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35歳以上の高齢出産で注意するべき10のポイント|羊水塞栓症のリスクも紹介

35歳以上を高齢出産と言いますが、高齢出産におけるリスク染色体異常だけではありません。知っておきたい高齢出産の意外なリスクを10個お伝えします。

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高齢妊娠の問題点とは

日本産科婦人科学会では35歳以上の初産を「高齢出産」と定義していて、35歳未満の出産よりもハイリスクとなることが知られています。

一般的には年齢が上がると血圧が若い頃よりは上がったりと病気になりやすい素地がある上に、子宮筋腫などの生殖器の病気も増えます。高齢妊娠とは、もともとがハイリスク状態で妊娠することを意味しますので、妊娠中の母体にも高血圧、糖尿病、浮腫などさまざまな影響が出る可能性があり、母体の全身状態が悪くなることで胎児にも影響があるということなのです。したがって、通常妊娠よりも気を付けるべき点がたくさんあります。

高齢出産で実は増えているがあまり知られていない意外なリスクとは?

1:子宮外妊娠が増える

どうしてかな?とびっくりしますよね。子宮外妊娠は、妊娠初期における母体の死亡および罹病の大きな要因です。母親の年齢が35歳以上であると、若い女性と比較して子宮外妊娠のリスクが4~8倍高くなっています。高齢女性で子宮外妊娠のリスクが高まるのは、骨盤内感染、卵管の病態など、長期にわたるリスク因子の蓄積を反映している可能性が高いと考えられます。

2:実は意図していない妊娠が多いため中絶が多い

高齢女性では避妊薬を使用しないことも多く、意図しない妊娠に至ることが多くなっています。25歳未満の女性は意図しない妊娠の割合が最も高いのですが、35歳以上の女性は意図しない妊娠で中絶する割合が最も高くなっています

高齢女性で避妊をしない理由は、高齢女性では妊娠能力が低くなると言われているためだと考えられます。

3:40歳以上で8倍になる羊水塞栓症のリスク

35歳以上の高齢出産の産科的な合併症には、たとえば染色体異常などの加齢のみに関連すると考えられるものもあれば、多胎妊娠、出産回数の増加、慢性的な個人の医学的状態などの共存する要因が大きく関係しているものもあり、例えば糖尿病や高血圧など若い女性では観察されにくい要因も増加してしまいます。これらはいずれも、高齢女性で報告されている妊娠関連の母体罹病率の増加に寄与している可能性がありそうです。
アメリカのワシントン州からの830,000例近くを対象とした集団ベースの研究では、40歳以上の女性は、25~29歳の女性と比較して羊水塞栓症のリスクが8倍高いことが報告されています。

羊水塞栓症は、あまり耳にしたことはないかもしれませんが、子宮内で赤ちゃんを包んでいる羊水が母体血中に入ってしまうことで、肺の毛細血管の閉塞と、それに引き続くる肺高血圧症、呼吸循環不全が順番に引き起こされます。日本においても妊産婦死亡の24.3%と第1位を占めています。

3:40歳以上で3倍になる産科的ショックのリスク

医学用語のショックとは、皆さんが日常「ショックを受けた」という使い方とまったく違いますのでご注意ください。医学用語のショックというのは、血圧が下がって大事な臓器の血流が悪くなり、酸素が足らなくなり、手足が冷たくなったり、身体の機能に影響が出る状態を言います。このショックが妊娠・分娩と直接関係のある原因でおこることを産科的ショックといい、原因はさまざまです。重症になると脈拍が触れなくなり(このとき収縮期血圧は大体60以下です)、呼吸不全となります。出血性ショックがその9割を占めます。

4:45~49歳で16倍になる腎不全リスク

45~49歳の女性では、腎不全のリスクが16倍高く、産科的介入と集中治療室への入院の両方のリスクがほぼ5倍高くなっていると報告されています。

5:35歳以上で2~4倍になる高血圧リスク

高血圧は、妊娠中に遭遇する最も一般的な医学的問題で、特に高齢女性に多くなっています。慢性高血圧と診断される率は、35歳以上の女性の方が30~34歳の女性よりも2~4倍高くなっています。

6:40歳歳以上で3倍、50歳以上で10倍になるになる子癇前症リスク

子癇前症は重い妊娠合併症で、妊婦の約2~8%に発症します。血圧上昇やタンパク尿で判明しますが、最初は無症状なことが殆どです。子癇前症がおこると胎盤の血管が収縮してしまい、胎児への栄養や酸素の供給が十分ではなくなり、胎児の成長が妨げられてしまい、早産の原因となります。子癇前症では腎臓、肝臓、脳および血液凝固系の問題が認められます。大体は妊娠後期に発症して、時間経過とともに悪化します。重い場合には赤血球が壊れたり、血小板(出血を止める働きをします)が減ったり、肝機能が悪くなったり、腎機能が悪くなったり、むくんだり、肺水腫(肺のむくみ)がきて息切れしたり、視覚障害を来したりします。 子癇前症は母体と赤ちゃんの両方の転帰不良(死亡)のリスクを増加するものですので、産科合併症ではできれば避けたいものです。

一般の産科集団における子癇前症の発症率は3~4%ですが、40歳以上の女性では5~10%に増加し、50歳以上の女性では35%にも達すると報告されています。

7:40歳歳以上で3~6倍、50歳以上で10倍になるになる糖尿病リスク

糖尿病の有病率は母体の年齢とともに上昇します。既存の糖尿病と妊娠糖尿病の両方の割合は、20~29歳の女性と比較して40歳以上の女性で3~6倍に上昇し、一般産科集団における妊娠糖尿病の発症率は3%であるのに対して40歳以上の女性では7~12%、50歳以上の女性では20%と急激に増加します。

既存の糖尿病は先天異常、周産期死亡、周産期罹病のリスク増加と関連しているのですが、妊娠糖尿病の主要な合併症は巨大児とその後遺症です。

関連記事:妊娠糖尿病になる原因とは?検査方法や回復に向かう治療法を紹介

8:40歳歳以上で10倍になるになる前置胎盤リスク

胎盤早期剥離や前置胎盤等の胎盤の問題の有病率は、高齢女性の方が高くなっています。年齢ならびに出産歴は、前置胎盤の独立した危険因子であると考えられています。40歳以上の未経産婦は20~29歳の未経産婦と比較して前置胎盤のリスクが10倍高くなっています。

9:35歳以上だと難産にないりやすいため増加する帝王切開リスク

高齢の女性の出産に最適な妊娠期間は不明です。35歳以上の女性は若い女性より難産となりやすく、帝王切開で出産することが多くなると報告されています。

高齢女性の手術分娩率が高い理由は議論の余地があるのですが、内科的合併症の有病率の増加、胎位異常などのほか、帝王切開を行うための閾値が患者と医師の両方で低いことなどが挙げられるでしょう。母親から帝王切開が要望されるケースは、特に高齢の妊婦に多くなります。

過去の帝王切開後に通常分娩する高齢女性は、分娩の失敗と子宮破裂の両方のリスクが高まります。

10:40歳以上で増加する出産後の出血性脳卒中リスク

妊娠自体からのからだの変化や、健康に悪影響を及ぼす妊娠関連合併症のリスク増加のため、35歳以上の母親の高齢での妊娠経験は、その後の健康に影響を及ぼす可能性があります。米国Women’s Health Initiativeの観察研究では、40歳未満で最後に妊娠した女性と比較して、40歳以上で最後に妊娠した女性で出血性脳卒中のリスクが増加する傾向が報告されましたが、逆の結果の報告もあり、この矛盾は、生殖以外の要因が関与している可能性を示唆しており、さらに多くの研究が必要です。

まとめ

高齢出産はハイリスクと言われていて、一般の方々はほとんど、ダウン症候群21トリソミー)などの染色体異常をご心配されているのではないでしょうか。
高齢出産では確かに染色体異常のリスクも40歳と20歳では16倍とハイリスクになるのですが、そのほかにも意外なリスクがたくさんありましたね。
こんなにたくさん心配事があるなんて驚きです。

それでなくてもお産は心配事が絶えないのに、これではうつ状態になる人が多くなっちゃいそうですね。(実際高齢だとうつ状態も増えると言われています)
そこで、母体血を採血するだけで赤ちゃんの染色体異常などの有無を知ることができるNIPTをご検討してはいかがでしょうか。

NIPTは早期に受けると妊婦さんたちの安心感を増すことが報告されています。
長い人生でみると、妊娠期間はほんとうに短いものです。

早い段階でNIPTを受けて、安心しておなかの赤ちゃんとゆっくり楽しく過ごせるようにお考え下さい。

ミネルバクリニックではほかにない豊富な世界でも最新鋭のNIPTメニューを取り入れて、妊婦の皆様のニーズにお応えしています。
ミネルバクリニックでは出生前診断のエキスパート、臨床遺伝専門医が皆様をお待ちしております。
女性専門医で、出産経験も3回ありますので、みなさまのご不安におこたえできると考えております。
是非、ミネルバクリニックにご相談下さい。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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