InstagramInstagram

タイミング法は何周期で妊娠できる?その後のステップアップについても紹介

タイミング法とは、約半数弱の方が妊娠する不妊治療と言われている一般不妊治療の中でも、最初に行われる治療です。

自然妊娠が難しく、不妊治療をはじめるご夫婦は、不妊原因などを探る検査をしたあとにまずはタイミング法という治療を医師から提案されることとなります。

なかなか自然妊娠をしないと、早く体外受精などの確実と思える治療に移りたいという気持ちが強い方もいますが、タイミング法は医師の指導のもと行われるので、自然妊娠とはまた違った方法として心や体への負担も、金銭的な負担も軽い治療となります。

この記事では、タイミング法は何回行うと妊娠できるのかとともに、タイミング法の後のステップアップ治療についてご紹介します。

これからタイミング法を試そうという方も、タイミング法を実施しているという方も、ぜひ参考にしてみてください。

タイミング法とは

不妊を相談する若いカップル

一般不妊治療であるタイミング法は、医師が排卵日を正確に予測して性行為をするタイミングを指導されたうえで、妊娠に導くという治療のことです。

妊娠しやすいタイミングは排卵日当日とその前後2~3日とされているため、正確な排卵日の予測が必要となります。

冒頭でもお伝えしたように、肉体的にも金銭的にも負担が少ない治療となるので、不妊で悩む方はまずタイミング法からはじめることとなります。

排卵予定日の測定は、生理日と併せて超音波で卵胞のサイズを測り、排卵する日を予測することになります。

通常自分自身で行うと、なかなか正確な排卵日を知ることができないため、医師の判断のもと排卵日を確定することで、妊娠しやすい日に性行為を行うことができます。

タイミング法は何回行うべき?

医師に相談中の若い夫婦
タイミング法は何回くらい行うと妊娠できるのか?ということを不安に思っているご夫婦も多いです。

闇雲に回数を重ねてもなかなか妊娠しないということもあるため、ある程度の回数を続けても妊娠の兆候が見られない場合は、次のステップに移る必要があります。

ここからは、タイミング法は何回行うべきかをご紹介します。

有効治療周期数は6~7周期

タイミング法による妊娠の確率は以下のようになっています。

  • 1周期…38.7%
  • 2周期…25.1%
  • 3周期…14.2%
  • 4周期…8.8%
  • 5周期…5.7%
  • 6周期…3.2%
  • 7周期…1.6%
  • 8周期…1.2%
  • 9周期…0.6%
  • 10周期以上…0.8%

このように、1周期で38.7%、2周期で25.1%となっていて、回数を重ねるごとに妊娠の確率は低くなります。

しかし、3週目までに78%、6周期までに95.7%の方が妊娠に成功しているということになります。

8割以上の方が妊娠に成功する周期数は6~7周期とされているため、この時期まではタイミング法を続けてみて、それでも妊娠が難しい場合は一般の不妊治療は難しいと考え、次のステップに進む必要があります。

排卵周辺と排卵日に夫婦生活を

排卵日が判明したら、排卵日2日前、排卵日、排卵非2日後に性行為を行うことで、排卵予定日がずれても卵管に精子を送り込むことができます。

精子は条件がよければ卵管の中で数日間は生きられるので、排卵日周辺に性行為を何度か行うと妊娠する可能性が高くなります。

排卵日周辺で性行為をしたら、不妊治療を行っている病院で卵胞が破裂したかを確認します。

排卵日にこだわりすぎないことも重要

排卵日にこだわりすぎて「この日にセックスをしなければいけない」という使命感が強くなりすぎると、男性ED(勃起障害)を起こしてしまう可能性があります。

排卵日に合わせて性行為をするというよりも、普段から回数を増やし、排卵日にも合わせていくという方が理想的です。

女性は性行為の回数が増えると、ホルモンバランスがよくなり排卵しやすくなりますし、男性の精子はためずに射精したほうが質のよい精子が射出されるため、性行為の回数を増やすことは重要です。

週に2~3回性行為をしているカップルは、妊娠確率が1年間で85%といわれていて、常に精子が体内にある状態なので妊娠しやすいとされています。

年齢を重ねると卵子の老化などによって、妊娠しにくい状態となってしまうため、性行為の回数を増やして妊娠の確率を上げることもタイミング法では大事になります。

タイミング法からのステップアップ

顕微鏡のイメージ
タイミング法では、排卵誘発剤を使って妊娠率を高めることもありますが、それでも妊娠が難しいという場合は、不妊治療の次のステップに移ることになります。

ここからは、タイミング法からのステップアップをご紹介します。

時期は医師と相談をして決める

一般的に、何周期タイミング法を行ったら次のステップという目安は6ヵ月~1年となります。6周期以降は妊娠する確率が低くなることから、6ヵ月が経過したら医師と相談して次のステップに移るかを決めることになります。

女性が30代後半や40代のケースでは、時間が貴重になるので早めに次のステップに移るという方も多くいます。

不妊治療のステップは以下のようになっています。

  1. タイミング法
  2. 人工授精
  3. 体外受精や顕微授精

タイミング法で成果が出ない場合は、妊娠の確率を高める治療に順次ステップアップしていくことになります。

人工授精とは

人工授精は、精子を洗浄し濃縮するという事前処理を行い、子宮内に直接注入することで受精しやすくする不妊治療法です。

タイミング法の次のステップとして位置づけられていて、一般不妊治療となります。

人工授精は次のように行われます。

  1. 排卵の時期を調べる
  2. 精液を採取する
  3. 精液の調整
  4. 人工授精

タイミング法と同様に超音波や血液検査で排卵の時期を調べ、排卵日前日や当日に人工授精を行います。

精液は自宅やクリニックで採取し、濃縮して成熟した運動性の良好な精子を回収して、精子洗浄培養液で洗浄します。

その後、子宮内腔にチューブに入れた精液を注入します。痛みはほぼなく、時間も1~2分で終わります。

人工授精に向いているのは、精子減少症や精子無力症など、精子に問題があるケースです。精子に問題がない場合は、人工授精の有効性は低いので、事前の検査によって不妊の問題がどこにあるのかを見極める必要があります。

体外受精・顕微授精とは

体外受精や顕微授精は、体内での受精が困難な方に行う高度生殖医療で、体の外で卵子と精子の受精を行い、そのあと子宮に戻して着床を促す治療となります。

卵管機能障害などが原因で、自然妊娠が難しい方に行われる治療です。ほとんどの不妊を軽減でき、妊娠率も高い治療で、1周期で30~60%の妊娠率が期待できます。

体外受精はシャーレ上で卵子と精子を出合わせる方法で、顕微授精は顕微鏡下で精子を卵子に注入して受精させる方法となります。

体外受精、顕微授精は以下のような手順で行われます。

  1. 卵巣刺激
  2. 採卵、採精
  3. 受精
  4. 胚培養
  5. 胚移植
  6. 黄体ホルモンの補充
  7. 妊娠判明

妊娠の確率を上げるための最初のステップとして、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激します。飲み薬と注射でさまざまな種類の中から卵巣の状態や患者の希望によって、ホルモン薬を投与します。

その後、成熟した卵子を排卵日の直前に体外に取り出し、培養液の中で卵子と精子を受精させます。

受精卵は細胞分裂を開始すると胚と呼ばれ、受精してから2~3日後に子宮内に移植します。

胚移植から約2週間後に尿検査を行い、妊娠しているかの検査を行います。

1回の体外受精でいくつかの受精卵が採取できた場合は、余剰な胚を凍結する胚凍結を行うこともできます。

年齢が若いときの受精卵を凍結することで、卵子が老化していく前に受精させることができますし、何度も体外受精のために卵子を採取するのは精神的にも肉体的にも負担が大きいので、胚凍結をするという方もいます。

まとめ

タイミング法は何回行うと妊娠できるのかとともに、タイミング法の後のステップアップ治療についてご紹介しましたが、参考になりましたか?

タイミング法は、排卵日を特定してその周辺で性行為を行い、妊娠を目指すという治療法です。

自分で排卵日を予測することも可能ですが、それよりも高度な技術で医師に予測してもらうことができるので、より正確な排卵日が予測可能です。

タイミング法は自分たちで性行為を行い、自然妊娠に近い形で妊娠する方法なので、身体的にも経済的にも負担が少ない治療です。

しかし、性行為を行わなければというプレッシャーから男性がEDになってしまうという例も少なからずあるので、排卵日だけ性行為を行うようなやり方ではなく、性行為自体を増やして妊娠の確率を上げるという方が成功しやすいともいえます。

さらに、タイミング法で妊娠できなかったときの次のステップもご紹介しました。

次のステップへは、医師と相談しながら夫婦でよく話し合いを行い、移行していくようにしましょう。

タイミング法をはじめたい、現在取り組んでいるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事