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脊椎末梢性骨異形成症(SPD)とは?症状・原因遺伝子COL2A1・遺伝と出生前診断をやさしく解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

📌 この記事でわかること(まず結論)

Q. 脊椎末梢性骨異形成症(SPD)とは、どんな病気ですか?

A. 背骨が平たくつぶれる扁平椎と、手足の指が極端に短くなる短指症、前腕の尺骨(しゃっこつ)が短いことなどを特徴とする、とてもまれな骨の病気です。原因はCOL2A1遺伝子の特定の場所に起こる変化で、常染色体顕性(優性)遺伝の形をとります。多くの方は知能が正常に発達し、適切な管理を受ければ寿命も一般の方と変わらないと考えられています。

  • 別名・分類 … 脊椎末梢異形成症/short ulna syndrome。II型コラーゲン異常症のひとつ(OMIM 271700)
  • 原因 … COL2A1遺伝子の「C-プロペプチド」という末端部分に起こる、設計図が途中で止まるタイプの変化
  • 主な症状 … 不均衡な低身長、扁平椎、短指症、尺骨の短縮、強度近視、難聴など
  • 注意したい合併症頸椎の不安定性網膜剝離。早めの定期チェックが大切です
  • 検査 … 出生前(NIPT・確定検査)と出生後(パネル検査・全エクソーム検査)で目的が分かれます

脊椎末梢性骨異形成症(SPD)とは

脊椎末梢性骨異形成症(せきつい・まっしょうせい・こつ・いけいせいしょう)は、英語で Spondyloperipheral dysplasia(SPD) と呼ばれる、とてもまれな骨の病気です。背骨(脊椎)の異常と、手足の末梢(指など)の著しい短さを同時にもつことが最大の特徴で、別名を脊椎末梢異形成症、または short ulna syndrome(短尺骨症候群) ともいいます。

この病気は、軟骨や関節・眼などをつくる「II型コラーゲン」というタンパク質の設計図であるCOL2A1遺伝子の変化によって起こる、II型コラーゲン異常症という大きなグループの一員です[10]。世界的な患者数は正確にはわかっておらず、これまでに報告された家系や個別の症例は数十例ほどとされる、希少疾患です[2]

項目 内容
病名 脊椎末梢性骨異形成症(SPD)/別名:脊椎末梢異形成症・short ulna syndrome
原因遺伝子 COL2A1(第12番染色体 12q13.11)
遺伝形式 常染色体顕性(優性)遺伝
登録番号 OMIM 271700/Orphanet ORPHA 1856/ICD-10 Q77.7/ICD-11 LD24.3
頻度 非常にまれ(正確な有病率は不明)

💡 用語解説:常染色体顕性(優性)遺伝とは

人は同じ遺伝子を2つずつ(父・母から1つずつ)もっています。常染色体顕性(優性)遺伝とは、そのうち片方の1つだけに変化があれば症状が出るタイプの遺伝のしかたです。患者さんご本人にお子さんができる場合、理論上は50%の確率で受け継がれます。くわしくは遺伝形式の解説ページをご覧ください。

SPDの主な症状(全身のあらわれ方)

II型コラーゲンは、軟骨だけでなく眼の硝子体(しょうしたい)や内耳にも多く含まれます。そのためSPDは、骨格だけでなく眼・耳・顔つきなど、いくつもの場所にあらわれる病気です[2]

体型と身長

生まれつき、胴体も手足も短い不均衡な低身長になります。成人したときの最終身長は、報告によっておよそ108〜154cmの範囲とされます(古典的な家系の報告では142〜154cm程度)[1]。とくに、上腕や太ももといった体の中心に近い骨が短くなりやすいのが特徴です。

骨格の特徴(背骨・手・腕・足・股関節)

  • 背骨(扁平椎):椎体(背骨のブロック)の高さが低くつぶれ、横から見ると卵のような形になります。成長とともに側弯症(背骨の曲がり)や強い前弯・後弯が出ることがあります。
  • 手・指(短指症):手のひらが広く、中手骨や指の先の骨(末節骨)が短くなります。指の骨端線が円錐状に見えるのも特徴です。
  • 前腕(尺骨の短縮):左右の尺骨が短く、手首側で骨が足りない形になります。病名の「short ulna」はここに由来します。肘がまっすぐ伸びにくくなることもあります。
  • :生まれつき内反尖足(うちがえりの足)を伴うことがあります。中足骨や足の指も短くなりますが、第一趾(親指)だけは比較的長さが保たれる傾向があります。
  • 股関節:大腿骨頭や骨盤の形がうまく育たず、若いうちから変形性股関節症が進みやすくなります。

眼・耳・顔つき

眼では、強い近視が幼いうちから進み、網膜剝離(もうまくはくり)のリスクが高くなります。耳では内耳の働きの問題による感音難聴がみられ、ことばの発達に影響することがあります。顔つきでは、中顔面の低形成、鼻の付け根の平坦さ、口蓋裂などを伴うことが知られています[1]

💡 知っておきたい:知能と寿命について

古い文献には知的障害を伴ったという記載が見られ、Orphanetなどでも症状の一部として挙げられています。一方で、近年の医学的な見解では、多くの方で知能は正常に発達すると考えられています。症状の幅が広い病気のため一律ではありませんが、適切な医療・教育の支援が大切です。生命予後についても、乳児期の呼吸の管理や整形外科的なケアが行われれば、成人後の寿命は一般の方と変わらないと考えられています[2]

なぜ起こる?原因遺伝子COL2A1と発症のしくみ

SPDの原因は、第12番染色体(12q13.11)にあるCOL2A1遺伝子の変化です。この遺伝子は、軟骨の主役であるII型コラーゲンの「プロα1(II)鎖」という部品をつくる設計図です[2]

同じCOL2A1の病気でも、SPDがほかと大きく違うのは、変化が起こる「場所」です。SPDの変化は、コラーゲンの末端にあるC-プロペプチドという部分に集中しています(おもにエクソン51・52)。報告されている代表的な変化には、Zabelらの5塩基重複(1996年)、4314C>Aによる切断型(Zanklら2004年)、p.Lys1444AsnfsX27(Zhangら2013年)などがあります[4][9][11]

💡 用語解説:切断型変異(ナンセンス変異・フレームシフト変異)

設計図(DNA)の途中に「ここで終わり」という誤った合図ができてしまい、本来より短いタンパク質しかできなくなる変化を切断型変異といいます。1文字の置き換わりで止まるものをナンセンス変異、文字の数がずれて読み枠が崩れるものをフレームシフト変異と呼びます。

カギは「品質管理のすり抜け」

ふつう、設計図が途中で止まるような不良品のmRNAは、細胞の品質管理システム(NMD)によってすぐに壊されます。すると異常なタンパク質はつくられず、正常な部品が少し減るだけの比較的軽い状態(スティックラー症候群など)ですみます。

ところがSPDの変化は、遺伝子のいちばん端っこに位置するため、この品質管理をすり抜けてしまいます[4]。その結果、末端の大切な部分を欠いた異常な部品が大量につくられます。

💡 用語解説:NMD(ナンセンス変異依存mRNA分解)と小胞体ストレス

NMDは、途中で止まった不良品の設計図を細胞が見つけて壊すしくみです。SPDではこれをすり抜けるため、異常な部品が残ってしまいます。

つくられた異常な部品は正しく組み立てられず、細胞の中の「タンパク質工場」である小胞体(しょうほうたい)にたまっていきます。工場がパンクした状態を小胞体ストレス(ERストレス)といい、これが続くと軟骨の細胞が弱って死んでしまい、骨の成長が妨げられます。

図:正常な軟骨細胞とSPDの軟骨細胞で起こること

正常な状態

🧬➡️🧶➡️💪

3本の鎖が末端できちんと合わさり、丈夫な三重らせんに。細胞の外へ分泌され、強い軟骨の網目をつくります。

SPD(C-プロペプチド変異)

🧬❌🌀➡️🏭💥

NMDをすり抜けた異常な鎖が組み上がらず、小胞体にたまって強いストレスに。これが細胞死とマトリックスの不足を招きます。

SPDの病態は、正常なコラーゲンが足りなくなる「マトリックスの不足」と、異常な部品がたまる「細胞毒性」という、2つの打撃(ダブルヒット)で説明されます[4]

なぜ「手足の指」が短くなるのか

SPDをほかのII型コラーゲン異常症と分けるいちばんの特徴が、手足の短指症です。切り離されたC-プロペプチド(コンドロカルシンとも呼ばれます)には、軟骨の石灰化(カルシウムの沈着)をうながす働きがあります。SPDでは、大量にできた異常な断片が、手足の成長板で石灰化のシグナルを過剰に送り、骨端線が早く閉じてしまうことで短指症が起こると考えられています[4]

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「どこに変化があるか」が運命を分けます】

同じCOL2A1の病気でも、変化が三重らせんの真ん中で起こるか、末端のC-プロペプチドで起こるかによって、あらわれる病気がまったく違ってきます。SPDは、ちょうどその「末端」に変化が集中することで生まれる、いわば特別なグループに属します。

遺伝子の検査結果を見るとき、私たちは「何が変わったか」だけでなく「どこが変わったか」を必ず確認します。それは、同じ遺伝子の名前であっても、ご家族にお伝えすべき見通しが大きく変わるからです。数字だけで将来を決めつけず、一人ひとりの状態をていねいに見ていくことを大切にしています。

致死型から生存型まで ―― 表現型のスペクトラム

近年の大きな発見は、致死的な骨の病気である扁平椎異形成症トーランス型(PLSD-T、OMIM 151210)と、生存できるSPDが、どちらもCOL2A1のC-プロペプチドの変化で起こるひとつながりの病気(スペクトラム)だとわかったことです[5]

これを決定づけたのが、母と胎児の症例報告です。軽症のSPDと診断された母親から、致死的なPLSD-Tの胎児が妊娠した家系で、母子はまったく同じCOL2A1の変化をもっていました。違いは、母親ではその変化が一部の細胞だけにとどまる体細胞モザイクだったことです[8]

図:II型コラーゲン異常症の重症度スペクトラム

● 三重らせん領域の変化(一般的)

軟骨無発生症II型(致死)SEDCスティックラー症候群(軽症)

● C-プロペプチド領域の変化(特別なサブグループ)

PLSD-トーランス型(致死)脊椎末梢性骨異形成症(SPD・生存)

SPDとPLSD-Tは、同じC-プロペプチドの変化による「重症度の両端」を構成すると考えられています。このため、次のお子さんの遺伝カウンセリングでは、重症型が生じる可能性も含めてていねいに考える必要があります[5]

よく似た病気との見分け(鑑別診断)

SPDは、背骨や関節の症状が似ているほかのII型コラーゲン異常症と区別する必要があります。下の表は代表的な見分けのポイントです。

病気 原因・変化の場所 見分けのポイント
SPD COL2A1/C-プロペプチド 扁平椎+短指症+尺骨短縮。生存可能。
先天性脊椎骨端異形成症(SEDC) COL2A1/三重らせん 体幹の短い低身長。末梢の短指症は伴わない。
スティックラー症候群I型 COL2A1/量の不足(ハプロ不全) ほぼ正常な身長。強度近視・網膜剝離が中心。
クニースト骨異形成症 COL2A1/スプライシング等 著しい関節の腫れと拘縮、ダンベル状の長管骨。
PLSD-トーランス型 COL2A1/C-プロペプチド 周産期致死性。ウエハース状の扁平椎。

各疾患の詳しい解説は、下のカードからご覧いただけます。

先天性脊椎骨端異形成症(SEDC)体幹の短い低身長と頸椎不安定性扁平椎異形成症 トーランス型SPDと同じC-プロペプチドの病気クニースト骨異形成症関節の腫れとダンベル状の骨スティックラー症候群 I型最も頻度の高いCOL2A1関連疾患スティックラー症候群 I型(非症候性眼型)眼の症状が主体となる型II型軟骨無発生症/低軟骨発生症最も重い周産期発症型SEMD ストルドウィック型骨幹端の広がりが目印脊椎骨端異形成症 スタネスク型COL2A1関連の脊椎骨端異形成脊椎骨幹端異形成症 アルジェリア型脊椎と骨幹端の異形成チェコ異形成症正常身長で関節痛が中心の型軽度軟骨異形成を伴う変形性関節症早期発症型の関節症ペルテス病小児期の大腿骨頭の壊死特発性大腿骨頭壊死症中年期に発症する股関節の壊死

診断の進め方(出生前と出生後を分けて)

「診断=妊娠中に行うもの」と思われがちですが、それは誤解です。SPDの診断には、妊娠中(出生前)生まれた後(出生後)の両方の道があり、それぞれ目的が異なります。

出生前(妊娠中)の検査

超音波検査で四肢の短さや胸郭の狭さなどがみられた場合、羊水や絨毛を用いた遺伝学的検査で診断にせまります[7]。また当院のNIPT(新型出生前診断)のうち、より広い範囲を調べるプランでは、単一遺伝子の対象にCOL2A1が含まれています。ただしNIPTはスクリーニング(ふるい分け)であり、確定診断ではありません。陽性が疑われる場合の確定診断は、羊水検査・絨毛検査で行います。

💡 NIPTで陽性が出たときの備え(互助会)

当院でNIPTを受けるすべての方には互助会(8,000円)が適用され、万一陽性が出た場合の確定検査(羊水検査・絨毛検査)の費用が全額補助されます。あらかじめ学んだうえで検査に臨めるよう、互助会のしくみもご確認ください。

出生後の検査

生まれた後に低身長や骨格・関節の症状がみられる場合は、まず全身の骨格X線検査で、扁平椎・尺骨の短縮・短指症などの特徴を確認します。確定診断には、関連遺伝子をまとめて調べるパネル検査や、より網羅的な全エクソーム検査が用いられ、これらの対象にもCOL2A1が含まれています[10]。発端者の変化がご両親から受け継がれたものか、新生突然変異かを調べるため、ご両親の解析(トリオ解析)も推奨されます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「見つけること」が、いつも利益とは限りません】

SPDのように症状の幅がとても広い病気では、出生前に見つけることが、必ずしもご家族にとっての利益になるとは限りません。同じ変化でも、生まれてくるお子さんがどの程度の症状になるかを正確に予測することは難しいからです。

私たち医師の役割は、特定の検査や選択をおすすめすることではありません。正確でかたよりのない情報をお伝えし、最終的な決定はご家族に委ねる――この中立・非指示的な姿勢を、私はいつも大切にしています。検査を受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、どうぞご家族で十分に話し合ってお決めください。

治療と長期的な管理

現時点では、SPDを根本的に治す治療法はありません。そのため治療は、進行する骨や関節の変形を防ぎ、眼や耳の合併症を早く見つけて、生活の質(QOL)を高く保つ集学的な管理が中心になります[10]

合併症の頻度については、COL2A1異常症全般を対象としたTerhalらの93例の研究(2015年)が参考になります。これはSPDだけのデータではなくII型コラーゲン異常症全般のデータですが、管理の方針づくりに役立ちます[6]

  • 頸椎の不安定性:歯突起の低形成や環軸椎の不安定性がみられることがあります。無症状から突然の脊髄圧迫に移ることがあるため、全身麻酔の手術や激しいスポーツの前には必ず頸椎のX線やMRIで評価することが重要です。
  • 網膜剝離:上記コホートでは約12%に網膜剝離がみられ、発症年齢の中央値は14歳、最年少では3.5歳の報告もあります。小児期からの定期的な眼底検査が失明予防のために欠かせません。
  • 難聴:約37%に感音難聴がみられます。ことばを覚える時期に見逃さないよう、定期的な聴力検査と補聴器などの支援が大切です。
  • 関節・脊柱:早期の変形性股関節症に対する人工股関節置換術や骨切り術、進行する側弯症への装具療法・手術が検討されます。
  • 呼吸・心理社会的支援:乳児期や重症例では呼吸の管理が必要なことがあります。患者会など、ご家族を支える仕組みの活用も役立ちます。

早めの定期チェックと適切なケアによって、患者さんの寿命と生活の質を、健康な方と同じように保つことが治療の目標です。

遺伝のしかたと遺伝カウンセリング

SPDは常染色体顕性(優性)遺伝のため、患者さんご本人にお子さんができる場合、理論上は50%の確率で受け継がれます。一方で、ご両親に変化がなく、お子さんで初めて生じた新生突然変異(de novo変異)のケースも多くみられます。

注意したいのは、ご両親の血液検査で変化が見つからなくても、生殖細胞モザイクの可能性があり、次のお子さんでの再発リスクがゼロとは限らない点です[5]。だからこそ、適切な遺伝カウンセリングが力になります。

気になることがあれば、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで、正確な情報のもとにご家族でじっくり考えていくことができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 脊椎末梢性骨異形成症(SPD)とは、ひとことで言うとどんな病気ですか?
背骨が平たくなる「扁平椎」と、手足の指が短くなる「短指症」、前腕の尺骨が短いことなどを特徴とする、とてもまれな骨の病気です。原因はCOL2A1遺伝子のC-プロペプチドという末端部分の変化で、常染色体顕性(優性)遺伝の形をとります。
Q2. SPDの人は、知能や寿命に影響がありますか?
多くの方で知能は正常に発達すると考えられています(古い文献やOrphanetでは知的障害の報告もあり、症状の幅があります)。また、乳児期の呼吸管理や整形外科的なケアが適切に行われれば、成人後の寿命は一般の方と変わらないと考えられています。
Q3. なぜ、ほかのII型コラーゲンの病気と症状が違うのですか?
変化が起こる「場所」が違うためです。SPDではコラーゲンの末端(C-プロペプチド)に変化が集中し、細胞の品質管理(NMD)をすり抜けて異常な部品がたまります。この特別なしくみが、手足の短指症など独特の症状を生み出します。
Q4. 妊娠中に調べることはできますか?
超音波検査での所見に加え、当院のNIPTのうち広い範囲を調べるダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは、単一遺伝子の対象にCOL2A1が含まれます。ただしNIPTはスクリーニングであり、確定診断は羊水検査・絨毛検査で行います。受けるかどうかはご家族で十分に話し合ってお決めください。
Q5. とくに注意したい合併症は何ですか?
頸椎の不安定性と網膜剝離です。頸椎は全身麻酔の手術や激しいスポーツの前にX線やMRIで評価することが重要です。網膜剝離は小児期から起こりうるため、定期的な眼底検査による早期発見が失明予防のカギになります。
Q6. 両親が健康なら、子どもがSPDになることはありませんか?
そうとは限りません。SPDの多くは、ご両親に変化がないお子さんで初めて生じる新生突然変異(de novo変異)です。また、ご両親が生殖細胞モザイクをもつ場合、次のお子さんでの再発リスクがゼロにならないこともあります。正確な評価には遺伝カウンセリングが役立ちます。
Q7. 根本的な治療法はありますか?
現在は、骨や関節の変形を防ぎ、眼や耳の合併症を早く見つける集学的な管理が中心です。根本的に治す治療法は確立していませんが、II型コラーゲン異常症全体では、細胞のストレスをやわらげる薬や遺伝子治療などの研究が進められています。

遺伝性疾患のご相談は、臨床遺伝専門医のいるミネルバクリニックへ

SPDをはじめとする骨系統疾患・遺伝性疾患について、検査と遺伝カウンセリングをご提供しています。オンライン診療にも対応しています。

参考文献

  • [1] OMIM. Spondyloperipheral Dysplasia; #271700. Johns Hopkins University. omim.org/entry/271700
  • [2] MedlinePlus Genetics. Spondyloperipheral dysplasia. U.S. National Library of Medicine. medlineplus.gov/genetics/condition/spondyloperipheral-dysplasia/
  • [3] Orphanet. Spondyloperipheral dysplasia-short ulna syndrome; ORPHA:1856. www.orpha.net/en/disease/detail/1856
  • [4] Zankl A, et al. Spondyloperipheral dysplasia is caused by truncating mutations in the C-propeptide of COL2A1. Am J Med Genet A. 2004;129A(2):144-148. PubMed 15316962
  • [5] Zankl A, et al. Dominant negative mutations in the C-propeptide of COL2A1 cause platyspondylic lethal skeletal dysplasia, Torrance type. Am J Med Genet A. 2005;133A(1):61-67. PubMed 15643621
  • [6] Terhal PA, et al. A study of the clinical and radiological features in a cohort of 93 patients with a COL2A1 mutation causing spondyloepiphyseal dysplasia congenita or a related phenotype. Am J Med Genet A. 2015;167A(3):461-475. PubMed 25604898
  • [7] Bedeschi MF, et al. Prenatal manifestation and management of a mother and child affected by spondyloperipheral dysplasia with a C-propeptide mutation in COL2A1. Orphanet J Rare Dis. 2011;6:7. PubMed 21356074
  • [8] Desir J, et al. Spondyloperipheral dysplasia as the mosaic form of platyspondylic lethal skeletal dysplasia Torrance type in mother and fetus with the same COL2A1 mutation. Am J Med Genet A. 2012;158A(8):1948-1952. PubMed 22495950
  • [9] Zhang B, et al. Identification of one novel mutation in the C-propeptide of COL2A1 in a Chinese family with spondyloperipheral dysplasia. Gene. 2013. PubMed 23545312
  • [10] Nishimura G, Gregersen PA, Savarirayan R, et al. Type II Collagen Disorders Overview. GeneReviews®, University of Washington. www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK540447/
  • [11] Zabel B, et al. A specific collagen type II gene (COL2A1) mutation presenting as spondyloperipheral dysplasia. Am J Med Genet. 1996;63(1):123-128. PubMed 8723097

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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