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ヌーナン症候群とは|原因遺伝子・型の違い・特徴・いつわかるか・大人で気づく軽症例まで遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

ヌーナン症候群(Noonan syndrome)は、細胞の増え方を調節する「RAS-MAPK(ラス・マップケー)経路」という情報の通り道の遺伝子が生まれつき強めに働くことで起こる病気です。特徴的な顔つき、生まれつきの心臓病(とくに肺動脈弁狭窄症と肥大型心筋症)、低身長がおもな特徴で、出生児のおよそ1,000〜2,500人に1人にみられると推定されています[1]。遺伝のしかたは常染色体顕性遺伝(優性遺伝)で、親から受け継ぐ場合と、両親には変化がなく子どもで新しく起こる場合(新生突然変異)があります。原因の多くは1つの遺伝子の変化なので、染色体の本数を調べる通常のNIPTではわかりません。この記事では、原因遺伝子と型の違い、症状、診断、治療、大人になって気づく軽いタイプ、次のお子さんへの遺伝までを臨床遺伝専門医が解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 ヌーナン症候群・RAS病・遺伝子診断
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤原因 → RAS-MAPK経路の遺伝子の変化。PTPN11が約半数、ほかにSOS1・RAF1・RIT1など
  • ➤型の違い → 原因遺伝子ごとに1〜10型などに分かれ、合併しやすい症状が少しずつ違う
  • ➤主な症状 → 顔つき、心臓病、低身長、出血しやすさ、リンパ管のむくみ、停留精巣
  • ➤診断 → 臨床診断基準と、遺伝子パネル検査による確定
  • ➤大人の軽いタイプ → 子どもの診断をきっかけに、親も同じ変化を持つとわかることがある
  • ➤NIPT → 通常のNIPTではわからない。単一遺伝子まで調べるプランなら対象になる

ヌーナン症候群の原因遺伝子・型の違い・主な症状を示すインフォグラフィック

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. ヌーナン症候群とは?

RAS-MAPK経路の遺伝子が生まれつき強めに働くことで、特徴的な顔つき・心臓病・低身長などが起こる病気です。1,000〜2,500人に1人と推定され、常染色体顕性遺伝のしかたをとります。

🔬 Q. 普通のNIPTでわかる?

染色体の本数を調べる通常のNIPTではわかりません。単一遺伝子の病気まで調べるNIPTなら対象になり、陽性なら羊水検査などで確かめます。

🌸 Q. 大人になってからわかることはある?

あります。症状の出方には個人差が大きく、子どもの診断をきっかけに、軽い症状の親も同じ遺伝子の変化を持つとわかることがあります。

1. ヌーナン症候群とは

ヌーナン症候群は、特徴的な顔つき、生まれつきの心臓病、低身長、胸の形の変化、男の子の停留精巣などが組み合わさって現れる、生まれつきの病気です。国の指定難病(告示番号195)に定められており、診断基準と重症度分類が厚生労働省から示されています[2]。18歳未満の重症度は小児慢性特定疾病の基準で判定する、とされています[3]。

病名は、1962年にこの病気を報告した米国の小児心臓医ジャクリーン・ヌーナン医師に由来します[4]。心臓病の子どもたちを診るなかで、心臓以外にも共通する体の特徴を持つグループがあることに気づいたのが始まりでした。当初は「男性のターナー症候群」のように呼ばれたこともありますが、性染色体の異常で女性だけに起こるターナー症候群とは原因がまったく違い、男女どちらにも起こります。

どのくらいの人にみられるか

ヌーナン症候群は、出生児のおよそ1,000〜2,500人に1人と推定されています[1]。生まれつきの遺伝性の病気のなかでは頻度の高いほうですが、この数字は欧米の報告にもとづく推定です。日本では1万人に1人程度と考えられている、という研究班の報告もあります[4]。

数字に幅があるのは、症状の出方に大きな個人差があるためです。心臓病がはっきりしている赤ちゃんは早く診断されますが、顔つきや身長の特徴が目立たない人は、大人になるまで診断がつかないことがあります。診断されていない軽い人がどのくらいいるかによって、頻度の推定が変わります。「日本人は少ない」と単純に読むより、見つかっていない人がいる病気だと理解するほうが実態に近いと考えられます。

RAS病(RASopathies)のなかでの位置づけ

ヌーナン症候群は、同じ経路の遺伝子の変化で起こる病気のグループ「RAS病(ラスびょう/RASopathies)」のなかで、もっとも頻度の高い代表的な病気です[5]。同じグループには、コステロ症候群、CFC症候群(心臓顔面皮膚症候群)、多発性黒子を伴うヌーナン症候群(旧レオパード症候群)などがあり、顔つきや心臓の所見が重なります。

💡 用語解説:RAS病(RASopathies)

細胞の外から届いた「増えなさい」「育ちなさい」という合図を、細胞の中で核まで伝えるリレーの一つがRAS-MAPK経路です。この経路の部品にあたる遺伝子に生まれつきの変化があり、合図が強めに流れ続けることで起こる病気をまとめて、RAS病(RASopathies)と呼びます。経路は体のほぼすべての臓器づくりに関わるため、心臓・骨格・皮膚・血液など、全身にわたる症状が出るのが共通点です。

2. 原因:RAS-MAPK経路と原因遺伝子

ヌーナン症候群の原因は、RAS-MAPK経路の部品をつくる遺伝子の変化です。変化の多くは、遺伝子の働きを失わせるのではなく「強めてしまう」タイプです。このような変化を機能獲得型変異といいます。多くはDNAの1文字が入れ替わり、たんぱく質のアミノ酸が1つ別のものになるミスセンス変異です。1文字の違いでも、たんぱく質の「スイッチの切れやすさ」が変わり、合図が流れ続けるようになります。

合図が核まで伝わる流れと、原因遺伝子の位置

RAS-MAPK経路は、細胞の表面で受け取った成長の合図を、核(遺伝子の司令室)まで一方向に伝えるリレーです。受容体が合図を受け取ると、中継役のたんぱく質を介してRASのスイッチが入り、RAF、MEK、ERKの順にバトンが渡されます。ヌーナン症候群の原因遺伝子は、このリレーのいろいろな段階に散らばっています。

受容体と中継役PTPN11・SOS1・SOS2・SHOC2・CBL・LZTR1
▶
RASKRAS・NRAS・RIT1
▶
RAFRAF1・BRAF
▶
MEKMAP2K1・MAP2K2
▶
ERK→核増殖・分化を調節

どの段階の遺伝子に変化が起きても、最終的には「経路が強めに働く」という同じ結果になります。違う遺伝子が原因でも似た顔つきや心臓病が出るのはこのためです。一方で、段階ごとに細胞への影響の強さが少しずつ違うため、合併しやすい症状に傾向が生まれます(次の章で型ごとに説明します)。

原因遺伝子の割合

いちばん多い原因はPTPN11遺伝子で、ヌーナン症候群と診断された人の約50%を占めます。次いでSOS1が10〜15%、RAF1が約5%で、RIT1・KRAS・BRAF・MAP2K1・NRAS・LZTR1などを合わせて約12%です。これだけ広く調べても、約20%の人では原因遺伝子が見つかりません[1]。

🧬 ヌーナン症候群の原因遺伝子のおおよその割合

遺伝子 割合(推定) 経路での役割
PTPN11 約50% 中継役のSHP-2(プロテインチロシンホスファターゼ)をつくる
SOS1 10〜15% RASのスイッチを入れる
RAF1 約5% RASの次にバトンを受け取るキナーゼ
RIT1・KRAS・BRAF・MAP2K1・NRAS・LZTR1ほか 合計 約12% RAS・RAF・MEKなど経路の各段階
見つからない 約20% 未知の原因遺伝子があると考えられている

※割合は臨床的にヌーナン症候群と診断された人での推定[1]。日本の公的資料では原因不明を約40%とする古い記載もあり、調べた遺伝子の数と年代で値が変わります[4]。

「約20%は原因が見つからない」という点は、ご家族が誤解しやすいところです。遺伝子検査で変化が見つからなくても、顔つき・心臓・身長などの組み合わせから臨床的にヌーナン症候群と診断され、必要な管理が行われます。検査が陰性であることは、ヌーナン症候群ではないことを意味しません。原因不明の割合は、2010年代に新しい原因遺伝子(SOS2・LZTR1・RRAS2など)が次々に見つかったことで小さくなってきました[4]。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「原因遺伝子がわからない」の受け止め方】

遺伝子検査の結果が陰性だったとき、「では何の病気なのか」と不安になるのは自然なことです。ただ、ヌーナン症候群は、遺伝子が特定されていない時代から、顔つき・心臓・身長の組み合わせで診断されてきた病気です。臨床遺伝専門医としては、陰性の結果を「否定」ではなく「今の技術で原因が特定できなかった」と読み替えることが大切だと考えています。

一方で、原因遺伝子が分かると、合併しやすい症状の傾向や、次のお子さんへの遺伝の見通しを具体的にお伝えできるようになります。検査の価値は、病名をつけること以上に、その後の見通しを立てる材料になる点にあると考えています。

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3. ヌーナン症候群の型の違い:原因遺伝子ごとの一覧

ヌーナン症候群は、原因遺伝子ごとに「1型」「2型」…と番号をつけて分類されています。番号は原因遺伝子が見つかった順につけられたもので、重症度の順ではありません。型によって合併しやすい症状に傾向があり、たとえばPTPN11(1型)では肺動脈弁狭窄症や出血傾向、RAF1(5型)やRIT1(8型)では肥大型心筋症が多いことが知られています[1]。

📋 ヌーナン症候群と近縁の型の一覧

型 原因遺伝子 遺伝のしかた 特徴
1型 PTPN11 顕性 もっとも多い。肺動脈弁狭窄症・出血傾向が多い
2型 LZTR1 潜性 両親から1つずつ受け継いで発症する型
3型 KRAS 顕性 発達の遅れが目立つことがある
4型 SOS1 顕性 皮膚・毛髪の所見が目立ち、知的発達は保たれやすい
5型 RAF1 顕性 肥大型心筋症が多い
6型 NRAS 顕性 まれな型
7型 BRAF 顕性 CFC症候群と症状が重なる
8型 RIT1 顕性 肥大型心筋症が多い
9型 SOS2 顕性 SOS1と同じ仲間の遺伝子による型
10型 LZTR1 顕性 2型と同じ遺伝子で、片方の変化で発症する型
NSLH1 SHOC2 顕性 抜けやすく伸びにくい髪(成長期毛の異常)を伴う
CBL型 CBL 顕性 若年性骨髄単球性白血病(JMML)に注意が必要
NSML1・2・3 PTPN11・RAF1・BRAF 顕性 多発性黒子・難聴を伴う(旧レオパード症候群)
NFNS NF1 顕性 神経線維腫症1型の所見(カフェオレ斑など)を伴う

※型名をクリックすると、それぞれの詳しい解説ページに移ります。傾向は集団でのもので、同じ型でも症状の出方には個人差があります。

型を知ることのいちばんの意味は、合併症への備え方が変わる点にあります。肥大型心筋症が多い型なら心臓の評価をより丁寧に、JMMLのリスクがある型なら乳児期の血液の変化に気をつける、といったように、原因遺伝子がフォローの計画を具体的にします。ただし、同じ遺伝子の同じ変化を持つ親子でも、症状の重さがまったく違うことは珍しくありません。型はあくまで傾向で、その人の将来を決めるものではありません。

4. 主な症状と特徴

ヌーナン症候群の症状は全身に及び、年齢とともに変わっていくのが特徴です。顔つきは診断の大事な手がかりで、両目の間が広い、目じりが下がる、まぶたが下がる、耳の位置が低く後ろに傾く、首が短く皮膚がたるむ(翼状頸〈よくじょうけい〉)などがみられます[6]。こうした特徴は幼児期から学童期にもっともはっきりし、大人になると目立たなくなっていきます。顔つきの年齢による変化は、ヌーナン症候群の顔つき・寿命の解説で詳しく扱っています。

心臓:予後を左右するいちばんの要因

心臓の病気は、ヌーナン症候群の経過と生活の質をもっとも大きく左右する合併症で、患者さんの約80%に何らかの心臓・血管の異常がみられます[1]。もっとも多いのは肺動脈弁狭窄症で、弁そのものが厚く変形している(異形成)ことが多いのが特徴です。次に重要なのが肥大型心筋症で、ヌーナン症候群に伴う場合は乳児期の早い時期に見つかることが多く、診断時の年齢の中央値は生後5か月と報告されています[6]。

❤️ ヌーナン症候群でみられる主な心臓の病気

病気 報告されている頻度 英国の長期追跡(112人)
肺動脈弁狭窄症 25〜71% 65%
肥大型心筋症 10〜29% 19%
心房中隔欠損症 4〜57% -
心室中隔欠損症 1〜14% -

※頻度の幅は報告ごとの対象の違いによる[1]。右の列は英国で平均12年追跡した112人の結果[7]。

寿命が気になる方は多いと思いますが、見通しを左右するのはおもに心臓、とくに乳児期に重くなる肥大型心筋症です。英国で112人を平均12年追跡した研究では、期間中に10人が亡くなり、うち3人は肥大型心筋症による心不全でした。一方で、突然死や不整脈を疑う症状のあった人はいませんでした[7]。心臓病が軽いか、適切に治療されている人では、大人になって社会生活を送っている人も多くいます。寿命の考え方は顔つき・寿命の解説でも扱っています。

低身長・骨格・発達

低身長はヌーナン症候群の主な特徴の一つで、思春期までに50〜70%が同じ年齢・性別の3パーセンタイル未満になります[1]。生まれたときの身長・体重はふつうですが、乳幼児期から伸びが鈍くなります。背景には、経路が強く働きすぎることで成長ホルモンの合図が体の組織に伝わりにくくなっていることが関わると考えられています。英国の追跡研究での成人の平均身長は、男性167.4cm、女性152.7cmでした[7]。思春期は遅れがちで、身長が伸びきるのが20代までずれ込むこともあります。

胸の上のほうが出っぱる鳩胸(はとむね)と、下のほうがへこむ漏斗胸(ろうときょう)の組み合わせもよくみられます。発達については、赤ちゃんの時期は体がやわらかく(筋緊張が低い)、座る・歩くといった運動の発達がゆっくりになりがちです[6]。知的発達はふつうの範囲の人が多い一方、学習面で支援が必要な人もいます。英国の追跡研究では44%が特別な教育的支援の認定を受けていましたが、学業成績はおおむね一般の人と同じ程度でした[7]。乳児期に哺乳の問題が大きかった人ほど、言葉の発達がゆっくりな傾向も報告されています[7]。

出血しやすさ

あざができやすい、鼻血や出血が止まりにくいといった出血傾向は、50〜89%と高い頻度でみられます[1]。原因は一つではなく、血を固める凝固因子(とくに第XI因子)の不足、血小板の働きの低下、血小板の数の減少などが関わります。手術や抜歯の前には凝固の検査を行い、出血しやすさの程度に応じて、痛み止めなどの薬の選び方を主治医が判断します[8]。

リンパ管:むくみと乳び胸

RAS-MAPK経路はリンパ管づくりにも関わるため、リンパ管の発達の異常から、手足や体のむくみ(リンパ浮腫)が起こることがあります[1]。妊娠中に首の後ろのむくみや胎児水腫として見つかることもあります。重い場合は、脂肪を含むリンパ液が胸にたまる乳び胸(にゅうびきょう)が起こり、新生児期の呼吸を妨げることがあります。リンパ管の病気の全体像はリンパ管異常の解説をご覧ください。

腫瘍のリスク:JMMLに似た病気

RAS-MAPK経路はがんにも関わる経路のため、ヌーナン症候群では一部の腫瘍がやや起こりやすくなります。ただし、多くの人が生涯に腫瘍を発症するわけではありません。乳児期にとくに知られているのが、小児の白血病の一つ若年性骨髄単球性白血病(JMML)によく似た「ヌーナン症候群関連骨髄増殖性疾患(NS-MPD)」です。PTPN11などの変化を持つ赤ちゃんで、肝臓や脾臓の腫れ、白血球や単球の増加などとして現れます。

大切なのは、NS-MPDの多くは自然に落ち着く経過をたどる点です。急速に進んで造血幹細胞移植が必要になることが多い本来のJMMLとは区別し、強い治療を急がずに注意深く経過をみることが勧められています[9]。このほか、神経芽腫や横紋筋肉腫などの報告もあり、原因遺伝子に応じたフォローが検討されます。

💡 用語解説:NS-MPD(ヌーナン症候群関連骨髄増殖性疾患)

ヌーナン症候群の赤ちゃんに、白血病によく似た血液の変化が出る状態です。見た目の検査値は若年性骨髄単球性白血病(JMML)と似ていますが、数か月から数年で自然に落ち着くことが多いのが違いです。そのため、すぐに抗がん剤や移植を行うのではなく、血液の専門医が経過を見ながら本来のJMMLかどうかを見極めます。

目・耳・停留精巣

男の子では、精巣が陰嚢まで降りてこない停留精巣(ていりゅうせいそう)が60〜80%と高い頻度でみられます[6]。将来の妊よう性(子どもをつくる力)と精巣の腫瘍のリスクを考え、乳児期に精巣を固定する手術が検討されます。女性では妊よう性は保たれることが多いとされています。目では斜視や屈折異常、耳では難聴がみられることがあり、定期的な眼科・聴覚の検査が勧められています[8]。

5. ヌーナン症候群はいつわかる?妊娠中・生まれてからの診断

ヌーナン症候群がいつわかるかは人によって大きく違います。妊娠中の超音波検査で疑われる人、生まれてすぐ心臓病で気づかれる人、子どものころの低身長で気づかれる人、大人になってから自分の子どもの診断で気づく人まで幅があります。確定には、臨床的な診断基準による評価と、遺伝子検査を組み合わせます。時期ごとの目安はヌーナン症候群はいつわかる?でも詳しく解説しています。

妊娠中に気づかれるきっかけ

妊娠中に超音波検査で確定診断がつくことはまれですが、いくつかの所見が疑うきっかけになります。代表的なのは、妊娠初期の首の後ろのむくみ(NT肥厚)や嚢胞性ヒグローマ(のうほうせいヒグローマ/首の後ろのリンパの袋)、羊水過多、胸水や胎児水腫、心臓の異常などです[6]。これらは染色体の病気でもみられる所見なので、まず染色体の検査が行われ、染色体に異常がない場合に、ヌーナン症候群などの単一遺伝子の病気が次の候補になります。

確定するには、絨毛検査・羊水検査で赤ちゃんの細胞を得て、RAS-MAPK経路の遺伝子を調べます。胎児水腫がある場合は、ヌーナン症候群を含めて原因を広く調べる非免疫性胎児水腫の遺伝子パネル検査が選ばれることもあります。

生まれてからの診断

生まれてからは、顔つき・心臓・身長・胸の形・家族歴などを点数のように組み合わせる臨床診断基準で評価し、遺伝子検査で原因を確かめます。国際的にはvan der Burgt(ファン・デル・ブルフト)らの基準が広く使われ、日本の指定難病・日本小児内分泌学会の診断基準も同じ考え方でつくられています[2][10]。典型的な顔つきに、心臓病(肺動脈弁狭窄症・肥大型心筋症)、3パーセンタイル以下の身長、鳩胸・漏斗胸、第一度近親者のヌーナン症候群などの項目がいくつ当てはまるかで判定します。

見た目だけでは他のRAS病と区別しにくいため、現在はヌーナン症候群が疑われる人に、関連する遺伝子をまとめて調べる遺伝子パネル検査を行うことが勧められています[11]。当院ではNoonan・RASopathies遺伝子パネル検査でRAS-MAPK経路の主な遺伝子を調べることができます。パネルで見つからない場合は、全エクソーム検査のように、より広く調べる方法へ進むことがあります。

💡 用語解説:臨床診断基準(van der Burgt基準)

遺伝子検査がなくても診断できるように、症状を「大基準」と「小基準」に分けて組み合わせる方法です。顔つきを軸にして、心臓・身長・胸の形・家族歴・その他(発達の遅れ・停留精巣・リンパ管の異常)を評価します。たとえば「典型的な顔つき+大基準1つ以上」で臨床的に確実と判断します。遺伝子で原因が見つからない約2割の人にとって、今も大切な診断の方法です。

似ている病気との区別

ヌーナン症候群と見分ける必要がある病気には、ターナー症候群と、ほかのRAS病があります。ターナー症候群も低身長や首のたるみ、心臓の病気を伴いますが、X染色体が1本足りないことで女性にだけ起こり、染色体検査でわかります。ヌーナン症候群は男女どちらにも起こり、染色体は正常です。CFC症候群は知的発達の遅れや髪・皮膚の所見がより強く、コステロ症候群は悪性腫瘍のリスクが高いのが特徴です。多発性黒子を伴うヌーナン症候群では、年齢とともに増える黒子や難聴がみられます。最終的には遺伝子検査で区別します。

6. 治療と管理

ヌーナン症候群を根本から治す治療は、現在はまだありません。治療の中心は、合併症をそれぞれの専門科で管理し、成長と発達を支えることです。心臓・成長・血液・目や耳・発達など見るべきところが多く、成長とともに課題も変わるため、小児科・循環器・内分泌・臨床遺伝など複数の診療科が連携して、大人の医療まで切れ目なく続けることが勧められています。2025年にイタリアの多職種の専門家パネルが発表した合意声明でも、子どもから大人の医療への計画的な移行の大切さが示されています[12]。

成長ホルモン療法

低身長に対しては、成長ホルモン療法が使われています。米国では2007年にヌーナン症候群の子どもの低身長に承認され[1]、日本でも2017年11月に、ソマトロピン製剤(ノルディトロピン)の効能に「骨端線閉鎖を伴わないヌーナン症候群における低身長」が追加されました[13]。ヌーナン症候群は腫瘍がやや起こりやすい体質のため、細胞の増殖を促す成長ホルモンの安全性が議論されてきましたが、これまでの研究で腫瘍を明らかに増やすという決定的な証拠は示されていません[1]。治療中は心臓の状態や腫瘍の有無を定期的に確認することが前提になります。成長ホルモンの働きについては成長ホルモンの解説をご覧ください。

心臓の管理

診断したときと、その後も定期的に、心臓の超音波検査と心電図で評価します。最初の検査で心臓病がなくても、あとから肥大型心筋症が出てくることがあるためです[8]。重い肺動脈弁狭窄症にはカテーテルによる治療や手術、肥大型心筋症には心臓の負担を減らす薬が使われ、重い場合は手術が検討されます。

MEK阻害薬(トラメチニブ)の報告

経路の途中にあるMEKという酵素の働きを抑えるトラメチニブを、重い赤ちゃんに使った報告があります。ただし、これは症例報告の段階で、標準治療ではありません。トラメチニブはもともとがんの治療薬で、ヌーナン症候群への使用は適応外です。2019年に、重い肥大型心筋症の乳児2人で心臓の肥大が改善したという報告が出ました[14]。

2025年に発表された文献のまとめでは、ヌーナン症候群でトラメチニブを使った17人が集められています。乳び胸などのリンパ管の病気が中心だった8人のうち6人で症状が消え、心臓とリンパ管の両方に重い病気があった6人のうち4人で改善がみられました。一方で、17人中3人が亡くなっており、下痢や湿疹などの副作用も7人にありました。著者らはこの根拠の強さを「低い」と評価し、安全性と効果を確かめる臨床試験が必要だとしています[15]。現在、RAS病の肥大型心筋症を対象にMEK阻害薬の臨床試験が登録されています[16]。

医療費の助成と、大人の医療への移行

ヌーナン症候群は指定難病(195)で、重症度の基準を満たす場合は医療費の助成の対象になります[2]。18歳未満では小児慢性特定疾病の基準で重症度を判定します[3]。大人になると小児科から離れる時期が来ますが、肥大型心筋症、出血しやすさ、リンパ浮腫、難聴などは大人になっても管理が必要です。どの診療科で何を続けるかを、移行の前に整理しておくことが大切です[12]。

7. 大人になってわかる軽いタイプ

ヌーナン症候群は、同じ遺伝子の変化を持っていても症状の重さに大きな差がある病気です。そのため、子どもの診断をきっかけに、親も同じ変化を持っているとわかることがあります。心臓病が軽く、身長がやや低め、顔つきの特徴も大人になって目立たなくなっている親は、それまで自分がヌーナン症候群だと気づかずに過ごしていることがあります。

これは常染色体顕性遺伝の病気でよく起こることです。同じ変化を持つ人のあいだで症状の出方が違うことを「表現度の差」といいます。お子さんに変化が見つかったとき、両親の遺伝子を調べると、どちらかから受け継いだ変化なのか、お子さんで新しく起こった変化なのかがわかります。ここで親に同じ変化が見つかると、家族の誰に検査を勧めるか、次のお子さんへの遺伝の確率はどうかといった話が、まったく変わってきます。

大人のヌーナン症候群で気をつけること

大人のヌーナン症候群で続けて気をつけたいのは、心臓(とくに肥大型心筋症と弁の病気)、出血しやすさ、リンパ浮腫、聴力です。英国で平均12年追跡した研究の対象者は平均25歳で、最年長は71歳でした。多くの人が大人として生活していた一方、肥大型心筋症で亡くなった人もいました[7]。手術や出産の前には、出血しやすさの評価が必要になることがあります。女性は妊娠できることが多いので、ご自身の妊娠のときに、子どもへの遺伝について考える場面が出てきます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【親が「自分もそうだった」と知るとき】

お子さんの診断をきっかけに、親御さんが自分も同じ遺伝子の変化を持っていると知ることがあります。そのとき、「自分のせいで」と受け止めてしまう方もいます。しかし、遺伝子の変化は誰かが選んだものではありません。私自身も遺伝性の病気の当事者として、生まれつきの体質を「責任」ではなく「情報」として扱うことが大切だと考えています。

親に同じ変化があるとわかることには、具体的な意味もあります。親自身の心臓や出血傾向を確認するきっかけになり、次のお子さんの遺伝の確率もはっきりします。わかった情報を、家族それぞれの健康管理と、これからの選択に役立てることができます。

8. 遺伝と次のお子さん

ヌーナン症候群の多くは常染色体顕性遺伝で、変化を持つ人から子どもに受け継がれる確率は、妊娠のたびに50%です。受け継いだ子どもでも症状の重さは親と同じとは限らず、親より重いことも軽いこともあります。2型(LZTR1)だけは常染色体潜性遺伝で、両親がそれぞれ1つずつ変化を持っている場合に、子どもが発症する確率が25%になります[6]。遺伝のしかたの基本は遺伝形式とはで解説しています。

両親に変化がない場合と、父親の年齢

両親のどちらも変化を持っておらず、お子さんで新しく起こった(新生突然変異)場合、次のお子さんが同じ病気になる確率は大きく下がります。ただし、親の精子や卵子の一部だけに変化がある「生殖細胞モザイク」の可能性があるため、一般の頻度よりわずかに高いと考えられています[6]。

新しく起こる変化には、父親の年齢が関わります。PTPN11の新生突然変異を調べた研究では、親の由来がわかった14家族のすべてで、変化は父親由来でした[17]。アイスランドの親子78組の全ゲノムを調べた研究では、子どもに新しく起こる変異の数は、父親の年齢が1歳上がるごとに約2個ずつ増えていました[18]。精子のもとになる細胞は一生分裂を続けるため、年齢とともにコピーの誤りが積み重なると考えられています。父親の年齢と赤ちゃんの病気についても解説しています。

💡 用語解説:新生突然変異と生殖細胞モザイク

新生突然変異(de novo変異)は、両親の血液を調べても見つからず、子どもで初めて現れる遺伝子の変化です。多くは精子や卵子ができる過程で偶然に起こります。生殖細胞モザイクは、親の体の大部分の細胞には変化がないのに、精子や卵子をつくる細胞の一部だけに変化がある状態です。親の血液検査では見つからないため、次の子どもに同じ変化が伝わる可能性をゼロとは言えない理由になります。

次のお子さんへの見通しは、原因遺伝子がわかっているか、両親が変化を持っているかで大きく変わります。具体的な確率の考え方や、次の妊娠での検査の選択肢はヌーナン症候群は遺伝する?次の子の再発リスクにまとめています。

誤解「家族に誰もいないから遺伝の病気ではない」

ヌーナン症候群の多くは、両親に変化がなくお子さんで新しく起こります。家族歴がなくても発症します。また、軽い症状の親が診断されていないだけのこともあります。

誤解「親と同じ変化なら、症状も親と同じ」

同じ変化を受け継いでも、症状の重さは人によって大きく違います。親が軽くても子どもが重いことも、その逆もあります。

9. ヌーナン症候群はNIPTでわかる?

ダウン症候群などの染色体の本数を調べる通常のNIPTでは、ヌーナン症候群はわかりません。ヌーナン症候群は染色体の本数ではなく、1つの遺伝子の中の小さな変化で起こるからです。調べる仕組みそのものが違うため、通常のNIPTで「陰性」だったとしても、ヌーナン症候群の可能性については何もわかっていません。

当院のNIPTのうち、ダイヤモンドプラン(単一遺伝子56遺伝子)とインペリアルプラン(単一遺伝子 最大155遺伝子202疾患)は、ヌーナン症候群を対象疾患に含めています。お子さんで新しく起こる変化を中心に調べる検査で、妊娠9週から受けられます。検査の対象となる遺伝子の詳細は、検査前の遺伝カウンセリングでご説明します。単一遺伝子の病気とNIPTの関係はNIPTと単一遺伝子疾患で解説しています。

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の場合は、絨毛検査や羊水検査で赤ちゃんの遺伝子を直接調べて確かめる必要があります。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性の結果を受けたあと、何がわかり、どのような選択肢があるかを、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明します。

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よくある質問(FAQ)

Q1. ヌーナン症候群は完治しますか?

遺伝子の変化そのものを治す治療は、現在はまだありません。心臓病・低身長・出血しやすさなどの合併症を、それぞれの専門科で治療・管理することで、生活の質を保つことが治療の中心です。MEK阻害薬の報告はありますが、症例報告の段階で標準治療ではありません。

Q2. ヌーナン症候群は何人に1人ですか?

出生児のおよそ1,000〜2,500人に1人と推定されています。日本では1万人に1人程度とする研究班の報告もあります。症状が軽く診断されていない人もいるため、正確な頻度はわかっていません。

Q3. ヌーナン症候群は低身長になりますか?

低身長は主な特徴の一つで、思春期までに50〜70%が同じ年齢・性別の3パーセンタイル未満になります。日本では2017年から、ヌーナン症候群の低身長に成長ホルモン療法が使えるようになっています。

Q4. ヌーナン症候群には知的障害がありますか?

知的発達はふつうの範囲の人が多く、全員に知的障害があるわけではありません。一方で、運動や言葉の発達がゆっくりな人や、学習面で支援が必要な人もいます。程度には個人差が大きく、原因遺伝子によっても傾向が違います。

Q5. ヌーナン症候群の寿命は?

見通しを左右するのはおもに心臓、とくに乳児期に重くなる肥大型心筋症です。心臓病が軽いか、適切に治療されている人では、大人になって社会生活を送っている人も多くいます。寿命について詳しくは、ヌーナン症候群の顔つき・寿命の解説ページもご覧ください。

Q6. ターナー症候群とはどう違いますか?

ターナー症候群はX染色体が1本足りないことで女性だけに起こり、染色体検査でわかります。ヌーナン症候群は1つの遺伝子の変化で起こり、男女どちらにも起こって、染色体は正常です。低身長や首のたるみ、心臓病など似た症状がありますが、原因はまったく違います。

Q7. 普通のNIPTでヌーナン症候群はわかりますか?

染色体の本数を調べる通常のNIPTではわかりません。単一遺伝子の病気まで調べるNIPT(当院ではダイヤモンドプラン・インペリアルプラン)なら対象疾患に含まれます。陽性の場合は、絨毛検査や羊水検査で確かめる必要があります。

Q8. 大人になってからヌーナン症候群とわかることはありますか?

あります。症状の重さに個人差が大きいため、子どもの診断をきっかけに、軽い症状の親も同じ遺伝子の変化を持っているとわかることがあります。大人になっても、心臓・出血しやすさ・リンパ浮腫・聴力などの管理を続けることが大切です。

🏥 ヌーナン症候群・RAS病の遺伝子検査について

ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医が常駐し、Noonan・RASopathies遺伝子パネル検査による出生後の遺伝子診断と、単一遺伝子まで調べるNIPT、絨毛検査・羊水検査による確定検査までを院内で行っています。検査を受けるかまだ決めていない方は、検査で何がわかり、結果をどう受け止めればよいかを、遺伝カウンセリングとはとNoonan・RASopathies遺伝子パネル検査で先にご覧ください。

参考文献

  • [1] Noonan Syndrome. StatPearls. NCBI Bookshelf. [NBK532269]
  • [2] 厚生労働省. 195 ヌーナン症候群(概要・診断基準等). [厚生労働省PDF]
  • [3] 厚生労働省. 195 ヌーナン症候群(概要・診断基準・重症度分類). [厚生労働省]
  • [4] 厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)分担研究報告書「ヌーナン症候群関連疾患の研究」. [厚生労働科学研究成果データベース]
  • [5] RASopathies: Evolving Concepts in Pathogenetics, Clinical Features, and Management. [PMC11152490]
  • [6] Noonan Syndrome. GeneReviews®. NCBI Bookshelf. [NBK1124]
  • [7] The natural history of Noonan syndrome: a long-term follow-up study. Arch Dis Child. 2007;92(2):128-132. [doi:10.1136/adc.2006.104547]
  • [8] Noonan syndrome: clinical features, diagnosis, and management guidelines. Pediatrics. 2010;126:746-759. [doi:10.1542/peds.2009-3207]
  • [9] Observation and Management of Juvenile Myelomonocytic Leukemia and Noonan Syndrome-Associated Myeloproliferative Disorder: A Real-World Experience. [PMC11311611]
  • [10] 日本小児内分泌学会. ヌーナン症候群の診断基準. [日本小児内分泌学会PDF]
  • [11] Noonan syndrome: improving recognition and diagnosis. Arch Dis Child. 2022;107(12). [Arch Dis Child]
  • [12] Multidisciplinary Treatment of Patients With Noonan Syndrome: A Consensus Statement. JAMA Netw Open. 2025;8(10):e2537603. [doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.37603]
  • [13] 医薬品医療機器総合機構(PMDA). ノルディトロピン フレックスプロ注(ヌーナン)再審査報告書. [PMDA]
  • [14] Hypertrophic Cardiomyopathy in Noonan Syndrome Treated by MEK-Inhibition. J Am Coll Cardiol. 2019;73:2237-2239. [doi:10.1016/j.jacc.2019.01.066]
  • [15] Trametinib as a targeted treatment in cardiac and lymphatic presentations of Noonan syndrome. Front Pediatr. 2025;13:1475143. [doi:10.3389/fped.2025.1475143]
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  • [17] Paternal germline origin and sex-ratio distortion in transmission of PTPN11 mutations in Noonan syndrome. Am J Hum Genet. 2004;75:492-497. [doi:10.1086/423493]
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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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