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PEComa(血管周囲類上皮細胞腫瘍)とは?遺伝専門医が症状・診断・最新治療をわかりやすく解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

PEComa(ピーコーマ/血管周囲類上皮細胞腫瘍)は、全身のさまざまな臓器から発生する、とても稀な軟部腫瘍(なんぶしゅよう)のグループです。多くはおとなしい経過をたどりますが、一部は転移する悪性PEComaとして、あつかいの難しいがんになります。近年の研究で、この腫瘍にはTSC遺伝子の変化でmTORという増殖のスイッチが入りっぱなしになるタイプと、TFE3という遺伝子が組み替わって起こるタイプという、性質のちがう2つのグループがあることがわかってきました。この見分けが、そのまま効く薬の選択に直結します。この記事では、PEComaとは何か、診断の考え方、治療選択、遺伝診療との接点を、現在の医学的知見にもとづいて整理します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約16分
🧬 PEComa・TSC/mTOR・TFE3・分子標的治療
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. PEComa(血管周囲類上皮細胞腫瘍)とは何ですか?まず結論だけ知りたいです

A. PEComaとは、「血管周囲類上皮細胞(PEC)」と呼ばれる特徴的な腫瘍細胞からなる、稀な間葉系腫瘍(かんようけいしゅよう)のグループです。皮膚の色をつくる細胞(メラノサイト)の目印と、筋肉の細胞の目印を同時に持つのが特徴で、全身のどこにでも発生します。多くはおとなしい腫瘍ですが、一部は転移する悪性の性質を示します。多くの症例ではTSC1/TSC2遺伝子の機能喪失とmTOR経路の過剰な活性化がみられ、この分子背景はmTOR阻害薬の治療根拠になります。一方、TFE3遺伝子再構成型は異なる分子機序を示し、mTOR阻害薬への反応が乏しい可能性があるため、別の治療戦略も検討されます。診断と治療の第一歩は、この分子タイプを正しく見分けることです。

  • ➤正体 → 血管周囲類上皮細胞(PEC)からなる稀な軟部腫瘍。メラノサイトと筋肉、両方の目印を持つ
  • ➤主な分子タイプ → TSC1/TSC2異常でmTOR経路が活性化するタイプと、TFE3が再構成するタイプ
  • ➤診断のカギ → HMB-45・カテプシンKなどの陽性所見とSOX10陰性を、形態・他の免疫染色と組み合わせて評価する
  • ➤悪性度の評価 → Folpe基準に加え、限局例では性別・壊死・血管侵襲・切除断端を用いるPEC-PROスコアも報告されている
  • ➤治療 → 限局例は完全切除、進行例はnab-シロリムスが2021年にFDA承認された

🧬 PEComaの基本情報

項目 内容
読み方・別名 ピーコーマ/血管周囲類上皮細胞腫瘍(けっかんしゅういるいじょうひさいぼうしゅよう)。英語表記は Perivascular Epithelioid Cell Tumor
正体 「血管周囲類上皮細胞(PEC)」と呼ばれる特徴的な腫瘍細胞からなる、稀な間葉系腫瘍のファミリー
発生頻度 ファミリー全体で年間100万人あたり0.12〜0.24人と推定される超希少がん[1]
好発部位・性差 子宮を中心とする婦人科臓器のほか、消化管・後腹膜・腎臓・肝臓など全身。40代を中心に女性に多い
主な分子タイプ TSC1/TSC2変異型(mTOR依存)と、TFE3再構成型(mTOR非依存)
承認された薬 進行・転移例に対し、mTOR阻害薬 nab-シロリムスが2021年に米国FDAで承認[5]

※本記事は一般の方と遺伝診療に関わる方の両方に向けた解説です。特定の検査や治療を勧めるものではありません。

1. PEComa(血管周囲類上皮細胞腫瘍)とは

PEComa(ピーコーマ)は、血管周囲類上皮細胞(Perivascular Epithelioid Cell:PEC)と呼ばれる特徴的な腫瘍細胞からなる、稀な間葉系腫瘍のグループです。この細胞は、丸みを帯びた類上皮(るいじょうひ)型の形と、細長い紡錘(ぼうすい)型の形をとり、皮膚の色をつくるメラノサイトの目印と、筋肉の細胞の目印を同時に持つという、ほかにあまり例のない性質があります。PEComaという概念は1990年代にBonetti(ボネッティ)やPea(ペア)らの研究を通じて確立され、その後、共通の細胞起源を持つ腫瘍のグループとして整理されました。現在は世界保健機関(WHO)の分類でも、ひとつの疾患スペクトラムとして位置づけられています[1]。

💡 用語解説:間葉系腫瘍(かんようけいしゅよう)

体の組織は大きく、表面をおおう「上皮」と、その内側で体を支える「間葉(かんよう)」に分けられます。間葉からは、筋肉・脂肪・骨・血管などがつくられます。この間葉系の細胞から生じる腫瘍を間葉系腫瘍と呼び、その悪性のものが「肉腫(にくしゅ)」です。PEComaは、血管のまわりの特殊な間葉系細胞から生じる腫瘍にあたります。

PEComaファミリー全体の発生頻度は、年間100万人あたり0.12〜0.24人と推定される超希少がん(ultra-rare sarcoma)です[1]。最も多く発生するのは子宮を中心とする婦人科臓器で、そのほか消化管・後腹膜(こうふくまく)・腎臓・肝臓などにも生じます。多くは良性の経過をたどりますが、一部は局所への浸潤や再発、さらには肺や肝臓への遠隔転移を起こす、たちの悪い悪性PEComaとしてふるまいます[1]。

近年わかってきた最も大切な点は、PEComaの背後に、性質のまったく異なる2つの分子メカニズムが存在することです。ひとつはTSC1/TSC2遺伝子の変化によって、細胞増殖のスイッチである「mTOR」が入りっぱなしになるタイプ。もうひとつはTFE3という遺伝子が別の遺伝子とつなぎ替わる(再構成する)ことで生じるタイプです。この分子レベルのちがいが、そのまま効く薬のちがいに直結するため、PEComaはいま、一人ひとりの分子プロファイルに合わせた精密医療(プレシジョン・メディシン)の重要な対象になっています[1]。

2. PEComaファミリー ── 血縁の腫瘍たち

PEComaは単一の病気ではなく、共通の細胞起源と目印を持つ、いくつかの腫瘍を束ねた「ファミリー(家族)」の総称です[1]。同じ血筋の腫瘍として、次のようなものが知られています。

代表格が、腎臓に多く発生する血管筋脂肪腫(AML)です。血管・平滑筋・脂肪が混ざり合った腫瘍で、PEComaファミリーの中では最も一般的なタイプにあたります。多くは良好な経過をとりますが、非典型的な組織像を示すものは予測の難しい経過をたどることがあります。肺に生じるリンパ脈管筋腫症(LAM)も同じファミリーの一員で、これらはとくに次章で述べるTSC遺伝子との結びつきが強いことで知られています。ほかに、肺やその外に生じる淡明細胞糖腫瘍(たんめいさいぼうとうしゅよう)、肝臓の鎌状間膜(かまじょうかんまく)などに生じる淡明細胞筋メラノサイト腫瘍、そしてどの型にも当てはまらない非特異的PEComa(PEComa-NOS)が含まれます。

💡 用語解説:結節性硬化症(TSC)

結節性硬化症(TSC)は、TSC1またはTSC2という遺伝子の変化によって、全身にさまざまな良性腫瘍(過誤腫〔かごしゅ〕)ができる遺伝性の病気です。腎臓の血管筋脂肪腫や肺のリンパ脈管筋腫症は、この結節性硬化症でよくみられます。遺伝形式は常染色体顕性(けんせい/旧・優性)遺伝で、親から子へ2分の1の確率で受け継がれる可能性があります。

PEComaは40代を中心とした成人に多く、女性に強くかたよって発生しますが、小児期に生じることもあります。小児のPEComaは世界的にみても報告例が40例に満たないほど稀で、その多くは5歳以上の子どもに見られます[1]。子どもの症例でも、化学療法や手術への初期反応が乏しい場合には、成人と同じくmTOR経路を標的とした治療が検討されることがあります。

3. 臨床症状と画像診断の特徴

PEComaの症状には、これといった特異的なものが少なく、多くは腫瘍の発生部位や大きさによって決まります。子宮から生じた場合は、不正性器出血や骨盤の痛み、あるいは子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)に似た無症状のしこりとして見つかることが多くあります。消化管や肝臓から生じた場合は、腹痛や腹部の張りのほか、別の目的で行った画像検査でたまたま見つかる「偶発腫瘤(ぐうはつしゅりゅう)」として発見されることも珍しくありません[1]。

画像検査では、PEComaは血管に富む腫瘍であることを反映した特徴を示します。造影CTやMRIでは、腫瘍内の豊富な毛細血管を反映して、造影剤を入れた直後の動脈相で強く染まる(強い造影効果を示す)ことがしばしばあります。血管成分に富むため、腫瘍の中で出血を起こしたり、まれに自然破裂したりすることもあり、MRIで出血や特殊な成分を反映した信号が見られることがあります。一部の症例では、がんの活動性をみるPET/CT検査でブドウ糖に似た薬剤(FDG)の集まりが強くなり、悪性を疑う所見となります。ただし、おとなしいPEComaでもFDGを取り込む場合があるため、画像だけで良性・悪性を確定することはできません。最終的な診断には、次章で述べる病理組織の検査が欠かせません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「たまたま見つかる腫瘍」との向き合い方】

PEComaのように、別の目的で行った画像検査で偶然見つかる腫瘍があります。ただし、画像で血流が豊富にみえることだけでは、良性か悪性かを確定できません。PEComaでは画像所見のみで生物学的な性質を判定することは難しく、病理組織像、免疫染色、必要に応じた分子検査を組み合わせて評価します。

遺伝医学・腫瘍診療では、形態が似ていても分子背景が異なる腫瘍があり、治療選択まで変わることがあります。PEComaもその一例で、確定診断に加えてTSC1/TSC2異常やTFE3再構成などの分子背景を適切に評価することが重要です。画像所見だけで結論づけず、病理・免疫組織化学・分子検査を段階的に統合して判断します。

4. 病理組織の特徴・免疫染色・鑑別診断

組織の見え方と特殊なバリアント

PEComaの最も特徴的な組織像は、透きとおった(淡明な)、あるいは好酸性の顆粒状の細胞質を持つ類上皮型の細胞と、細長い紡錘型の細胞が、繊細な毛細血管網を取り囲むように、巣(す)をつくるように、あるいはシート状に増える姿です[1]。間質にはガラス様の変化(硝子化〔しょうしか〕)がしばしばみられ、腫瘍細胞がガラス質の中に浮かんでいるように見えることもあります。

とくに注意したいバリアントとして、間質の線維化が目立つ「硬化性PEComa」や、悪性黒色腫(メラノーマ)と見まちがえるほど多量のメラニン色素を含む「色素性PEComa」が知られています。これらは典型像から外れるため、診断上の落とし穴になり得ます。悪性を示唆するPEComaでは、著しい核異型(かくいけい)や、多くの核を持つ巨大な細胞、活発な細胞分裂、腫瘍が固まって死ぬ壊死(えし)、血管への侵入といった所見がみられます[1]。

免疫染色と鑑別診断 ── SOX10が決め手

PEComaの確定診断には、免疫染色という手法で、メラノサイトの目印(MITFなど)と平滑筋の目印を同時に持つことを証明するのが基本です[1]。中でもHMB-45は、PEComaで最も感度の高い目印のひとつとされます。さらに、カテプシンKはPEComaで高頻度に陽性となる有用なマーカーのひとつで、診断では形態や他の免疫染色所見と組み合わせて評価されます。

💡 用語解説:免疫染色(免疫組織化学)

免疫染色とは、特定のタンパク質にだけくっつく試薬を使い、組織の中でそのタンパク質がどこにあるかを色で見えるようにする検査です。腫瘍の細胞がどんな目印(マーカー)を持っているかを調べることで、見た目が似た腫瘍どうしを区別できます。PEComaの診断では、この「目印の組み合わせ」がとても重要になります。

PEComaの鑑別で最大の課題になるのが、悪性黒色腫(メラノーマ)との区別です。悪性黒色腫もPEComaと同じくHMB-45やMelan-Aを持つため、見た目でも目印でもよく似てしまうことがあります[8]。ここで決め手になるのが、神経堤(しんけいてい)由来のメラノサイト分化を示す転写因子SOX10と、S100タンパクの評価です。SOX10は悪性黒色腫で高い感度を示す一方、PEComaでは通常陰性です[8]。S100もPEComaでは多くが陰性ですが、発現は一定ではないため、単独で除外診断には用いません。つまり「HMB-45などのメラノサイト系マーカー陽性・平滑筋マーカー陽性・SOX10陰性」という組み合わせは、PEComaを悪性黒色腫から見分ける重要な手がかりになります[1]。

🔬 PEComaと似た腫瘍を見分ける主な免疫染色

目印 PEComa 悪性黒色腫 平滑筋肉腫
HMB-45 高頻度で陽性 陽性 陰性(まれに局所陽性)
Melan-A 陽性 陽性 陰性
平滑筋マーカー(SMA) 高頻度で陽性 陰性 陽性
カテプシンK 強陽性 さまざま さまざま
SOX10 / S100 SOX10は通常陰性/S100は多くが陰性だが可変 高頻度で陽性 陰性

※カテプシンKやHMB-45は一部の平滑筋腫瘍でも局所的に出ることがあり、単独ではなく組み合わせで判断します。最終的な診断は専門的な病理評価によります。

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5. 分子メカニズム ── 2つの発がん経路

PEComaの病態は一様ではなく、分子遺伝学の背景から大きく2つの分子タイプに分かれます。このちがいは、mTOR阻害薬への反応性や、代替治療を検討する際の考え方に関わるため、臨床的に重要です[1]。

PEComaの2つの主要な分子経路を比較した模式図。TSC1/TSC2機能低下型ではRHEBを介したmTORC1抑制が失われてmTORC1が活性化し、細胞増殖・生存が促進される。一方、TFE3再構成型では融合遺伝子によりTFE3転写プログラムが活性化して腫瘍化につながることを示す

PEComaには異なる分子背景をもつ腫瘍群があります。TSC1/TSC2の機能低下ではRHEBに対する抑制が失われ、mTORC1が活性化して細胞増殖・生存が促進されます。この経路をもつ悪性PEComaではmTOR阻害薬が重要な治療選択肢となります。一方、TFE3再構成型では融合遺伝子を介したTFE3転写プログラムが腫瘍形成に関与し、TSC1/TSC2機能低下型とは異なる分子機序を示します。

タイプ①:TSC1/TSC2異常とmTOR経路の活性化

散発性PEComaの大部分と、結節性硬化症に関連する症例は、TSC1遺伝子(ハマルチンをつくる)またはTSC2遺伝子(チュベリンをつくる)の機能喪失型変異によって引き起こされます[1]。ふだん、ハマルチンとチュベリンの複合体は、Rhebという小さなタンパク質を介して、細胞増殖のスイッチであるmTORC1にブレーキをかけています。ところが、これらの遺伝子に変化が起きて複合体が働かなくなると、ブレーキが外れてmTOR経路が入りっぱなしになり、際限のないタンパク質合成・細胞増殖・血管新生が引き起こされます[1]。

💡 用語解説:機能喪失型変異(きのうそうしつがたへんい)

遺伝子の変化(機能喪失型変異)のうち、その遺伝子がつくるタンパク質の働きが失われるタイプを指します。TSC1やTSC2はもともと増殖を抑える腫瘍抑制遺伝子なので、その機能が失われると、ブレーキ役がいなくなり、細胞が増えやすくなります。

さらに、悪性度の高いTSC変異型PEComaでは、TP53やATRX、RB1といった、ほかの腫瘍抑制遺伝子の変化が同時に見つかることが多く、これらがゲノムの不安定さと悪性化への進展に関わっていると考えられています[1]。この経路の活性化はmTOR阻害薬を用いる生物学的根拠となり、AMPECT試験でもTSC2変異例で高い奏効率が示されています。TSC2変異を有する転移性悪性PEComaに対し、分子解析にもとづいてnab-シロリムスが用いられた症例報告もあります[7]。

タイプ②:TFE3遺伝子再構成型(mTORに依存しない)

PEComaのもうひとつの独立したグループが、X染色体上に位置する転写因子TFE3遺伝子の再構成をともなう「TFE3転座型PEComa」です[1]。このタイプはTSC変異型とは異なり、若い患者(とくに若年女性)に多く、結節性硬化症との関連はみられません。

💡 用語解説:遺伝子の再構成(融合遺伝子)

染色体の一部が切れてつなぎ替わることで、本来は別々の2つの遺伝子が合体し、新しい融合遺伝子ができることがあります。TFE3転座型PEComaでは、TFE3が別の遺伝子(SFPQなど)とつなぎ替わり、異常なタンパク質がつくられて腫瘍化の引き金になります。

つなぎ替わる相手(融合パートナー)としてはSFPQが最も一般的ですが、そのほかにも複数の遺伝子との融合が確認されています。近年とくに注目されたのが、これまで胞巣状軟部肉腫(ASPS)に固有と考えられてきたASPSCR1遺伝子との融合(ASPSCR1::TFE3)が、PEComaでも見つかったことです[1]。これは、歴史的に別々の病気とされてきたPEComaとASPSのあいだに、形態的にも遺伝的にも連続性があることを強く示しています。

TFE3転座型PEComaは、平滑筋の目印が弱いか欠けることが多い一方で、免疫染色でTFE3タンパクの強い核内発現が確認されます[1]。臨床的に重要なのは、このタイプがTSC1/TSC2異常による典型的なmTORC1活性化とは異なる分子機序を示す点です。そのため、mTOR阻害薬への反応が乏しい可能性があり、他の治療戦略が必要になることがあります[1]。そのため、診断時に免疫染色やTFE3関連腎細胞癌などでも用いられるFISHやRNA解析を含む分子検査でTFE3再構成の有無を確認することが、診断と治療方針を考えるうえで重要です。

TSC1/TSC2異常主要な分子群
▶
mTOR経路が暴走増殖のスイッチON
▶
mTOR阻害薬が有効nab-シロリムス
TFE3再構成若年に多い
▶
TSC-mTOR型と異なる別の分子機序
▶
代替治療を検討エビデンスは限定的

6. 悪性度の評価とリスク層別化

PEComaは稀なため、胃がんや大腸がんのような世界統一の病期分類(ステージ分類)がなく、悪性度(転移や再発のリスク)を正確に見積もることは、長らく病理医・臨床医の課題でした。良性の腫瘍が途中で悪性に変わるというより、診断された時点の組織の特徴によって、その後のふるまいがすでに決まっていると考えられています[1]。これまでに、予後を予測するための複数の基準が提唱されてきました。

Folpe(フォルペ)基準 ── 最も広く使われる分類

2005年にFolpe(フォルペ)らが提唱した分類は、いまも最も広く用いられています。次の6つの「ハイリスク因子」を評価します[2]。

⚠️ Folpe基準の6つのハイリスク因子

① 腫瘍径5cm以上 ② 浸潤性の増殖パターン ③ 高度な核異型と細胞密度 ④ 細胞分裂像の増加(50高倍率視野あたり1個を超える) ⑤ 腫瘍内壊死 ⑥ 血管への侵入。原著では、ハイリスク因子がないものを良性、腫瘍径5cm以上のみ、または核多形性・多核巨細胞のみを悪性ポテンシャル不明、2つ以上のハイリスク因子を持つものを悪性として層別化します[2]。

この基準を子宮のPEComaにそのまま当てはめると、実際には良性の経過をたどる腫瘍まで「悪性」と診断されすぎてしまう問題が明らかになりました。そこで婦人科PEComa向けに、悪性と診断する閾値をより厳しくした修正基準(Schoolmeester基準、Bennett基準)が開発されました。WHO分類や臓器別の提案基準では、解剖学的部位によって評価法が調整されており、とくに子宮PEComaでは婦人科領域の検証データを踏まえて慎重に悪性度を判定します[1]。

PEC-PROスコア ── より定量的な予後予測

最近では、限局性PEComa 87例をもとに、より定量的な予後スコア「PEC-PRO」も開発されました。「男性」「腫瘍内壊死」「血管侵襲」「切除断端陽性」の4変数を用い、壊死を2点、ほかを各1点として合計0〜5点で評価します。原著では0点を低リスク、1〜3点を中間リスク、4〜5点を高リスクとして層別化しました[9]。Folpe基準とPEC-PROは対象集団や目的が異なるため、病理所見・発生部位・切除状況とあわせて解釈する必要があります[2][9]。

7. 局所療法 ── 手術と放射線治療

限局している(転移していない)PEComaに対する標準治療であり、根治を目指す治療の中心は、十分な切除縁を確保した外科的な完全切除です[1]。切除の際に、腫瘍の周囲にどれだけ正常組織をつけて取りきれたか(切除縁の状態)は、局所再発率や生存率に直接影響します。顕微鏡で見て腫瘍が断端に出ていない完全切除(R0切除)を達成できるかどうかが、その後の経過を大きく左右するため、悪性PEComaでは、必要に応じて隣接臓器もあわせて取ることで、確実な切除をめざすことが推奨されます。

放射線治療については、PEComaに対する大規模な前向き試験がなく、エビデンスは症例報告や後ろ向き研究が中心です。切除縁が不十分だった症例や、細胞分裂の多い高リスク症例に対して、手術後の照射で良好な局所制御が得られたとする報告があります。また、手術前の照射で腫瘍を小さくして完全切除を可能にしたケースや、切除できない病変に対する定位放射線治療(ピンポイント照射)の有用性も報告されています[1]。放射線治療は、手術を補う選択肢として、症例ごとに検討されます。

8. 進行・転移例への薬物療法とパラダイムシフト

PEComaは、従来の殺細胞性抗がん剤(ドキソルビシンなど)への反応が限定的で、一時的な効果はあっても持続的な有用性は限られていました[1]。しかし、TSC1/TSC2変異によるmTOR経路の過剰なはたらきという病態が解明されて以降、シロリムスやエベロリムスなどのmTOR阻害薬が試験的に用いられ、有望な効果を示してきました[1]。PEComaの治療は、こうして「顕微鏡での形態分類」の時代から、「分子標的治療」の時代へと大きく動きました。

💡 用語解説:mTOR阻害薬

mTORは、細胞が増えたり大きくなったりするときの「増殖のスイッチ」の役割を果たすタンパク質です。TSC遺伝子の変化でこのスイッチが入りっぱなしになると、腫瘍が増えやすくなります。mTOR阻害薬は、このスイッチを直接おさえる薬で、シロリムス(ラパマイシン)やエベロリムスが代表です。

nab-シロリムスとAMPECT試験

ナノ粒子アルブミン結合型シロリムス(nab-シロリムス、商品名フィアッロ)は、シロリムスをアルブミン結合ナノ粒子として静脈投与する製剤です。悪性PEComaを対象とする前向き試験で有効性と安全性が評価され、米国で承認に至りました。

この薬の有効性と安全性を評価したのが、進行・転移性の悪性PEComaを対象とした第II相前向き試験「AMPECT試験」です。有効性を評価できた31名に対しnab-シロリムスが投与され、独立評価による客観的奏効率(ORR)は38.7%と、事前に設定された有効性の目安(15%)を大きく上回りました[3]。長期のフォローアップ(追跡期間中央値3.5年)を報告した続報では、奏効の持続期間(DOR)の中央値は39.7か月(約3.3年)、無増悪生存期間(PFS)中央値は10.6か月、全生存期間(OS)中央値は53.1か月に達しました[4]。進行した肉腫としては、きわめて長い効果の持続と生存が得られています。安全性については、口内炎(82.4%)や疲労・発疹(各61.8%)が高頻度でみられましたが、大部分は軽度〜中等度で、休薬や減量によって長期投与が可能でした[4]。

💡 TSC2変異が「効きやすさ」を予測する

AMPECT試験のバイオマーカー解析では、TSC2遺伝子に変異を持つ患者群のほうが、持たない群よりはるかに高い奏効率を示しました。TSC2変異が、nab-シロリムスの効きやすさを予測する強力な目印であることが示されたのです[3]。この結果を受け、米国FDAは2021年11月22日、成人の局所進行切除不能または転移性悪性PEComaを適応として、nab-シロリムスを承認しました[5]。

有効性が示された一方で、多くの転移例では最終的に薬剤耐性を獲得し、病気が進行に転じます。耐性機序としては、mTOR経路の持続的阻害に伴うフィードバックにより、別の増殖シグナル(受容体チロシンキナーゼを介した経路など)が代わりに活性化してしまう、という細胞内の「適応的なフィードバック」があると分析されています[1]。こうした耐性を乗り越えるため、複数の経路を同時に狙う薬の開発が進められています。

9. 免疫療法とTFE3型への標的治療

mTOR阻害薬が効かなくなった症例や、特定の分子プロファイルを持つPEComaでは、免疫チェックポイント阻害薬が、選択された症例で検討されています。

MSI-H・TMB-Hと免疫療法

PEComaで、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)や高い腫瘍変異負荷(TMB-H)を持つ例はごくまれですが、こうした特徴を持つ症例では、PD-1阻害薬(ペムブロリズマブなど)が著しく効くことが報告されています[1]。MSI-Hやミスマッチ修復欠損が確認された場合には、腫瘍横断的な免疫療法の適応を検討できることがあります。なお、MSI-Hという腫瘍所見だけでリンチ症候群と診断することはできず、必要に応じて生殖細胞系列の評価を行います。

さらに、稀ながんを対象とした大規模な第II相バスケット試験「DART試験(S1609)」のPEComaコホートでは、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が評価されました。進行・悪性PEComa 16例の解析で、客観的奏効率は18.8%であり、奏効した症例では非常に長期にわたって効果が持続したことが確認されています[6]。この結果は、二重免疫療法が選択された症例で検討可能な治療選択肢であることを示しますが、症例数は少なく、位置づけの確立には追加データが必要です[6]。

TFE3転座型へのVEGFR阻害薬

前述のとおり、TFE3再構成型PEComaは発がんの仕組みがmTORに依存しないため、nab-シロリムスなどのmTOR阻害薬には最初から効きにくいことが多くあります[1]。TFE3再構成型ではTSC1/TSC2異常型とは異なる分子背景を持つため、mTOR阻害薬以外の治療も検討課題になります。VEGFRを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬については、パゾパニブやスニチニブなどで一定の病勢コントロールが報告されていますが、小規模な後ろ向き解析や症例報告が中心で、TFE3再構成型に対する標準治療として確立したものではありません[1]。TFE3再構成の確認は分子分類に重要ですが、薬剤選択は既治療、病勢、承認状況、臨床試験の利用可能性などを含めて個別に判断します。

なお、これらの薬の効果や適応、安全性は、国や時期によって異なり、今後も更新されていきます。治療に関する判断は、必ず主治医とご相談ください。ここでは分子タイプに応じた治療戦略の考え方として紹介しています。

10. 遺伝診療との接点

PEComaの多くは、体細胞(からだの細胞)で後天的に起きた遺伝子の変化によって生じる散発性の腫瘍です。一方で、TSC1/TSC2の病的バリアントを生まれつき持つ結節性硬化症では、PEComaファミリーの腫瘍と明確な関連があります。腫瘍で見つかった変化が、生まれつきのもの(生殖細胞系列)なのか、その腫瘍だけで起きたもの(体細胞)なのかは、本人やご家族にとって意味が大きく変わります。

💡 用語解説:生殖細胞系列変異と体細胞変異のちがい

生殖細胞系列変異は、生まれつき全身の細胞が持っている変化で、子どもへ受け継がれる可能性があります。一方、体細胞変異は、あるがん組織だけで後天的に起きた変化で、次の世代へ伝わることはありません。同じTSC遺伝子の変化でも、どちらなのかで、ご家族の検査や見守りの考え方が変わってきます。

当院では、遺伝子や染色体に関わる検査の前後で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行っています。話し合う内容は、検査で何が分かり何が分からないのか、見つかった変化がご本人やご家族にとってどういう意味を持つのか、そしてどのような選択肢があるのか、といった点です。PEComaのような超希少な腫瘍の診療では、高度な病理診断と多職種による集学的な治療体制を持つ専門施設での対応が望ましいとされます。腫瘍でTSC1/TSC2などの変化が見つかった場合には、その所見だけで遺伝性と決めず、変異アレル頻度、臨床所見、家族歴などを踏まえて、生殖細胞系列の確認が必要かを判断します。同じ遺伝子の変化でも、体細胞由来か生殖細胞系列由来かによって本人・血縁者への意味が異なるため、検査の目的と限界を整理したうえで評価することが重要です。

よくある誤解

誤解①「PEComaはすべて良性」

多くはおとなしい経過をたどりますが、一部は転移する悪性PEComaです。腫瘍径・細胞分裂・壊死などの組織所見によって、良性・悪性ポテンシャル不明・悪性に層別化されます。

誤解②「HMB-45が陽性なら黒色腫」

PEComaも悪性黒色腫もHMB-45を持ちます。鑑別ではSOX10が重要で、悪性黒色腫では高頻度に陽性、PEComaでは通常陰性です。S100はPEComaでも発現が可変なため、複数の目印を組み合わせて判断します。

誤解③「PEComaはどれも同じ薬が効く」

分子タイプで効く薬が変わります。TSC1/TSC2異常型ではmTOR阻害薬が重要である一方、TFE3再構成型では反応が乏しい可能性があり、別の治療戦略も検討されます。

誤解④「稀ながんだから治療法がない」

稀ですが、2021年にnab-シロリムスがFDAで承認され、免疫療法やVEGFR阻害薬も選択された症例で検討されていますが、エビデンスの強さは治療ごとに異なります。分子タイプと臨床状況を合わせた治療選択が重要です。

まとめ

PEComa(血管周囲類上皮細胞腫瘍)は、かつては分類も治療も定まらない「正体のわかりにくい希少肉腫」でした。しかし分子生物学の進歩により、TSC1/TSC2異常によるmTOR経路の活性化と、TFE3再構成による異なる分子機序という、主要な発がんメカニズムが明らかになり、疾患概念と治療体系は大きく変わりました[1]。

病理診断では、HMB-45やカテプシンKの陽性と、悪性黒色腫を除外するためのSOX10陰性の確認が重要です[8]。悪性度の見積もりにはFolpe基準が用いられ、限局例の予後予測モデルとしてPEC-PROも報告されています[2][9]。限局例には完全切除が基本で、成人の局所進行切除不能または転移性悪性PEComaには、AMPECT試験で有効性と持続性を示したnab-シロリムスが米国FDAで承認されています[4]。加えて、MSI-Hなどの腫瘍横断的バイオマーカーを持つ症例では免疫療法を検討でき、VEGFR阻害薬については限定的な臨床データがあります[6]。PEComaでは、形態・免疫表現型・分子プロファイルを統合して診断と治療方針を決めることが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. PEComa(血管周囲類上皮細胞腫瘍)とは何ですか?

PEComa(ピーコーマ)とは、「血管周囲類上皮細胞(PEC)」と呼ばれる特徴的な腫瘍細胞からなる、稀な間葉系腫瘍のグループです。メラノサイト(皮膚の色をつくる細胞)と筋肉、両方の目印を同時に持つのが特徴で、子宮・腎臓・消化管・肝臓など全身のどこにでも発生します。多くはおとなしい経過をたどりますが、一部は転移する悪性の性質を示します。

Q2. PEComaは遺伝する病気ですか?

PEComaの多くは、体の細胞で後天的に起きた変化による散発性の腫瘍で、遺伝しません。ただし、生まれつきTSC1/TSC2遺伝子の病的バリアントを持つ結節性硬化症では、PEComaファミリーの腫瘍と明確な関連があります。腫瘍で見つかった変化が生まれつきのものか、その腫瘍だけのものかは、本人や血縁者への意味が異なるため、必要に応じて生殖細胞系列の評価を検討します。

Q3. PEComaと悪性黒色腫はどうやって見分けるのですか?

両者はともにHMB-45やMelan-Aという目印を持つため、見た目でも免疫染色でもよく似てしまいます。とくにSOX10は鑑別に有用で、悪性黒色腫では高頻度に陽性になる一方、PEComaでは通常陰性です。S100はPEComaでも発現が可変なため、HMB-45、Melan-A、平滑筋マーカー、SOX10などを組み合わせて判断します。

Q4. 悪性PEComaにはどんな治療がありますか?

限局している場合は、十分な切除縁を確保した外科的な完全切除が基本です。成人の局所進行切除不能または転移性悪性PEComaには、mTOR阻害薬のnab-シロリムスが2021年に米国FDAで承認されています。AMPECT試験ではTSC2変異例で高い奏効率が示されました。MSI-Hなどの腫瘍横断的バイオマーカーを持つ症例では免疫療法を検討でき、VEGFR阻害薬については限定的な臨床データがあります。治療の判断は必ず主治医とご相談ください。

Q5. TFE3転座型PEComaはなぜ治療が違うのですか?

TFE3再構成型は、TSC1/TSC2異常型とは異なる分子機序を示し、mTOR阻害薬への反応が乏しい可能性があります。そのため、他の治療戦略や臨床試験も検討対象になります。VEGFR阻害薬では小規模報告がありますが、TFE3再構成型に対する標準治療として確立しているわけではありません。TFE3再構成の有無を確認することは、分子分類と治療方針の検討に重要です。

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参考文献

  • [1] Del Baldo G, Milano GM, Di Salvatore M, Mastronuzzi A. PEComas: current concepts in diagnosis, molecular pathways, and emerging treatments. Oncologist. 2026;31(7):oyag134. doi:10.1093/oncolo/oyag134. PMID:41964900. [PubMed]
  • [2] Bleeker JS, Quevedo JF, Folpe AL. “Malignant” Perivascular Epithelioid Cell Neoplasm: Risk Stratification and Treatment Strategies. Sarcoma. 2012;2012:541626. doi:10.1155/2012/541626. PMID:22619565. [PMC3350998]
  • [3] Wagner AJ, Ravi V, Riedel RF, et al. nab-Sirolimus for Patients With Malignant Perivascular Epithelioid Cell Tumors. J Clin Oncol. 2021;39(33):3660-3670. doi:10.1200/JCO.21.01728. PMID:34637337. [PMC8601264]
  • [4] Wagner AJ, Ravi V, Riedel RF, et al. Phase II Trial of nab-Sirolimus in Patients With Advanced Malignant Perivascular Epithelioid Cell Tumors (AMPECT): Long-Term Efficacy and Safety Update. J Clin Oncol. 2024;42(13):1472-1476. doi:10.1200/JCO.23.02266. PMID:38427923. [PubMed]
  • [5] U.S. Food and Drug Administration. FDA approval record: Fyarro (sirolimus protein-bound particles for injectable suspension), malignant PEComa. 2021-11-22. [FDA]
  • [6] Patel SP, et al. Multicenter phase II trial of ipilimumab and nivolumab in metastatic or unresectable perivascular epithelioid cell tumor (PEComa): a substudy of DART SWOG S1609 (Cohort 38). J Immunother Cancer. 2025;13(10):e013147. doi:10.1136/jitc-2025-013147. PMID:41120126. [PubMed]
  • [7] Meredith L, Chao T, Nevler A, et al. A rare metastatic mesenteric malignant PEComa with TSC2 mutation treated with palliative surgical resection and nab-sirolimus: a case report. Diagn Pathol. 2023;18(1):45. doi:10.1186/s13000-023-01323-x. PMID:37041531. [PMC10088294]
  • [8] Willis BC, Johnson G, Wang J, Cohen C. SOX10: a useful marker for identifying metastatic melanoma in sentinel lymph nodes. Appl Immunohistochem Mol Morphol. 2015;23(2):109-112. doi:10.1097/PAI.0000000000000097. PMID:25356946. [PubMed]
  • [9] Gantzer J, Toulmonde M, Severac F, et al. PEC-PRO: A new prognostic score from a series of 87 patients with localized perivascular epithelioid cell neoplasms (PEComas) treated with curative intent. Cancer. 2024;130(13):2304-2314. doi:10.1002/cncr.35277. PMID:38470379. [PubMed]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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