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胚盤胞グレードと染色体異常の本当の関係|東京青山・ミネルバクリニック

胚盤胞グレードと染色体異常の本当の関係|東京青山・ミネルバクリニック

胚盤胞グレードと染色体異常の本当の関係
4AAでも不安になるあなたへ

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🧫 体外受精・胚盤胞・染色体
★ 臨床遺伝専門医の視点

Q. 胚盤胞グレード(4AAなど)で染色体異常はわかりますか?

A. わかりません。 グレードは顕微鏡で見える「形態(見た目)」の評価であり、染色体の正常・異常という遺伝学的情報とは別物です。4AAでも染色体異常は起こり得ます。

Q. 4AAなのに不安です。これはおかしいことですか?

A. まったくおかしくありません。 4AAで不安になる方ほど、赤ちゃんの将来を真剣に考えている証拠です。グレードは「安心保証」ではないと知ることが、次の適切な判断につながります。

  • ➤ グレード=見た目、染色体=中身
  • ➤ 良好胚でも異常はゼロにならない
  • ➤ 妊娠後にできる備えがある

1. 胚盤胞グレードと染色体異常の本当の関係

【結論】 胚盤胞グレードは妊娠しやすさの目安にはなりますが、染色体異常を判定するものではありません。

胚盤胞のグレードを聞いた瞬間、期待と不安が同時に押し寄せる方はとても多いです。特に体外受精を経てここまで来た方ほど、「この胚にすべてがかかっている」と感じてしまいます。しかし、専門医の立場から明確にお伝えすると、グレードは努力の成績表ではありません。

🍎 たとえ話: 胚盤胞のグレードは果物の見た目のようなものです。見た目が美しくても中が傷んでいることがあるように、4AAでも染色体異常は起こり得ます。逆に、見た目が控えめでも中身が健やかな胚も存在します。

そもそも「4AA」とは何を見ているのか

ガードナー分類では、数字は拡張度、アルファベットはICM(将来赤ちゃんになる細胞)とTE(将来胎盤になる細胞)の見え方を評価しています。いずれも形態評価であり、遺伝情報そのものではありません。

2. 【グレード別】4AAや3BBなら安心?

【結論】 良好胚ほど染色体正常の割合は高い傾向にありますが、「良好=正常」ではありません。

研究データでは、AA胚でも一定割合は染色体異常を含みます。一方、BBやBC、CCといった胚でも、正常胚は確実に存在し、妊娠・出産に至る例が報告されています。

Q. 4AAならダウン症は起こらない?

A. 起こらないとは言い切れません。 ダウン症などの染色体異常は、主に卵子形成の過程で生じるため、胚の見た目だけで回避できるものではありません。

Q. 3BBは「悪い胚」?

A. いいえ。 3BBは中間的評価で、十分に妊娠が期待されます。胚の数、年齢、子宮内膜の状態などを含めた総合判断が重要です。

3. なぜ見た目と染色体にズレが生じるのか

【結論】 卵子の減数分裂エラー(年齢)と胚の自己修復・モザイクが主な要因です。

40代になると何が変わるのか

卵子は新しく作り直されません。40代では減数分裂エラーが増え、4AAであっても染色体異常の確率は若年層より高くなります。 これは「胚が悪い」のではなく、生物学的な事実です。

⚠️ 重要: 年齢の影響はグレードでは打ち消せません。

自己修復とモザイク

胚は発育の過程で異常細胞を排除することがあります。その結果、見た目がやや劣って見えても、遺伝学的に正常な細胞が残ることがあります。

4. 妊娠後にできること(PGT-AとNIPT)

【結論】 妊娠判定はゴールではなくスタートです。妊娠後にはNIPTという選択肢があります。

PGT-Aについて

移植前に染色体を調べる方法ですが、国内では適応や施設が限られます。

NIPTという選択肢

NIPTは妊娠後に採血のみで受けられる染色体異常のスクリーニング検査です。確定検査ではないため、陽性時は羊水検査などで確認します。

5. 臨床遺伝専門医からのメッセージ

4AAで不安になるのは自然なことです。3BBや低グレードでも希望はあります。大切なのは、一人で抱え込まないことです。

ネットの情報に疲れたら、一度専門医と話してみませんか。
妊娠後の検査や選択肢を、一緒に整理します。

NIPTについて詳しく


プロフィール
仲田洋美医師

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。特に遺伝カウンセリング分野では15年以上の経験を持ち、全国初のオンライン遺伝カウンセリングを確立して、地方在住の方々にも質の高い遺伝医療を提供しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

   

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