前はカップルでタイミングをはかり、2年間妊娠しなければ不妊といわれていましたが、現在は晩婚化の影響で妊活をはじめて1年間妊娠できなければ不妊といわれることがあります。
そこでまずトライするのがタイミング法です。
不妊治療の第一選択肢となることが多い方法で、女性の排卵日を正確に予測し、そこに合わせて性行為のタイミングをはかります。
ただ、妊娠しやすいタイミングや妊娠率について間違った知識を覚えていることも多いため、闇雲に自分でタイミング法を実践するよりも、婦人科クリニックなどで指導を受けた方がよいでしょう。
この記事では、タイミング法の正しい知識と成功率、タイミング法の成功率を上げるセルフケアについてご紹介します。
タイミング法とは
タイミング法は、一般不妊治療で最初に行うケースが多い治療法です。しかし、タイミング法は不妊の原因によっては有効でないこともあるため、医師と相談して行うことが大切です。
ここでは、タイミング法についての正しい知識をご紹介します。
妊娠しやすいタイミングを狙って性行為を行う方法
妊娠率を上げるには、タイミングが非常に大切です。そこで医師の指導のもと、自分では間違えやすい排卵日を推定し、妊娠するために効果的なタイミングのアドバイスを受けます。
タイミング法は、以下のようなカップルにおすすめです。
- 可能なら自然に妊娠したい
- 女性の年齢が若い
- 検査の結果に異常なし
- 精液が正常
タイミング法は、検査で大きな異常がなく、できれば自然な形で妊娠したいというカップルにおすすめの方法です。
月経の周期などは人それぞれ違うものの、妊娠するためには排卵に合わせて体内に精子を送りこむ必要があります。
排卵日を特定することの重要性
検査の結果に異常がないものの、なかなか赤ちゃんを授からないカップルや、もともと性行為の回数があまり多くないカップルにとって排卵日を予測し、そのタイミングで性行為を行うことは非常に重要です。
排卵日を予測するためには、まず基礎体温をはかることからはじめます。
基礎体温とは、朝起きて体を動かさない状態で寝たまま測った体温のことです。測った体温は、病院や薬局、インターネットなどで手に入れられる基礎体温表に記録していきます。
毎日計測して記録すると、排卵の有無やタイミングなどを予測できたり、ダイエットの好調期がわかったりします。
基礎体温における1周期とは、月経が始まった日を1日目として次の月経がはじまる前の日までです。
タイミング法を行いたい場合、まずは1周期、基礎体温をはかって記録してみましょう。
以下は、基礎体温のはかり方です。
- 目が覚めてすぐ、布団から起き上がらない状態で体温を測定する
- 舌の下にある中央筋の根本部分を測定する
- 体温計を口の中に入れて固定したら、口は閉じる
基礎体温は、はかり方もとても重要になってきます。正しいやり方を確認したうえではかるようにしましょう。
タイミング法の流れ
タイミング法は、以下の流れで行います。
- 月経周期や排卵の様子を基礎体温表で確認し、排卵日を予測
- 超音波検査で卵胞が成長しているかチェックし、排卵日をさらに正確に予測
- 条件が整ったら尿中LH検査(尿中の黄体形成ホルモンの上昇を検出)をし、具体的なタイミング指導を行う
- 指導をもとに性行為を行う
必要であれば、後日排卵のタイミングが合っていたかを検査します。排卵があり、そのタイミングで性行為が行われていれば、あとは妊娠が成立するのを待つだけです。
タイミング法の成功率について
タイミング法で赤ちゃんを授かれるかどうかは個人差が大きく、すぐに成功する方もいれば1年間続けても妊娠しない方もいます。
ここでは、タイミング法で妊娠する確率についてご紹介します。
タイミング法で妊娠する確率は?
一般的に不妊の要素を持っていない女性が排卵のタイミングで性行為を行うと、16〜18%の確率で妊娠するといわれており、避妊しなければ半年で70%、1年で90%妊娠します。
不妊の原因は人それぞれ違うため、タイミング法を行えばどのくらいの確率で必ず妊娠するとはいえません。
しかしタイミング法では、1周期で38%、2周期目で25%、3周期目で14%と回数を重ねるごとに効果を得られにくくなる傾向にあるというデータも。
また、タイミング法で赤ちゃんを授かった方は3周期目までに78%、5周期目までに92%の方が妊娠しています。
人間の妊娠が成立する確率は自然な状態でも5周期に1度程度なので、5周期目を過ぎても効果を感じない方は、早めに次のステップに進んでもよいでしょう。
タイミング法の成功率は30代で下がる?
一般的に、30代前半までは妊娠力の低下は緩やかです。しかし、35歳をすぎると急激に妊娠しにくくなるため、タイミング法を行っても効果が出ないケースもあります。
また、年齢を重ねると子宮内膜症や子宮筋腫に罹患する方も増えてきます。妊活のために治療を中断している期間が長くなるほど、病気が進行してしまうこともあるため、医師とよく相談してタイミング法を行いましょう。
タイミング法の成功率を上げる3つのセルフケア
不妊の原因は、女性と男性同じくらいの確率で、その要因はさまざまです。
タイミング法の成功率を上げるためには、カップルで一緒に日頃の生活を見直し、変えていくことが大切です。
ここでは、タイミング法の成功率を上げる3つのセルフケアをご紹介します。
楽しく過ごすよう心がける
女性の場合、生理不順や無排卵月経はストレスと密接な関係があります。
男性側も妊活のプレッシャーや、日々の仕事で感じるストレスによって勃起力や造精力、射精機能が低下してしまうので、2人で楽しく過ごせるよう心がける必要があります。
2人で旅行に行ったり、趣味に没頭する時間を作ったりなど普段の生活を楽しく過ごしてストレスを溜めないようにしましょう。
また、職場の上司にも妊活をしていることや不妊治療をしていることなどをきちんと話し、治療しやすい環境を作っておくのも大切です。
軽い運動をする
軽い運動は、妊娠するために大切な卵巣の状態をよくして卵巣へ栄養を行き届かせる効果があります。
運動で体温を上げたり、筋肉量が増えたりすると、それに伴って基礎代謝量もアップ。基礎代謝が増えることで、血流が促進されます。
血流がよくなると排卵後の子宮内膜が着床しやすい状態に近づきやすくなるため、タイミング法と併用することでさらに妊娠しやすい体になるといわれています。
以下は、おすすめの運動です。
- ウォーキング
- ストレッチ
- ヨガ
タイミング法で妊娠する可能性を上げるには、激しい運動で体内に活性酸素を作ってはいけません。
活性酸素は、卵子や精子も老化させ、正常な排卵をストップしたり、生理周期を乱したりする原因にもなります。
バランスの取れた状態を維持するためにも、無理なく続けられる程度の運動を選びましょう。
食事の見直し
妊活は、健康的な体づくりが基本です。タイミング法で赤ちゃんを授かりたい方は、食事を見直してホルモンバランスの乱れを整える必要があります。
タイミング法の成功率を上げるには、以下のようなことを意識して食事を取りましょう。
- 食事の時間を決める
- 朝食は必ずとる
- 昼食を多めにとる
- いろいろな食品をとるようにする
- よく噛む
- 夕食は腹八分目
- 夕食は遅くなりすぎないようにする
誰でも疲れて食事の用意を面倒に思うこともあります。そんな日は無理せずお惣菜や外食を活用し、無理しすぎないことも大切です。
以下は、タイミング法の成功率をアップするためにおすすめの食品です。
<野菜類>
- 生玉ねぎ
- 長ネギ
- かぼちゃ
- ほうれん草
<魚介類>
- 青魚
- 鮭
- マグロ
- 牡蠣
- 海藻類
<肉類>
- レバー
- 豚肉
<その他>
- 納豆
- ナッツ類
- 玄米
いずれも血行を促進し、卵子や精子の質を向上、生殖機能の働きをアップさせる食品です。女性は、妊娠に備えてビタミンB群や葉酸が多く含まれる食品を摂取しておくのもよいでしょう。
まとめ
タイミング法の正しい知識と成功率、タイミング法の成功率を上げるセルフケアについてご紹介しました。
タイミング法は、性行為のタイミング指導を受けますが、通常の性行為と同様に体内で自然妊娠するのを待つ方法です。
そのため、女性は卵管に異常がないことや排卵が順調なこと、男性では精子に異常がないことなどの条件があります。
ただ、タイミング法などの不妊治療は進め方が十人十色でカップルの数だけ治療の形があります。
もっとも大切なことは、医師の話をよく聞き自分たちの状況を客観的に把握したうえ、二人で足並みを揃えることです。
そもそも日本では、性行為の回数自体が少ないために妊娠しにくいケースもあります。
性行為の回数が多いほど妊娠率はアップしますので、排卵日にこだわりすぎずパートナーとコミュニケーションを取ることも大切です。
タイミング法の成功率を上げたい方は、ぜひ本記事を参考にパートナーとよく話し合ってみてくださいね。
東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。