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自閉症は顔つきでわかる?「幼い・若く見える」と言われる理由を医師が解説|ミネルバクリニック

目次

自閉症は顔つきでわかる?「幼い・若く見える」と言われる理由を医師が解説|ミネルバクリニック

自閉症は顔つきでわかる?若く見える・幼い印象との関係を解説

🔎 【結論】自閉症は顔つきだけで診断できるの?

顔つきだけで自閉症(ASD)を診断することはできません。

  • 「幼い」「若く見える」は医学的な診断基準ではありません
  • 研究で顔貌の傾向が報告されることはありますが、臨床診断の決め手にはなりません
  • 診断は行動特性・発達歴をもとに総合的に行われます

「自閉症は顔つきでわかるのでしょうか?」
「実年齢より幼く見える」「若く見えると言われるのはASDの特徴なのでしょうか?」と不安になる方は少なくありません。

結論から言うと、顔つきだけで自閉症(ASD)を診断することはできません。一部の研究で顔面形態の傾向が報告されることはありますが、臨床診断は外見ではなく行動特性や発達歴をもとに総合的に行われます。

この記事では、「若く見える」「幼い印象」と言われる理由を医学的に整理し、顔つきとASDの関係について誤解のない形で解説します。

自閉症スペクトラムの顔つきに特徴はある

顔面上部の幅が広い、顔面中央部が短い、目の幅が広い、口の幅が広い、口蓋垂があるなどは、自閉症児によく見られる顔面の特徴の一部であると研究報告がなされています。(研究1 研究2

自閉症の男児72名と一親等の近親者128名の顔面形態(顔つき)を、血縁関係のない対照者254名の顔面形態と比較した研究2からは、自閉症男児において有意な顔面非対称性が検出され、特に右脳前頭極前方の眼窩上および眼窩周囲領域において深さ方向の非対称性が検出されました。

自閉症男児の前頭極(前頭部で一番出ているところ)で右側のほうが大きいということについては、脳の成長の直接的な影響によっておこるものではないかと考えられています。

診断テスト|子どものASD(自閉症スペクトラム)の特徴と関わる時の5つのコツ

自閉症スペクトラムの子どもに見られる4つの行動

自閉症スペクトラムのお子さんには、複数の特徴が見られます。そのうちの代表的な特徴を4つご紹介しますので、ご覧になって参考にしてみてください。

表情が変わらない

人に興味がないのかと思わせるほど、表情に変化がありません。通常の赤ちゃんだとお母さんやお父さんが大きく口を開けたら真似をして一緒に口を開けます。しかし、自閉症スペクトラムの子どもは表情認知の障害があると認められているせいか、顔の表情が少ないのが特徴です。

こだわりが強い

特定のルールや物事に、異様なまでにこだわりを持つのが自閉症スペクトラムの特徴です。
例えば、毎日同じ道順をたどったり、同じ服を着たり。時には同じ食物を食べることを強く要求します。また、手足をばたつかせたり、ぴょんぴょんと飛び跳ねたり、おもちゃの車のタイヤを回し続けたりするなど、同じ行動を延々と繰り返すこともあります。
これらの行動は、こだわりを持っているために起こしてしまいます。

相手の言葉をオウム返しする

例えば子どもに「パパとママどっち?」と聞くと「ママ」や「パパ」と答えず「パパとママどっち?」と返事をしてしまうことはありませんか?
自閉症スペクトラムの子どもは、言葉を覚えるのが苦手なため、聞いたことをそのまま返してしまうのが特徴です。言葉を教えても覚えられないので大人が言った言葉をオウム返ししてしまうのです。
ただ、お子さんが1歳半や2歳くらいならば3歳児検診まで様子を見てあげてください。

クレーン現象が起きる

クレーン現象とは、子どもが何かしてほしいときに、保護者やほかの人の手を取って対象に指を差したり、手を近づけたりする行為です。自閉症スペクトラムの乳幼児がよく取る行動の1つです。
しかし、乳幼児は自分の意思を伝える手段が乏しいためクレーン現象をしがちです。特に言葉を覚え始めた時期は、自分の意思を伝えるために色々なコミュニケーションを取ろうとします。クレーン現象もその1つですので、決めつけずに他の行動も見てから疑いを持つようにしましょう。

自閉症スペクトラムの子どもに見られるその他の特徴

 自閉症スペクトラム 顔つき2

ASDを持つ多くの子どもは、他にもいくつかの特徴があります。主に以下の10個ですので確認してみてください。

・言語能力の遅れ
・遅延移動スキル
・認知能力または学習能力の遅れ
・多動、衝動的、および/または不注意な行動
・てんかんまたは発作性障害
・異常な食事と睡眠の習慣
・胃腸の問題(便秘など)
・異常な気分や感情的な反応
・不安、ストレス、過度の心配
・恐怖の欠如、または予想以上の恐怖

ここに例として挙げた行動のすべて、または一部を特徴として持っていない場合があるのでご注意ください。

自閉症スペクトラムの大人がとってしまう行動

近年はアスペルガー症候群など、大人の自閉症スペクトラムも認知されてきています。「もしかしたら自分も?」と疑いを持つ人も多いでしょう。そうした不安を持っている人に向けて、大人の自閉症スペクトラムはどんな行動をしてしまうのかいくつかご紹介します。
ただし、当てはまるからといって自己判断は禁物です。必ず病院で検査を受け、医師から自閉症スペクトラムと診断されてからサポートを受けるようにしましょう。

相手の気持ちに立って考えられない

コミュニケーションの特徴として「相手の気持ちに立って考えられない」というのがあります。相手との距離感が掴めずに発言をしてしまい、怒らせてしまうのがよくある例です。他にも社交辞令や冗談が通じなかったり、会話が続かなかったりするのも大人の自閉症スペクトラムでありがちな例です。

柔軟性のある対応ができない

続いては「強いこだわり」からくるトラブルが起きることです。例えば、仕事をやる順番にこだわってしまい、柔軟性のある対応ができなかったりします。ゲームに夢中になってしまい仕事へ行くのを忘れたという例もあります。
これらの特性を理解せずに仕事をしているとトラブルを起こし、職場での評価が下がってしまいます。退職を余儀なくされてしまうことも珍しくありません。そのため自閉症スペクトラムの人は自己評価が低く、二次障害としてうつ病やパニック障害、対人恐怖症になってしまうこともあります。

自閉症スペクトラムの大人に見られるその他の特徴

大人の自閉症の特徴として、次のような他の兆候がある場合もあります。

・人について話さないなど、社会の「ルール」を理解していない
・アイコンタクトを避ける
・他の人に近づきすぎたり、誰かがあなたに触れたり近づきすぎたりすると、非常に動揺する
・他の人が気付かない小さな詳細、パターン、匂い、または音に気付く
・特定の主題または活動に非常に強い関心を持っている
・物事を行う前に慎重に計画するのが好き

大人の自閉症を改善するには、医師から自閉症スペクトラムと診断を受けた上で、自分の特性を理解することからがスタートです。特性がわかれば職場で協力してもらったり、自分に合う仕事へ転職したりと生きづらさを改善していきましょう。

自閉症はなぜ「若く見える」「幼い」と言われるのか

「実年齢より若く見える」「幼い印象がある」と言われ、不安になる方は少なくありません。しかし、顔立ちそのものにASD特有の決定的な特徴があるわけではありません。

見た目の印象には、顔の骨格よりも表情の使い方・視線・話し方・身だしなみなどの影響が大きいと考えられています。

① 表情の変化が控えめなことによる印象

ASDの特性として、感情表出が控えめであったり、表情筋の使い方が限定的であったりすることがあります。その結果、年齢相応の「大人らしい表情変化」が少なく見え、幼い印象につながることがあります。

② 視線や対人距離の取り方の影響

アイコンタクトが少ない、視線が合いにくいといった特性は、落ち着きのない印象や年齢より幼い印象を与えることがあります。ただしこれは診断基準そのものではありません。

③ 服装・自己演出の傾向

感覚過敏の影響で着心地を優先する、流行よりも安心感を重視するなどの傾向が見られることがあります。その結果、周囲から「若い」「幼い」と評価されることがありますが、これは個人の特性の一部にすぎません。

④ 骨格やホルモンとの直接的な因果は証明されていない

顔面計測研究で統計的傾向が報告されることはありますが、「若く見える=ASDである」という医学的因果関係は証明されていません。臨床診断は、外見ではなく行動特性と発達歴を総合して行われます。

自閉症スペクトラムの女性に見られる特徴

 自閉症スペクトラム 顔つき

女性のASDは大人になって判明するケースが多く見られます。それは対人コミュニケーションの障害が男子よりも低く、集団生活の中で溶け込んでいるように見えるからです。

しかし、対人コミュニケーションの障害が見えにくいのは、あくまでも周囲の大人から見て目立たないだけです。
本人は集団生活の中で他の人との関わりや違和感を抱きながら過ごしています。特に思春期以降は、友人関係の悩みを抱えることも少なくありません。

そんな自閉症スペクトラムの女性の特徴をまとめた本が「アスパーガール」です。
この書籍は、10代から50代までの当事者、親御さん、教師、医師、臨床心理士など支援にかかわる専門家たちが、アスペルガー症候群の女性の特徴を知り、思春期から壮年期までの人生のさまざまなステージで直面するいろいろな困難や課題について、アドバイスやヒントを提供しています。
この本を参考に顔つきなどの特徴をご紹介します。

※参考文献「アスパーガール: アスペルガーの女性に力を

表情が乏しいように感じられる

自閉症スペクトラムの女性は、男性と比較すると表情が豊かではありますが、裏を返せば「一般的な女性よりも表情が乏しい」ということです。
大きく口を開けて笑うのが苦手だったり、いつも似たような顔をしていたりします。また、感情的な表現が苦手です。話すときも表情を変えずに淡々と話していたりします。そして時々無表情になり、不機嫌そうに見えることがあります。

見た目、服装、好み、行動が実年齢よりも幼い。もしくは若い

自閉症スペクトラムの女性は、年齢よりも若く見える傾向があるそうです。
表現や考え方が幼い場合もあり、精神年齢も幼いようです。服装も好きな服をずっと着ていたり、若い頃と変わらないファッションが好きな人もいます。
また、周りの目を気にしないで行動してしまうところがあります。

自分は男性と女性半々かもしれないと考えている人がいる

ジェンダーレスなところがあって中性的なのも、自閉症スペクトラムの女性が持っている特徴です。見た目も中性的な方も多くいます。極端に男性的な部分があったり、反対に女性的な部分を持っていたりします。

身だしなみを整えるのが苦手

身繕いや髪の手入れにあまり時間をかけず、洗いっぱなしでも平気な髪形にするのを好みます。また、髪を洗うのが嫌いだったり、お風呂に入るのが面倒くさいと思ったりしてしまう方が多くいます。メイクも苦手で、化粧品もこだわりはありません。

個性が外見に現れることも

個性的な服を好んで着たり、髪型を独創的にしたりするのが好きで、そうした部分が服装や髪型に現れたりします。
また、感覚過敏の人も多いため着心地の良さにもこだわります。ある素材の服を着るとチクチクしたり、痒くなったりするので同じような服装をする人が見受けられます。機能性を重視し、動きやすい服を選びがちです。

以上が自閉症スペクトラムの女性に見られる特徴です。
個性的な格好を好むのと実用性を重視した服装を選ぶというのは矛盾していますが、それだけ多くの特徴を持っていると言えます。

自閉症の子どもへの対処法は?

ASD(自閉症スペクトラム障害)は単一の原因で起こる疾患ではなく、多因子が関与すると考えられています。大規模コホート研究では、発症リスクの分散の約60〜90%が遺伝要因によって説明されると推定されています(Sandin et al., JAMA 2017 ほか)。ただしこれは「患者の9割が遺伝子異常を持つ」という意味ではなく、遺伝と環境など複数の要因が重なって発症リスクが変化することを示しています。

補足:研究では、ASDの発症には遺伝の影響が大きいことが示唆されていますが、これは「原因が遺伝子異常だけで決まる」という意味ではありません。遺伝と環境など複数要因が重なってリスクが変化すると考えられています。

例えば、何かを伝えたい時の表現の仕方を変えてみましょう。
「ちゃんと座って」「そこに置いて」などの曖昧な表現は避け、「前を向いて座ろう」「机の上に置いて」など、短くても具体的な言葉で伝えてください。
自閉症スペクトラムの特徴は人によって異なります。ご両親が早めに理解して環境を整えてあげることが大切です。

自閉症スペクトラムの相談先は?

自閉症スペクトラムの子どもに関する相談先として、以下の施設がおすすめです。

専門の医療機関
発達障害者支援センター
子育て支援センター
児童発達支援事業所

専門の小児精神科や心療内科などがある病院では、確定診断を含めて相談ができます。医師や看護師などの専門家から直接アドバイスを得られるため、具体的な対策を即座に考えることもできるメリットがあります。「発達障害者支援センター」は相談支援や専門機関との連携が得られ、「子育て支援センター」は自閉症の育児に関する親同士の交流が目的です。

参考:
厚生労働省/発達障害の理解 P23
厚生労働省/自閉症 Q&A
国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター/ 発達障害者支援センター・一覧

ミネルバクリニックでは自閉症スペクトラムの検査を取り扱っています

自閉症の診断を受けた方には、遺伝子検査を検討することをおすすめします。
残念ながら、日本では自閉症の方のほとんどがこれを受けていない現状があります。遺伝子検査の技術は急速に進歩していますが、小児科や小児神経科の医師などが知識を持っていない場合もあります。
現在の遺伝子検査は、全ての人に確かな答えを提供するものではありませんが、検査を受けないと自閉症の原因や将来起こりうる病状についての情報を得ることができません。

遺伝子検査を検討される場合は、ミネルバクリニックをご利用ください。
オンライン診療で全国から患者さんを受け入れています。検査自体は口腔粘膜から採取し、ミネルバクリニックからのキットを使って送付・返送するだけです。遺伝子検査の結果やその解釈については、臨床遺伝専門医が最適な情報を提供します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自閉症(ASD)は顔つきだけでわかりますか?

いいえ。顔つきだけでASDを診断することはできません。診断は、社会的コミュニケーションや反復行動などの特性を、発達歴とあわせて総合的に評価して行います。顔貌は参考情報になり得ても、判断の決め手にはなりません。

Q2. 「幼い顔」「若く見える」はASDの特徴ですか?

「幼い・若く見える」と感じられる方がいるのは事実ですが、医学的に顔つきだけでASDと結びつけて断定できる所見ではありません。表情の作り方、視線、話し方、身だしなみの好み、緊張の出方などが「印象」に影響することもあります。

Q3. 赤ちゃんや幼児の顔写真でASDは判断できますか?

判断できません。ASDは発達の過程で見えてくるコミュニケーションや行動の特徴が重要で、顔写真だけでは評価できません。「視線が合いにくい」「呼びかけへの反応が乏しい」「こだわりが強い」など、行動面の観察を中心に相談するのが適切です。

Q4. 研究で「ASDの顔つきの傾向」が報告されているのは本当ですか?

一部の研究では、顔面の計測データとして傾向が示唆されることがあります。ただし、研究で見える「統計的な違い」と、個人の診断に使える「臨床的なサイン」は別です。研究結果があっても、日常診療で「顔つきでASDを診断する」ことは行われません。

Q5. 大人のASD(特に女性)は顔つきに特徴がありますか?

顔つきに決定的な特徴があるわけではありません。大人、特に女性では周囲に合わせる工夫(いわゆるカモフラージュ)が上手で、対人面の困りごとが見えにくいことがあります。気になる場合は、外見よりも「生活や対人関係での困りごと」を軸に相談するのが近道です。

Q6. 顔の左右差(非対称)があるとASDの可能性が高いですか?

高いとは言えません。顔の左右差は多くの人に見られる一般的な特徴で、ASD特有の所見ではありません。研究で左右差が話題になることはありますが、個人の診断やスクリーニングに直接使える指標ではありません。

Q7. 「顔つきが気になる」以外に、相談の目安になるサインはありますか?

あります。年齢や発達段階によりますが、たとえば「呼びかけへの反応が乏しい」「指さしや視線共有が少ない」「こだわりで日常が回らない」「感覚過敏で生活が難しい」「園・学校で集団適応が難しい」など、生活上の困りごとが継続する場合は早めの相談が有益です。

Q8. ASDの診断はどこで受けられますか?

お子さんの場合は小児精神科、小児神経科、発達外来などが窓口になります。大人の場合は精神科・心療内科のうち発達障害の評価に対応している医療機関が適しています。自治体の発達障害者支援センター等に相談し、適切な医療機関や支援につなげる方法もあります。

Q9. ASDと診断されたら遺伝子検査は必要ですか?

状況によります。ASDは多因子で、検査で「必ず原因がわかる」わけではありませんが、合併症の確認や今後の見通し、家族への情報提供に役立つことがあります。発達歴、合併症、家族歴などを踏まえ、主治医や遺伝の専門家と目的を整理した上で検討するのがおすすめです。

Q10. 「ASDかも」と不安なとき、まず何をすればいいですか?

まずは「困っている場面」を具体化してください。いつ、どこで、何が起き、本人や家族がどう困っているかをメモにすると相談がスムーズです。顔つきの印象だけで結論を急がず、生活上の困りごとを軸に、医療機関や支援機関につなげることが大切です。

参考文献

  • Aldridge K, et al. Facial phenotypes in subgroups of prepubertal boys with autism spectrum disorders. Am J Med Genet A. 2011.
    [PubMed]
  • Hammond P, et al. Quantitative analysis of facial dysmorphology in autism. Nature Medicine. 2008.
    [PubMed]
  • Sandin S, et al. The Heritability of Autism Spectrum Disorder. JAMA. 2017;318(12):1182–1184.
    [JAMA]
  • de la Torre-Ubieta L, Won H, Stein JL, Geschwind DH. Advancing the understanding of autism disease mechanisms through genetics. Nature Medicine. 2016.
    [PubMed]
  • Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Autism Spectrum Disorder (ASD).
    [公式サイト]
  • 厚生労働省. 発達障害の理解.
    [PDF]


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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