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ヌーナン症候群10型(NS10)とは?原因となるLZTR1遺伝子から症状・治療までやさしく解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

ヌーナン症候群10型(NS10)は、LZTR1遺伝子の変化(変異)によって起こる、ヌーナン症候群の一型です。低身長・特徴的な顔つき・生まれつきの心臓の病気を主な特徴としますが、症状の重さには大きな個人差があります。同じLZTR1でも変化のしかたによって3つのまったく異なる病気を起こすことが、このタイプの大きな特徴です。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 LZTR1遺伝子・ヌーナン症候群・臨床遺伝
臨床遺伝専門医監修

Q. ヌーナン症候群10型とはどんな病気ですか?まず結論だけ知りたいです

A. 22番染色体にあるLZTR1遺伝子の変化によって起こる、ヌーナン症候群のサブタイプ(OMIM #616564)です。低身長・特徴的な顔つき・心臓の病気を主な特徴とし、肥大型心筋症が早く重く出やすい傾向があるため、循環器の管理がとても大切です。

  • 疾患の定義 → OMIM #616564、原因遺伝子LZTR1(22q11.21)、常染色体優性(顕性)
  • 分子メカニズム → LZTR1は「RASのブレーキ役」。Kelchドメインの変異で優性阻害が起こる
  • 主な症状 → 心臓の病変(50〜90%)・低身長・出血しやすさ・特徴的な顔つき
  • 1遺伝子3疾患 → NS10(優性)・NS2(劣性)・神経鞘腫症の違いを詳解
  • 診断・管理 → マルチジーンパネル・出生前NIPT・生涯にわたる多職種連携

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1. ヌーナン症候群10型(NS10)とは

ヌーナン症候群は、低身長特徴的な顔つき生まれつきの心臓の病気を3本柱とする、体の複数の部位に特徴が現れる症候群です。その中で、22番染色体(22q11.21)にあるLZTR1遺伝子の変化が原因となるタイプが「ヌーナン症候群10型(NS10)」で、OMIMには#616564として登録されています。遺伝のしかたは常染色体優性(顕性)です。

ヌーナン症候群はかつて約半数がPTPN11という遺伝子の変化で説明されてきましたが、解析技術の進歩により、同じ細胞内シグナル(RAS/MAPK経路)に関わる多くの遺伝子が原因になることがわかってきました。これらをまとめてRASopathy(ラソパチー)と呼びます。

💡 用語解説:RASopathy(ラソパチー)とは

細胞に「増えなさい・育ちなさい」と指示を出すRAS/MAPK経路という共通の伝達ルートがあります。この経路の部品となる遺伝子に変化が起き、信号が出すぎてしまう病気の総称がRASopathyです。ヌーナン症候群はその代表で、CFC症候群・コステロ症候群・レオパード症候群なども仲間にあたります。顔つきや心臓の特徴を共有しますが、原因遺伝子によって合併症の出やすさが異なります。

2. 原因遺伝子LZTR1と分子メカニズム

私たちの体では、細胞を増やす信号(RAS)が必要な分だけ働き、不要になったら速やかに片づけられます。LZTR1は、この“片づけ役”の中心です。LZTR1はCUL3というタンパク質と組み、使い終わったRASに「処分の目印(ユビキチン)」を付けて分解装置へ送ります。こうしてRASの量を適切に保ち、増殖の信号が出すぎないようにブレーキをかけています。

💡 用語解説:ユビキチン-プロテアソーム

不要になったタンパク質に「処分の目印(ユビキチン)」を付け、分解装置(プロテアソーム)で片づける、細胞のゴミ処理システムです。LZTR1はRASにこの目印を付ける担当で、はたらきが正常なら余分なRASがきちんと処分されます。

NS10では、LZTR1のKelch(ケルチ)ドメインという“RASをつかむ手”の部分にミスセンス変異が起こります。すると、LZTR1はCUL3とは組めてもRASをつかめなくなり、しかも正常なLZTR1の働きまで邪魔してしまいます。その結果、RASが片づけられずに細胞内にたまり、下流のMAPK経路が過剰にスイッチオンの状態になります。これが、心臓・骨格・成長などに多彩な特徴が現れる根本の原因です。

💡 用語解説:ミスセンス変異と新生(de novo)変異

ミスセンス変異とは、遺伝子の“設計図の1文字”が別の文字に置きかわり、タンパク質の部品が1つ違うものに変わる変化です。新生(de novo)変異とは、両親にはなく、その子で初めて生じた変化を指します。NS10では新生変異も多く報告されています。

💡 用語解説:優性阻害(ドミナントネガティブ)効果

変異によって生じた異常タンパク質が、正常タンパク質の働きを「邪魔する」現象です。NS10では、こわれたLZTR1が正常なLZTR1とCUL3を取り合い、結果として全体の片づけ機能が落ちてしまいます。「量が半分に減る」だけのハプロ不全とは異なるしくみです。

図:正常なときと、NS10のときのちがい

✅ 正常なとき

LZTR1+CUL3が余分なRASをつかむ → ユビキチンで目印 → プロテアソームで分解 → MAPK経路はちょうどよい状態に保たれます。

⚠️ NS10(LZTR1変異)

変異したLZTR1はRASをつかめない → RASが分解されずにたまる → MAPK経路が出すぎ(過剰活性化)になり、全身に特徴が現れます。

1つの遺伝子が「3つの違う病気」を起こす

LZTR1のとても特徴的な点は、変化のしかたや遺伝のパターンによって、まったく異なる3つの病気を起こすことです。検査で「LZTR1に変化」と出ても、それが何を意味するかは専門医による解釈が欠かせません。

病気 遺伝のしかた 変化の性質 起こること
NS10(本記事) 常染色体優性 優性阻害(Kelchドメインのミスセンス) ヌーナン症候群の特徴
NS2 常染色体劣性 機能喪失(両親から1つずつ) 重い心疾患を伴うことも
神経鞘腫症 常染色体優性 機能喪失 成人期に良性腫瘍が多発

同じLZTR1でも、両親から1つずつ受け継いだ場合はヌーナン症候群2型(NS2)になります。遺伝の伝わり方の基本は遺伝形式の解説もご覧ください。

3. 主な症状と特徴

症状の現れ方は人によって大きく異なります。同じ家族の中でも程度に幅があり、軽い方は成人まで気づかれないこともあります。

❤️ 心臓(最重要)

  • 心臓の病変:50〜90%
  • 肺動脈弁狭窄:20〜50%
  • 肥大型心筋症:LZTR1で高頻度・重症

📏 成長・内分泌

  • 低身長:70%超
  • 成人男性 平均約162.5cm/女性 約152.7cm
  • 男児の停留精巣・思春期遅発

🦴 骨格・顔つき・皮膚

  • 鳩胸+漏斗胸の特有の胸の形
  • 翼状頸・背骨の弯曲
  • 眼隔離・眼瞼下垂・低い位置の耳

🩸 血液・リンパ

  • 出血しやすさ(第XI因子欠乏 約25%)
  • 胎児期:NT肥厚・嚢胞性ヒグローマ
  • 軽度の知的障害:最大4分の1

主な特徴のおよその頻度(ヌーナン症候群全体の目安)

心臓の病変

50〜90%
低身長

70%超
肺動脈弁狭窄

20〜50%
出血しやすさ

約25%
軽度の知的障害

最大1/4

💡 用語解説:肥大型心筋症(HCM)と第XI因子

肥大型心筋症:心臓の筋肉が分厚くなり、血液を送り出す働きが妨げられる病気。NS10では早く・重く出やすいため特に注意が必要です。
第XI因子:血を固める“糊”の役割をする因子のひとつ。不足すると手術や抜歯のときに出血が止まりにくくなることがあります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「軽そうに見える」心臓こそ油断しない】

ヌーナン症候群と聞くと低身長や顔つきに目が向きがちですが、私が外来でいちばん気をつけてお伝えするのは心臓のことです。とくにLZTR1が原因のNS10では、肥大型心筋症が乳幼児期に急に進むことがあります。

症状がないときこそ、心エコーでの定期的な見守りが将来を守ります。「元気そうだから大丈夫」ではなく、「元気なうちから備える」。これが多発奇形症候群のお子さんを長く診てきて、私がいちばん大切だと感じていることです。

4. 鑑別・関連疾患(サブタイプの多様性)

ヌーナン症候群は、RAS/MAPK経路に関わる多くの遺伝子のいずれかの変化で起こります。症状は似ていても、合併症の出やすさが原因遺伝子で少しずつ異なります。主なサブタイプは次のとおりです(本記事のNS10を強調しています)。

OMIM 原因遺伝子 遺伝形式
NS1 163950 PTPN11 優性(最多・約50%)
NS2 605275 LZTR1 劣性
NS3 609942 KRAS 優性
NS4 610733 SOS1 優性
NS5 611553 RAF1 優性(心筋症が多い)
NS6 613224 NRAS 優性
NS7 613706 BRAF 優性
NS8 615355 RIT1 優性(心筋症が多い)
NS9 616559 SOS2 優性
NS10 616564 LZTR1 優性(本記事)
NS11 618499 MRAS 優性
NS12 618624 RRAS2 優性
NS13 619087 MAPK1 優性
NS14 619745 SPRED2 劣性

同じLZTR1のNS2との違い

NS10は優性(1本の変化で発症)、NS2は劣性(2本とも変化)。保因者である親は無症状か、ごく軽い特徴にとどまることが多いです。

神経鞘腫症との関係

LZTR1は成人期の神経鞘腫症の原因にもなります。変異の種類が異なり、NS10だから必ず発症するわけではありません。気になる症状があれば評価します。

似たRASopathyとの鑑別

CFC症候群・コステロ症候群・レオパード症候群とは顔つきや心臓の特徴が重なります。遺伝子検査で原因遺伝子を特定して区別します。

5. 診断と遺伝子検査(出生前を含む)

ヌーナン症候群は年齢で見た目が変わり、原因遺伝子も多いため、確定には分子遺伝学的検査(遺伝子の検査)が標準です。LZTR1を含むRASopathy関連遺伝子をまとめて調べるマルチジーンパネルが第一選択で、欠失・重複の確認にMLPA、原因が見つからない場合は網羅的解析(WES/WGS)が用いられます。

💡 用語解説:マルチジーンパネル検査

関連する複数の遺伝子を、次世代シーケンサーで一度にまとめて調べる検査です。症状が重なるCFC症候群やコステロ症候群とのすばやい区別に役立ちます。

出生前(妊娠中)に気づかれるきっかけ

超音波で首のむくみ(NT肥厚)嚢胞性ヒグローマ・羊水過多・心臓の構造異常などがみられた場合、ヌーナン症候群が疑われることがあります。これをきっかけに遺伝子検査が検討されます。

🩺 出生前にNIPTで調べたい方へ

ミネルバクリニックのインペリアルプランは、LZTR1を含む単一遺伝子疾患を出生前にNIPTで調べられるプランです。NIPTで分かる単一遺伝子疾患の考え方はこちら。確定診断としての羊水検査・絨毛検査もご案内できます。

出生前に見つけることが、いつもご家族にとっての利益になるとは限りません。不完全浸透があり症状の幅も広いため、「どこまで調べるか」は医学的にも倫理的にも丁寧な検討が必要です。検査の選択は、不確実さも含めて情報を整理する遺伝カウンセリングのうえで、ご家族がお決めください。

6. 治療と長期管理

NS10は多くの臓器に特徴が現れるため、小児科・循環器科・内分泌科・遺伝科などが連携する包括的なフォローが基本です。年齢に応じた“先回りのケア”が大切です。

循環器の管理

肥大型心筋症と弁狭窄が予後を左右します。無症状でも定期的な心エコーが必要で、重い場合はカテーテルや手術が検討されます。

成長ホルモン療法

低身長に有効なことが多い一方、LZTR1の一部変異では効きにくいこと、腫瘍リスクとのバランスを慎重に評価することが大切です。専門医と相談しながら進めます。

手術・麻酔と腫瘍の見守り

出血しやすさがあるため術前の凝固検査と輸血体制が重要。無症状での一律の腫瘍検査は推奨されませんが、神経症状やしこりが出たら速やかに評価します。

近年は、過剰なRAS/MAPK信号を直接ねらうMEK阻害薬(トラメチニブなど)の心筋症・成長への効果や、ゲノム編集(CRISPR)による根本治療の研究が前臨床で進められており、将来の選択肢として期待されています。

7. 遺伝カウンセリングの意義

確定診断の前後では、結果の意味やご家族への影響を一緒に整理する遺伝カウンセリングが大切です。主に次のような内容を扱います。

  • 遺伝形式と再発リスク:多くは新生変異で親には変化がありませんが、常染色体優性のため、患者本人が子をもつ場合の伝わる確率は理論上50%です。
  • 出生前診断の選択肢:家族内で変異がわかっている場合、羊水検査・絨毛検査による出生前診断が選択肢になります。
  • 陽性となったときの支え:NIPTで陽性となった場合の経済的サポートとして互助会をご用意しています。
  • 専門家による継続支援:正確な解釈には専門資格をもつ医師の関与が重要です(臨床遺伝専門医とは)。

8. よくある誤解

誤解①「LZTR1変異=1つの病気」

同じLZTR1でも、NS10・NS2・神経鞘腫症という異なる病気を起こします。変化の種類と遺伝形式の精密な解釈が必要です。

誤解②「親が健康だから遺伝ではない」

多くは新生(de novo)変異で両親にはありません。また親が軽症・未診断のこともあり、「健康だから関係ない」とは限りません。

誤解③「必ず神経鞘腫症になる」

NS10だからといって必ず腫瘍ができるわけではありません。過度に心配せず、気になる症状が出たときに評価する姿勢が大切です。

誤解④「低身長だけの病気」

低身長は特徴の一つにすぎません。心臓・出血傾向・内分泌など全身の管理が、生活の質と予後を支えます。

9. 臨床遺伝専門医からのメッセージ

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「LZTR1」という名前を見たら、立ち止まる】

LZTR1は、私が遺伝外来でいつも「説明のしがいがある遺伝子」と感じる一つです。たった一つの遺伝子が、伝わり方によって三つの違う顔を見せる——優性のNS10、劣性のNS2、そして成人期の神経鞘腫症。だからこそ、検査で「LZTR1に変化」と出ても、それが何を意味するかは一つひとつ丁寧に読み解く必要があります。

数字や横文字に不安を覚えるのは当然のことです。私たちは、結果そのものより「これからどう見守り、どう備えるか」を、ご家族と一緒に考える時間を何より大切にしています。気になることは、どうか遠慮なくお尋ねください。

よくある質問(FAQ)

Q1. ヌーナン症候群10型はどのくらいまれですか?

ある大規模なエクソーム解析では、対象集団の約0.1%にLZTR1の優性型がみられたと報告されています。まれですが、軽症の方では見過ごされやすいタイプでもあります。

Q2. 親が無症状でも子どもに遺伝しますか?

NS10は不完全浸透や症状の幅があり、親が軽症・未診断のまま、より症状のはっきりしたお子さんで初めて気づかれることがあります。新生(de novo)変異のことも多く、その場合は両親に変化はありません。

Q3. LZTR1に変異があると必ず神経鞘腫症になりますか?

いいえ。神経鞘腫症は変異のタイプが異なり、NS10だからといって必ず発症するわけではありません。皮下や深部に痛みを伴うしこりが出た場合などに評価します。

Q4. 出生前に調べられますか?

超音波所見をきっかけに、NIPT(インペリアルプラン)でLZTR1を含む単一遺伝子疾患を調べたり、羊水検査・絨毛検査で確定診断を行える場合があります。

Q5. 成長ホルモン治療は受けられますか?

多くの方で身長改善が期待できますが、LZTR1の一部変異では効きにくいことや、腫瘍リスクとのバランスを慎重に評価する必要があります。小児内分泌・腫瘍の専門医とともに、個別に判断します。

Q6. 寿命や将来の生活はどうなりますか?

重い心疾患がなければ、適切な医療管理のもとで多くの方が成人し、社会生活を送れます。心臓の継続的な管理が特に大切です。

🏥 希少疾患の診断・遺伝カウンセリングについて

ヌーナン症候群をはじめとする遺伝性疾患に関するご相談は、
臨床遺伝専門医が在籍するミネルバクリニックにお気軽にご相談ください。

参考文献

  • [1] NCBI MedGen. Noonan syndrome (Concept Id: C0028326). [NCBI MedGen]
  • [2] GeneReviews. Noonan Syndrome. NCBI Bookshelf. [GeneReviews]
  • [3] Delineation of dominant and recessive forms of LZTR1-associated Noonan syndrome. PMC. [PMC6563422]
  • [4] LZTR1: A promising adaptor of the CUL3 family. PMC. [PMC8185703]
  • [5] LZTR1 molecular genetic overlap with clinical implications for Noonan syndrome and schwannomatosis. PMC. [PMC9288044]
  • [6] Noonan syndrome 10. NIH Genetic Testing Registry (GTR). [GTR]
  • [7] Phenotypic Expansion of Autosomal Dominant LZTR1-Related Disorders with Special Emphasis on Adult-Onset Features. Genes (MDPI). [MDPI]
  • [8] OMIM #616564. Noonan Syndrome 10 (NS10). Johns Hopkins University. [OMIM]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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