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胚盤胞グレードと染色体異常の本当の関係
4AAでも不安になるあなたへ
📍 クイックナビゲーション
Q. 胚盤胞グレード(4AAなど)で染色体異常はわかりますか?
A. わかりません。 グレードは顕微鏡で見える「形態(見た目)」の評価であり、染色体の正常・異常という遺伝学的情報とは別物です。4AAでも染色体異常は起こり得ます。
Q. 4AAなのに不安です。これはおかしいことですか?
A. まったくおかしくありません。 4AAで不安になる方ほど、赤ちゃんの将来を真剣に考えている証拠です。グレードは「安心保証」ではないと知ることが、次の適切な判断につながります。
- ➤ グレード=見た目、染色体=中身
- ➤ 良好胚でも異常はゼロにならない
- ➤ 妊娠後にできる備えがある
1. 胚盤胞グレードと染色体異常の本当の関係
【結論】 胚盤胞グレードは妊娠しやすさの目安にはなりますが、染色体異常を判定するものではありません。
胚盤胞のグレードを聞いた瞬間、期待と不安が同時に押し寄せる方はとても多いです。特に体外受精を経てここまで来た方ほど、「この胚にすべてがかかっている」と感じてしまいます。しかし、専門医の立場から明確にお伝えすると、グレードは努力の成績表ではありません。
🍎 たとえ話: 胚盤胞のグレードは果物の見た目のようなものです。見た目が美しくても中が傷んでいることがあるように、4AAでも染色体異常は起こり得ます。逆に、見た目が控えめでも中身が健やかな胚も存在します。
そもそも「4AA」とは何を見ているのか
ガードナー分類では、数字は拡張度、アルファベットはICM(将来赤ちゃんになる細胞)とTE(将来胎盤になる細胞)の見え方を評価しています。いずれも形態評価であり、遺伝情報そのものではありません。
2. 【グレード別】4AAや3BBなら安心?
【結論】 良好胚ほど染色体正常の割合は高い傾向にありますが、「良好=正常」ではありません。
研究データでは、AA胚でも一定割合は染色体異常を含みます。一方、BBやBC、CCといった胚でも、正常胚は確実に存在し、妊娠・出産に至る例が報告されています。
Q. 4AAならダウン症は起こらない?
A. 起こらないとは言い切れません。 ダウン症などの染色体異常は、主に卵子形成の過程で生じるため、胚の見た目だけで回避できるものではありません。
Q. 3BBは「悪い胚」?
A. いいえ。 3BBは中間的評価で、十分に妊娠が期待されます。胚の数、年齢、子宮内膜の状態などを含めた総合判断が重要です。
3. なぜ見た目と染色体にズレが生じるのか
【結論】 卵子の減数分裂エラー(年齢)と胚の自己修復・モザイクが主な要因です。
40代になると何が変わるのか
卵子は新しく作り直されません。40代では減数分裂エラーが増え、4AAであっても染色体異常の確率は若年層より高くなります。 これは「胚が悪い」のではなく、生物学的な事実です。
⚠️ 重要: 年齢の影響はグレードでは打ち消せません。
自己修復とモザイク
胚は発育の過程で異常細胞を排除することがあります。その結果、見た目がやや劣って見えても、遺伝学的に正常な細胞が残ることがあります。
4. 妊娠後にできること(PGT-AとNIPT)
【結論】 妊娠判定はゴールではなくスタートです。妊娠後にはNIPTという選択肢があります。
PGT-Aについて
移植前に染色体を調べる方法ですが、国内では適応や施設が限られます。
NIPTという選択肢
NIPTは妊娠後に採血のみで受けられる染色体異常のスクリーニング検査です。確定検査ではないため、陽性時は羊水検査などで確認します。
5. 臨床遺伝専門医からのメッセージ
4AAで不安になるのは自然なことです。3BBや低グレードでも希望はあります。大切なのは、一人で抱え込まないことです。
ネットの情報に疲れたら、一度専門医と話してみませんか。
妊娠後の検査や選択肢を、一緒に整理します。

