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先天性疾患とは?原因や症状、種類を医師が解説

出生前診断で、胎児が何らかの疾患を持っているとわかることがあります。生まれつきの疾患を「先天性疾患」といいますが、どのような疾患なのかイメージしにくい方は多いのではないでしょうか?

今回は先天性疾患とはどのような病気なのか、主な種類や原因、症状を解説します。

先天性疾患とは

先天性疾患は、赤ちゃんが生まれながらに持っている病気です。医学名では「先天異常」といい、複数の器官異常がある場合は「先天症候群」と区別します。先天性異常は妊婦の年齢に関係なく、3.05%の確率で起こります。この先天性異常を見つけるために行われているのが出生前診断です。

先天性疾患の原因

先天性疾患の主な原因は以下です。

遺伝子の変化
染色体の変化
複数の因子が影響
環境因子や催奇形因子が影響

先天性疾患の原因は1つではなく、さまざまな要因により起こります。たばこやアルコール、薬剤が先天性疾患を引き起こす例もあるため、妊娠を望む人は生活習慣の見直しも大切です。また、先天性疾患の40%は複数の因子が影響しています。
それぞれの原因や、引き起こされる先天性疾患の具体例を解説していきます

遺伝子の変化

遺伝子の変化は先天性疾患の約20%を占めます。遺伝子の変化は、卵子精子受精するときに起きるもので、両親が持つ染色体異常を引き継ぐケースと、受精の過程で赤ちゃんにのみ遺伝子の変化が起きる場合とがあります。

染色体の変化

染色体の変化は先天性疾患の約25%を占めます。これも卵子と精子が受精したときに起きるものです。染色体の変化で頻度が高いのは染色体の本数が1本多くなる「トリソミー」です。

2013年から日本でも開始となった新しい出生前診断「NIPT」は、21トリソミーダウン症候群)、18トリソミーエドワーズ症候群)、13トリソミーパトウ症候群)を調べることができます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

21トリソミー(ダウン症候群)

ダウン症候群は、21番目の染色体が3本になる染色体異常です。1,000人に1人の割合で発生します。ダウン症候群の子どもでは、発育や精神発達の遅れ、つりあがった目や低い鼻、しばしばみられる低身長などが特徴です。

18トリソミー(エドワーズ症候群)

エドワーズ症候群は、18番目の染色体が3本になる染色体異常です。男女比は1:3で6,000人に1人の割合で発症しますが、そのほとんどは自然流産です。
エドワーズ症候群は、胎児の段階で胎動が微弱、羊水が多くなる、胎盤の矮小、単一臍動脈などの傾向があります。また出生後は、やつれたような顔つき、小頭症、後頭部突出、出生時の低身長、知的障害などが特徴です。

13トリソミー(パトー症候群)

パトー症候群は、13番目の染色体が3本になる染色体異常です。出生時の体格が小さい傾向にあり、脳の発育が悪いという特徴があります。口唇裂口蓋裂、目の発育不良など、顔に多くの異常がみられるのもパトウ症候群の特徴です。

複数の因子が影響

先天性疾患は複数の因子が影響して起こることがあります。多因子遺伝とも呼ばれ、先天性疾患の約40%を占めるのが特徴です。
複数の因子が影響する一般的な疾患には高血圧症、冠動脈疾患、2型糖尿病がん、口蓋裂、関節炎などがあります。家族が同じ疾患にかかっている場合は、胎児へのリスクも高くなります。

先天性心疾患

生まれつき心臓に疾患がある状態を先天性心疾患と言います。(心臓病)多くの因子が複雑に影響しあって起こると考えられており、原因を特定できないことがほとんどです。心臓病の人は症状が出なければ見た目は普通の人と変わりません。遺伝子的な要因の場合もありますが、90%以上がいくつもの環境要因が組み合わされたからと言われています。
主な先天性疾患は、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症、大血管転移症などがあります。チアノーゼが出る心疾患では呼吸回数が多くなって苦しそうにするほか、体重が増えにくい、汗をかくなどの特徴があります。

先天性心疾患では、特に症状がなく治療の必要がないものから、開腹手術やカテーテル治療などの治療が必要なものまでさまざまです。
現在では胎児のうちに70~90%は超音波検査で発見できるようになりました。胎児のうちに発見することができれば、早期の段階で治療計画を立てられることから、重症例でも治療や救命が可能となっています。

環境因子や催奇形因子が影響

環境因子や催奇形因子は先天性疾患の約5%を占めます。たばこやアルコール、薬剤、放射線被ばくなどの影響により発症します。
ただし、たばこやアルコールなどの有害物質にさらされた妊婦のほとんどは健康な新生児を出産します。先天性異常が起こるかどうかは、妊婦がこれまでにどのくらいの量や期間、妊娠時期などに有害物質に触れたかにもよります。特に胎児の器官が作られる妊娠4週目以降に有害物質に触れると異常を引き起こしやすくなります。

先天性奇形

先天性疾患は、見た目に特徴が現れる疾患もあります。そのうち、口腔と顎に発生する形態異常に口唇裂や口蓋裂があります。
これらの疾患は、胎児の顔を形成するときの癒合が上手くいかないことで起こります。妊娠初期に胎児に異常な力が加わったり、母体の栄養障害や精神的なストレスが加わったりすることが原因です。また、ステロイド薬や鎮痛剤など形態異常を誘発する薬を使ったり、風疹にかかったり、放射線照射を受けたりすることなども要因として挙げられていますが、実際には70%は原因がわかっていません。
発音障害や摂食障害、扁桃腺や中耳炎を引き起こしやすくなることから、出生から成人までに外科手術などの総合治療を行います。

胎児性アルコール症候群

胎児性アルコール症候群とは、「胎児性アルコール・スペクトラム」ともいい、妊娠中に飲酒することで生まれてくる赤ちゃんに影響を及ぼすものを言います。
出生時の低体重や奇形などのほかに、現在ではADHDや成人後の依存症のリスクなど広い範囲で影響を及ぼすことがわかっており、出生率は1000人に0.1~2人程度の割合です。
胎児性アルコール症候群への治療法はないため、妊娠中に飲酒しないことが大切です。

先天性疾患

先天性疾患の検査はNIPTで

赤ちゃんの先天性疾患は、出生前診断で調べることができます。とくにNIPT(新型出生前診断)は、99%と高い検査精度を誇ります。

NIPTとは?

では、NIPTとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
NIPTとは、胎児の染色体異常の有無を調べる検査です。お母さんの採血のみで検査することができ、血液中の胎児のDNAの断片を調べて染色体の本数や欠失していないかを調べます。
一般的な染色体疾患(ダウン症、18トリソミー、13トリソミー)、その他の染色体疾患(ターナー症候群トリプルX症候群、クラインフェルター症候群、ヤコブ症候群)、性染色体(XXおよびXY)、微小欠失症などを調べて正常かどうかを検査することができ、他の非確定検査と比較しても高い精度をもつのが特徴です。

NIPTの検査時期

通常、NIPT検査は妊娠9週から12週にかけて行われますが、ミネルバクリニックでは妊娠6週からの検査が可能です。早い時期からの検査が可能なので、赤ちゃんをもつ心構えや準備にしっかりと時間を取ることができるでしょう。

NIPTを受けるならミネルバクリニックで

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設です。
院長自身が遺伝カウンセリングを実施しており、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。
赤ちゃんの健康診断であるNIPTを、業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。お気軽にご相談ください。

>>ミネルバクリニックのNIPTについて詳しく

まとめ

先天性疾患は、生まれつき何らかの疾患を持つことを言います。妊婦の年齢に関係なく、約3%の割合で発症します。先天性疾患は遺伝子の変化によるものや染色体の変化、アルコールや薬剤などが関係して起こります。
しかし現在ではNIPTなどの出生前診断の発達で、胎児の段階から疾患を調べることが可能です。赤ちゃんの健康が気になる方はNIPTを受けてみてはいかがでしょうか。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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