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肝内胆汁うっ滞症の遺伝子検査|胆汁うっ滞の原因をPFIC・妊娠性・体質性黄疸の5遺伝子で調べる

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

肝内胆汁うっ滞症の遺伝子検査(5遺伝子)

胆汁うっ滞の原因は、胆石や腫瘍で胆管が詰まる「肝臓の外」の原因と、肝炎・薬・妊娠などによる「肝臓の中」の原因に分かれます。肝臓の中の原因の一部は、生まれつき胆汁を運ぶしくみの遺伝子にあります。この検査は、胆汁を運ぶ3つの遺伝子(ATP8B1・ABCB11・ABCB4)と、ビリルビンの処理などに関わる2つの遺伝子(UGT1A1・EPHX1)を一度に調べ、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)・良性反復性肝内胆汁うっ滞症・妊娠性肝内胆汁うっ滞症・ジルベール症候群などの原因を探します。どの遺伝子のどんな変化かがわかると、使える薬・手術や肝移植の考え方・肝細胞がんの見張りまで、次の一手が具体的に決まります。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

胆汁うっ滞・黄疸の原因が、胆汁の運び手(ATP8B1・ABCB11・ABCB4)やビリルビンの処理(UGT1A1)の遺伝子の変化にあるかを調べます。PFIC1〜3型・良性反復性・妊娠性肝内胆汁うっ滞症・体質性黄疸のどれに当たるかの手がかりになります。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

γ-GTPが低いのに胆汁うっ滞が続くお子さん、黄疸とかゆみの発作をくり返す方、妊娠性肝内胆汁うっ滞症をくり返した方、ご家族にPFICの方がいる方です。赤ちゃんの白っぽい便は、検査を待たずにすぐ受診してください。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、オンライン診療でも受けられます。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。PFIC1〜3型の典型例は潜性遺伝なので、きょうだいやパートナーの検査、次のお子さんへの備えまで一緒に考えます。意義がまだわからない変化(VUS)の扱いもご説明します。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、治療とこれからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | 72遺伝子の胆汁うっ滞パネルと比べたい方へ

1. 胆汁うっ滞の原因と、遺伝子でわかる病気

胆汁うっ滞とは、肝臓でつくられた胆汁が腸へうまく流れず、胆汁の成分(胆汁酸やビリルビン)が体にたまった状態です。原因の多くは遺伝ではありませんが、肝臓の細胞から胆汁を送り出す「運び手」の遺伝子に生まれつき変化があると、子どものころから胆汁うっ滞が続いたり、発作のようにくり返したりします。

胆汁うっ滞とは:肝臓の中と外、どこで流れが止まるか

胆汁は、肝臓の細胞(肝細胞)の中でつくられ、細胞と細胞のあいだのとても細い管(毛細胆管)に送り出されてから、胆管を通って腸へ流れます。胆管が胆石や腫瘍で詰まるのが「肝臓の外」の胆汁うっ滞、肝細胞から毛細胆管へ送り出すところでつまずくのが「肝臓の中(肝内)」の胆汁うっ滞です。

肝細胞の膜には、胆汁酸を送り出すポンプ(BSEP:ABCB11遺伝子がつくる)、胆汁に油の成分(リン脂質)を混ぜる運び手(MDR3:ABCB4遺伝子がつくる)、細胞の膜を整える運び手(FIC1:ATP8B1遺伝子がつくる)が並んでいます。このどれかが生まれつき働かないと、胆汁酸が肝細胞にたまり、肝臓が傷みます[1]。

肝細胞胆汁をつくる
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運び手BSEP(ABCB11)・MDR3(ABCB4)・FIC1(ATP8B1)
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毛細胆管・胆管胆石や腫瘍で詰まると肝外の原因
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腸便に色がつく

病気のしくみをさらに詳しく知りたい方は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(総論)をご覧ください。

胆汁うっ滞の症状:かゆみ・黄疸・白っぽい便・濃い尿

胆汁うっ滞の主な症状は、強いかゆみ、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、白っぽい便、濃い色の尿です。胆汁は脂肪の吸収を助けるので、続くとビタミンA・D・E・Kなどの脂に溶けるビタミンが不足し、お子さんでは体重が増えにくくなります[1][2]。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症では、とくにかゆみが強く、眠れない・皮膚をかき壊すなど、生活に大きく響くことがあります。

⚠️ 赤ちゃんの白っぽい便・長引く黄疸は、遺伝子検査を待たずにすぐ受診を

新生児の黄疸が長引き、便の色が白っぽい・クリーム色のときは、まず胆道閉鎖症を考えて、すぐに小児科を受診してください。胆道閉鎖症は手術(葛西手術)の時期が大切で、生後60日以内に手術を受けた赤ちゃんは、それより遅い場合と比べてご自身の肝臓で過ごせる割合が高かったと報告されています[18]。

日本では、2012年度(平成24年度)から母子健康手帳に便の色を見比べるカード(便色カード)がついています(厚生労働省の「母子健康手帳に関する検討会報告書」による)。遺伝子検査は、まず必要な検査で胆道閉鎖症などが否定されたあとに考える検査です。

血液検査(γ-GTP・ビリルビン)で型をしぼる

遺伝による胆汁うっ滞の型を考えるときは、血液検査のγ-GTPが大きな手がかりになります。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症の1型(ATP8B1)と2型(ABCB11)では、胆汁うっ滞があるのにγ-GTPが正常か軽く高い程度で、3型(ABCB4)ではγ-GTPが高くなります[1]。厚生労働省の指定難病の診断基準にも、同じ見分け方が書かれています。

🩸 血液検査の結果から考えられる型

血液検査の特徴 考えられる病気 関係する遺伝子
直接ビリルビン・胆汁酸が高いのに、γ-GTPは正常〜軽く高い 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型・2型、良性反復性肝内胆汁うっ滞症 ATP8B1・ABCB11
直接ビリルビン・胆汁酸が高く、γ-GTPも高い 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症3型(このほか胆道閉鎖症・アラジール症候群なども考える) ABCB4
肝臓の数値は正常で、間接ビリルビンだけが軽く高い 体質性黄疸(ジルベール症候群)・クリグラー・ナジャー症候群 UGT1A1

※体質性黄疸は胆汁の流れが止まる病気ではなく、ビリルビンの処理の体質です。数値の読み方は個人差があり、最終的な判断は主治医とご相談ください。

2. この検査で調べる5つの遺伝子と、わかる病気

この検査では、ABCB11・ABCB4・ATP8B1・EPHX1・UGT1A1の5つの遺伝子をまとめて調べます。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症は、ご両親から1つずつ変化を受け継いだときに発症する常染色体潜性(劣性)遺伝の病気です。一方で、同じ遺伝子の変化を片方だけもつことが、妊娠性肝内胆汁うっ滞症や薬による肝障害のなりやすさに関わることもあります[5][11]。

🧬 調べる遺伝子と、わかる病気

遺伝子 働き 関係する病気 遺伝のしかた
ABCB11 胆汁酸を送り出すポンプ(BSEP) 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型/良性反復性肝内胆汁うっ滞症2型/妊娠性肝内胆汁うっ滞症のなりやすさ PFIC2・BRIC2は常染色体潜性(ICPは片方の変化でも関わる)
ATP8B1 細胞の膜を整える運び手(FIC1) 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(総論)(1型)/良性反復性肝内胆汁うっ滞症(1型)/妊娠性肝内胆汁うっ滞症のなりやすさ PFIC1・BRIC1は常染色体潜性
ABCB4 胆汁にリン脂質を混ぜる運び手(MDR3) 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症3型(総論)/妊娠性肝内胆汁うっ滞症・大人の胆石(低リン脂質関連胆石症)・薬による肝障害のなりやすさ PFIC3は常染色体潜性(大人の病気は片方の変化でも関わる)
UGT1A1 ビリルビンを水に溶ける形に変える酵素 ジルベール症候群(体質性黄疸)/クリグラー・ナジャー症候群1型・2型/新生児の黄疸の強さ クリグラー・ナジャー症候群は常染色体潜性。ジルベール症候群は2本とも変化をもつと起こりやすい
EPHX1 薬や体の中の物質を分解する酵素 胆汁酸が高くなる体質(家族性高胆汁酸血症)との関連が報告されているが、根拠は限られる 病気との関係を研究中の遺伝子(遺伝のしかたは確立していない)

※病気と遺伝子の関係は文献[1][2][3][5][11][13][15]による。

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)1型・2型・3型の違い

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症は、多くが乳児期に始まり、胆汁うっ滞が続いて肝硬変へ進むことがある病気で、生まれる赤ちゃん5万〜10万人に1人と推定されています[1]。子どもの胆汁うっ滞の原因の10〜15%を占めるという報告もあります[1]。日本の患者さんは約100人と推定されています(難病情報センター、2026年10月時点で確認)。

  • ●1型(ATP8B1):肝臓だけでなく、下痢・膵炎・難聴(とくに高い音、思春期以降に気づかれやすい)が起こることがあります。肝移植のあとも下痢が続いたり、新しい肝臓に脂肪がたまったりすることがあり、移植の判断に関わります[2]。
  • ●2型(ABCB11):症状は肝臓が中心ですが、肝細胞がんや胆管がんに注意が必要です。109家系を調べた研究では15%に肝細胞がんまたは胆管がんがみられ[3]、5歳未満で肝細胞がんを発症した例も報告されています[4]。このため、2型では1歳ごろから肝細胞がんの見張りが勧められています[1]。
  • ●3型(ABCB4):γ-GTPが高いのが特徴で、発症の時期や重さに幅があります。ABCB4の変化は、大人の胆石(低リン脂質関連胆石症)・妊娠性肝内胆汁うっ滞症・薬による肝障害など、軽い病気にも広く関わります[5]。

2型については、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型(PFIC2)とABCB11遺伝子のページで詳しく解説しています。

良性反復性肝内胆汁うっ滞症(BRIC):発作をくり返すが、進みにくい型

良性反復性肝内胆汁うっ滞症は、強いかゆみと黄疸の発作をくり返し、発作と発作のあいだは症状がおさまる病気です。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症と同じATP8B1(1型)・ABCB11(2型)の変化で起こり、重いPFICから軽いBRICまでひと続きの病気と考えられています。発作をくり返すうちに、胆汁うっ滞が続く状態に移る方もいます[2]。大人になってから「原因のわからない黄疸を何度もくり返す」ことで見つかることもあります。くわしくは良性反復性肝内胆汁うっ滞症・良性反復性肝内胆汁うっ滞症2型(BRIC2)のページをご覧ください。

妊娠性肝内胆汁うっ滞症:妊娠中のかゆみと肝臓の数値

妊娠性肝内胆汁うっ滞症は、妊娠中(とくに妊娠後期)に、発疹のない皮膚のかゆみと血液の胆汁酸の上昇が起こる病気で、出産するとよくなります。英国の産婦人科学会(RCOG)の指針は、出産後少なくとも4週間たってから、かゆみと肝臓の数値・胆汁酸が正常に戻ったかを確かめるよう勧めています[8]。

赤ちゃんへの影響は、胆汁酸の高さで違います。複数の研究のデータをまとめた解析では、単胎妊娠の約4,200人のうち、胆汁酸が100µmol/L以上だった方の死産は3.44%で、40µmol/L未満の方(0.13%)より高くなっていました[9]。一方、ウルソデオキシコール酸は、赤ちゃんの経過をよくする効果が大きな試験では確かめられませんでした[10]。妊娠中の管理は、分娩する産科で受けてください(当院は分娩を行っていません)。

この病気には体質も関わります。妊娠性肝内胆汁うっ滞症の女性147人の遺伝子を調べた研究では、26人に、ABCB4(12人)・ATP8B1(5人)・ABCB11(4人)などの遺伝子の病気に関わりうる変化が、いずれも片方だけ見つかりました[11]。RCOGの指針は、一度なった方は次の妊娠でもくり返す可能性が高くなると伝えるよう勧めています[8]。ABCB11では、よくみられる体質の違い(V444A)も、なりやすさに関わると報告されています[12]。ご自身の素因を知っておくことは、次の妊娠への備えになります。

体質性黄疸(ジルベール症候群・クリグラー・ナジャー症候群)とUGT1A1

健康診断で「間接ビリルビンだけが少し高い」と言われる体質性黄疸の多くは、ジルベール症候群です。ビリルビンを処理する酵素の遺伝子(UGT1A1)の働きが生まれつき弱いために起こり、絶食・脱水・体調不良・激しい運動・月経などのときにビリルビンが上がって黄疸が目立つことがあります。害のない体質とされ[14]、ふつうは治療を必要としません。

どの変化が多いかは人種で違います。欧米では、遺伝子の前にあるスイッチの部分(プロモーター)の「TA」のくり返しが1回多い変化(UGT1A1*28)が主な原因です[13][14]。日本人では、酵素そのものの形が変わる変化(UGT1A1*6、Gly71Arg)が多く、日本の新生児159人の研究では、*6をもつ赤ちゃんほどビリルビンが高く、光線療法が必要だった赤ちゃんで*6の頻度が高かった一方、*28の影響は見られませんでした[15]。*6は、日本の新生児の強い黄疸の危険因子とも報告されています[16]。

同じUGT1A1の変化でも、酵素の働きがほとんどないと、重い黄疸が続くクリグラー・ナジャー症候群になります。1型は酵素の働きがなく、脳に障害が残る核黄疸の危険があり、2型はより軽い型です。どちらも常染色体潜性遺伝で、小児慢性特定疾病の対象です(2026年10月時点)。

EPHX1:病気との関係を研究中の遺伝子

EPHX1は、薬や体の中の物質を分解する酵素の遺伝子です。胆汁酸が高くなる体質(家族性高胆汁酸血症)との関連が報告されていますが、もとになる報告は少なく、病気の原因かどうかはまだはっきりしていません。EPHX1に変化が見つかっても、それだけで病名を決めることはせず、症状やほかの検査とあわせて慎重に判断します。

3. どんな人が受けるとよいか(受けなくてよい場合も)

血液検査や経過から、遺伝による肝内胆汁うっ滞の型がしぼれている方に向いた検査です。黄疸やかゆみの原因がわからないまま検査を重ねてきた方にとっては、回り道を終わらせる手がかりになる可能性があります。ただし、全員に原因が見つかるわけではありません。

この検査が向いている方

  • ●γ-GTPが低いのに胆汁うっ滞が続く赤ちゃん・お子さん(胆道閉鎖症などが否定されたあと)
  • ●強いかゆみと黄疸の発作をくり返し、原因がわからないと言われている方
  • ●妊娠性肝内胆汁うっ滞症をくり返した方、早い時期から重くなった方、出産後も数値が戻らなかった方、ご家族にも同じ経験のある方
  • ●ご家族に進行性家族性肝内胆汁うっ滞症・良性反復性肝内胆汁うっ滞症の方がいる方
  • ●若いうちから胆石をくり返す方、薬で肝障害が強く出たことのある方(ABCB4・ABCB11)
  • ●体質性黄疸と言われ、原因の遺伝子を確かめておきたい方

5遺伝子と72遺伝子、どちらを選ぶか

型がしぼれているならこの5遺伝子の検査、赤ちゃんの胆汁うっ滞で原因が広く考えられるなら72遺伝子の検査が向いています。当院の胆汁うっ滞の遺伝子検査(72遺伝子)は、この5遺伝子をすべて含み、料金も同じです。それでも型がしぼれている方にこの検査を選ぶのは、関係の薄い遺伝子で意義のわからない変化(VUS)が見つかる機会を増やさずに調べられるからです(臨床遺伝専門医としての判断です)。

🔍 症状や検査結果に合わせた検査の選び方

症状・検査の結果 向いている検査
γ-GTPが低い胆汁うっ滞、黄疸の発作のくり返し、妊娠性肝内胆汁うっ滞症、体質性黄疸 この検査(5遺伝子)
赤ちゃんの胆汁うっ滞で原因が広く考えられる(シトリン欠損症・代謝の病気・PFICの4型以降など) 胆汁うっ滞の遺伝子検査(72遺伝子)
心臓の病気・特徴的な顔つき・背骨の形の変化などを伴う アラジール症候群の遺伝子検査、または72遺伝子の検査
肝臓の線維化と腎臓の嚢胞がある 先天性肝線維症の遺伝子検査
赤ちゃんの胆汁うっ滞に、血液のアンモニアやシトルリンの異常を伴う(シトリン欠損症を考える) 高アンモニア血症・尿素サイクル異常症の遺伝子検査、または72遺伝子の検査
肝臓以外にも症状が広くある 全エクソーム検査(WES)

※どの検査が合うかは、症状・血液検査・画像・ご家族の情報で変わります。遺伝カウンセリングで一緒に選びます。

妊娠中に「かゆみと肝臓の数値」を言われた方へ

妊娠中の妊娠性肝内胆汁うっ滞症の管理は、分娩する産科で行います。遺伝子検査の結果を待つ必要はありません。妊娠中の診断や管理には、血液の胆汁酸・肝臓の数値の検査が使われます[8]。この検査は、出産後に「次の妊娠に備えて素因を知りたい」「家族にも同じ人がいる」というときに考える検査です。

イリノテカンを使う前のUGT1A1検査を調べている方へ

この検査は、抗がん剤イリノテカンを使う前に行うUGT1A1の検査の代わりにはなりません。イリノテカンが体の中で変わってできる成分(SN-38)を無毒化するのがUGT1A1で、UGT1A1*6と*28を両方の染色体にもつ方(*6/*6、*28/*28、*6/*28)では重い副作用(とくに好中球減少)が起こりやすいことが日本人で報告され[17]、2008年から添付文書の注意にも加えられています(医薬品医療機器総合機構の改訂指示)。その検査は、がん治療を受ける病院で行われます。

この検査は遺伝子の中身(タンパク質をつくる部分)を読む方法で、日本人に多い*6は読めますが、プロモーターにある*28は調べられません。薬と遺伝子の関係については、ファーマコゲノミクス(薬と遺伝子)のページで解説しています。

\ 黄疸やかゆみに名前がつくと、次の一手が決まります /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査を受けるかどうかは、臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングで説明を聞いて、納得してから決めていただけます。

お問い合わせはこちら | 72遺伝子の検査と迷う方へ

4. 検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、5つの遺伝子の中の小さな変化と、ある程度大きな欠けや重なりです。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

わかること

  • ●遺伝子の小さな変化:1文字の変化や、数文字の抜け・入り込み。タンパク質をつくる部分と、その境目を読みます。
  • ●大きな欠け・重なり:遺伝子まるごと1つ分の欠けや重なりは、血液と頬の粘膜のどちらでも調べられます。2つ以上続くエクソン(遺伝子の区切り)にまたがる欠けや重なりは、血液の検体のときに調べられます。見つかった欠け・重なりは、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。

わからないこと

  • ●遺伝子のスイッチの部分(プロモーター)や、遺伝子の中の深い部分の変化:このため、UGT1A1*28は調べられません。
  • ●調べていない遺伝子:進行性家族性肝内胆汁うっ滞症の4型以降の遺伝子(TJP2・NR1H4・MYO5Bなど)、アラジール症候群・シトリン欠損症・胆汁酸をつくる仕組みの病気・デュビン・ジョンソン症候群などの遺伝子は含まれていません。
  • ●遺伝子ではない原因:胆道閉鎖症・胆石・薬・感染などによる胆汁うっ滞はわかりません。
  • ●モザイク・がん細胞の変化:体の一部の細胞にだけある変化や、がん組織の変化を調べる検査ではありません。

「見つからない=病気ではない」ではない/VUSのこと

原因が見つからなくても、遺伝による胆汁うっ滞が否定されるわけではありません。この検査で調べない遺伝子や、この方法で見つけにくい変化が原因のこともあります。また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断やご家族の発症リスクの判定には使いません。ただし、変化の意味を調べるため、ご家族の検査が参考になる場合があります。

技術的なくわしい情報(クリックで開く)

次世代シーケンス法(NGS)で、調べる部分の99%以上を、それぞれ20回以上くり返して読みます(読み取りの回数が多いほど、結果の確かさが上がります)。読み取りの質が低かった変化は、サンガー法でもう一度確かめます。似た配列が別の場所にある部分では、まれに読み取りに影響が出ることがあります。転座・逆位・くり返し配列の伸びは調べられません。

5. 結果が出たあと(陽性・陰性・VUS)

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。

陽性(原因と考えられる変化が見つかった)とき

原因の遺伝子と型がわかると、病名がはっきりし、治療の選び方や見張る合併症が決まります(第6章)。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合の扱いは、当院の二次的所見の開示方針に沿ってご説明します。

陰性(原因が見つからなかった)とき

この検査で調べない原因が残っています(第4章)。症状に合わせて、72遺伝子の検査や全エクソーム検査、専門の医療機関での肝生検などの検査を考えます。

意義がまだわからない変化(VUS)が見つかったとき

VUSは、研究が進んで、のちに意味がはっきりすることがあります。ご家族の検査を一緒に行うと判断の手がかりになる場合もあるため、遺伝カウンセリングで進め方をご相談します。

6. 病的変異が見つかったら、次にできること

原因がわかることの意味は、「わかって終わり」ではなく、治療・見張り・ご家族・次のお子さんについて、具体的に次の行動を選べることにあります。治療は、消化器内科・小児科(小児肝臓)の専門の医療機関で受けていただきます。

ご本人(症状のある方):型に合わせて治療を選ぶ

  • ●治療の選択肢:進行性家族性肝内胆汁うっ滞症では、ウルソデオキシコール酸、胆汁の流れを変えて腸に戻る胆汁酸を減らす手術(胆汁瘻)、肝硬変になった場合の肝移植が使われます[1][2]。
  • ●かゆみの新しい薬:腸から胆汁酸が吸収されるのを抑える薬(回腸胆汁酸トランスポーター阻害薬)が、海外の試験でかゆみを減らすことが示され[6][7]、日本でも2025年に、マラリキシバット(進行性家族性肝内胆汁うっ滞症とアラジール症候群の胆汁うっ滞に伴うかゆみ)とオデビキシバット(進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うかゆみ)が承認されています(2026年10月時点、医薬品医療機器総合機構の情報で確認)。オデビキシバットは、BSEPの働きを完全に失わせる変化をもつ方では効果が期待できないとされており、どの遺伝子のどんな変化かが薬を選ぶ手がかりになります。
  • ●見張る合併症:2型(ABCB11)では肝細胞がん・胆管がん[1][3]、1型(ATP8B1)では下痢・膵炎・難聴と、移植後の下痢や脂肪肝[2]。脂に溶けるビタミンの不足にも注意します。
  • ●体質性黄疸(ジルベール症候群)の方:ふつうは治療は要りません。イリノテカンなどの薬を使うときには、UGT1A1の検査結果を主治医に伝えてください。ただし、この検査ではUGT1A1*28を調べられないため、薬の副作用リスクの評価には別途適切な検査が必要です[17]。
  • ●妊娠性肝内胆汁うっ滞症の素因がわかった方:次の妊娠では早めに分娩する産科に伝え、胆汁酸と肝臓の数値を確かめてもらいます[8]。

症状のない方・保因者だった方:パートナーの検査と、お子さんへの確率

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症の保因者(変化を片方だけもつ方)は、ふつう発症しませんが、ABCB4・ABCB11・ATP8B1の変化を片方だけもつことが、妊娠性肝内胆汁うっ滞症や胆石・薬による肝障害のなりやすさに関わることがあります[5][11]。

お子さんが発症するのは、ご夫婦がともに同じ遺伝子の保因者のときで、その確率はお子さん1人ごとに4分の1です(潜性遺伝と保因者のしくみ)。当院の拡大版保因者スクリーニング(787遺伝子)には、ABCB11・ABCB4・ATP8B1・UGT1A1が含まれています(EPHX1は含まれません)。パートナーの方が同じ遺伝子の保因者かどうかを確かめれば、お子さんへの確率を具体的に考えられます。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(単独では受けられません)。

お子さんを持つときの選択肢

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんが同じ変化をもっているかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。羊水検査・絨毛検査は院内で行っています(2025年6月から産婦人科を併設)。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に判断しますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

日本でも、日本産科婦人科学会の指針にもとづく審査を経て、PGT-M(着床前遺伝学的検査)が行われています(当院は体外受精・PGT-Mを行っていません)。準備に必要なことは海外でPGT-M(着床前診断)を考えている方へで解説しています。もちろん、何も検査をせずに妊娠・出産を迎えることも、そのまま選べる選択肢です。

ご家族:きょうだいも、ピンポイントで調べられる

お子さんが進行性家族性肝内胆汁うっ滞症と確定し、ご両親がともに同じ遺伝子の保因者である典型的な常染色体潜性遺伝の場合、きょうだいは4分の1の確率で同じ病気、2分の1の確率で保因者です。ご家族の原因がわかっていれば、きょうだいや親族は同じ変化だけをピンポイントで調べられます。あなたの1回の検査が、ご家族が自分の状態を知り、将来の妊娠に備える手がかりになります。症状のない方の検査は、ご本人の同意のうえで行います。

当院でのその後

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングでご説明し、次にどうするかを一緒に考えます(遺伝カウンセリング料は30分22,000円・税込)。結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方は検査結果の見かたをご覧ください。

7. 日本の制度(指定難病・小児慢性特定疾病/2026年10月時点)

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症は、指定難病338です。難病情報センターの解説(2025年10月更新)では1型から13型までが挙げられ、日本の患者さんは約100人と推定されています。厚生労働省の概要・診断基準では、良性反復性肝内胆汁うっ滞症1型も、症状が軽く発作的な型として同じ病気の流れの中で説明されています。小児慢性特定疾病(慢性消化器疾患)の対象にも「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症」があり、クリグラー・ナジャー症候群も対象です(小児慢性特定疾病情報センター、2026年10月時点で確認)。

医療費の助成を受けるには、それぞれの制度の認定の条件を満たし、申請する必要があります。遺伝子検査で原因が確定していることは、診断の手がかりのひとつになります。認定の基準や申請の方法は、難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センターや、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

8. 検査の流れと費用・日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜のいずれかで、どれもオンライン診療で受けられます(血液の場合は全国の提携医療機関で採血)。

ご予約
▶
遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医・オンライン可
▶
検体の採取血液・唾液・頬の粘膜
▶
結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

この検査は、遺伝診療先進国・米国の3大遺伝子検査会社の一角で行います。※

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

💴 費用・日数・検体

項目 内容
調べる遺伝子 ABCB11・ABCB4・ATP8B1・EPHX1・UGT1A1(5遺伝子)
検査費用 税込330,000円
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
結果までの期間 2〜3週間(至急オプション〔55,000円〕で約7日短くなります)
検体 血液(EDTA採血管4mL×2本)・抽出DNA・頬の内側の粘膜・唾液
調べ方 遺伝子の配列と、欠け・重なり(料金に含まれます)。意義がまだわからない変化(VUS)を報告に含めない選択もできます(無料)
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液のいずれもオンライン診療で受けられます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします

※ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

オンライン診療(ビデオ通話)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただきます。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。決められた手順で採らないと、検体の取り違えや品質の低下で正しく調べられないことがあるためです。ご来院の方は診療時間・アクセスをご覧ください。

\ 人生に一度の遺伝子検査を、ご自身とご家族の計画に /

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生まれ持った遺伝子は一生変わりません。ご夫婦とも保因者だった場合、妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

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9. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【黄疸とかゆみに名前がつくと、次の一手が決まる】

胆汁うっ滞は、「肝臓の数値が悪い」「黄疸がある」という結果だけでは、何をすればよいかが決まりにくい状態です。同じように見える胆汁うっ滞でも、どの遺伝子のどんな変化かによって、使える薬、手術や肝移植の考え方、見張るべきがんまで変わります。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症のかゆみの新しい薬でさえ、遺伝子の変化の種類によって効果が期待できない場合があるとされています。名前がつくことは、治療を選ぶための出発点だと考えています。

私はがん薬物療法専門医でもあります。ジルベール症候群のような「害のない体質」も、イリノテカンのような薬を使うときには大切な情報になります。生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身の健康管理だけでなく、これからの妊娠や、ご家族の健康を考えるときにも、ずっと役に立ちます。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります(遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由)。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、保因者検査から出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 胆汁うっ滞の原因は遺伝ですか?

遺伝とは限りません。胆汁うっ滞の原因は、胆石や腫瘍で胆管が詰まる肝臓の外の原因と、肝炎・薬・妊娠などの肝臓の中の原因に分かれ、多くは遺伝ではありません。ただし、子どものころから続く胆汁うっ滞や、くり返す黄疸の発作、妊娠のたびに起こる胆汁うっ滞の一部は、ATP8B1・ABCB11・ABCB4などの遺伝子の変化が原因や素因になっています。この検査は、その遺伝子を調べます。

Q2. 胆汁うっ滞は血液検査でわかりますか?γ-GTPとの関係は?

胆汁うっ滞は、直接ビリルビン・胆汁酸・ALPやγ-GTPなどの血液検査で見当をつけ、超音波などの画像検査で胆管が詰まっていないかを確かめます。遺伝による型を考えるときはγ-GTPが手がかりになり、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症の1型・2型ではγ-GTPが正常か軽く高い程度、3型では高くなります。どの型かを確かめるのが遺伝子検査です。

Q3. 胆汁うっ滞を放置するとどうなりますか?効く薬はありますか?

原因によって違います。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症では、胆汁が肝臓にたまり続けて肝硬変へ進むことがあり、2型では肝細胞がんにも注意が必要です。治療にはウルソデオキシコール酸、胆汁の流れを変える手術、肝移植があり、日本では2025年に、かゆみに使う薬(回腸胆汁酸トランスポーター阻害薬)が2種類承認されました。どの治療が合うかは型や遺伝子の変化の種類で変わるため、消化器・小児の専門の医療機関で相談します。

Q4. 良性反復性肝内胆汁うっ滞症とは?PFICとの違いは?

良性反復性肝内胆汁うっ滞症(BRIC)は、強いかゆみと黄疸の発作をくり返し、発作のあいだは症状がおさまる病気です。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)と同じATP8B1遺伝子・ABCB11遺伝子の変化で起こり、症状が重いほうのPFICから軽いほうのBRICまで、ひと続きの病気と考えられています。発作をくり返すうちに、胆汁うっ滞が続く状態に移る方もいるため、経過を見ていくことが大切です。

Q5. 妊娠性肝内胆汁うっ滞症は次の妊娠でもくり返しますか?遺伝しますか?

英国の産婦人科学会の指針は、次の妊娠でもくり返す可能性が高くなると伝えるよう勧めています。原因はひとつではありませんが、ABCB4・ABCB11・ATP8B1などの遺伝子の変化を片方だけもつことが素因になる場合があると報告されています。次の妊娠では、早めに分娩する産科へ伝えて検査を受けてください。ご自身の素因を知りたい方は、出産後にこの検査を考えられます。

Q6. ジルベール症候群(体質性黄疸)は遺伝しますか?長生きできますか?

ジルベール症候群は、ビリルビンを処理するUGT1A1遺伝子の働きが生まれつき弱いために、間接ビリルビンが軽く高くなる体質で、親から子へ受け継がれます。害のない体質とされ、ふつうは治療を必要としません。ただし、抗がん剤のイリノテカンなど一部の薬では副作用が強く出ることがあるため、薬を使うときは主治医に伝えてください。日本人ではUGT1A1*6という変化が多く、この検査で調べられますが、欧米に多いUGT1A1*28は調べられません。

Q7. 結婚や、子どもへの遺伝が心配です。何がわかりますか?

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症は常染色体潜性(劣性)遺伝の病気で、ご夫婦がともに同じ遺伝子の保因者のとき、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。片方だけが保因者なら、お子さんが発症することは基本的にありません。この検査でご自身の変化がわかれば、パートナーが同じ遺伝子の保因者かどうかを保因者検査で確かめ、お子さんへの確率を具体的に考えられます。遺伝の病気があることは、結婚をあきらめる理由にはなりません。知ったうえで選べる道があります。

Q8. 5遺伝子と72遺伝子のパネル、どちらを選べばよいですか?

血液検査や経過から型がしぼれている方(γ-GTPが低い胆汁うっ滞、黄疸の発作のくり返し、妊娠性肝内胆汁うっ滞症、体質性黄疸)は、この5遺伝子の検査が向いています。赤ちゃんの胆汁うっ滞で原因が広く考えられるとき(アラジール症候群・シトリン欠損症・代謝の病気など)は72遺伝子の検査が向いています。72遺伝子の検査はこの5遺伝子をすべて含み、料金も同じです。遺伝カウンセリングで症状と検査結果をうかがって、一緒に選びます。

🧬 一度の検査で、治療とご家族のこれからを考える

胆汁うっ滞の原因がわかれば、治療の選び方や見張る合併症だけでなく、きょうだいの検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、パートナーの保因者検査、羊水検査・絨毛検査による出生前診断の相談まで、院内で続けて受けていただけます。

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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