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妊娠初期の水っぽいおりものの特徴は?破水とはどう違う?いざというとき慌てないための対処法も紹介

妊娠初期とは、妊娠4週目から妊娠15週目までのことです。お腹に赤ちゃんが宿っているのがわかる時期でもあり、つわりがはじまるなど身体にも徐々に変化が現れます。

それとともに、妊娠初期は「おりもの」の量も増え、水っぽい感じがしたりニオイも変化したりすることもあるため、「破水したのでは?」と不安になってしまう方もいるようです。

そこで今回の記事では、破水が起こるメカニズムと妊娠初期のおりものの特徴、破水との違いについてご紹介します。最後に破水の可能性があるときの対処法と、妊娠初期に破水した場合に妊娠を継続させる方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

そもそも破水はどのように起こるのか

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これからお産がはじまるサインのひとつでもある破水。赤ちゃんを包んでいる卵膜が破けて中に入っていた羊水が外に流れ出ることをいいます。

通常であれば、子宮の入り口が全開まで開ききってから破水することが多いです。以下は、破水が起こる通常のメカニズムをまとめたものです。

  1. 出産がはじまり、子宮口が開いてくる
  2. 胎児と羊水を守っている卵膜と子宮の壁がズレて卵膜が徐々に剥がれていく
  3. 羊水が下に流れ込んで卵膜が膨らんで「胎胞」ができる
  4. 陣痛によって子宮内圧が高まり、胎児の頭も下がる
  5. 胎胞に圧力がかかる
  6. 圧力に耐えきれなくなった胎胞が破れる
  7. 羊水流れ出る

子宮口が全開になった頃に起こる破水は正常な現象で、「適時破水」、陣痛開始後に子宮口が開ききる前に起こる破水を「早期破水」と呼びます。

中には、炎症や感染が原因で卵膜が柔らかくなり破けやすくなったり、急激に腹圧が高まったりしたなどの理由で、陣痛が来るよりも先に破水が起こるケースも。これを「前期破水」と呼びます。

前期破水は、出産予定日付近に起こることもあれば、それよりも前に起こる(早期前期破水)こともあります。早期前期破水では、流産や早産の可能性も高まるので注意が必要です。

妊娠初期のおりものの特徴

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そもそもおりものとは、子宮頚部や子宮内膜、膣から出る酸性の分泌液のことです。女性ホルモンと密接な関係があるため、個人差はあるものの生理周期に合わせて色や粘度が変化します。

妊娠した場合も、女性ホルモンが変化することからつわりなどが起こりますが、おりものが変化する方も多いです。そこで一般的な妊娠初期のおりものの特徴についてご紹介します。

妊娠初期はおりものが増える

個人差があるため一概にはいえませんが、一般的に妊娠初期はおりものの量が通常時よりも増えるといわれています。

これは、妊娠によってエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの分泌量が増えるからです。これから子宮の中で育っていく胎児を、外部から侵入する細菌やウイルスから守っているのです。

夏場の暑い時期は、おりものの量が増えることによって下着の中が蒸れてしまうかもしれませんが、外陰部がかぶれないよう清潔を保つようにしましょう。

サラサラして水っぽい

妊娠初期のおりもののもうひとつの特徴は、粘度が低くサラサラとして水っぽいことです。色は透明から乳白色、白っぽいケースが多く、時間が経つにつれて黄色に変色することもあります。

とはいえ、おりものの状態も個人差が大きく、とくに妊娠してすぐの頃はどろっとしたやわらかい塊のようなものが出たり、クリーム色っぽいものが出たりと人によって異なります。

また、妊娠によっておりもののニオイにも変化があり、やや酸っぱいニオイがすると感じる方も多いようです。

妊娠初期の破水とおりものの違い

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妊娠初期はまだ週数が浅いため、経過が順調な妊婦さんであれば、破水する可能性はそれほど高くありません。しかし、まだ仕事をしている方も多く、長時間の立ち仕事や重いものを持つ仕事をされている方もおられることでしょう。

上記でもご紹介した通り、腹圧が急激に高まると、破水してしまう可能性も少なからずありますので、おりものと破水の区別はとても大切です。

そこでここでは、妊娠初期の破水とおりものの違いについてご紹介します。

高位破水はおりものとの見分けが難しい

妊娠初期は、つわりなどの症状にも個人差が大きく、まだ胎動を感じることもないため、お腹の赤ちゃんが元気かどうかわからず不安になってしまうママも多いようです。

おりものについても、量やニオイなどの変化に個人差があり、生理前とほとんど変わらない方もいれば、水っぽかったり量が増えたりする方もいます。

中には「破水したのでは?」と不安になる程、おりものの量が増加するケースも。ジャージャーと流れるように出ていれば判断できますが、妊娠10週頃の羊水量は30ml程度とそれほど多くないため、自己判断は難しいでしょう。

とくに、子宮口から離れた位置で起こる「高位破水」では、流れ出る羊水量も少なく、少しずつ出てくることから、おりものと間違えてしまうことも。少しの量だからおりものだろうと思っていたら破水していたこともあるので、注意しなければいけません。

色とニオイに注目

上記でもご紹介した通り、妊娠初期のおりものにはいくつかの特徴があります。個人差はありますが、明らかにおりものの量が多い場合以外では、色やニオイに注目すると破水との違いがわかるかもしれません。

以下は、妊娠初期に破水とおりものを見分けるための、羊水の色やニオイの特徴です。

  • 色が透明もしくは淡黄色
  • 無臭もしくは少し生臭い

羊水はおりものとは異なり、透明もしくは淡黄色でニオイはまったくしないか少し生臭く感じます。量も状況によってさまざまで、下着からはみ出して服を濡らしてしまう場合もあれば、ごく少量の場合もあります。

ただし、白くてカッテージチーズのようなおりものやニオイが強く黄色、やや黄緑色のおりものが出ている場合は、感染症の恐れもありますので注意しなければいけません。

出血や腹痛を伴う場合は要注意

上記の他にも、出血や腹痛を伴う場合は破水している可能性があります。

少量の血が混ざり、おりものがピンク色や茶色になることは比較的よくありますが、大量の血が混ざっているようなおりものには注意が必要です。また、破水していると下腹部に周期的な張りを感じることもあるので、その点にも気をつける必要があります。

ただし、出血量や腹痛の有無にも個人差があるため、出血や腹痛がそれほどひどくなかったとしても、早期流産や切迫流産が起こっている恐れもあります。気になる症状があるときは、早めにかかりつけの産婦人科へ相談しましょう。

妊娠初期に破水の可能性がある場合の対処法と妊娠を継続させる方法

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妊娠初期では、可能性はそれほど多くないものの、破水する可能性があります。

妊娠中期以降は絨毛羊膜炎による早産が起こりやすくなります。一方で妊娠初期の場合は原因がわからなかったり、予防できなかったりといったケースも多いので、いざという時のために破水の可能性がある場合の対処法をしておきましょう。

速やかにかかりつけの産婦人科に連絡

「破水しているかもしれない」と思ったとき、パニックに陥って呆然としてしまうのは、よくあることです。

そのような場合、まずはかかりつけの産婦人科に連絡し、指示を仰ぎます。その際、自分の名前と診察券番号、出産予定日や現在の状況、どのくらいで病院へ到着するかなどについて聞かれるので、落ち着いて正確に情報を伝えるようにしましょう。

その後は、受診もしくは自宅で様子を見るなど産婦人科の医師の指示に従います。自宅にひとりでいるときは、病院へ連絡した後パートナーや家族に連絡し、状況を伝えましょう。

不安になってしまう気持ちもわかりますが、まずは落ち着いてかかりつけの産婦人科と家族に連絡することが大切です。

妊娠初期に破水した場合に妊娠を継続させる方法

かなり稀ではあるものの、妊娠初期であっても卵膜が破れて破水することもあります。そのような場合、残念ながら妊娠を継続できない可能性があることも知っておきましょう。

妊娠初期に破水した場合、妊娠を継続させるには破れた卵膜を再生して羊水を増やすか、妊娠22週以降までどうにか耐えて早産で出産する方法をとることが多いです。

その間、胎児は感染症にかかりやすくなり、万が一感染症になってしまうとすぐに取り出さなければならなくなってしまいます。

誰しも、妊娠初期の段階で破水してしまうとは考えていないかもしれません。しかしその可能性がゼロではありませんので、「破水したかも」と思ったらすぐにかかりつけの産婦人科に連絡することが大切です。

まとめ

破水が起こるメカニズムと妊娠初期のおりものの特徴、破水との違い、破水の可能性があるときの対処法などについてご紹介しました。

妊娠すると、女性ホルモンの影響によって水っぽいおりものが増えるため、破水したのではないかと不安になってしまう妊婦さんも多くいます。

破水によって出てくる羊水は、生暖かく透明な生臭い液体で、下腹部に周期的な張りを感じることが多いので、おりものと見分けたい場合はその点に注意するとよいでしょう。

ただし、安易な自己判断は危険です。少しでも判断に迷ったときは、かかりつけの産婦人科に連絡するか直接受診し、破水かどうか確認することをオススメします。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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